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No.168 - Mac を通して地球を見つめ直そう

〜 6 つの異なる視点で地球を楽しむ

[2006 年 6 月 23 日 更新]

今から 45 年前の 1961 年、人類初の有人宇宙船「ボストーク 1 号」に乗ったユーリ・ガガーリン飛行士が大気圏の外 300 キロメートルの高さから国境のない地球を眺めて、「地球は青かった」という有名な言葉を残した。
2003 年 1 月 28 日、スペース・シャトルコロンビアの宇宙飛行士、アメリカの宇宙飛行士、ウィリアム・マックールとイスラエル人飛行士のイラン・ラモンは、地球から送られてきたジョン・レノンの名曲「Imagine」で目を覚ました後、「地球には国境がない」と述べ、英語とイスラエル語で「ここからは地球がとても素晴らしく見える、とても平和で、驚くほど素敵で、とても壊れやすく見える」と語った。彼らが乗ったコロンビア号はその後、大気圏突入時に空中分解という最悪の事態を迎える。しかも、2 ヶ月後の 3 月 19 日には、米国がイラクへの開戦を宣言、この戦争はいまだに尾を引いている。
ジョン・レノンが「Imagine」で、「国境のない世界を想像してごらん」と歌ってから 35 年経った今日でも、地球では争いが絶えない。
「壊れやすい」地球で困るのは戦争や紛争ばかりではない。貧困問題や環境汚染、地球温暖化も深刻な問題だ。米国ではアップル社社外取締役で、元大統領候補だったアル・ゴア氏が、監修したドキュメンタリー映画「an inconvenient truth(「不都合な事実」の意)」が大きな話題を呼んでいる。
映画には PowerBook を携えたゴア氏が登場し、キリマンジャロにもはや雪は残っていないことなどショッキングな事実を明らかにするようだ (英語しかないが予告編を参照) 。
もっとも、だからといって、今の生活を投げ捨てて環境問題に取り組めといわれても、それは無理な話だ。暑ければ冷房はいれてしまうし、ゴミだってなかなか減らせない。
でも、心の中に宇宙飛行士達と同じ、宇宙的視点を持って地球を眺めることができれば、そこから少しずつ何かが変わってくるかもしれない。我々 1 人 1 人が宇宙に飛び出すことは難しいが、実は最近、そんな「宇宙視点での地球を意識させる」パソコン用ソフトやサービスが増え続けている。今回はそんなソフトやサービスを 6 つ紹介しよう。

< 今回、紹介する 6 つのソフト >

1. Live Earth
2. earthrium
3. EarthBrowser
4. 20世紀ボヤージ
5. newsmap
6. Google Earth

[1] Live Earth で、この瞬間の地球に思いを馳せる

まず紹介したいのは「Live Earth」。
このソフトは「Think the Earth」というNPOが開発した。
ちなみに地球を意識することで少しずつ何かが変えられるかもしれない、という冒頭で示した考え方は、まさにこの「Think the Earth」が言いだしたもので、今回の記事は同団体の活動に大きく触発されていることをここで断っておきたい。
さて、その「Think the Earth」が提供する「Live Earth」は、地球の今の様子をパソコン画面上で眺めることができる Web ページだ。光の当たっている昼の部分と、影になっている夜の部分もリアルタイムで反映されている。
また、地表に描かれた雲も地上 36,000 キロに浮かぶ 4 つの気象衛星データから再現した実際の雲のデータで6時間おきに更新されている。
今の地球のリアルな様子を「まさに宇宙飛行士の視点」で眺められるソフトだ。
ちなみに、この「Live Earth」は、元々、au の携帯電話用に作られたソフトで、携帯電話版の方が地球を軽快に回転したり、ズームができたりと PC 版よりよくできている。

Live EarthーーMac で見るには「PC 版」を Web ブラウザーで開く。au の携帯電話を持っている人は、ぜひ携帯電話版も試してみよう。どこにいても手のひらの中で地球を感じることができる、というのは素晴らしい感覚だ。

