
[2004 年 12 月 10 日 掲載]

12 月 10 日、待望の Virtual PC 7 が本格的に発売となる。「10 月に発売されていたのでは ?」と疑問に思う人もいるかもしれないが、実はそれはマイクロソフト社お勧めの組み合わせで、Windows XP Professional が付属するバージョンだけだ。OS 価格が含まれているとは思えないくらいプライスパフォーマンスが高い製品だったが、すでに Virtual PC を持っていてバージョンアップしたい人や、その他の OS との組み合わせで使いたい人は、12 月 10 日まで待たねばならなかった。
同日から発売が始まるのは、「Microsoft Virtual PC for Mac Version 7 with Windows XP Home Edition 通常版」、「Microsoft Virtual PC for Mac Version 7 with Windows 2000 Professional 通常版」、それから特に OS が付属しない「Microsoft Virtual PC for Mac Version 7 通常版」、それから既存のVirtual PC ユーザー向けの「Microsoft Virtual PC for Mac Version 7 バージョン アップグレード版」の 4 つだ。
※ Virtual PC 7 の各エディション一覧はこちら
Virtual PC を持っていたが、Power Mac G5 や iMac G5 を購入して、Virtual PC 環境だけ移行ができずに困っていた人は、これで本格的な移行が果たせる。
最近、一部の Mac ユーザーの間では、Virtual PC と同様の PC エミュレーターが流行しているようで、中にはこの PC エミュレーターを通して初めて Windows を触る人も少なくないという。今回はそんなユーザーを対象に、Mac で Windows 環境を楽しむためのチップスや取りあえず揃えておきたいソフトをいくつか紹介しておきたい。
いくつかある PC エミュレーターの中でも、Microsoft 自身が発売している公式エミュレーターは Virtual PC だけだし、同ソフトはパフォーマンスの点でも、機能の点でも他を大きく引き離している。チップスの中ではこの Virtual PC が、ほかの PC エミュレーターと比べて便利な点なども簡単に紹介したい。
PC エミュレーターは、機能的には完全な Windows 機とまったく同等、あるいはそれ以上のものを提供するが、だからといって本物の Windows 機とまったく同じ動作を期待してはいけない。本物の Windows 機との一番の違いは、その動作速度で、利用する Mac の CPU 動作速度の 3 分の 2 くらいのスピードになってしまう。
これは PC エミュレーターが、PowerPC (Mac の CPU) 上で、まったく構造が異なるインテル社製 CPU の動作をエミュレート (模倣) しているからだ。
CPU とは、パソコンの頭脳の部分だ──ハードディスクにあったプログラムがメモリーに入り、それが次々と CPU に読み込まれ、 CPU でなんらかの処理をした結果をメモリーやディスクに書き込む。パソコンではこの単純な動作が猛スピードで延々と繰り返されている (画面に表示されている内容は VRAM というメモリーの中身を反映したものだ)。このもっとも重要な装置である CPU も Mac が採用する PowerPC と Windows 機が採用するインテル系のものではまったく構造が違う。どういうデータが入ってきた時にどういう処理をするかという決め事もまったく違うし、処理するデータの長さなどの決まりも違う。それどころか、たとえば同じ数値データでも、PowerPC とインテル系では、数値の表し方そのもののルールまで異なっているのだ (*1) 。
Virtual PC では、こうした数値の表現から、それを処理する CPU の処理体系まですべてをエミュレートしている。
それだけではなく、ビデオカードやサウンドカード、ネットワークカードや光学ドライブといった機能もエミュレートしているのだ。
本来、ハードウェアで処理すべきはずの機能まですべてを、 PowerPC 上のプログラムでほぼ完全に再現してしまっているのだ。 Virtual (仮想) の PC というネーミングがまさにぴったりの製品といえる。
もっとも、これだけ大量のエミュレーションをするのは非常に負荷が大きい。そのため、少しでも PowerPC の負荷が減るように、ビデオカードはやや古めの S3 Trio 32/64 というものをエミューレートするなどしてバランスを取っている。

このため動きの大きいグラフィックを多用した最新ゲームはもちろんだが、それ以外でも動きのあるグラフィックスなどを多用しているソフトでは少々荷が重い。
その一方で事務系ソフト、インターネット関連ソフトならほとんど問題なく使える。
Virtual PC を通して初めて Windows を使うという人、Windows 用のソフトをほとんど持っていない人は、手始めに Windows 用のシェアウェア / フリーウェアやデモ版製品が多数用意された「Vector」や「窓の杜」、「Seesaa Download」などの Web サイトを活用してみよう。

その際、まず揃えておきたいのが解凍ソフト。多くのシェアウェア / フリーウェアは ZIP 形式や Lha 形式、RAR 形式といったファイル形式に圧縮された状態で配布されている。ZIP 形式ならば Windows の標準機能で解凍できるが、Lha 形式のソフトは「Lhasa32」(らさ32)(竹村 嘉人氏作、無料)、RAR 形式なら「WinRAR」(アレクサンダー・ローシャル氏作 /35 ドル) といったソフトがお勧めだ。Mac ユーザーお馴染みの StuffIt Expander 同様に、ドラッグ & ドロップの簡単操作で解凍できる。

