Apple's Eye
Twitterというサービスをご存知だろうか。
Twitteringとは(鳥などの)「さえずり」のこと。ここは世界中の人々が、さえずりあうWebサイトだ。
Webページを開くと、「今、何をやっているの?」と書かれており、人々は、基本的にはこの質問に答える形でさえずっている。
例えば、今、この瞬間の私であれば「Apple's Eyeの原稿を執筆中」だろうか(今、実際に、そう書き込んでみたので、探せる人は私がこの行をいつ書いていたのか、探してみて欲しいー笑)。
Twitterの日本語表示では、これを「さえずり」の代わりに「つぶやき」と訳しているが、このサービスを使ってWebに向かってつぶやくだけで、世界がちょっと変わってくる。
例えばある人が「今、渋谷に向かって移動中」と書いていたのを、しばらく会っていない友人が見たとする。ちょうど彼もその時、渋谷で用事が終わって、この後の予定をどうしようか悩んでいたところだ。
友人は試しに「今、渋谷で仕事が終わった。この後、どうしようかな」と書き込む。
それを相手も見て「久しぶりだし、どこかでお茶でもしようか」という話しに広がる。
こういうことって、とても小さい変化なようでいて、実はものすごく大きい。
おそらく、あなたもこれまでに「え、あの日、あそこにいたの? 私もいましたよ! そっか、会えなくて残念!」ということが何度もあったはず。
自分に加えて友達もTwitterを使い始めると、それがなくなるのだ。
見ず知らずの人に、自分の居場所を教えたくない、という人もいるかもしれない。
だが、そう感じたら自分の「つぶやきを非公開」にすることも可能だ。友達と認めた人だけが読めるようになるモードだ。
あるいはそれ以前に自分で書く量を調節して、人に知られたくないようなことは書かない、という手もある。むしろその方が本質的かもしれない。
Twitterの使い方は簡単で、他の多くのソーシャルネットワークサービス(SNS)のように、ユーザーIDとパスワードを登録すれば、すぐに使い始められる。この登録過程で、「日本語」メニューを選べば、英語メニューを「日本語」表示にすることも可能だ。
登録したては、あまりおもしろくないかもしれない。
画面右側に表示される「公開つぶやき」をクリックすれば世界中の人々がつぶやいている様子をみることができるが、まったく見ず知らずの人がつぶやくのを聞いても、実はあまりおもしろくない。それに現在、Twitterをする人は世界で爆発的に増えているため、同じ人の発言を続けて目にすることも難しい。
だが、自分が知っている人をみつけて、その人のことをフォローし始めると、Twitterが急におもしろくなり始める。
実はTwitterは米国では、あのオバマ大統領 (IDはBarackObama)がキャンペーンの宣伝や大統領就任後の方針発表などにも用いている他、ブリトニー・スピアーズ(britneyspears)やM.C.ハマー(MCHammer)といったアーティストも使っている。他にもColdplay(Coldplay)、バージングループ会長のRichard Branson(richardbranson)なども利用者だ。
日本でも人気サイト「Macお宝鑑定団」のDANBO会長(idanbo)や、人気ブログ「ネタフル」のコグレマサト氏(kogure)や小飼弾氏(dankogai)、僭越ながら筆者(nobi)もTwitterをよく利用している。
だが、やはり一番おもしろいのは、友達を巻き込むことだろう。
さて、TwitterがSNSなどと大きく違う点は、「フォロー」という概念を使っていることだ。SNSでは、「友達登録」と称して、まずはこちらから友達になっていいかの承認を求め、相手が認めてくれたら、そこで初めて相手の情報が見られるようになる。
これに対してTwitterでは、情報の発信者は人に見られていいことしか書いていないので、見る側もそれを勝手に見る。
最近のつぶやきをしっかりと見たい好きな有名人や友人は「フォロー」をする。つまり、「追っかけ」になる。すると自分のTwitterのホーム画面に、フォロー中の相手の最近の「つぶやき」が一覧表示されるようになる。いちいち承認を求められるSNSでは、有名人の情報を見るのはかなり大変なはず。有名人なら、毎日たくさんの友達リクエストをもらうので、おそらくそのほとんどを無視しているからだ。でも、Twitterでは、見たい人は勝手に見る、という一方向システムを採用しているおかげで、見る側も簡単に見られるし、見られる側も、いちいち友達リクエストを返すという面倒な作業や精神的負担から開放される。
ということで、Twitterに登録したらまずやるべきことは、自分が知っているTwitterユーザーを探し出してフォローしまくることだ。
もっともIT業界の人でないと、知っているユーザーを見つけるのはなかなか大変かもしれず、フォローする相手も2~3人しか見つからないかもしれない。
