No. 249 - 2台目、3台目が欲しくなる、iPod最強ラインアップの登場[2009年9月25日更新] ■セカイカメラがデビュー!米国時間で'09/09/09、アップル社はiPodシリーズを一新した。この2週間のアップル社関連のニュースと言えば、この新iPodが筆頭だが、他にもいくつか大きなニュースがある。 なんといっても大きいのは、この2週間で一気に「拡張現実」という技術が現実に近づいたことだ。 まず仙台にある三井アウトレットパーク仙台港というアウトレットモールが、「iPhoneを使った近未来ショッピング体験」という実験を始めた。モールの中にあるソフトバンクの窓口に行ってiPhoneを借りると、その中に特別なソフトが入っていて、広いアウトレットパークの館内を案内してくれるのだ。 グーグルマップを見てもわからない店舗の場所や、お店の特徴、セール情報といったものを教えてくれる。また、アウトレットパーク内に用意されたコードをiPhoneでスキャンしながらクイズに答えてポイントをもらう、いわばバーチャルスタンプラリーの試みも行われている。 「拡張現実」といえば、もう1つ、大きな注目を集め、テレビでも報じられたのがセカイカメラだ。 頓知・(トンチドット)社が、昨年、米国のTechCrunch 50というイベントで発表し「そんなものが作れるわけがない」と話題になった「セカイカメラ」というiPhoneアプリケーションの最初のバージョンが、ついに完成し、商業施設と組んだコラボレーションに使われた。 セカイカメラは、パススルー型拡張現実アプリケーションと呼ばれるジャンルのアプリケーションだ。iPhoneでこのソフトを起動するとiPhoneのカメラ機能がONになるので、右を向けたり、左を向けたりしてみる。すると現実空間の景色の上に『エアタグ』と呼ばれる情報が重ね合わせて表示されて見えるので、気になった情報があればそれを指でタッチして見たり、読んだりできる。 これをスペイン発の革製品ブランド、ロエベが、表参道にある旗艦店の展覧会で活用したのだ。 160年の歴史を持つロエベ社の製品には、今回紹介された、強い女性を意味する「アマソナ」シリーズを始め、それらの製品で使われる「アンテ・オロ」と呼ばれるスペイン王室御用達の高級皮革など、ブランドを形作るストーリーが数多くある。 同社グループの社長兼CEO、丸山武さんは、訪問客にそうしたストーリーを知ってもらう方法を探していたところ「セカイカメラ」を知った。「伝統と革新」を重んじるブランドとしても、この技術を使ってみたいと思い、今回のイベントにつながったという。 10月12日まで東京表参道のロエベで開催中の「アマソナ展」。ここでiPhoneのセカイカメラを起動してみると、店内にたくさんのエアタグが浮かんでいるのを見つけることができる。 その1つ1つに、商品の詳細情報やブランドのストーリーが記されている。 これらのタグは「アマソナ展」終了とともに消されてしまうが、気に入ったタグをセカイカメラのフォルダ(エアポケット)にしまい、バーチャルなお土産として持ち帰れば、イベント終了後もそのエアタグの情報を楽しむことができる。 残念ながらこのセカイカメラ、原稿執筆時点ではAppStoreでの販売がまだ始まっていないが、開発元の頓知・社によれば、「AppStoreへの申請は済んでおり、いつでてきてもおかしくない状態」だという。 いち早くセカイカメラを手に入れた人は、ぜひとも「今のところ日本で一番エアタグが充実している」と言うロエベ表参道に足を運んでみてはいかがだろう。 なお、セカイカメラは、電子コンパスの機能を内蔵したiPhone 3GSで使うのが基本だが、コンパスなしのiPhone 3Gでも動作する(その場合、向きを合わせるのは手動になる)。 実は細かいレベルでは他にもニュースがある。iPhone 3GSのCMがヘビーローテーションで流れ始めたり、AppleTVの40GBモデルが発売中止になり、代わりに160GBモデルが4万9800円から2万3800円に大幅値下げされたり、法律顧問の副社長として新たにBruce Swell氏を雇ったりといった具合だ。 