[2] Earthrium で、地球のうつりゆく地球を実感する

続いて紹介したいのは、同じく Think the Earth の「Earthrium」、こちらもインタラクティブな地球儀コンテンツだ。「Live Earth」と違うのは、こちらではいくつか異なるテーマの情報がオーバーレイ表示されること。
シリーズで何種類かの Earthrium を掲載予定で、6 月に 3 つ目が掲載されたばかり。
第 1 回目の地球温暖化では 1950 年から 2100 年まで 10 年刻みで、地球の平均気温の変化を見ることができる。2010 年くらいから北極のあたりが赤く変わり、あらゆる場所にいたいたしいあざのような赤色が広がっていく。2100 年の予想平均気温はショッキングでならない。
第 2 回目の Earthrium は「雲の動き」を取り上げている。地球視点で見た雲の動きには、天気予報で見る日本のまわりだけの雲の動きとは違ったダイナミズムがある。
第 3 回は趣向が変わって大航海時代を代表する航海者達の航跡を地球儀上に再現してみせた。ヨーロッパ人の世界観がどのように広がっていったか、思いを馳せながら見るとなかなかおもしろい。

異なる切り口で地球を楽しめる Earthrium。現在、3 種類の Earhrium が用意されている。地球温暖化から大航海時代の航路まで、異なる視点で楽しめて面白い。

Earthrium の地球温暖化表示。今からわずか 34 年後、2040 年の地球。2100 年をクリックすると、恐ろしい予想が浮かび上がる。

[3] EarthBrowser で、世界の今の様子を眺める

次に紹介したいのは、EarthBrowser。こちらもインタラクティブな地球儀で、今、この瞬間の地球にフォーカスをしたソフトだ。シンプルな昼/夜だけの外観に加え、雲の動きや地表の温度、主な都市の天気、嵐の様子、火山、氷山といった情報も重ね合わせて表示できる。
しかし、このソフトでなんといってもおもしろいのが、今の地球の生の姿を見られることだ。「Show Satellite Overlay」というボタンをクリックすると、ちょっと人工衛星から送られてきた写真を地球議上にオーバーレイ表示する (さらに地球上の衛星の位置もオーバーレイ表示される) 。平面の写真を貼り付けているので、ちょっとツギハギがあるが、それでも臨場感がある。
もう 1 つは Web カメラ。実はこのソフトには世界の主立った Web カメラへのリンクが用意されている。地球儀をまわして、気になった都市の上に表示されているカメラのマークをクリックすると、その都市の今の生の様子が映し出される。
この臨場感はたまらない。
Web カメラそのものは決して新しいものではないが、地球儀で地理的場所を確認した上で楽しめる。映像を見ることで、それまでとはちょっと違った親しみがわいてくる。

海外では教材としての引き合いも強い EarthBrowser。地震の発生情報や嵐の情報、火山、氷山などさまざまな情報をマッピングできる。

EarthBrowser で一番楽しいのがライブカメラ (Web カメラ) の情報。試用時は 1 つのカメラしか開けないが、シェアウェア登録をすると、複数のカメラウィンドウを開けるようになる。

[4]「20 世紀ボヤージ」で世界の歴史を旅する

つづいては歴史的視点を加えてみよう。最近では Apple Store での講演や、モーショングラフィックを使ったメディアアート作品 (WoW 社として制作) も手がける「未来派図画工作」の Zuga 氏。
氏の「20世紀ボヤージ」には今でも世界中に多くのファンがおり、色褪せない魅力を発している。
これはゆっくりと回転する地球の上に、20 世紀の地球でおきたさまざまなできごとが文字で表示されるというスクリーンセーバーのソフトだ。
本連載でも何度か紹介しているので、昔インストールして、そのままになっている人も多いと思うが、実はあの後、2 度、大きく生まれ変わったのをご存知だろうか。
まずは Web ブラウザを通して Windows ユーザーも楽しめる Flash バージョンが登場した。
その後、Zuga 氏が衝撃を受けた Mac OS X の最新開発環境、Quartz Composer で最初からつくりなおした Version 2.0 も登場した。その美しい映像表現は目を見張るばかりだ。
「未来派図画工作」の Web ページでは「機内サービス」として、ボヤージのお共としてお勧めの音楽や DVD そして書籍なども紹介している (Think the Earth が出版した写真集「百年の愚行」も紹介されている) 。
なお、同じ Zuga 氏のスクリーンセーバー作品、「Full Color Bossa」では、ブラジルを思わせる背景の上に、世界中の言葉で綴られた色の名前と共に、800 色の空が描かれる──こちらも素晴らしい作品だ。