そんな時に、ぜひお勧めしたいのが情報サービスやbotの利用だ。
実はTwitterには、個人だけでなく、たくさんの企業の情報サービスも登録している。
asahi.com(asahi)、GIGAZINE(gigazine)、ITMedia(itmedia)、Tokyo Art Beat(TokyoArtBeat_JP)、はてなブックマーク(hatebu)、Yahoo!ニュース - トピックス(yahooj_topics)などもTwitterに登録し情報を発信している。
発信スタイルは最新の記事の見出し+URLリンクの形式で、リンクをクリックすると、実際のサイトに言って本文が読めるという形式が多いが、見出しを読むだけでも世の中の動きが分かる。
海外ニュースサイトはさらに多い。
ニュース放送のCNNから号外ニュースのときだけお知らせしてくれるCNN Breaking News(cnnbrk)やNew York Times(nytimes)、BBC World(bbcworld)、Cnet News(CNetNews)、TechCrunch(TechCrunch)といったニュースサイトもTwitterで情報を発信し、それぞれがもの凄い勢いでフォロワー(フォローする人)を増やしている。
こうしたオフィシャルな情報に加えて、Google NewsをTwitterで読めるようにした「ぐぐるニウス」(googlenewsjp)、Amazonの値下げ情報をほぼリアルタイムで教えてくれるprice down(pricedown)といったTwitterアカウントもあれば、今日は何の日かを教えてくれるサービス「何の日」(nannohi)も、今が何時かを教えてくれる時報サービス(jihou)もある。
これらのアカウントのフォローを始めると、Twitterは情報サービスとしても有望になってくる。
実は筆者もTwitterのおかげで、福田前首相の辞任を電車の中で、リアルタイムで知ることができた。
自社の最新情報や最新ソフトのリリース、開発状況などを発信している企業も多ければ、イベントに関する情報を発信するイベント会社によるTwitterアカウントなども多い。
筆者は最近、Twitterが何かを説明するときに、こんな紹介の仕方をする。
あなたは日々、Webブラウザで、ニュースサイトを見にいったり、有名人のブログも読む、友人の近況をSNSを通して見てみたりと、さまざまなWebサイトを巡回し、ちょっとだけ面倒だと感じているかもしれない。だが、こうしたサイトがすべてTwitterで情報を発信するようになれば、情報を見る場所は1カ所だけで済む。
そこからニュースなどでおもしろいものがあれば、さらに深く読みに行けばいいし、そうでないと思えば見出しだけで読み飛ばせばいい。
こう言うと、「あれ? 何か前にも、そんなサービスなかったっけ?」と思う人がいるかもしれない。
確かにあった。RSSリーダーというサービスがそれだろう。
RSSは、多くのブログシステムに採用されて広まった技術で、今日ではほとんどのニュースサイトにも採用されている。
1件1件の記事をリスト化した情報で、ブログやニュースサイトなどに新しい記事が1件、増えるたびに内容が更新される。
このしくみを利用したRSSリーダーというソフトを使うと、ニュースサイトなどに新着情報が出るたびに「ニュースサイト名(1)」のようにカッコ内に未読記事の数が表示され、ニュースを見逃さない(実はRSSリーダーの機能は、最近ではWebブラウザにも組み込まれている)。
筆者はこの未読件数の表示こそが、RSSリーダーを使わなくなる最大の要因だと思っている。読みたいと思って登録するニュースサイトやブログが増えれば増えるほど、未読件数の数字が増えるペースもアップしていく。最初は1桁台だった数字が、やがて2桁になり、3桁になっていき、大きな精神的苦痛としてのしかかってくるのだ。
最近では情報をまったく読まないまま、とりあえず未読情報をすべて選択して強制的に既読状態にしている、なんていう人も多いのではないだろうか。
実はTwitterには、こうした精神的負担がない。Twitterには、そもそも未読と既読の切り分けもはっきりしていない。
Twitterでは1画面に表示される情報のことをタイムラインと呼び、このタイムラインに約20件の情報が並ぶが、Twitterでは、この最新20件分の情報が基本となっている。
ここで20時間や20分といった時間の単位ではなく、20件という単位になっているのが重要ポイントだ。
「ホーム」のタイムラインでは自分や自分がフォローしている人を合わせた最新の20発言が読める、「公開つぶやき」のタイムラインでは、世界中のほぼすべてのTwitterユーザーの最新20つぶやきが見られる。
さらにURLを「twitter.com/自分のID」とすることで、自分の最新20つぶやき。