しかし今月、やはりなんといっても大きいアップル関係ニュースは、iPodシリーズの一新だろう。 ■iPodシリーズが一新さてここからは、アップル社が'09/09/09に発表した新iPodシリーズを紹介しよう。アップル社はこの日、iPod shuffle、iPod nano、iPod Classic、iPod touchの全4製品からなるラインアップを一新した。 まずは一番手頃なiPod shuffleから紹介しよう。見た目はまるでネクタイピン、ボタン類も画面も一切なく、ヘッドホン側に用意されたリモコンと現在、実行中の機能や再生中の曲を声で教えてくれる音声フィードバックだけで操作できる新iPod shuffleは、さらに手頃に2GBモデル5800円から購入できるようになった。4GBモデルでも7800円で、おしゃれなUSBメモリとして勝手も悪くない価格だ。 これまではシルバーと黒の2色展開だったが、秋冬モデルでは美しいつや消しのかかったブラック、ピンク、ブルー、グリーンの色に加え、ブラスメタルの光沢を持つシルバーモデルも加わった。 本体にボタンがないためリモコンのないヘッドホンが利用できないのが弱点だったが、最近ではiPod / iPhoneに対応したリモコン付きのヘッドホンは急速に増えており、ソニー、V-MODA、Klupsch、Soscheといった会社からも発売されている。 iPod Classicも生まれ変わった。同製品はiTunesに入ったすべての曲を持ち歩くというコンセプトの製品だが、今回新たに最大4万曲を持ち運べる新しい160GBモデルが2万4800円で加わっている。 iPod touchはさらに大きく生まれ変わった。iPhoneそっくりなiPod touchは、これまでちょっと位置づけが難しい製品だったが、今回のコンセプトは明快だ。 iPhoneのApp Storeは、オープンから1年と3ヶ月で7万5000本のアプリケーションを揃えた。iPhoneのCMでも言っているように、iPhoneにはありとあらゆる種類のアプリケーションが揃っていて、日々新しい楽しみ方が生み出されている。 iPod touchは、そのApp Storeの楽しみをもっとも安く提供するiPodに生まれ変わった。価格はなんと8GBモデルで1万9800円だ(32GB2万9800円)、(64GB 3万9800円)。 ■iPhone/iPod touchは最強のゲーム機iPhone/iPod touchは、実は最近、ゲーム機としても注目を集めている。エンターテイメント系とあわせたタイトル数は2万1176タイトル。 これは、Nintendo DSの3680本や、PSPの607本と比べても圧倒的に多い(comScore社調べ)。 本格的なドライビングや飛行シミュレーションゲームも多ければ、野球、サッカー、ボクシングもあれば、パズルゲームやネット対戦ゲーム、男の子向けのゲームやおままごと系などの女の子をターゲットにしたゲームもある。またかなり本格的なスポーツゲームも出ている。 実は筆者も、これまであまりゲームはやらない方だったのだが、iPhoneを手にしてから異常にゲームをプレイすることが多くなった。 サッカーにあまり興味がなかったのだが、Real Soccerというゲームの3Dグラフィックスがあまりにスゴいのでハマってしまい、このゲームを極めるうちにフランスはリヨンのチームに愛着がわいてきた。Kader Keita(カデル・ケイタ)という黒人選手が、足が早くやたらとスコアを決めてくれるのだ。しばらく、プレイしてから「そういえば、このプレイヤーって実在なのか」と思ってYouTubeで検索をしてみるとインタビューやら実際のプレイなどの映像がどんどん出てくる。これで、さらにサッカーが好きになってしまった。 タイガー・ウッズになることも、ウッズと対戦することもできる、Tiger Woods PGA Tour というゴルフゲームも楽しい。