Zuga 氏作の名作、シェアウェア。実は Quartz Composer という技術を使って 1 からつくりなおし、RSS から取り込んだ最新ニュースも表示できるようになった。

Windows ユーザーの友達には、こちらの Flash 版「20 世紀ボヤージ」を勧めよう。

Zuga 氏のもう 1 つの作品、「Full Color Bossa」は世界の言葉で色の名前と美しい空の色を楽しめる。

[5] newsmap : 時事を通して世界を見つめる

今度はちょっと変わり種だ。世界のニュースを地図の形で表示する「newsmap」というソフトだ。これは、世界の国々で、どんなニュースが話題になっているかをカラフルな地図 (というよりはグラフ) で表してくれるというもの。
Google 社では Goolgle News というニュースアグリゲータのサービスを提供している。これは何百、何千という新聞社などの Web サイトからニュースを集めてきて、もっとも話題になっているニュースの一覧を表示するサービスだ。
「newsmap」は、この Google News の集めたデータを元に、それを 2 次元のマップに展開、カラフルに色付けしている。
米国のニュースだけでなく、カナダやフランス、ドイツ、インド、ニュージーランドなど 11 カ国のニュースに対応しており、それらを重ね合わせて表示することもできるが、残念ながら日本のニュースには未対応だ。
この作品は、オーストリアで 30 年近くにわたって開催され続けているアートとテクノロジーのイベント、PRIX ARS ELECTRONICA の 2004 年の受賞作の 1 つでもある。出品された 2004 年には、このソフトで数時間おきに印刷したマップが、学校の廊下に隣り合わせで並べられていた。印刷されたマップを順に眺めていくことで、最新時事がまるで 1 つの生き物のようにゆっくり動いているのが感じられた。

Marcos Weskamp (マルコス・ウェスカンプ) 氏作の PRIX ARS ELECTRONICA 2004 受賞作、Newsmap。世界 11 カ国の Google News トピックをマップ表示。

国単位での表示も可能だ。これはスペインのニュースを表示しているところ。国ごとに関心事が違うのを比べるのもおもしろい (例えばヨーロッパでは人気のサッカーが、アメリカではぜんぜん話題になっていないことなど) 。