「twitter.com/友達のID」とすることで、その友達の最新20つぶやきが見られる。
「@自分のID」と書かれたところをクリックすると、誰かが自分宛につぶやいた内容の一覧が表示される。
Twitterの発言は、普通は誰々にということなく、空になげかけるようなつぶやきのことが多いが、例えば誰かがつぶやいていた内容に「私もそうです!」のようにつぶやき返したい場合は「@その人のID 私もそうです!」のように、@の後に相手のIDを入力して、つぶやき返すと、相手のパソコンの「@自分のID」欄にそのメッセージが表示され、見逃しにくくなるのだ(ただし、コメント返しの欄も、表示されるのは最新20件までなので、それを超えると見逃しが発生しやすくなる)。
このちょっと緩い設計のおかげで、Twitterでは、情報の読みこぼしが大量に発生する。しかし、だからこそTwitterは人気がある。
今、世の中は情報の大洪水が起きている。身の回りはニュースや情報に溢れ、何かの絞り込みをしないと、ついていけない状態だ。
そう感じている人にとっては、RSSリーダーのような、「一通りすべての情報に目を通せ」といった圧迫感を持った技術は精神的負担になりつつある。
それに比べてTwitterだと、そもそもサービスが情報の読みこぼしを前提にしているので、そうした負担が軽いのだ。
もっとも、だからといって情報の読みこぼしが多い、というわけではない。
おもしろいニュースは、ライブのタイミングでは読み逃しても、Web上で、後からも何度も何度も話題になるはずだ。Twitterユーザーの中には、ニュースに対してリアクションを返す人も多いので、ライブのニュースではなく、そうしたリアクションを見て、初めてニュースを知る人も大勢いるだろう。
実は世の中、それでいいのだ。
また、情報を発信する側のことも考えてみよう。
最近ではブログを持っていても閲覧者の評価も厳しくて重荷になり、ほとんど更新できていない、なんていう人も多いのではないだろうか。
文章の構成を練って、そこに写真を添えて、記事をアップする、という作業は技術的には簡単でも、実はなかなか大変な作業だ。
しかしTwitterなら投稿できるつぶやきの文字数が140文字まで、という制限もあり、その仕組みが使う人全員に伝わっているからこそ、ものすごく精神的にもラクだ。
多少言葉が乱暴になったり、言葉足らずになっても問題ない。
中には、「渋谷なう(=渋谷NOWの意味)」のようにして、自分の現在地だけを発信している人もいれば、携帯電話から写真を撮って今日のランチ、今日のディナーばかりをひたすらアップしている人もいる。
わざわざブログでそれだけのことを書いてしまうと、読みにきた人も、「なんだよ、それ!」と怒る人がいるかもしれないが、Twitterはそもそもそういう作りなのだ。
そして、だからこそ敷居の低い、カジュアルでいい感じのコミュニケーションが広がりやすい。
Twitterを使い始めると世界が変わり始める。
例えば「今、セーヌ川の左岸でランチ中。今日は天気もいいし、昼からワイン」とさえずっているフランス人もいれば、それと同じ頃に「今、テムズ川を見下ろしながら、ちょっと早めのランチ。今日は天気もいいし、昼からワイン」と書いている人もいるかもしれないし、ほぼ同時に「目黒川で夜桜鑑賞。酒がうまい!」と書いている人もいたりして、Twitterを使い出すと地球の裏側にいる人でも、なんだかすごく身近に感じられるようになる。
また、Twitterで自分のことをフォローしてくれる人がある程度まで増えてくると、Twitterは、強力な情報検索サービスとしても機能しはじめる。
これは去年、筆者が福岡に行ったときのこと、「今、福岡の~~で食べるところを探しています」と書き込んだところ、すぐさま大勢の福岡出身の方から「~~がおいしいですよ」といったお勧め情報をもらった。
おいしいレストラン情報はWebで検索してもいくつでも見つかるが、情報が多過ぎて、ただ無機質に検索されて出てきた情報は、どれが本当にいいのかわからないことが多い。
これに対してTwitterで返ってくる情報は、生身の人間が返してくる情報であり、しかも、普段から自分のつぶやきをみて趣味趣向を理解している人によるつぶやき返しが多い。
だから、送られてくる答えの価値も、通常の検索よりも価値が高いのだ。
最近、Twitterは同じことに関心を持つ人同士をつなげるサービスとしても台頭してきた。例えば日本では多くのiPhoneユーザーがTwitterを使っている(iPhone上でTwitterを見たり、書いたりするアプリケーションは、驚くほどたくさんある)。
こうしたiPhoneユーザー同士で情報交換をするために「iphonefan」というアカウントができた。
「@iphonefan iPhoneで最近おもしろいのはどんなアプリですか」などと書き込むと、書き込んだ内容が「iphonefan」をフォローしているすべての読者のタイムラインに現れる。