ショットを打つたびに英語でテレビ解説が入るのだけれど、この憎まれ口がなんとも、それっぽくて楽しいのだ。 Touch KOというボクシングゲームもすごい。相手の選手を倒すとその瞬間をスローモーションで再生してくれるのだが、ボクサーが白目をむき、汗しぶきを飛び散らしながら倒れていくリアルな3Dアニメーションには度肝を抜かれる。 Crazy Snowboardというゲームも、ゲームではなく、ただ本当に気分転換で雪山をすべりたくなって、何度もプレイしている。 モノポリーにもはまったし、サイコロを使ったポーカーゲームのMotionX Pokerにもハマった。i大富豪というトランプの定番、大富豪ゲームにもはまったし、歯車を組み合わせて目標を達成する工作系ゲームのContraptionやGearedもおもしろい。 これまで日本では、携帯電話は携帯電話のゲームの世界、パソコンにはパソコンのゲームの世界、ゲーム専用機はゲーム専用機のゲームの世界というのが分かれて存在していたが、iPhoneはそれらすべての機器のすべてのジャンルのゲームが混在している感覚がおもしろいのだ。 脱線してしまったが、アップルはそんなiPhone用ゲームが楽しめ、マルチタッチや加速度センサーといった最新技術も満載したiPod touchを2万円弱で提供することになった。 iPod shuffle、iPod ClassicそしてiPod touch。これら3つだけでも十分、大きなニュースだが、やはり、今回のリニューアルの中心的存在は、見かけはこれまで通りなのに、ビデオ撮影や歩数計機能までついてしまったiPod nanoだ。 ■新nanoはFM、歩数計、ビデオカメラ対応新iPod nanoはすごい。見た目は表面の質感が少し変わってツルツルになっただけで、ほぼこれまでのiPod nanoと同じなのだが、この小さくて信じられないくらい薄いアルミ板の中に、新たにFMラジオが入り、歩数計が入り、そしてビデオカメラまで入ってしまった。 しかもFMラジオ機能は、人に話しかけられたときにポーズボタンを押して放送をポーズしたり、巻き戻しできるといった仕様になっている(番組そのものの録音はできないが、放送内容を最大過去15分間にわたって録音・蓄積しつづけている)。 歩数計はNike+iPodのWebサイトと連携しており、毎日の通勤や通学で歩いた歩数をカウントし、帰宅後パソコンに接続すると、「今日はビル1棟昇るくらいのカロリーを消費した」や「ドーナツ1個分のカロリーを燃やした」と楽しいアニメーションで教えてくれ、日々歩くことがどんどん楽しくなっていく。 ちなみに歩数計機能は、当然バックグラウンドでも動作するので、音楽を聞きながら歩いた通勤路もビデオを撮影しながら歩いた道のりもすべての歩数は、楽しいアニメーションに連結している。 そんな魅力いっぱいのiPod nanoだが、なんといっても楽しいのがビデオカメラの機能だ。 名刺の3分の2ほどの大きさ、硬貨4枚ほどの薄さの中に、数年前の動画カメラに勝るとも劣らない高画質の動画カメラが内蔵されている。ズーム機能こそないが、数cm先の張り紙でも 遠くの景色でも、きれいなピントで撮影が可能で、暗いところで撮影しても明るく写る画質に驚かされる。 歩数計のおかげで毎日持ち歩かずにはいられなくなったiPod nanoだが、いざ身の回りで何かおもしろいことが起きているときに、さっと取り出して動画が撮れてしまう。これってなんだかすごいことだ。 と、ここまででも十分すごいのだが、新iPod nanoではさらにビデオエフェクトの機能が用意されている。カメラに写った映像をリアルタイムで映像処理して録画してくれるのだ。 最近のiSight内蔵Macを持っている人は、ぜひPhotoBoothというアプリケーションを起動してみて欲しい。 あなたの顔を凹ませたり、渦巻き状に変形したりといった楽しいビデオエフェクトがたくさん用意されているが、なんと同じことをこの小さくて信じられないくらい薄いiPod nanoがやってくれるのだから驚きだ。 