[6] Google Earthで、世界を飛び歩く

最後は人々の世界観を変えうる傑作ソフト、Google 社が提供する「Google Earth」だ。
ここまでで紹介してきた地球儀ソフトは、いずれもある程度、距離を保った位置から地球を眺めるように設計されていた。これに対して Google Earth は、一軒一軒の家が見えるレベルまで滑らかなアニメーションでズームインできるのが大きな特徴だ。 頑張って探せば、あなたの住む家やマンションの屋根も見つけられるはずだ。あなたの家の屋根にめいいっぱいズームインしたところで、左上の「Fly to」の欄に「New York, New York」(ニューヨーク州ニューヨーク市のこと) と打ち込むと、一気に視点が空に駆け上がり、大陸間を移動してアメリカ東海岸のマンハッタンにズームインしていく。
まるでスーパーマンにでもなって空を飛んでいる気分だ。
ここで左側の「Layers」に用意された「3D Buildings」という項目をチェックするとマンハッタンにあるビル群の 3D モデルが重ねあわせ表示される。ここで用意されたコントローラーで視点を少し下げて、斜めから見下ろすようにすると、ビル群の高さも比べられる。
Google Earth は、ただ都市から都市を移動するだけで数日間遊べるが、そこだけでは終わらない。
実は世界中のさまざまな Web サイトで、Google Earth でみつけた地球上のさまざまな発見 (たとえば地図には描かれていない建物や、海上の燃えさかる船など) を見始めると、これがまたおもしろく数日間楽しめてしまう。
さらに「Google Earth Blog」や「GoogleEarthSightseeing.com」、「Google Touring」などの Google Earth 関連サイトを通して、たとえばヨーロッパ横断の自転車レース、「ツール・ド・フランス」のコースやヨットレースの航路を追うことができたりする。
さらに Google Earth 上に気象情報やオーロラが広がっていく様子などのデータ、映像を重ねあわせ表示することも可能で、こうした情報も上記のブログなどで紹介されている。
Layers にある、「National Geographic Magazine」をチェックすれば、地図上に黄色い四角が表示され、雑誌「National Geographic」で紹介されたその地域の自然や文化を紹介した写真を見ることができる。
最近、Google 社では、この Google Earth 用の 3D モデルを簡単に作れる Sketch Up というソフトの配布を始めたので、今後はこれで作られたおもしろい 3D モデルデータも増えていくに違いない。
今日、Google Earth を使って毎日、数えきれない人々が仮想の世界旅行を始めている。本物の旅行のようにショッピングやグルメの楽しみはないが、その代わり実際に現地に行っても得ることができない、地球視点の楽しみをじっくり味わっているはずだ。

Google Earth は、遠目に映し出された地球にどんどんズームインしていき家屋の屋上レベルまで迫れるのが楽しい。

世界のいろいろな国をクリックやドラッグ操作で旅できる。機にいった場所を見つけたら Placemark という印をつけて保存したり、友達と情報交換をしたりできる。

ルート情報や写真、3D モデルなど、さまざまな情報を重ねあわせ表示して、楽しさが広がっていくのも Google Earth の大きな魅力だ。

日々の生活や仕事に追われうつむいている間も、地球は回り、人類は先へ前進している。
我々が宇宙視点で地球を考え始めるだけで、前進の向きがちょっとだけいい方向に軌道修正されそうだと思うのはロマンチストすぎだろうか。
この秋、日本人初の民間宇宙飛行士、dice-K (榎本大輔) 氏が宇宙に向かって旅立つ。

6 月 24 日 (土) 、札幌に全国で 7 番目の Apple Store がオープンする。Apple Store Sapporo だ。

同店ではグランドオープニングを記念して総額約 30 万円相当のデジタルライフスタイル製品が当たるモニター抽選会を開催。
MacBook 13 インチホワイト 2.0GHz や、iPod などの豪華賞品が当たる。
いくつか同店のみの限定商品も用意される。1 つは、熊鮭をあしらった INCASE 社の iPod ケース、「Incase SAPPORO Folio」だ。オープン当日には 7 時から kuniyuki takahashi、8 時から Pepe California のライブイベントが行われ、翌 25 日の 6 時には一十三十一 (ひとみとい) のライブ、7 時には Rising Sun Rock Festival 2006 in Ezo のプロデューサー、山本博之によるトークセッションも行われる。
Apple Store のオープニングといえば、毎回、大行列ができるのがならわしだ。
これまでの 6 店舗ではApple Store Ginza が 5,000 人、Shinsaibashi が 2,500 人、名古屋と渋谷が 2,000 人、福岡と仙台は 1,000 人が並んだ (いずれもオープン時刻 10 時時点での行列人数) 。
札幌ではどれくらいの行列ができるののか楽しみでならない。

さて、これとは別のニュースで、アップル社は映像合成ソフトの「Shake」の Universal Binary 版、バージョン 4.1 を発表し、その価格を 5 分の 1 に引き下げた。新しい価格は 6 万 2,000 円だ。「Shake」は「タイタニック」や最近では「キングコング」など、数々のアカデミー賞受賞作で使われてきた業務用の映像合成ソフトで、これまでは 33 万円で販売されていた。ハリウッドのスタジオが使うのと同じツールが、個人でも十分手が届く価格に降りてきたことで、これから映像業界にもちょっとした革新が起きるかもしれない。

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