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No.190 - Macの中でも変化の波

未来の広がりを支える新しい情報フォーマット
[2007525日更新]

■6月、アップルが変わる

6月はアップル社にとって重要な月だ。iPhoneの発表と、Leopardの詳細発表が同時に控えている。

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iPhoneは、アップル社が「アップル・コンピュータ社」から「アップル社」に社名を変えるきっかけにもなったマイルストーン的製品で、今後、パソコンだけに捉われず、幅広く事業展開をしようとする同社の姿勢をうかがわせるものだ。

でも、それって本当だろうか?

実はちょっとへそ曲がりな筆者は、アップル社は、社名から「コンピュータ」が取れてから、むしろパソコンメーカーの本領を発揮しているような気がしてならないのだ。

アップル社のパソコン以外の製品の代表格といえば、iPodと発売中のApple TV、そしてiPhoneがあるが、どの製品もパソコンとの同期を前提にしている。iPodとApple TVは、パソコンとつながないことにはまったく使い物にならないし、iPhoneもつながないことには、ただの不便な携帯電話でしかない。

アップル社は、2001年に身の回りのデジタル機器が増えれば増えるほど、パソコンがそれらを支える中枢、「デジタルハブ」として重要になると語っていた。

「アップル・コンピュータ社」時代は、パソコン非依存の携帯電話との連携に力を入れるなどしていたアップル社だが、「iPhone」では携帯電話でまでパソコンとの連携を必須条件にしようとしている。

これらの魅力的な製品が広まれば広まるほど、ユーザーはよりパソコンを使いたくなるのだ。

で、そのアップル社のパソコンの側でも、6月には大きな変化が訪れる。Mac OS Xの次期バージョン、「Mac OS X "Leopard"」が発表されるのだ。

昨年は「TOP SECRET」として明かされなかった内容も、今回は明らかになる可能性が高い。

Mac OS X "Leopard"は、Mac OS Xとしては、これまででも最大規模のアップグレードとなりそうだ。マイクロソフトのWindows Vistaとリリースのタイミングが近いので、それだけメジャーなアップデートにしなければならない、というのもひとつの理由だ。

だが、もし順当にバージョン番号をつければ、バージョン「10.5」になり、そこからもメジャー感が漂ってくる。

そしてアップル社が、このリリースにかけた開発期間からも、ただのアップデートではないことが伝わってくる。

iPhoneとLeopard──来月に控えた、この2つの重大発表が最大限の効果を発揮するように、アップル社はそれとは関係ないMacの新製品の発表を、今月中に済ませてしまうつもりなのだろうか。新機種の発表が相次いでいる。

■Officeのファイル形式も変わる

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ところで、新製品を発表しているのはアップル社だけではない。実は最近になってマイクロソフト社の動きも活発化している。筆者は行き損ねてしまったが、東京で行われたMacZooというイベントで、今年後半にリリース予定の「Office 2008 for Mac 」の機能をデモした模様だ。

また、最近になって英語のβ版(開発途上版)ではあるが、「Office Open XML Converter」というソフトの配布が始まった。

これは1月のMACWORLD EXPO時点で予告されていたソフトで、Windows版Officeの最新版標準書類フォーマット「Office Open XML(OOXML)」形式(拡張子は「.docx」など)をOffice for Mac 2004で開ける形式に変換するためのコンバーター(ファイル形式変換ソフト)だ。

これを使うとWindows上でMicrosoft Word 2007、Excel 2007、PowerPoint 2007で作成した「docx」、「xlsx」、「pptx」形式の書類が、Office 2004 for Macで開くことができる。

使い方は簡単で、それぞれの形式のファイルをダブルクリックすると自動的にコンバーターが起動して変換が始まる。変換後のファイルは、元のファイルと同じ場所に保存される。

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電子メールに添付されている書類をそのままダブルクリックして開いたり編集したりすると、あとからその書類のありかがわからなくなることが往々にしてあるので、一度添付ファイルをどこかわかりやすい場所に保存してからダブルクリックするようにしよう。

それにしてもマイクロソフト社は、なぜこんな面倒なファイル形式の変更をしなければならなかったのだろう?

'90年代前半くらいまでは、MS Wordがメジャーアップデートするたびにファイル形式が変わることもあったが、その後、現在の「.doc」形式が世界のデファクトスタンダードとなり、「PDF」が登場する以前は、この「doc」形式で会社資料を配るところも多かった。

なぜ、そんな必要があったのだろう?

