
Time Capsule導入のススメ
[2008年6月27日更新]

インターネットでは、WWDC 2008で詳細が発表され7月11日から日本でも発売になるiPhone 3Gの話題でもちきりだ。
今回は、そのiPhone 3G用のアプリケーションなどの話題を掘り下げて紹介する記事を書こうと思っていたら、なんと筆者のMacBook Airのハードディスクがクラッシュしてしまった。
現在では無事、復旧して仕事を再開しているが、ここでは、まだ「バックアップ」を行っていない人への警鐘も兼ねて、筆者の2日がかりの悪戦苦闘ぶりを紹介し、その後、現在、筆者の方で把握している日本製のiPhone 3G用アプリケーションをいくつか紹介したい(ちょっと難しいバックアップやUNIXの話を退屈に感じたら、すぐにでも、一番、最後までスクロールして欲しい)。今回、ここで紹介しているほかにも、iPhone 3G用アプリケーションを作っている開発者の方がいたら、ぜひ下のプロフィールのアドレスから連絡をして欲しい。
この連載が始まってからこれで何度目だかわからないが、またしても筆者のマシンのハードディスクがクラッシュした。
ハードディスクのクラッシュは、いつも無防備なときに突然訪れる。この記事を読み終えた半日後にハードディスククラッシュに見舞われる読者だっているかもしれないのだ。
そうなったとき、あなたのハードディスクに入ったデジタルカメラ写真や購入した音楽データ、会社の書類、メール、連絡先、カレンダーの予定は無事だろうか。
もし、あなたがまだMac OS X "Leopard"とTime Capsuleによる自動バックアップを始めていないなら、今すぐ始めた方がいいかもしれない。
さて、筆者の今回のクラッシュは、朝一番に起きた。金曜日の朝、久々に自分のブログを更新していたところ、MacBook Airの日本語入力がおかしくなった。マシンを再起動しようとするが、アプリケーションの終了がなかなかできなかったりと、どうも動作がおかしい。なかなか終了しないアプリケーションを強制終了させて、マシンを再起動させるが、今度はマシンがなかなか起動しない。
「まあ、こういうこともあるか」と散歩に出かけて30分後に帰ってきて、まだ起動していないのをみて「これはただごとではない」と思った。
そう、詳細の判明はもう少し後になるが、ハードディスクがまたしてもクラッシュしたのだ。ハードディスクに入っていた貴重な取材写真や渾身のプレゼンテーションスライドが、もしかしたらこのまま永久に泡と消えてなくなってしまうかもしれない。
「これはただごとではない」と思った筆者が、まず行ったのがマシンの診断だ。そのためには、Macをインストーラディスクから起動しなければならない。
MacBook Airに外付けのSuperDriveをつなぎ(持っていない人は、他のMac/WindowsとRemote Disc機能を使う)、本体付属のインストーラーDVDを挿入し、Macを「option」キーを押しながら起動する。するとMacをどのメディアから起動するか選ぶ画面が登場する。筆者の場合はSuperDriveを選択した。
しばらくすると、OSインストールに使う「インストーラー」の画面が現れる。
ここですぐにOSインストールはせず、「ユーティリティー」メニューに注目する。同メニューからは、ディスクの診断・修復機能を持つ「ディスクユーティリティー」が起動できるので、メニューでこれを選んでみる。
続いて「ディスクの診断」を実行する。診断でエラーが出た場合、どうせ「修復」するのだから最初から「修復」してしまってもいいのではないか、という人もいるかもしれない。確かにその通りだが、ハードディスクのクラッシュは一大事だ。その後、1〜2日の予定は狂うことを覚悟で、慎重に慎重を期した方がよい。「修復」はやり直しがきかないが、「診断」はディスクに変更を加えないので、まずはこちらをやってみる。
ちなみに今回の筆者の場合は症状が重くて、「ディスクユーティリティー」が「診断」をかけている途中で「ファイルカウントがあいません」というエラーを表示してクラッシュしてしまった。ちょっと絶望的……
ディスクの状況が深刻になってくると、診断の後半で4〜5種類のエラーが出て診断結果が真っ赤になったり、筆者のケースのように診断途中でフリーズしてしまったりする。
エラーがでても2〜3個なら、「修復」ボタンを押して、問題を解決できる望みがあるが、それでもなお慎重にいきたいのであれば、次に紹介する方法でターミナルからファイルの退避をしてみるといいかもしれない。
絶望的な結果がでた筆者だが、まだ完全にあきらめる気にはなれなかった。
そこで次に筆者が頼ったのが「ターミナル」だ。ディスク診断のときと同じ要領で、MacをインストーラーDVDから起動し、「ユーティリティー」メニューを開く。
ただし、今度は「ディスクユーティリティー」ではなく「ターミナル」を起動する。
「ターミナル」を使うと、Mac OS Xの魅力あふれるインターフェースの下に隠された本来の姿、UNIX OSとしての部分に触れることができる。
白黒の文字だけの画面が現れるので、そこに、とりあえず「cd /Volumes/」と打ち込みreturnキーを押し、続いて「ls」と入力して、returnキーを押してみる。
すると、いくつかの名前に続いて「Macintosh HD」の文字が表示された。これは筆者の内蔵ハードディスクの名前だ。
どうやらUNIXのレベルでは、内蔵ハードディスクを認識してくれているらしい。これはかなりラッキーだ。
次に「cd "/Volumes/Macintosh HD/Users/ユーザー名/Desktop"」と打ち込んでreturnキーを押してみる(ユーザー名には、Mac上での自分のユーザー名を入力。「」は除く)。
すると、文字化けしていて全部は読めないが、デスクトップに置いてあったはずのファイルのファイル名が確認できる(冒頭の画像参照)。
これらを、他のハードディスクにうまくコピーして救済できれば、万が一、修復に失敗しても、少し安心だ。
たいていのMacはUSBポートが2つ以上あるので、そこに外付けハードディスクなどをつないで、そこにファイルを複製すればいい。
「cd /Volumes/」としてreturnを押し、「ls」+returnを実行すると、そこに外付けディスクの名前が表示されるはずなので、
「cp -r "/Volumes/Macintosh HD/Users/ユーザー名" /Volumes/外付けディスク名/」などと入力すれば、ホームフォルダの中身をごっそりまるごとコピーできる。
ただし、筆者の場合は、MacBook Airだったので、かなり条件が違った。
まずUSBポートが1つしかない。しかも、唯一のUSBポートには外付けSuperDriveをつないでいるので、ハードディスクをつなぐことはできないのだ......
まさに絶対絶命のピンチである!
わからなかったら聞くのが勝ち。素直に周りの人にアドバイスを求めてみよう。
近くにアップルストアがある人は、持ち込んでジーニアスに聞いてもらったり、量販店のアップルショップに持ち込んでもいいだろう。
またmixiなどのSNSのコミュニティの掲示板や、アップル社のサポート掲示板「Apple Discussions」や、「教えて!goo」、「OKWave」などの互助サービスを使うのも手だ。
ネットに質問をする前に、以前に同じような質問をしている人がいないか、どうか、まずは一度、10分くらいかけて検索をしまくってみるのが望ましい。
さて、実は今回、筆者もどうするのが一番ラクか、どんなUNIXコマンドを使えばいいのか、他の人の意見を聞いてみることにした。
どうせ聞くなら、人に見えるところで聞いた方が、後の人の助けにもなる。
そこで筆者はTwitterというミニブログ(マイクロブログ)サービスを使って、筆者の友人に漠然と質問を投げかけてみた。

