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No.132 − Apple Store がホットな理由

[2005 年 1 月 28 日 掲載]

■ 早くも今年 2 度目の長蛇の列 !?

先日、「Apple Store, Ginza」、「Apple Store, Shinsaibashi」につづく、国内 3 番目の Apple Store、「Apple Store, Nagoya Sakae」が活況の愛知県名古屋市にオープンした。オープニングには愛知県知事の神田真秋氏も登場し、挨拶を行った。有名店が並ぶ栄の目抜き通りには、夜間凍えるような寒さであったにも関わらず、1km 近くおよそ 2,000 人ほどの人の列が伸びていた。行列の先頭はわざわざ兵庫県からやってきたという 2 人組、中にはトランクを持って横浜や千葉からやってきた客もいた。
青山や銀座の有名ブランドでもオープニングに長蛇の列ができることはあるが、ここまで熱烈な歓迎を受ける販売店はなかなかないはずだ。
本稿が掲載される翌日も、注目新製品の Mac mini、iLife '05、iWork '05 の発売開始日で、iPod shuffle が多少入荷しそうということもあり、3 つの Apple Store の前に再び長蛇の列ができることが予想されている。
Mac 雑誌だけでなく、Windows 系の媒体も注目する Mac mini、さらに劇的に楽しく使いやすくなった iLife '05、そしてスタイリッシュな文書作成を可能にする iWork '05 についてもいずれ触れなければならないが、今回はこの Apple Store にスポットを当てて紹介したい。

■ Apple Store, Nagoya Sakae 2 つの世界初

まずはもっともホットな Apple Store, Nagoya Sakae から紹介しよう。
名古屋はおそらく今、日本でもっともホットな場所の 1 つだ。首都圏が長い不況に苦しむ中、名古屋の街は活気に溢れている。失業率も全国最低レベル、求人倍率は最高レベル。2 ヶ月後には 21 世紀初の万博、「愛地球博」が控えている。まもなく新空港もオープンし、海外の航空会社は直行便の開始スケジュールを前倒しで進めている。
その注目の名古屋に、このタイミングで店をオープンし、群がる報道陣の前に 2,000 人の大行列をつくったアップルも、名古屋市に負けず劣らず元気だ。万博の経済効果を狙ってか改装中のビルが目立つ名古屋市だが、Apple Store, Nagoya Sakae も、中区栄の目抜き通りにできたばかりのエフエックスビルにテナント第 1 号として入っている。
店舗は同ビルの 1、2 階部分を占め、1 階 260 平方メートル、2 階 220 平方メートル。2 フロアで合計 500 平方メートルの Apple Store, Shinsaibashi より少しだけ狭いが、外観からはむしろ広いのではないかとすら感じさせる。

そこには 2 つの秘密がある。1 つめはガラスの階段。
独スティーリー社が手掛けたこのガラスの階段は世界初でも同店が初めて採用するもの。米国ではすでにいくつかの Apple Store にガラスの階段が採用されている。一番最初に採用したのは 2002 年 7 月にオープンしたニューヨーク SOHO 店で、これはメタルの支えがないおそらく世界初のガラスの階段だった。今日の建築ではいかにうまくガラスを使うかが、大きな鍵となるが、その中でももっとも難易度が高いのが何人もの人が往来する階段をつくること。
これまでにもいくつかのビルがガラスの階段を使っていたが、たいていは各段を何本かの金属支柱が横切っている。独スティーリー社は、この支柱をなくし、強化ガラスとその側面を固定する金具だけで階段をつくってしまった。以来、この階段は最近、Apple Store San Francisco を含むいくつかの旗艦店で採用されてきた。

