No.245 - Macは知性の自転車[2009年7月31日更新] ■1000ドル以上での市場シェアはなんと90%超!前回の本連載更新以降、Microsoft Office 2008 for macの久々のアップデートとなるService Pack 2(SP2)もリリースされたが、アップルからもいくつかのニュースがあった。 260万台──何の数字だかお分かりだろうか。これは4~6月期に出荷したMacの数だ。このうち175万台はノート型、85万台はデスクトップ型だった。ちなみに日本ではこの期間11万台のMacが売れた。ノート型Macは1~3月期に比べて25%増、昨年の同時期と比べても13%伸びている。 実際、極めてコストパフォーマンスの高い13インチ版のMacBook Proは、今でも売り切れの状態が続いている。調査会社NPDグループが発表したPC市場の6月の出荷状況に関する調査によると、1000ドルを超す高額PC市場では、Macのシェアが91%にもなるという。 iPod、iPhoneの勢いも止まらない。同期間中に売れたiPodは1000万台そしてiPhoneは520万台。 久々にビジネスの表舞台に立ったスティーブ・ジョブズCEOが、「我々はこれまでで一番革新的な製品を作っている。そして顧客もそれに反応している。我々はこの四半期で520万台以上のiPhoneを売り、ユーザー達が15億本のアプリケーションをApp Storeからダウンロードしたことに興奮しています」とのコメントを出した。 だが、ここで手を緩めるアップル社ではない。同社は7月24日には映像系ソリューションのFinal Cut Studioと音楽系ソリューションのLogic Proシリーズを一新する。 Final Cut Studioといえば映像編集ソフトのFinal Cut Pro、挿入用グラフィックを簡単に作れるMotion、挿入用音楽を簡単に作れるSoundtrack Pro、カラーグレーティングのアプリケーションColor、圧縮ソフトのCompressor、DVD制作ソフトのDVD Studio Pro──などがセットで10万8800円という、極めてお買い得な製品だ(本来は収録ソフト1つ1つがこれくらいの価格でもおかしくないかもしれない)。 新バージョンは、すべてのアプリケーションで、アップル社の最新の高解像度圧縮フォーマットであるProResへの対応と、さまざまな圧縮形式に簡単に書き出せるEasy Exportへの対応が大きな目玉だ。なんと制作中の映像をiChatのビデオチャットにリアルタイムに書き出すことも可能だ。 これ以外にも新パッケージではMotion 4での立体オブジェクトに影をつけられるようになるなど、新パッケージには合計100以上の新機能があるという。 アップル社のワールドワイドマーケティング担当の上級副社長、フィル・シラー氏によれば現在、Final Cut Proの利用者は世界に140万人で、この業界における市場シェアは50%にも及ぶという。 これはどういうことかというと、あなたが毎日、テレビやインターネットで目にしているプロ品質の映像の半分くらいはMacで編集されているということだ。 ちなみにアップル社は音楽ソフトのLogic Proも発表。こちらは5万4800円で、またGarageBandからのステップアップに最適な「Logic Express 9」を2万1800円で、いずれも9月に発売になる。 アップル社がリリースするこれらプロ用ツールは、世界的に有名な映画監督やミュージシャンが本当に作品作りに使っているアプリケーションだ。あのフランシス・コッポラ監督やコーエン兄弟、デヴィッド・フィンチャーが、そして多くのテレビCMのCG制作などを手がけるWOWが、同じFinal Cut Proを使って日々映像を作っている。 そしてミュージシャンのジョン・メイヤーやハービー・ハンコックが、そしてキラーズ、リリー・アレン、サンティゴールドといった新人達もLogicを使って世界に名乗りをあげている。 昔、スティーブ・ジョブズが言っていた有名な言葉に「wheels for mind」というのがある。 ジョブズは「コンピューターこそは、人類が生み出したもっとも注目すべき道具であり、それは知性の自転車に相当するものだ」といっていた。 