
[2007年4月13日更新]
春、フレッシュな環境で新しいスタートを切る人も多いこの季節、新しい環境を楽しくするアイテムが次々と登場している。
アップル社からは、プロフェッショナルユーザーにはMac Pro、一般のコンシューマーにはApple TVと新AirMac Extremeという2つの製品を発売している。
新「Mac Pro」は、とにかく馬力が必要なクリエイティブ・プロフェッショナルに「これしかないでしょう」とぜひお勧めしたい製品の1つ。
世界で初めて3.0GHz 8コアIntel Xeonを搭載し、未知のパフォーマンスを開拓する。3Dグラフィックスの制作で特に大きな威力を発揮するようで、ソフトや使い方によっては従来のMac Pro最速モデルの1.6倍近い性能を発揮する。
CPUのクロック速度そのものは3GHzと、従来通りだが、コンピューターの頭脳にあたるCPUコアが、これまでの最大4個から、一気にその倍の8個に増えた。
「それなら性能も2倍では?」と思えるところだが、そう簡単にはいかない。
人間でも、ブロックをたくさん使って、大きな建物を作るような場合は、人数を倍にしてうまく分業することで、効率を倍近くあげることができるが、絵を描いたり、長文小説を書くといった作業では、そこまで効率があがるとは限らない。
新Mac Proも、得手不得手があって、たとえば、まだインテルCPUへの最適化が終わっていないPhotoshop CS2の実行(Rosetta環境経由)では8%程度のスピードアップしか発揮できないが、こうした問題には時間が解決してくれる側面もある。
まもなく登場が控えているインテルCPUに最適化したPhotoshop CS3のリリースや、インテルCPU、64ビットCPU、マルチCPU仕様のいずれへの最適化も進んだ次期OS、Mac OS X "Leopard"(コード名)がリリースされることで、今よりも優れたパフォーマンスを発揮することも期待できる。
もちろん、大半のクリエイターはここまでのパフォーマンスは必要ないだろう。Mac Proは、アップル社お勧めの基本構成は31万9800円だが、BTOで2GHzのCPU(合計4コア)を選ぶことで28万2210円から購入できる。しかも、4月6日からApple Cinema Display全製品も10%ずつ安くなり、これまでより購入しやすくなっている。
さらにMicrosoft Office 2004も、5月31日までMac本体と同時購入で4分の3の価格で購入できる。

アップル社は史上最強のMac Proを発表する一方で、とってもフレンドリーな新製品も発表している。
テレビつないでiTunesのさまざまなコンテンツを楽しむことができる「Apple TV」だ。Macでも、iPodでも、iPhoneでもない、アップル社の新しいカテゴリーの製品だが、Apple TVともっとも似ているのはiPodだ。
Apple TVは、iPod同様に、MacやWindowsパソコンのiTunesと同期して、音楽、動画、写真といったコンテンツを楽しむことができる。
iPodと違うのは、無線LANを使って(有線LANも対応)、2台目、3台目のパソコンに入っているコンテンツのストリーミング再生もできること。そういう視点で見ると、この製品はiTunes専用パソコンといえなくもない。
付属のリモコン、Apple Remoteを使って操作することや、黒い背景のかっこいい画面で操作するあたりも考慮にいれるとFront Row専用機といった方がいいかもしれない。
実際、iPodでは再生できないハイビジョンコンテンツを720pのハイビジョン画質で楽しむこともできる。
このほか、見ているだけで楽しいスクリーンセーバー機能なども搭載。
あの「気持ちのいいアップル品質のインターフェース」がリビングのテレビ画面に広がるのだから、それだけでウキウキしてくるが、購入前に注意事項がある。まずテレビとの接続には、新たな世界スタンダードとして広まりつつあるHDMIまたはコンポーネントケーブルを使って接続する必要がある。
日本独自のスタンダードであるD端子(D1〜D4)をつなぐ場合には、コンポーネント端子とD端子を変換するケーブルが必要だ。
HDMI、コンポーネント、D端子のいずれもない、旧世代のテレビ(コンポジット端子やS端子しかついていないもの)には接続できない。
「Apple TV」は、2011年の地上波アナログ放送終了に向け、「そろそろテレビもデジタルにしませんか?」というアップルからのメッセージかもしれない。
なお、Apple TVが本領を発揮するのは、動画コンテンツの再生。日本のiTunes Storeでは、テレビ番組などを売っていないため、日本では映像コンテンツの少なさが弱点になりかねない。
ただ、今、ネット業界が「YouTube以上の衝撃」と盛り上がっている次世代動画サービス、「Joost」がApple TVに対応するという噂がある(Joostの開発者がApple TVで動作確認をしたと言われている)。
そういう意味でも、Apple TVも、これから先が楽しみな新製品といえそうだ。