先に紹介したダウンロードサイトの中には、人気ソフトのランキングが用意されているものもあるので、これを見れば最近、Windows ユーザーの間で話題のシェアウェア / フリーウェアを試すことができる。
せっかくの Virtual PC を満喫するなら、Mac では使ったことがなかったような類のソフトを試したいところ。
たとえばゲームなら、なぜか Mac OS X 用がなかなか見つからない「花札(日本の遊びシリーズ)」(FEEL-GOOD 氏作、980 円。)などはいかがだろう。大貧民が好きな人には、ローカルルールまでしっかりカバーした超本格派で、ネットランキング機能も用意された「D 貧民」がかなりお勧めだ(TAU. 氏作、無料)。
実用系では工程管理の GANT チャートを簡単に作成できる「ガントチャート工程管理 ZArrowシリーズ」(ZZ プロジェクト。3000 円。)なんかも Mac ではなかなか利用できないソフトかもしれない。地図表示ソフトの「MapFan.Net」もなかなかよくできている(インクリメント P、1 年間 2079 円)。地図データをインターネットから取り込んで表示するソフトだが、表示は驚くほど速い)

さて、これらのソフトを入手する際、Virtual PC 上で Windows 版 Internet Explorer を起動して入手するのもいいが、Mac の Safari を使ってダウンロード、それを Virtual PC 環境にコピーするというやり方もある (*2) 。
実際、このファイルの持っていき方が何通りもあり、どれもとても簡単というのが Virtual PC を他の PC エミュレーターと比べた際の大きな特徴となっている。
設定いらずで簡単なのが、Mac でダウンロードしたファイルを、Windows のデスクトップにドラッグするという方法。しばらくすると、コピー中を示すプログレスバーが現れ、Windows のデスクトップにコピーしたファイルが現れる。

Virtual PC を全画面表示で利用している人も、Expose のデスクトップ表示機能 (標準設定では F11 キー) を併用すれば、ドラッグ & ドロップ操作ができる。

もう1つ、最初にちょっとだけ設定が必要なのが共有フォルダを使う方法だ。共有フォルダとは、その名の通り Mac 環境と Windows 環境で共有されているフォルダのこと。つまり、Mac 環境でダウンロードしたファイルをここにコピーしておけば(あるいは直接、このフォルダにダウンロードしてしまえば)、Windows 環境の「マイコンピュータ」>「共有フォルダ」経由で、そのファイルを簡単に呼び出せる。

最初の設定というのは、Mac 環境のどのフォルダを「共有フォルダ」として使うかというもので、Virtual PC の「ドライブ」メニュー「共有フォルダ...」でも設定できるが、共有したいフォルダを、Virtual PC ウィンドウ下端のフォルダアイコンにドラッグ & ドロップしても OK だ。

Mac 環境と Windows 環境で大量にファイルのやりとりをする人は、共有フォルダ設定で、自動共有の設定を有効にしておいても便利だろう。
ローカルボリュームをチェックすれば、Mac のハードディスクの中身すべてが、ネットワークボリュームを選べば、Mac でマウントしたネットワーク共有フォルダが、リムーバブルメディアをチェックすれば CD-ROM や DVD-ROM などの中身が、Mac 環境と Virtual PC 環境の間で共有できる。

本物の PC なみとはいえないが、Mac 環境との柔軟な連携や非常にうまくできた仮想ディスクファイルといった Virtual PC ならではの特徴をうまく使いこなせば、実は本物の PC 以上に便利に活用できることも多い。
(*1)
問題となるのは 2 バイト以上 (256 以上) の数値の表し方だ。パソコン内で数値を複数バイトに分けて記録する際、PowerPC では、まず上の位がきて次に下の位がくるビッグエンディアンという表現方法を使うが、インテル系では下の位から先に書き込むリトルエンディアンという表現方法を採用している。
(*2)
場合によってはその際に、StuffIt Expander で解凍を済ませてしまってもいいだろう。StuffIt Expander は LHa 形式のファイルにも対応している。ただし、ファイル名に日本語が含まれる場合はうまく解凍できなかったり、解凍できても Virtual PC に持っていく途中で不都合が生じる場合があるので、Windows 上で解凍するほうがよいだろう。
![]() | いきなり私事の宣伝で恐縮だが、渋谷に IT 系の人々が集う「神田 BAR」という場所がある。12 月 13 日 (月)、この神田 BAR で夜 7 時から Mac について語るトークセッション、「Talk about Apple with Nobi」が開催されることになった。場所は秘密で紹介者がいないと入れないという場所だが、興味がある人でうまく紹介者が見つけられそうな人は、お越しいただければ幸いだ。 |
入場料などを含めた神田 BAR についての情報は、mixi や Gree といったソーシャルネットワーク上のほか、KNN's Photologで見つけることができる。
さて、クリスマスも近づき、世界中の Apple Store で赤地に「give」と書かれたクリスマス向けプロモーションが目立ち始めた。
この冬は iMac G5 や iBook G4 といったハードもさることながら、ソフトや周辺機器でも魅力的な製品が揃っている。本編で紹介している Virtual PC もその 1 つ。
ほかに業務用ソフトとはいえハイエンド Mac を所有する個人ユーザーにはぜひとも試して欲しい Motion、手軽に本格的なビデオ編集が楽しめる Final Cut Express 2、本格的な音楽編集が楽しめる Logic Express、それからもちろん、まだ持っていない人は GarageBand がとにかく楽しい iLife '04 など、アップル純正ソフトも充実している。
最近話題の Mac 用ソフトについてはアップル社の発行するメール媒体、eNews がなかなかいい情報源だ。最近のバックナンバーはこちらで読める。