独自ファイル形式でなく、仕様が公開されたオープン形式のフォーマットにして欲しいという要望があったり、より容量がコンパクトなファイルにしたかったなど、さまざまな理由があるようで、マイクロソフト社は、その理由をこちらのページで紹介している。

だが、筆者はこう見ている。マイクロソフト社は、輝かしい過去よりも未来を取ることに決めたのだと。

XMLとはeXtensible Markup Languageの略称で「拡張可能なマークアップ言語」の意味。「マークアップ言語」が何かは後で説明するとしても、未来に向けて拡張可能な書類を作る点に着目して欲しい。

マイクロソフト社が、今後もOfficeが発展を続け、新しい機能を取り入れられるように、未来に対応できるXMLファイルフォーマットを採用したのではないか、というのが筆者の解釈だ。

Open Office XMLは、その名の通りXML形式になっている。このXMLというのは、どんな情報でも書き表せる万能の書式だ。Officeが、この万能の書式に対応したということは、まだ搭載されていない未来のデータが埋め込まれているWord書類が、今日のWordでも(とりあえず)開ける、ということでもある。

実際、今年後半に登場予定のOffice 2008 for MacのWordには、Windows版にはないMacのみの機能がいくつか搭載される予定だが、それでもちゃんとWindows版Wordで開くことができるという。

■変化を支えるのは「XML」の3文字

XML──この3文字の並びを見るのは、きっとあなたも初めてではないはずだ。数年前には、書店のパソコン書籍コーナーに行くと、やたらとこの「XML」をタイトルにした本が並んでいた。ビジネスマン向けのコーナーにいっても、「これからはXML」といったことが書かれた書籍をよく目にしたものだ。

iPhoneは世界を征す!?

アップル社が来月発売するiPhoneは、213カ国20億人が利用するGSM方式を採用している。これは世界の携帯電話利用者の82%が採用する方式だ。残念ながら携帯電話人口9500万人の日本はこのGSM方式を採用していないが、アップル社は「日本は重要な市場」と日本市場向けの対応を検討中であることを明らかにしている。現在、日本で普及しつつある。

上の文章を読めば、人間であれば、どの部分が「見出し/タイトル」なのか、どれが重要な情報か、どれが数字か、どれが引用かといったことが即座にわかるだろう。

しかし、残念ながらコンピュータには、これがわからない。

マークアップ言語(Markup Language)というのは、これをコンピュータにわかりやすくするための試みで、たとえば、

<TITLE>iPhoneは世界を征す!?</TITLE>

といった具合に、タイトル部分を挟み込むように、コンピュータ向けの説明(マークアップ)を入れておくことができる。

WebページのもととなっているHTMLも、マークアップ言語の1つだ。今、このページをSafariで見ているのなら、「表示」メニューの「ソースを表示」を選んでみて欲しい。

こうしたマークアップがいっぱい書かれたこのページの元データの本性が見えるはずだ。

多少、読みにくそうだが、<>内をすべて読み飛ばしていけば、なんとか読めなくもない。これがマークアップ言語の便利なところだ。

OfficeのXML書類も、このようなマークアップを使って、この部分はどのフォント、この部分はどれくらいのサイズ、ここには表が入る、といった情報がマークアップされている。

遠い将来は、ここに「ここを読んでいるときは、明るいムードのBGMに切り替える」とか「ここを読んでいるときには、こんな臭いを出す」といった情報を挿入する機能も加わるかもしれないが、この未来の書類を現在のWordで開くと、理解できないマークアップ部分だけ「認識できないデータ」と表示して、ちゃんと書類を開いてくれるはずだ。

■Macの中にはXMLがいっぱい

ところで、このXML形式、実は使っているのはマイクロソフト社だけではない。実はあなたもすでに毎日のようにXMLのお世話になっている。

Mac OS Xの多くのソフトは、設定情報をplistというXMLの一種で記録している。

ホームフォルダ内の「ライブラリ」フォルダを開き、「Preferences」というフォルダを開くと、ここに(OSや)各アプリケーションの設定を記録したファイルが格納されている。

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「com.apple.dock.plist」のような名前になっているが、これは最後の「plist」がファイルを示す拡張子、その一つ前が設定を反映するアプリケーションの名前、そしてその前が、そのソフトを開発した会社のURLを逆にしたもの。例えばMac OS Xの「Dock」を開発したのはアップル社だ。アップル社のドメインは「apple.com」だから、これを逆にして「com.apple」となっている。