楽しさよりも実用性を重視する人には、AirMac Extremeもお勧めだ。
IEEE 802.11nという最新の通信方式(の暫定規格)を採用して、通信速度は従来製品(IEEE 802.11g)の3倍、通信エリアも従来の2倍というのだからすごい。
もっとも、こうしたスゴさを享受するには、IEEE 802.11nに対応したMacが必要。対応しているのは、Mac ProシリーズとCPUにIntel Core 2 Duoを搭載したMac(ただし、一部のiMacは除く。2.0GHz以上のCPUを搭載したiMacなら問題ない)。
もっとも、新AirMac Extremeの特徴はこれだけではない。AirMacシリーズには以前からプリンター共有用のUSBポートが用意されている(ここにインクジェットプリンターをつなげると、複数のパソコンから利用可能になる)。
新AirMacでは、このUSBポートにハードディスクもつなぐことができるようになった。このハードディスクは、AirMac Extremeでインターネットに接続している間、自動的にマウント(利用可能)するように設定することもできる。バックアップ用データはもちろん、ちょっと古くなった書類や、iTunesの音楽、デジタルカメラの写真なども、ここに保管しておけば、内蔵ハードディスクを有効に使える。
この機能、ノート型Macのユーザーには、特にお勧めしたい。ご存知のように、MacのFireWireやUSBポートに直接、外付けハードディスクをつないだ場合は細心の注意が必要だ。ケーブルをはずす前に「取り外す(アンマウント)」操作をしないと、ディスクが壊れてしまう可能性があるからだ。
筆者はこれを怠り、何度、大事なファイルを失って悲しい思いをしたかわからない。ちゃんと、守っているつもりでも、ちょっとタイミングが早かったり、ケーブルの着脱に手間取っている間にディスクが再認識されてしまい「破損」といったケースもある。
ディスクをネットワーク経由でマウントすれば、こうした心配がなくなるのだ。
まだIEEE 802.11gの製品しか持っていない人は、直結に比べて遅いことを不満に思うかもしれないが、次にMacを買い替えるときには、確実にIEEE 802.11nが標準になっているはずなので、無駄のない先行投資といえるだろう。
このAirMac Extreme、子供のいる家庭にもお勧めだ。今やインターネットは社会の一部、生活の一部。パソコンを使い始めたお子さんには、親としてぜひインターネットにも精通してもらいたいという気持ちはあるだろう。しかし、その一方で、世の中には悪意に満ちた情報など、子供達を遠ざけておきたい情報がたくさんあるのも事実。
新しいAirMac Extremeでは、どのパソコンからインターネット接続できるかが設定できるほか、パソコン単位でインターネットにアクセスできる時間の制限を設けることもできる。

デジタルライフスタイルを楽しくする製品を出しているのは、アップルだけではない。
最近、新し物好きなMacユーザーの間で話題になっているのが、ワンセグチューナーの製品。「PCTV-hiwasa」と「ON TIME TV for Mac」の2製品があり、どちらも実売価格1万円ほどで買える手頃さも人気の秘密だ。
ノート型Macのユーザーなら、気になるテレビ番組をとりあえずMacに録画しておいて、後で時間のあるときに、じっくり観るといった使い方ができる。
PCTV-hiwasaにはもう1つ、自宅にMacが複数台ある場合に便利な、おもしろい機能がある。電波状態のいい場所にあるMacにPCTV-hiwasaを接続し、他のMacから無線LAN経由で放送中の番組や録画済みの番組を楽しむことができるのだ。これならおもしろい番組の放送時間と移動時間がぶつかっても、録り逃す心配がない。