ここで、それを見た他の人が「@iphonefan ColorSplashがなかなかいいですよ」といった具合に返信すれば、その内容が、また全員に流れる。
これは「twicco ついっこ」という、Twitter上でコミュニティーを作るサービスを用いてつくられたアカウントで、twiccoでは、他にもたくさんのコミュニティーが作られている。
twiccoは日本生まれのサービスで、利用者も大半は日本人だが、海外では「#(ハッシュ)タグ」を使った情報共有が流行している。
例えばiPhoneについての話題を共有したい場合、iPhoneについての質問を、Twitterを使う他のiPhoneユーザーに投げかけたいときに「My #iPhone doesn't reboot. Can someone please help me?」のようにキーワードの前に「#」をつける。
すると、この「#iPhone」を監視している他のユーザーが答えてくれるかもしれない、というわけだ。
検索サービスは、「http://search.twitter.com」という別のURLから行う必要があり、わざわざそんな面倒なことをしている人がいるのかと思うかもしれないが、実はTwitterはWebブラウザから直接、アクセスする方法に加えて、Twitter専用ソフトを利用して、アクセスすることが可能だ。
例えばMac用のTwitter専用ソフトでは、TwitterPodやLoungeといったソフトがあり、後者では気になるキーワードで検索した後、その検索条件を保存(Save)しておくと、そのキーワードを含むつぶやきが増える度に自動的にひっかかるようになる。
同様のアプリケーションはiPhoneにも多い。LoungeのiPhone版に加え、Tweetie、TwitterFonといったソフトがTwitter検索に対応している。
例えば先日行われた世界経済フォーラム、通称Davos会議では、大勢の人が「#davos」というタグを付けてiPhoneなどの携帯電話からTwitterへ、イベントの実況中継を行っていた。
このため、search.twitter.comやLoungeを使って「#davos」で検索をすると、ニュースなどで取り上げられなかったような細かな情報をたくさんみることができる。
また、先日のWorld Baseball Classicの時もすごかった。特に日本対韓国の決勝戦は、日本の人も韓国の人も、アメリカの人も、みんなが一体になってTwitterで一喜一憂していた。この状況も、#WBCで検索して見ることができる(「#WBC or WBC」で検索すると、さらに多くのつぶやきが見られる)。
ちなみにsearch.twitter.comのトップページには、常に今、世界でもっともつぶやかれているキーワードの一覧(トレンド)が表示される。例えば先日、Michael Jacksonというキーワードが表示されているので、なんだろう? と思ってみてみたら、Michael Jacksonが記者会見を行いワールドツアーの発表をしたため、盛り上がっていたようだ。
アップルが新しいiPod shuffleを発表すれば「iPod shuffle」が表示されるし、毎週水曜日(日本時間の木曜日)、米国の人気ドラマ「Lost」が放映されている間は、必ず「#Lost」というキーワードがそこに表示される(それだけ大勢の人がテレビを見ながらTwitterで、一緒に楽しんでいる、ということだ)。
Twitter検索は、世界の今を知るツールでもある。
ところで、iPhoneとTwitterは最強のタッグだ。iPhoneのGPS情報を使って、半径1Km、2Kmといった周囲の人のつぶやきをみることができるTwinkle、BrightKiteといったTwitter用ソフトがあり、これを使うと、例えば「今、最寄り駅で電車が事故で立ち往生中」であるとか、「~~の公園の桜がきれい」といった情報が、オフィスにいながらにしてわかるようになる。
最近、Twitterはビジネス情報を得るツールとしても注目を集めており、米国ではマイクロソフト社がスポンサーとなり、IT業界の重役のつぶやきをまとめたサイト、「ExecTweet」も登場している。
「私はあまり発信する情報がないから」と遠慮をせずに、まずは人の発信する情報を読むことだけでも初めてみて欲しい。
なお、本連載への要望がある方は、ぜひ「#appleseye」というタグを付けてつぶやいて見て欲しい。
関連リンク
オバマ大統領
ブリトニー・スピアーズ
M.C.ハマー
Coldplay
バージングループ会長のRichard Branson
DANBO会長
コグレマサト氏
小飼弾氏
林信行
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