地上を移動する動物の中で、もっとも少ないエネルギーで効率よく移動するのはコンドルで、二足歩行の人間はかなり移動効率が悪いが、同じ人間に自転車という道具を与えると、コンドルを追い抜いて、もっとも効率よい移動が可能になる。 ジョブズは、パソコンが人間の創造力を自然に導き出し、形に変えるツールでなければならないと考えたのだ。 最近のジョブズは、この「wheels for mind」という言葉をあまり使わないが、実は昔以上に、その実践には力を入れているように見えるのは筆者だけだろうか。 ■難しい概念は図で伝えるさて、自分の考えを人に伝えるというのは、なかなか難しい。筆者など足下にも及ばない本当のプロ、言葉の匠が書いた文章でも、100人いれば100通りの解釈が生まれる。 どんなに言葉を重ねても、どうにも伝わらない概念も多い。 そんな時、目の前に紙があれば、そこに概念図を描くだけで「あ~、なるほど!」とわかることがある。 言葉はわれわれが持っている多様なコミュニケーション手段の、ほんの氷山の一角に過ぎないのだ。 では、同じことを目の前に紙がない状態でやろうとした時、電子メールやiChat/Windows Live Messenger越しでやりたい場合はどうすればいいのか? 昔のMacにはササっと絵が描けるMacPaintや、図が描けるMacDrawといったソフトがあったが、今のMacにはそれがない。 だが、心配はいらない。アップル社の「ダウンロード」ページには、絵を描くためのソフトが無数にある。それに有料のものもあれば、無料のものもある。 例えば、グーゴールプレックスが提供している「Mac絵手紙」も無料のソフトだ。ブラシではがき大のスペースに絵を描いて、メールで送ることができる。 佐藤昭氏の「スケッチ風ドロー」も無料アプリだが、こちらは作図に適しており、グラデーションによる塗りつぶしなどの機能なども備えている。 もう少し本格的な作図をしたい人には「ZeusDraw」というアプリもある。こちらは英語のみの対応で試用期間後も使う場合は90ドル(約9000円)の支払いが必要だが、ベジェ曲線と呼ばれる滑らかな線が描ける本格的なソフトになっている。 そこまでお金を出していいという人には、より本格的なアプリもある。作図ツールの代表格はオムニグラフ5。非常に表現力の高いツールとして定評があり、プロ版も用意されている。 ちなみに最初の3ソフトの紹介でリンク先に指定しているのはアップル社の「ダウンロード」ページだ。これはアップル社が公式にホストしているMac用ソフトのダウンロードリンク一覧だ。今後も、同様のお絵描きソフト、作図ソフトは増えて行くはずなので定期的にチェックしてみるといい。 アップルのページだと、ソフトのジャンル分けが大雑把すぎて目的のソフトが探せないという人には、「Mac OS X ソフトウェアサーチ」のページもお勧めだ。何より、こちらのページは登録アプリの数も多い。上で紹介していない無料のペイントソフトも多数紹介しているので、ぜひチェックしてみて欲しい。 ■Officeで概念図を描くさて、前述の専用ソフトもいいが、実は新たにソフト入手しないでも、あなたがすでに持っているソフトでもお絵描きができるかもしれない。 例えばあなたがMacユーザーのほとんどが持っているMicrosoft Office 2008 for macのユーザーの1人なら、PowerPoint、Word、そしてExcelも、実はお絵描き/作図ソフトとして使うことができる。 またはOffice 2008 for macは持っていないが、アップル社のiWorkは持っているというのであれば、こちらもお絵描きソフトとして使える。 PowerPointやKeynoteのような、プレゼンテーションソフトを使うか、それともWordやPagesのようなワープロ型ソフトを使うかは、最終的にどのような形式の書類に保存したいかで選ぶ。 パソコン画面上で見ることがゴールならプレゼンテーションソフトが有利だが、印刷して使うならワープロ型が便利だ。 操作の基本は一緒で、アプリケーションのツールバーに用意された「図形」ツールから、描きたい図を選んできて書類上に描けばよい。