しかし、この階段にも 1 つ問題があった。階段をしっかり支えるため、側面や後方を覆うように 3 面の巨大ガラス板が使われていたのだ。つまり、階段の下はガラス板で囲まれたデッドスペースで、人の往来もできなかった。
今回、ややフロア面積の狭い Apple Store, Nagoya Sakae に階段を入れるにあたり独スティーリー社は、このガラス板をなくした階段をついに完成させ、人が階段の下を往来することを可能にした。このスペースは、セミナーやワークショップなどのイベントにも用いられる予定だ。
巨大なガラスの階段のうち地面に接地しているのは、一番下の段の側面にある 4 つの金属の土台だけ、ほとんど宙に浮いている階段はそれだけで名古屋の新名物となりえる。

さて、Apple Store, Nagoya Sakae が広く見えるもう 1 つの理由は、大津通に沿って広がった大きなガラスの入り口とショーウィンドウだろう。
そして何と言っても目を引くのが、夜この店内から漏れてくるモダンでエレガントな印象の青白い光だ。
実はこの光も Apple Store, Nagoya Sakae だけのユニークな特徴だ。
Apple Store SOHO、そして Apple Store San Francisco など、ガラスの階段を備える店舗は、通常、階段の真上がガラスの天井になっており、やや無機質な店内に自然の光を取り入れている。しかし、AppleStore, Nagoya Sakae は、9 階建てのエフエックスビルの下層階で天井から空の様子など見えようはずがない。

そこで同店の階段の真上にはルーバー状の天井から漏れてくる人口の空が用意された。手掛けたのは英国を代表する店内照明の世界的第一人者、ジェームス・カーペンターの事務所。実はルーバー状の天井と人口の空の光そのものは Apple Store, Nagoya Sakae が初めてではない。昨秋、ロンドンにオープンしたばかりの Apple Store Regent Street が初めてこれを採用したが、栄店の天井に埋め込まれた青、白 2 色の蛍光灯は同店だけのユニークな特徴。夜、うっすらと店内を照らす妖艶な光は今のところこの店でしか体験できない。
Mac や iPod 本体と同様に美しい店舗の設計を手掛けたのはカリフォルニアのボーリン・シウィンスキー・ジャクソン事務所。実はシアトルにある巨大なビル・ゲイツ邸やスティーブ・ジョブズのもう 1 つの会社、ピクサー・アニメーションスタジオの建物もこの事務所が手掛けている。

■ 常に進化をつづける Apple Store

Apple Store, Nagoya Sakae のやや細かすぎるディテールにまで触れたのは、Apple Store の店舗がどれも似ているようで、少しずつ進化しているのを見せたかったから。階段や内部照明などの装飾だけではない。たとえば iMac G5 を使ったキャッシュレジスターやその上で動くソフト、ショーウィンドウに飾られた Mac で動くソフト、展示されている Mac にインストールされたソフト、展示方法、接客方法ーーこうしたものすべてが常に進化を続けている。
それも世界中の Apple Store がまるでひとつの生き物のように連動しながら。
アップルが最初に直営店をつくったのは 2001 年の 5 月。当時、日本では大手パソコンメーカーの直営店が撤退したり、ショールームが閉鎖したことなどから、直営店事業を無謀と見る向きが強かった。

しかし、最初にできたカリフォルニア州グレンデールとバージニア州マクリーンの 2 店舗は徹夜組も出る大行列でデビューする。
その後、着実に店舗数を増やし、2001 年内だけで 50 店舗、Apple Store, Nagoya Sakae は日本 3 店舗とロンドン 1 店舗を含む世界で 102 番目の店舗になっている。
果たしてそんなに盛況なのか、と疑問に思う人は、週末の Apple Store, Ginza に足を運んでみるといい。

もはや Apple Store, Ginza は、Mac ユーザーだけに限らず、銀ブラが日課の老紳士にとっても、銀座で働く OL にとっても、海外から銀座を訪れた外人客にとっても憩いの場になっている。格式張る必要もない居心地のいい空間はデートの待ち合わせ場所としても人気という噂で、常に人が溢れかえり、店員もジーニアスも常にフル稼働状態だ。
昨 10〜12 月期だけでも全世界の Apple Store には延べ 1,000 万人が来店し、5 億 6,100 万ドルの買い物をしている。その利益はざっと 4,500 万円――大成功と呼べる結果だろう。