筆者はこのTwitter上で数百人の友達がいる。すぐさま彼らからいくつかのアドバイスが飛んできた。
「インターネット上のサーバーにftpをしてみてはどうか?」、「MacBook Air上でftpサーバーやsshサーバーを起動してみてはどうか」といった具合だ。
もっとも、インストーラーDVDに入っているMac OS Xは、完全な状況ではないので、教えてもらったすべてのコマンドが試せるわけではなかった。
ただし、mountというコマンドを使って他のMacのハードディスクをマウントすることはできそうだったので、これを試すことにしてみた。大事なファイルをネットワーク接続した他のMacのハードディスクに逃がす方法だ。
ネットで得た情報をもとに、作戦を開始。まずは大事なファイルをコピーできるように、空き容量がたっぷりあるMacをもう1台用意し、「システム環境設定」の「共有」で「ファイル共有」機能がonになっていること、他のパソコンからアクセスする場合のアドレスが「afp://10.0.1.6」であることを確認した(数字の部分は人によって違うはずだ)。
次は、ディスクがクラッシュしている側のパソコンの準備だ。
まず先ほど同様、インストーラDVDから起動し、続いてそのMacBook Airを家庭内の無線LAN環境に接続する。
メニューバー右上の「Air Mac」のステータスメニューから自宅の無線LANを選び、パスワードを入力する。
普段なら自動で接続するところだが、今は無線LAN接続設定が入っておらず、記録もできないインストーラーDVDからMacを起動していることを思い出して欲しい。
ワイヤレス接続するには、面倒だが、きちんと、メニューから接続するネットワークを選んでユーザー名とパスワードを入力する必要があるのだ。
そして「ユーティリティー」メニューから「ターミナル」を選択する。
続いて、バックアップしたいファイルがどこにあるかを確認しておく。
ホームフォルダであれば、「cd "/Volumes/ディスクボリューム名/Users/ユーザー名" 」+returnで、「ls」+returnと打てば「Desktop」、「Documents」といったフォルダ名が表示されるはずだ。
いよいよコピー先の準備だ。「mount」コマンドを用いて、
mount -t afp afp://ユーザー名:パスワード@アドレス/フォルダ /好きなディレクトリ
といった形になる。
ちょっとわかりづらいので、具体例を当てはめてみよう。
筆者のもう1台のMacがiMacで、そのiMacでのユーザー名が「nobi」、パスワードが「1234」で、ファイル共有設定で表示されたアドレスが「afp://10.0.1.6」だとしよう。もう1台のMacのホームフォルダにアクセスできるようにするには:
「mount -t afp afp://nobi:1234@10.0.1.6/nobi /Applications」
などとする。
こうするとiMac上のホームフォルダの中身がMacBook Airの「/Applications」というディレクトリに表示されることになる(インストーラDVDから起動した際、一番、余計な項目が少なくて手頃だったのがApplicationsフォルダだったので、これを選ばせてもらった)。
なので、ここでUNIXのコピー命令を実行すれば、ホームフォルダの中身の複製ができるはず。もっとも、iMacのデスクトップにファイルが散乱するのもイヤなので、あらかじめiMacの側でデスクトップに「backup」というフォルダを作っておき、以下のような命令でコピーを実行してみた:
cp -r "/Volumes/ディスクボリューム名/Users/ユーザー名" /Applications/Desktop/backup

