Excel Solution

最終更新日 : 2003/03/19


Excel Solution #04
説得力のある、美麗な資料を仕上げよう

ナントカと OLEは使いよう

11 年ばかり前、Excel 4.0 の発売と相前後して某社が売り出した競合製品が、グラフの背景か何かにグラデーションを設定できる機能を備えていて、「Excel ではこんなことはできません」といって、イベントなどで派手に喧伝していた。ところが、実際の商戦では Excel に完敗してしまったのだから、世の中は分からない。

とはいえ、「Excel にグラデーション機能がない」という事実は、厳然としてそこにある。そこで、なんとなく悔しく思った当時の筆者は、PowerPoint の日本語版が登場したのをきっかけに、グラフの背景にグラデーションを設定するためのウルトラ C を考案した。基本的な考え方は、Excel 単体ではグラデーションを設定できなくても、OLE (Object Linking and Embedding) 機能を駆使すれば同様のことを実現できる、というものだ。
つまり、背景にグラデーションだけを設定した PowerPoint プレゼンテーション オブジェクトを作成しておいて、その上に、背景を透明にした Excel のグラフ オブジェクトをぴったり重ねて載せればいい。まさに、「単体のソフトでできないことは、複数ソフトの連携で」という、OLE のコンセプトを地でいった話だ。

しかし、これも今となっては昔話。本文中でも書いたように、今の Excel はちゃんとグラデーション設定機能を備えているから、OLE オブジェクトを重ねるなどという裏技的な作業は不要になった。おかげで、この話も年寄りの繰り言めいてしまっている。思えば、便利な時代になったものだ。
この冬は、空き時間ができると、というより強引に空き時間を作っては、スキー場通いを続けている。お世辞でも上手とはいえない内容だが、下手は下手なりに楽しめるし、そこそこ滑れるようになってくるとマテリアルを選ぶ楽しみも出てくるというものだ。
ところが、たとえば板ひとつ買おうと思っても、自分の滑りのレベルやスタイル、雪の条件など、考えなければならないファクターがむやみに多い。情報を仕入れるほどに消化不良になってしまいそうだ。

あと、いくら性能が自分に合った板でも、デザインが嫌で買う気をなくす、という人もいるかもしれない。実は自分にもその気があって、デザインだけで手を出しそうになって試乗までしてしまい、危ういところでぐっと踏みとどまったという板がある。そんな状況があるせいか、どこのメーカーでも、性能だけでなくデザインにも工夫を凝らしているようだ。もっとも、それが購入者のセンスや好みと合うかどうかは別の問題だが。

よく考えたら、これはプレゼンテーション資料や会議の配付資料を作成するような場合にも通じる話だと思う。書かれている内容がまったく同等のものでも、官報のように無味乾燥なデザインやレイアウトの資料が提出されるのと、見栄えにも気を使った資料が提出されるのとでは、自ずから、それを読む側の印象も違ってくるだろう。もちろん、見てくれだけは立派だが中身はカラッポ、というのは論外だが、同じ品質の情報を見せるのであれば、作り手がいわんとするところがストレートに伝わるような、美麗でインパクトのある資料を作れるに越したことはない。そこで作り手のセンスが問われる。
そんなわけで、今月は Excel を使って彩り豊かな表やグラフを作成する方法を紹介しよう。

表を見やすくデザインしよう

まず、基本中の基本である表の作成から見ていこう。 商売柄、Excelで作成した表はたくさん見ているが、「日本人の罫線好き」という俗説を裏付けるかのように、これでもか、これでもかという感じで罫線をビシビシ引いてしまい、肝心の数値データが埋もれてしまっている表を頻繁に目にする。これでは本末転倒というものだ。主役はあくまで表に記された文字や数値であって、罫線ではないハズだ。

たとえば、[書式]-[オートフォーマット]でオートフォーマット機能を呼び出して、ダイアログに表示されているオートフォーマットのデザイン一覧を見て欲しい。意外と、罫線の使用頻度が低いのが分かるはずだ。

1 :
オートフォーマットのサンプルは、表の罫線やパターン、フォントなどを自分で設定する際の参考になる。
表を構成する際の基本的なパターンは、上端や左端に見出しがあって、その下側や右側にデータが並ぶ、というレイアウトだろう。それなら、見出し部分とデータ部分の間に一線を画す意味で、目立つ罫線をビシッと入れればいい。右端や下端に付け加えられることが多い、集計行や集計列についても同様だ。
その一方で、データ部分については、セルごとにいちいち罫線を引く必要性は少ない。列方向は1列ごとに細い実線を、行方向は5…10行ごと(あるいは、データの内容が切り替わるところ)で細い点線を入れる程度で、データを区切る手段としての役割を十分に果たすことができる。

また、特に区切りを明確にしたい部分には、二重罫線を入れるのもよい。こうした罫線は、ここぞというところでワンポイントとして使ってこそ、引き立つというものだ。また、フォントの変更やパターンの設定も、見出しのように、特に目立たせたい部分に限定するのがよい。なにごとも腹八分目、使い過ぎないようにするぐらいでちょうどいい。