■ Apple Store はなぜ必要なのか

10 年前、インターネットブームが訪れるまで、パソコンを使っているとまず人に聞かれたのが「パソコンなんか持っていて何をするの ?」という質問だった。
インターネットブームが来ると、パソコン=メールと Web ブラウジングの道具、という構図ができ、なんで買うのかを問う人は少なくなってきた。
だが、今、パソコンを買っている人の多くは、昔「何をするの ?」と聞いていた人達よりもパソコンの使い道を知らない。
今日、電子メールと Web ブラウジングは、必須かも知れないが、パソコンはソフトさえいれればどんなことでもできるのが本来の魅力のはず。
実はアップル社もマイクロソフト社も、パソコン文化を築いてきた中心の 2 社として、パソコンでできることの楽しみを広げるためにこの数年あらゆる努力を惜しまず頑張ってきた。

しかし、多くの人は今ではそもそもパソコンが何の道具であるかも問おうとしない。
そんな中で、あなたのパソコンでこんなこともできますよ、といった新しいライフスタイルを見せてくれたり、実際に自宅で使うようにして周辺機器と本体の連携を試せたり、無料のセミナーを受けたり、わからないことをどんなことでも質問できたりする Apple Store は、パソコンメーカーに今、まさに求められているサービスを、うまく汲み取り形にしたものだといっても決して大げさではないはずだ。
今年のアップルは勢いがあり、iPod も Mac 本体も、そして次々と発表される新作ソフトのどれをとっても魅力いっぱいだが、この連載や Mac 雑誌だけではわからなかった製品への疑問は、ぜひ Apple Store に足を運んでその目と手で確かめて欲しい。

Mac や iPod を買うと、雑誌やホームページの写真よりも実物の方がよく、使えば使うほどにディテールのつくりこみの良さに感動することが多いが、そうしたちょっと見ではわからない製品の良さも居心地のいい Apple Store でじっくり触れば次第に見えてくるはずだ。

今、アップルは人気の絶頂にいる。MACWORLD EXPO で発表された iPod shuffle は、持っているだけで羨望のまなざしで見られること間違いなしの今、世界で一番ホットなデジタル機器だ。一方、1 月 29 日 (土) から発売開始となる Mac mini も、従来の Mac ユーザーばかりでなく、Windows ユーザーからも注目を集めるパソコンで、実際、Windows 系雑誌でも特集などでとりあげるところが多そうだ。

MACWORLD EXPO の基調講演も、日本で行われる記者説明会も常にパソコン雑誌、一般の雑誌、新聞社、テレビ局の取材陣で大にぎわいで、これまで記者説明会場として使われてきたアップル社セミナールームもそろそろ収容人数の限界に達しようとしている。
 そういう人気と期待にきっちりと応えられるのもアップル社のすごいところ。Mac mini と同時に発売がはじまる iLife '05と iWork '05 も、おそらくユーザーの期待をはるかに超える喜びと使い心地の良さを提供してくれることだろう。iPhoto 1 つだけを取っても動作速度が大幅に改善し、さらに楽しく使いやすくなっているが、それと同じくらいの改良が iMovie HD、iDVD そして GarageBand のすべてのアプリケーションに施されているのだから驚かざるを得ない (特に iMovie HD は、ホームビデオの概念を変えてしまう可能性すら秘めている) 。

おそらく次の iLife '06 が出るまでの間に、そのすべての機能を使いきれる人はほとんどいないはず、買ってまず間違いのないソフトだ。
一方の iWork '05 も文書やプレゼンテーションスライド作成にまったく新しい息吹を吹き込んでくれる注目のソフト。
 アップルの最新ハードや最新ソフトをもっと詳細に知りたい人は、ぜひとも休日などを利用して、本文でも紹介している Apple Store に足を運んでみて欲しい。

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