しばらくフォーカスを当てていると、対象物が小画面に表示される「サイボーグ」というビデオエフェクトもおもしろければ、「万華鏡」もおもしろい。 iPod nanoを店頭で触れる機会がある人は、ぜひともビデオ撮影一時停止の状態で、選択ボタン長押しを試してみて欲しい。 新iPod nanoは画面も2.2インチと液晶画面が一回り大きくなったのに加えて、ついにスピーカーも内蔵、その上、iPod shuffleの人気の秘密、今、再生中の曲名を声で教えてくれるボイスオーバーの機能までついてしまった。 もちろん、iPod nanoの魅力であるカラーバリエーションもシルバー、ブラック、パープル、ブルー、グリーン、オレンジ、イエロー、(PRODUCT) RED、ピンクの9色を用意。 小さすぎて驚いていたあのiPod nanoの機能に、わずか1年の間に、さらにこれだけたくさんの機能を詰め込めるようになってしまったのかと驚嘆させられる人は少なくないはずだ。それでいて価格は8GBモデルが1万4800円、16GBでも1万7800円とさらに安くなっているのがうれしい。 それにしても、これまでシンプルさを信条にしてきたiPodが、なんで今回は、ここまで機能がてんこ盛りなのかだが、筆者はアップルが2台目、3台目のiPod需要を狙っているんじゃないかと思っている。 これまでに累計1億6000万台売れたiPodシリーズは、今でも購入者の半分は新規ユーザーだと言われているが、その一方ですでにiPodを持っているユーザー1億6000万人も無視できない市場規模になってきている。 そんな中、アップルとしてもすでにiPodを持っている人に2台目、3台目のiPodを買わせなければならないと思い始めていたんじゃないか。 特に累計で3000万台売れているiPhoneユーザーは、iPhoneが電話なので常に持ち歩いており、持ち歩くからにはiPod機能もそれなりに使っており、これら3000万人はiPodを持ち歩かない人たちになってしまった可能性がある。 しかし、今回のiPod nanoの歩数計機能やFMラジオ機能は、そうしたすでにiPhoneを持っているユーザーでも欲しくなる力を持っている。iPhoneでTwitterなどのアプリを使っている間でもビデオ撮影ができる2台目のデジタルガジェット。そろそろアップルはそんな市場を狙い始めているのではないだろうか。 ついつい忘れてしまいがちだが、今回、iTunesも大幅にアップグレードした。一番の目玉機能はGenius Mix機能とiPhone/iPod touchのホーム画面編集機能、そしてiTunes LPと呼ばれる新型コンテンツへの対応だ。 iTunes LPは、レコード時代(ビニール盤時代)のアルバムが持っていた楽しみを再生させようと作られた音楽コンテンツの1形態で、ただ曲を買うだけでなく拡大しても楽しめる歌詞カードや写真、さらにはアルバム制作秘話の動画などのコンテンツで楽しませてくれる。 一方のGenius Mixは、あなたが持っている全音楽を見て、そこからお勧めのプレイリストを作ってくれる機能だ。勝手にジャズやポップスといったジャンルを作成して、その中にあなたに合いそうな曲を追加してくれる。 このGenius Mixのすごさは実際に試してみないとわからないが、なかなかの選曲にとにかく驚かされる。 iPodはすでに昨年時点で完成されていたイメージがあったが、それから1年後にはしっかりと買い替え需要を揺り起こすような新機能を搭載してくるあたり、「アップル、さすが!」と言わざるを得ない。 ■Twitter、お題クリスマスに向けてシリーズ一新されたiPod。あなたが一番気になっているiPodはどれですか?また、どの機能が気になっているでしょう? TwitterでiPodについて語り合いましょう。 お題1. お題2. なお、Twitterがなんだかわからない人は、ぜひ「No.238 - 「Twitter」のススメ」をあわせてお読みください。 |