着色などをしたい場合はツール(またはiWorkの場合はインスペクター)を使って色を選択する。 ブラシのような描き味はないが、どのアプリにも自由形状の線を描くツールも用意されている。 ただし、凝った図を描こうとするとOffice 2008 for macが有利になる。 いや、実は図形ツール1つをとっても、PowerPointはかなり強力だ。 吹き出しだけでも16種類の形状が選べ、星やリボンなど、かなり多くの形が用意されている。 図形を描くと、緑と黄色の2種類の丸が表示される。緑の方は図を回転させるためのものだが、黄色い方をドラッグすると線の太さなどが調整できるので、同じ図形を挿入しても、かなり表現にバリエーションをもたせることができる。 ちなみに作図中は、この作図メニューの部分をパレットとしてツールバーから切り離し、常時表示させておくこともできる。 これだけでもかなり便利だが、さらに便利なのがSmartArt グラフィックという機能だ。 これは複雑な概念を表す図として典型的なものを簡単に描くためのツールだ。 複数の項目やグループを、見やすく表示する「リスト」、並べた項目を矢印で結んで順番を示す「手順」、手順のバリエーションとも言える「循環」、「階層構造」、「集合関係」、「マトリックス」、そして「ピラミッド」といった図が用意されており、文字を打ち込むだけで簡単に見栄えのいい図になる。 しかも、Officeにはクリップアートと呼ばれるイラスト/写真集が付属しているので、ここから説明に便利なイラストを選んで挿入することも可能だ。 企画書作りなどには、文字を装飾するワードアートの機能なども便利かもしれない。 実はこれに加えて、先日、提供が始まったOffice 2008 for macの最新アップデート、SP2では、PowerPointに新たにアニメーションの軌跡(パスアニメーション)機能が加わった。 ツールパレットを表示し、「☆」印が描かれたアニメーションタブを開く。すると左から4番目のアニメーションオプションとして「アニメーションの軌跡」という項目が表示される。図形を選んだ状態で、「アニメーションの軌跡」を選び、図形が動く軌跡を描いておけば、図形が動き出す。 静止画などで伝えにくいコンセプトも、これなら伝えられるかもしれない。 さて、それでは作成した図はどうやって人に渡せばいいのだろう。 実はOfficeの書類であれば、そのまま人に送ってしまっても大丈夫だ。 WindowsユーザーもほとんどはOfficeを持っているし、相手がMacであればOfficeがインストールされていなくても、最新OSのMac OS X v10.5 "Leopard"がインストールされていればクイックルック機能を使って中身を見ることができる。また、iWorkに付属のKeynoteやPagesを使って開くことができる。 もっとも、フォントの見た目などが崩れる可能性があるので、作ったままの状態を見てほしい場合は、一度、PDF形式に書き出してから送るといいだろう。これはPagesやKeynoteの場合も同じだ。 パソコンを使うと、どうしても、ちょっとしたアイディアのメモも、どうしても文章メモが中心になってしまう。しかし、パソコンは、本当は絵や図も自由自在に描けるはずの道具だ。 たしかに今はまだちょっと使い心地の悪い部分や面倒な部分はあるが、そこは慣れで補って、パソコンで左脳表現だけでなく、右脳表現もできるようになってくると、あなたのパソコンが、また一歩「知性の自転車」に近づくかもしれない。 ■Twitter、お題あなたはMacで、絵を描いていますか?もし、そうだとしたら、どんなソフトを使っていますか?Twitterを使って共有しましょう。 答える際は、答えの最初に指定した2つのタグをつけるのを忘れないように(タグの間には半角の空白をいれるのを忘れずに!)。 お題1. お題2. 今回は2点にしぼってみようと思います。ただし、上のお題にひっかからないようでも、単に「#appleseye」とつけた意見は常に目を通すようにしています。 また、ぜひみなさんも、ただ書き込むだけじゃなくて、他の人がどんなふうに情報を活用しているか、Twitterタグ検索で調べてみてください |