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No.131 − アップルの魅力が爆発

MACWORLD EXPO が今年も開催

[2005 年 1 月 14 日 掲載]

米国時間 1 月 11 日、毎年恒例の MACWORLD EXPO/SAN FRANCISCO が開幕した。早朝には雨が降り、雷鳴が轟いていたサンフランシスコだが、オープニングを飾るスティーブ・ジョブズ CEO の基調講演で驚くほど多くの魅力的新製品が発表された後には、それらの新製品を歓迎するかのように、すかっとした青空が広がった。

■ 最大規模の来場者

かつて MACWORLD EXPO は、Mac というプラットフォームの良さやその違いがわかる人だけが集まるイベントだった。
ところが、最近の Expo は大違いだ。iPod の大ヒットによって Mac ユーザーの数をはるかに上回る人々が、アップル製品の卓越したデザインや使い心地に気がついてしまったこともあり、Expo 会場には「Mac を持っていないけれど、新しい iPod が見たくてね」という理由で訪れる人も激増している。

そんなこともあってか、今年の基調講演の入場はかなり規制も多かったようだ。
アップル社の新製品を世界に伝える報道関係者 (プレス) は、これまでの基調講演ではほぼ無条件で優先的に入場させてもらえていたのだが、今年は一部のプレス (そしておそらく一般の来場者も) 別室に案内され、中継でジョブズの基調講演を見ることになったようだ。
iPod 景気で、Mac 関係の媒体以外が増えているにも関わらず、基調講演会場はこれまでと一緒。後ろの方に座ると壇上のジョブズが豆粒ほどにしか見えない巨大なホールなのだが (ただし、途中に中継スクリーンがある) 、最近のアップル人気はすでにこのホールの巨大さを大きく上回ってしまっている、ということか。
もしかしたら日本のアップルストアで、中継で見た人の方がラッキーだったかもしれない。

■ EXPO、5 つの新製品

とはいえ、今回の MACWORLD EXPO に来られた人達はラッキーだ。何しろジョブズ自らこれだけ多くの新製品を発表し、これだけ多くの豪華ゲストを迎えた基調講演はなかなかなかったからだ。
今回、発表された新製品を簡単にまとめると:

iPod shuffle
512MB、10,980円 1GB、16,980円 本稿掲載前後に発売予定

Mac mini
1.25GHz、58,590円 1.42GHz、70,140円 1 月 29 日より

iLife '05
8,190 円 1 月 29 日より

iWork
8,190 円 2 月より

Final Cut Express HD
31,290 円 2 月より

となる。5 製品 (+ バリエーション 2 つ) というと、ややあっさりしているが、iPod shuffle には iTunes の最新版、iLife '05には iTunes に加えて iPhoto、iMovie、iDVD そして GarageBand の最新版、iWork には Page と Keynote 2 の 2 つのソフトが含まれていることを考えると、これはかなり盛りだくさんな内容だ。
しかも、上で取り上げたのは、まもなく発売になる製品だけ。基調講演そのものでは、これ以外に、今年前半にリリース予定の Mac OS X v10.4 Tiger や QuickTime 7 の紹介も行われている。

■ iPod shuffle でランダムな日常を楽しもう

今回、もっとも人気がある新製品が iPod shuffle だ。アメリカではなんと税抜きで 100 ドル未満で買えてしまう手軽さも人気の秘密。お気に入りの音楽を首からぶらさげて歩くスタイルが 2005 年春夏の流行か !?
お気に入りの音楽すべてを同期して持ち歩くというのが、これまでの iPod のスタイル。
でも、アップルはこれまで iPod とはバッティングしなかった 100 ドル台の製品市場にも打って出て、iPod の魅力を伝えたかった。
そこでアップルが注目したのが音楽のシャッフル機能だ。
実は iPod ユーザーの多くが iPod のシャッフル再生機能 (曲をランダムな順番で再生する) を使っている。この機能を ON にした瞬間、iPod はあなたの好きな曲しか流れてこないラジオ局に早変わりする。次にかかる曲がわからない意外性が心地よい。
iPod shuffle は、チューインガムよりも小さい 85 x 25 mm サイズの音楽プレーヤーだ。

これまでの iPod のように液晶画面もなければ、スクロールホイールもないが、キャップを外して、Mac/Windows 機の USB ポートに差し込むと、iTunes が自動的に起動し、最大 240 曲がランダムに選ばれて転送される。
次の曲、前の曲とスキップしながら、人生のランダムさを楽しむ、これまでの音楽プレーヤーになかった新しいライフスタイルを目指した新製品といえる。
「iPod はあなたの心を読めるか。次の曲はあなたの今のムードにぴったり ?」といった公式ホームページの言葉もなかなかニクい。