すると、それなりに時間はかかり途中いくつかエラーでコピーできないファイルはあったが、見事、ほとんどのファイルをコピーすることができた。
このようにUNIXに慣れていない人にとって手順がかなり難しいかもしれないが、ボリュームがUNIX環境から見えれば、そこからUNIX命令で試行錯誤してある程度のファイルを救出できる可能性もあるので、まだあきらめる必要はない。
もっとも、上で紹介したケースは、筆者の今回のケースで、うまくいった方法に過ぎず、人によって状況が変われば、ファイルの救出方法も変わってくるだろう。こういう時は、自分の周りのUNIXに詳しい人を頼りにした方がいいかもしれない。
さて、苦労して破損したディスクから重要ファイルの退避を行ったが、筆者のこの努力は、約半日後にはすべて無駄となる。
というのも、筆者は発売と同時に新製品「Time Capsule」を導入していたからだ。
「Time Capsule」とMac OS X "Leopard"の自動バックアップ機能「Time Machine」をうまく設定しておけば、ほぼ1時間おきにハードディスクの状態がバックアップされる。
つまり、運がよければ、ハードディスクがクラッシュしても、クラッシュする1時間前の状態に戻すことができるのだ。
筆者の場合は、講演など外出が重なっていたため、クラッシュ2日前の分までしかバックアップがなかったが、それでもほとんどのファイルがいとも簡単に復元できてしまったのはうれしいかぎりだ。
Time Capsuleからのデータ復元をするには、やはり、MacBook AirをインストールDVDから起動し、「ユーティリティー」メニューから「Time Machineから復元」を選ぶ。続いて無線LAN接続を行い、Time Capsuleバックアップ用のユーザー名とパスワードを入力すると、Time Capsuleでバックアップを行っているマシン名の一覧が表示されるので、ここから復元したいマシンの名前を選ぶ(ここで複数のマシンを似た名前、例えば「MacBook 0001」と「MacBook 0002」にしていると、名前の右端が画面からはみ出て判別しにくいため苦労しそうだ)。

マシン名を選ぶと、そのマシンのバックアップの履歴が現れ、どの時点の状態に戻したいかを訊かれるので、最新バックアップを選ぶ。

数十分を要してハードディスクの状態を検査した後、「復元」ボタンが現れるので、これをクリックすればいい。
なお、復元は時間がかかる作業だ。イーサネット接続ができる人は、この時だけでもTime Capsuleとイーサネット接続した方が楽だろう。
筆者の場合は、ディスクがクラッシュしたのがMacBook Airだったためイーサネット接続がUSBポート経由になってしまうが、そのイーサネットポートに外付けスーパードライブを接続してマシンを起動しているため、これを外すことができず、ワイヤレスで復元することになった。
ちなみにほぼ75GBのデータが詰まったハードディスクの復元に要した時間は約8時間半だった(最初は予想時間20時間ほどと表示されたが、この残り予想時間はあまり当てにならず、どんどん短くなっていった)。