同様にExcelの設定は、「com.microsoft.Excel.plist」に記載されている。

Mac OS X v10.1頃まで、多くの初期設定ファイルは、テキストエディタなどで開いて、そのまま読むことができる形式だったが、その後、コンピューターでの読み込みがしやすいようにバイナリ形式に変更された。

だが、基本の構造はそれほど変わっていない。

Mac用の多くのアプリケーションも、このplist形式を採用しているおかげで、後から機能を追加しても柔軟に対応できる。

実はXMLが使われているのは、パソコン用のファイルだけではない。

インターネットを行き交うデータも、XML形式のものが多い。たとえばブログの購読などに便利なRSS形式(2005年に書いたこちらの記事で詳しく、活用方法などを紹介した)もXMLのバリエーションの1つだ。

最近、Webサービス同士を連携させて新しいサービスを作る「マッシュアップ」という技術が注目されているが、ここでもXMLが重要な役割を果たしている。

Webサイト同士の連携や、データの取り出しにXMLの技術が使われているのだ。

XMLの応用が広まれば、それだけコンピューターの側も、データにどんな種類の情報が含まれているかの理解が進む。

理解が進めば、よりさまざまな応用が広がる。

■Open Office XMLの正体をあばく

ところで、Open Office XMLファイル形式は本当にXMLなんだろうか?

気の早い人の中には、dotx形式の書類を、一生懸命テキストエディタで開こうとしてガッカリしている人がいるかもしれない。

実はOpen Office XMLはXMLを使っているが、XML形式のデータをそのまま裸で提供しているわけではない。

手元にdocx、xlsx、pptx形式の書類がある人は、ぜひともFinderでファイルの拡張子を「zip」に書き換えてみて欲しい(たとえば「企画書.dotx」なら「企画書.zip」にする)。

すると「拡張子を".docx"から".zip"に変更してもよろしいですか?」と表示されるので、「".zip"を使用」をクリックする。

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するとファイル形式がZIP圧縮形式になる。これをFinderでダブルクリックすると、上の例でいえば「企画書」という名前のフォルダが現れるはずだ。

実はOpen Office XMLファイル形式のXMLファイルはこの中に含まれている。

書類中に挿入した写真や図も、見つかるかもしれない。

実は書類を構成する要素を、そのままの形でまとめてパッケージ化しているのがOpen Office XMLの特徴なのだ。もっとも、それらの情報をただそのまま、まとめたのでは容量が大きくなってしまう。そのためこれをZIP形式で圧縮して、ファイルサイズを小さくすると同時に、ひとまとめにして取り扱いもしやすくしているのである。

パソコンはあらゆるレベルで進化している。ハードの外観も進化していれば、CPUやロジックボードといった基板の技術も進化している。ハードディスクやメモリも。

そしてもちろん、その上で実行されるOSやアプリケーションも進化しているが、こうしたさまざまな進化を支えるうえでも拡張に柔軟に対応できるXML技術は、非常に有効なのだ。

そうそう、来月発売のiPhoneでは、ダッシュボード用のウィジェットが重要な役割を果たすが、実はこうしたウィジェットの中にもデータをXML形式で扱っているものが多い。

たとえば天気予報のウィジェットを覗いてみよう。ウィジェット本体は「ライブラリ」フォルダの「Widgets」フォルダに入っている(左のリンクをクリックすればフォルダが開くはずだ)。

ここで「Weather」というウィジェットを選び、右クリック(controlキーを押しながらクリック)すると表示されるメニューに「パッケージを開く」という項目があるはずだ。これを選んでみると、ウィジェットの中身が表示される。

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ウィジェットも、先程のOpen Office XML同様に、一見ひとつのファイルに見えるが、実はいくつかのファイルの集合体になっている。

「Weather」ウィジェットでウィジェットの設定が記録されているのが「Info.plist」というplist形式だが、このplistは、初期設定ファイルのplistと違って、昔ながらのXML形式になっていることが多く、実際に「Weather」ウィジェットの「Info.plist」もテキストエディタ(やMS-Word)で開いて中を見ることができる。

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しかしXMLは人にもわかりやすく、パソコンの仕組みを理解する取っ掛かりとしてもおもしろいかもしれない。

今後、パソコンを使うとき(やパソコン関係の情報を読むとき)は、ちょっと気にしながら見てみると、世界が広がるかもしれない。

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