ちなみにこの iPod shuffle、重さはわずか 22g で (命の重さといわれる 21g より 1 グラムだけ重い !?) 、キャップをストラップ付きのものに付け替えて首からつるして歩くこともできる。
すでに iPod を持っていて、iPod mini の登場を悔しがっていた人にも、軽装で出かけたいときの 2 台目として十分お勧めできる製品だ。

■ ユーザーの「なんで ?」に答えた Mac mini

つづく Mac mini は、ユーザー達が長年抱えてきた疑問に応えた製品だ。
その疑問とは、「なんでアップルはもっと余計なものを削ぎ落とした安価な Mac を発売しないのか ?」というもの。
ジョブズは吹き出しに描かれたこの疑問を映し出した後、「我々はすでにこの疑問にこたえた製品を持っている」と Xserve の映像を映し出した。
確かに Xserve は容積的に無駄になるものを取り除き、価格性能比も圧倒的に高い。
だが、もちろんこれは冗談で、ユーザーが話題にしているのはコンシューマー向けのマシンのこと。
そこで発表されたのが、「BYODKM」を唱う新型 Mac、「Mac mini」だ。
「BYODKM」というのは、なんでも略語にしてしまうパソコン文化をちょっと風刺したこれまたジョークというだけで、実際にこういう言葉が使われているわけではない。何の略化というと「Bring Your Own Display, Keyboard and Mouse」。
ディスプレイもキーボードもマウスも別売りだけれど、その分、安くというコンセプトの製品で会場でも大きな話題となっている。

その声に耳を傾けると、突然の販売停止で 1 年弱で消え去った幻の Mac、Power Mac G4 Cube に似ていることを指摘する声が圧倒的に多い。
すでにモニターやキーボード、マウスを持っている人が (Mac 旧機種を含む) 他のパソコンから買い替えるマシンとしても理想の選択肢といえよう。
イーサネットが 10/100Mbps であることを気にしなければ、ディスプレイ無しのホームサーバーとしても使えそうだ。
とにかく安価に済ませたいエントリーユーザーから、ちょっとマニアックな用途で使いたい方々まで広く歓迎される Mac になりそうだ。

■ とにかくすごい iLife '05

この Mac mini と同日に発売となるのが、iLife '05 だ。アップル社の人気デジタルライフスタイルスイート製品、iLife の最新版だ。 上で紹介した Mac mini を始め、今後、発売される Mac には標準で添付する予定だ。
iTunes は先行してすでに最新版のダウンロード提供が始まっているが、いずれ劣らず大きな進化を遂げた iPhoto、iMovie、iDVD、そして GarageBand を、現 Mac ユーザーが入手するには、同ソフトのパッケージを購入する必要がある。とはいえ価格は 8,000 円強。その素晴らしい機能と使い心地を考えると安すぎるくらいだ。

iLife '05 の新機能をごく簡単に紹介しておこう。たとえば iPhoto では画像加工用のダッシュボード機能がついている (ちょっと Mac OS X Tiger を感じさせる機能だ) 。
さらに人気のスライドショー機能ではスライド 1 枚ごとに表示時間を設定したり、iMovie でお馴染みのケンバーンエフェクトで静止画を動かしてみたりできるようになった。
さらにうれしいのが MPEG-4 形式のデジタルカメラ動画取り込みに対応したことだ。これで動画だけ別に取り込む手間がなくなる。

一方、iMovie はついにハイビジョン映像の編集に対応して「iMovie HD」に生まれ変わった。
パソコンに無償添付のソフトで、本格的なハイビジョン編集ができてしまうというのには放送業界の人でもびっくりしてしまう人が多いのではなかろうか。
そして iDVD は今回も息をのんでしまいそうな新テーマ (メニュー画面) がふんだんに用意されている。
1 年前に発表された Garageband も「Garageband2」になり、8 トラックの音声を同時に取り込んだり、演奏にあわせて自動的に楽譜を表示していったりと、これが本当に本体無料添付のソフトなのかと驚かされるくらいに機能が充実している。

■ iWork、Final Cut Express HD

しかし、ソフトウェアのサプライズはこれだけではなかった !
公式ホームページの情報もじっくりと読んでもらうとなると、ほとんどの人は情報を見るだけでも 2 週間はたっぷり楽しめそうだ。
というわけで、残りの製品はやや駆け足で紹介していこう。