このスピードは私の予想よりもはるかにいい数字だが、それは私がTime Capsuleの接続がとにかく高速になるように、設定を工夫していたからだろう。複数のMacを持っている人の多くはTime CapsuleをIEEE 802.11b/g互換設定にして使っているだろうが、筆者は5GHzのみ(つまり、従来のIEEE 802.11b/gからは接続できない)設定にし、さらに5GHzのスピードを最大限に生かせるように「ワイドバンド接続」というオプションをONにしている。これだとインテル化前のMacはほぼ全滅、初代MacBookなど5Ghz接続に対応しているMacでも、ワイドバンド接続のせいでつなぐことができないため、ほぼMacBook Airなど最新機種専用の無線LANになっているのだ。

では、他のマシンはどうしているかというと、Time Capsuleのイーサネットポートに以前から使っていたAir Mac Expressを接続して、それを使って2.4GHzの無線LAN環境を別に用意している(同じことをやる場合は、このAir Mac Express側のDHCP機能をOFFにすることを忘れないように!)。
要するにMacBook Air1台だけは、今日の無線LAN接続の中で最高速を享受できるようにして、他のマシンは従来通りのそれなりの速度で接続するようにしているわけだ。これで復元に8時間半かかるのだから、これ以外の設定の場合には、半日以上はつぶれることを覚悟した方がいい。
それでもデータが永遠に消え去ってしまうよりは、ぜんぜんいいはずだ。
そして慎重さが美徳であることも学べることだろう。
筆者のターミナルを使ったファイル復元大作戦も、まったくの無駄足ではなかった。
実は最後のバックアップ後に作った講演資料がなかなかよくできていて、受講者の方からも送って欲しいというメールをいただいていたが、このファイルはバックアップできていなかった。慎重を期してターミナルからのファイル復元大作戦を行ったおかげで、このプレゼン資料も無事に取り戻すことができた。
いずれにせよ、これまでもハードディスクのクラッシュが、いかに怖いかを伝える記事は何度も書いてきたし、バックアップを勧める記事も何度も書いてきたが、その癖、自分もバックアップできていないことが多かった。
だが、そんなズボラな筆者でも、2日前の状態まで戻せたTime Capsuleは、やはり素晴らしいマシンだ。
デジタルライフスタイルを満喫し、ハードディスクに貴重な情報がたくさん入っていると感じている人は、ぜひとも、この機会にTime Capsuleを導入してみることをお勧めしたい。
Time Capsule導入前に、ハードディスクがクラッシュしてしまい、どうしてもあきらめきれない人には、「DiskWarrior」などのディスク復旧ユーティリティーや「DataRascue II」などのファイル復元ユーティリティーも試す価値はある。

前者は壊れたディスクをなんとか元通りに戻そうとするユーティリティー、後者はどうしても復旧できないハードディスクから、せめて大事なファイルだけでも取り返すためのユーティリティーだ。
なお、MacBook Airなど比較的新しいマシンを使っている人は、購入前に一度、発売元にソフトが自分のマシンに対応しているかを問い合わせてから購入した方がよい。
さて、最後にもう1つ、ハードディスクがクラッシュしたら、その日と次の日にアポがある人、一通りに事情を話して仕事が大幅に遅れると伝えておくと、あとの混乱が少なくなるだろう。
さて、今回はハードディスク復旧の話しがメインとなってしまったため、ややおまけ的な紹介になってしまうが、7月11日発売のiPhone用として登場予定のアプリケーションをいくつか紹介しよう(なお、ここで紹介したアプリケーションは、次回の記事で改めてもう1度、紹介する予定だ)。
前回の記事で、WWDCの基調講演で登場した11社による12アプリケーションを紹介したが、iPhoneのアプリケーションはもちろん、あれ以外にもたくさん登場予定だ。
講演では、日本の開発者としてはセガが登場し「スーパーモンキーボール」(予科9.99ドル)を紹介していた。
それに加えて、実はハドソンソフトも「BOMBERMAN TOUCH -THE LEGEND OF MYSTIC BOMB -」と「AQUA FOREST by OctaveEngine Casual」そして「SUDOKU」の3タイトルを提供予定だ。

またサン電子もiPhone向けにゲーム「上海」を提供予定だ。

iPhoneというと携帯電話やインターネット端末というイメージが強いが、こうしたタイトルが揃ってくると、実は携帯型ゲーム機としてもかなり魅力的なのではないかと思えてくる。次回の連載では、その当たりの実態にも迫ってみたいと思う。