「Macとモバイル」というキーワードで見ると、これ以外にもいくつかおもしろい新製品が目につく。ただし、いずれもメーカー側はMacへの対応を保証していない。
あまりにおもしろい製品なので、一部のユーザーが勝手にMacで使っているだけだ。
「自己責任」──この重い響きのある言葉と向き合って、あえて冒険してみようと思う人は、ここから以下に紹介する製品にも挑戦してみるといいかもしれない。
不具合があるたびに、試行錯誤を繰り返したり、Webで情報を集めたりと、何かと苦労は大きいが、その分、うまくいったときの感慨もひとしお。また、Web上で知り合った見ず知らずの人達との絆も、どこか心が温まるものがある。
まず1つめは、テレビのコマーシャルでもお馴染みのイーモバイル(emobile)の端末。HSDPAという技術を使って、一昔前のADSL並みに高速(下り最大3.6Mbps)の高速通信を実現するサービスで、まずは東京、大阪、名古屋地域からサービスが始まっている。
現在、対応端末は3種類。キーボードと液晶画面がついて、単体でもメールチェックやWebブラウジングが可能なEM・ONEとPCカードスロットにさして使うD01NE、そしてCFカード型のD01NX。今後、さらにExpressCardスロット用のD02OPも発売予定だ。
いずれの製品も、当面はWindows系OSのみの対応だが、公式ホームページにはうっすらと「Mac OS対応」のアイコンも用意されており、「いずれは対応したい」という同社の意向を感じることができる。
だが、その「いずれ」を待たずに早々とMacでイーモバイルをしている強者たちもいる。これら強者が購入しているのはWindows MobileというOSを搭載したEM・ONE。
実はこの製品、USBポートとBluetooth通信機能を持っていて、パソコンの外付け通信機器として使うことができるのだ。
「EM・ONE USB Driver for Mac OS X」は、有志が作ったオープンソースのドライバーソフトで、このソフトを使えば、MacとEM・ONEをUSB接続することでHDSPA通信が可能になる。

一方、設定の敷居は高いが、一度設定してしまうと、非常に快適なのがBluetoothによる接続。設定後は、EM・ONEを鞄やポケットの中にいれたまま、いきなりMacで通信が可能になる(ケーブルの着脱の必要がない)。
MacでEM・ONEのBluetooth接続を可能にするのは「EM-ONE GlobeTrotter Module 3G+ Modem Script (fake)」というモデムスクリプトで、roentgen1024さんのブログで公開されている。
無線LANホットスポットも便利だが、ホットスポットを探して歩き回ることなく、ほぼどこでも快適な速度で通信できる魅力はなかなか大きい。
頻繁に移動をする人なら、もう1つ興味を持ちそうなのが、ソニー製GPSのGPS-CS1K。
これまで「GPS」という言葉を聞くと、カーナビやウォークナビ、つまり、「行きたいところまでの道のりを案内してくれる装置」というイメージを持っている人が多いかもしれないが、GPS-CS1Kにはそういった機能は一切ない。
ただズボンとかに取り付けて歩くだけ。歩いていると、その道程を逐一記録してくれる。帰宅後、同装置が記録した道のりのデータをパソコンに取り込んでからが楽しい。
道のりのデータをGoogle MapsやGoogle Earthのようなサービスと連動させて、航空写真を使って確認したり、アニメーション表示させることができる。
さらに、道程でデジタルカメラ写真を取っていれば、それらの写真にどこで撮った写真かGPSデータを埋め込むことも論理的にはできる。
そんなことが、どうやってできるのかと不思議に思うかもしれないが、原理は簡単だ。GPS-CS1Kにも、デジタルカメラにも時計が内蔵されているので、たとえば13時25分に撮影した写真なら、その時刻に一番近いGPSデータが写真のGPSデータとして記録される。
つまり、これをやるためには、あらかじめGPS-CS1Kとデジタルカメラの時刻をあわせておく必要がある──ちなみにGPS-CS1Kの時刻を合わせるには今のところWindows環境が必要だ。
GPS-CS1Kは、決して新しい製品ではないが、なんでこれまで話題にならなかったかというと、実はMac OS側の問題で、これまでGPS-CS1Kを認識できなかったのだ。
それがMac OS X 10.4.9がリリースされたことで「インテルCPU搭載Macに限って」ではあるが、同製品をMacでマウントすることができるようになった。
Windowsで使えば、ただマウントしてデータを移行するだけでなく、時計のセットや写真との場所同期など、いろいろなことができる。Macではこうした機能は一切できないが、とりあえずGPSのログデータ(場所記録データ)だけ転送できれば、あとはたくさんあるフリーウェアやシェアウェアを使って、いろいろなことができる。
写真にGPS情報を埋め込むJetPhoto Studioなど、便利なソフトが大量に出回っている。
このあたりの話は、海上忍さんによるマイコミジャーナルの連載、「KOMONO道」が詳しいので、ぜひそちらを読みながら「自己責任」で挑戦してみて欲しい。

というわけで、今回はいくつか最近の話題の製品を紹介したが、アップルの春がこれで終わりだというわけではない。6月までには新OSのMac OS X "Leopard"も発売されれば、他社からもさまざまな魅力的な新製品が登場する予定。くれぐれも「今回、紹介した製品だけで、お金を使い切ってしまった」なんていうことにはならないように!