まずは iWork。これは豊富なひな形からさまざまな書類が簡単に作れてしまう Page とプレゼンテーションソフトの Keynote をセットにした製品だ。
Page は、ワープロソフトのようでありながら、表組なども簡単にできる紙書類作成ソフト。一方の Keynote はスティーブ・ジョブズ自身も使っている人気のプレゼンテーションソフト。この 2 つがセットになってこの価格ならかなりお買い得といえるだろう。

もう 1 つは Final Cut Express HD。人気のプロシューマー (ハイエンドコンシューマー) 用のビデオ編集ソフトがハイビジョンに完全対応した。
Final Cut Express は、放送業界の定番、Final Cut Pro から業務向け用途でしか使わないような機能だけを取り払った廉価版ビデオ編集ソフトだが、廉価とはいえ、ハイビジョン編集が当たり前になってしまった。
ちなみに iMovie HD も、こちらの Final Cut Express HD も、HDV という方式のカメラからハイビジョン映像を取り込めるようになっている。HDV とは、キヤノン、シャープ、ビクター、ソニーの 4 社がつくった民生用のハイビジョンデジタルカメラ規格で、すでにビクターやソニーから製品がでてきている。
実際、スティーブ・ジョブズ氏は日本でも話題の新型カメラ、HDR-FX1 がお気に入りの様子で、基調講演では同カメラのメーカーであるソニーの取締役 代表執行役社長の安藤国威氏がゲスト出演。両者はライバルとしてしのぎを削っている市場もあるが、初代 Mac のフロッピーディスク以来、いい協力関係を築いてきた会社でもあることをアピールしていた。

安藤国威氏

■ マイクロソフトの新年の抱負

さて、最近の Expo というとどうしてもアップルの発表ばかりが目立ってしまう傾向があるが、サードパーティーのさまざまな新発表が聞けるのも Expo のいいところ。
今年はマイクロソフト社がかなり力を入れた発表を行っていた。何も新製品の発売だけが重要な発表ではない。
マイクロソフト社の記者発表は、まるで新年の抱負のように、同社 Mac BU 部門の今年の予定を語るものだった。いずれもこれまでのユーザーの要望などに応えたもので、全ユーザーではないが、一部のユーザーにとってはかなり大きく利便性が向上する内容ーーそれにも関わらずほとんどが Microsoft Office 2004 for Mac のユーザーにほぼ無償のサポートサービスとして提供されているところに懐の深さを感じる。

発表を簡単にまとめよう:
1 つ目は .PST Import Tool 。これはマイクロソフト社の Exchange サーバーを使ったネットワークの PST (Personal Folder) ファイルを Entourage に取り込むためのツール。Outlook 2001 for Mac で作った PST ファイルを Entourage 2004 に取り込んでくれる。
Exchange サーバーを使っていない人には無用の長物だが、この PST がネックで Outlook 2001 から Entourage に移行できずにいた人には必須のツールだ。
まだ完成はしていないが、現在、一部の希望者を対象に開発途上のベータ版を公開を開始した。
2 つ目は、今年後半に Entourage 2004 の Exchange Server を大幅に機能強化するという内容で、具体的には複数のカレンダーの閲覧、Global Address List (GAL) との統合強化などが予定されている。
具体的にはセキュリティの向上と会社の GAL やアドレス帳に記載されているユーザーを追加する機能、個人及び会社のメッセージ・アカウントをひとつのロケーションから閲覧する機能などが予定されている。
3 つ目は MSN Messenger Mac バージョン 5 の強化で、これは 2005 年前半に行われる予定だ。
Mac 版 Office はその Mac らしい親しみが持てる機能から、個人で使う人も多い。しかし、Windows の世界で Office といえば大企業で会社のバックボーンシステムと一体化していることも多く、そうした環境で、Mac を使い続けるにはこれら企業向け機能もしっかりサポートしていかなければならない。
要するにこれまで親しみやすさが売りだった Office を、そうした機能はそのままにお堅い企業向けの環境にもしっかりフィットする手直しを加えてくれるアップデートとでもいうとわかりやすいかもしれない。
最後の一つである「Job Tools」はもっと多くの Mac ユーザーに関係がある。
これは学校教師やマーケティング関係者、中小企業経営者が日頃使う Office 書類のひな形をまとめたものだ。
ユーザーはひな形をカスタマイズするだけで簡単に見栄えのする仕事の書類が作れる。ただし、当面は英語のみのサービスとなる。

駆け足で紹介した MACWORLD EXPO 2005 だが、今年も Mac ユーザーの 1 年はエキサイティングなものになりそうだ。

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