もうちょっと格好をつけてみたいという場合、筆者が得意とする手段は、表の周囲を囲む罫線の太さを使い分けるというものだ。具体的には、表の左側と上側は細い実線、下側と右側は太い実線を使う。こうすると、なんとなく表に立体感が出てくるから不思議だ。太い側の罫線を濃い色、細い側の罫線を薄い色にすると、さらに立体感が増すかもしれない。

2 :
表に対して、罫線とパターンを設定してみた例。これぐらいの装飾なら、肝心のデータが埋もれてしまうことはなく、しかも、それなりに見栄えが良くなる。
また、欧文を多用している内容なら、フォントを日本語フォントではなく欧文フォントにしてしまうのもよい。日本語と英数字が混在したセルに対して欧文フォントを指定すると、英数字だけが欧文フォントに切り替わり、日本語は日本語フォントのままで残されるので、文字化けの心配は要らない。(Excel 5.0 以来、セルの中でも 1 文字ごとにフォントを変えられるようになっているのだ。御存知だっただろうか?)

画像データは、こんなところで活用できる

Excel 98 (Windows 版は Excel 97) 以来、さまざまな場所で画像データを利用できるように機能が強化された。たとえば、メニューから [書式] - [シート] - [背景] を選択することで、ワークシートの背景に画像を表示させることもできるのだが、これをやると肝心の表が画像の中に埋もれてしまうことが多いので、写真をワークシートの背景に使うのはお勧めできない。もし画像を背景に使うとしても、Web サイトの背景に利用されるような、うっすらした模様のものにとどめるのが無難だ。

また、グラフでも、グラフ エリア、プロット エリア、グラフそのものの表面など、たいていの場所で画像データを利用できる。変更対象にしたいアイテムをダブルクリックして [書式設定] ダイアログを表示させてから、[パターン] タブにある [塗りつぶし効果] をクリックして、[図] タブで画像ファイルを指定すればよい。ただし、グラフ自体に画像を設定すると、グラフの種類によっては画像が変形されて妙な感じになってしまうことがあるので、特に写真を指定しようという場合は要注意だ。

3 :
グラフのたいていの部分で、[書式設定] ダイアログに [パターン] タブがある。そこからさらに [塗りつぶし効果] をクリックして [図] タブに移動すると、背景色の代わりに画像を貼り付けることができる。(この図では、プロット エリアを対象にしている)
また、意外と知られていない機能だが、図形描画ツールで描いた図形オブジェクトや Office クリップアート、ビットマップなどを 2 次元の棒グラフに貼り付けると、棒の代わりに図形を並べた「絵グラフ」を作ることができる。これは Excel 3.0 で追加された機能だから 13 年もの歴史がある機能だが、そんな長い歴史がある割には知られていないような気がする。
絵グラフは、以下の手順で作成できる。

  1. まず、グラフに使用したい画像を Excel のワークシート上にオブジェクトとして配置する。
  2. それをコピーして、クリップボードに入れておく。
  3. グラフを作成して、目的の系列をクリックして選択する。このとき、グラフ種は 2-D の横棒、あるいは縦棒グラフにしておくこと。
  4. [編集] - [ペースト]、あるいは [command] + [V] キーで、貼り付け操作を行う。
こうして絵グラフを作成した場合、[書式設定] ダイアログの [パターン] タブで [塗りつぶし効果] をクリックして、[図] タブに移動すると、グラフに使用する図形を数値に応じて伸縮させるか、それとも積み上げるかの選択を行える。既定値は [引き伸ばし] だが、実際には [積み重ね] を使う方が多いのではないだろうか。なお、いくつの数値ごとに図形を積み重ねるのかも、同じダイアログで指定できる。

色指定・パターン・グラデーション・テクスチャ

図の指定に利用する [塗りつぶし効果] ダイアログには、[グラデーション]、[テクスチャ]、[パターン]、といったタブも用意されている。設定できる内容は読んで字のごとくだから、特に解説は要らないだろう。
そして、MacOS X が Quartz グラフィック エンジンを搭載したのを受けて、Excel X ではグラデーション指定と併せて透明度の指定までできるようになった。本連載の第 2 回目「Mac First, Mac Only!」でも取り上げたように、この機能は目下のところ MacOS X 版専用で、Windows 版では設定用のスライダーはあるのに、それを動かすことができない。Windows ユーザーにとっては悔しいところだ。

特に、この透明度とグラデーションを設定できる機能は、3-D グラフで威力を発揮する。3-D グラフでは往々にして、いろいろ視点位置に工夫をしてみても、一部のグラフが隠れてしまって表示されない場合がある。そんなときでも、透明度を指定して背景が透けて見えるようにすれば、隠れた部分のグラフも見てもらえるというわけだ。

能書きより実例を!

最後に、ここまで説明してきた書式設定機能を駆使した実例をお目にかけよう。
まず、無味乾燥な横棒グラフを作成した例を、次に、それに画像データやグラデーション表示、絵グラフ、クリップアートを加えて見栄えを改善した例を示そう。同じ内容を見せるのでも、こんなに違うという一例だ。

4 :
まず、プレーンなデザインの横棒グラフを示そう。これだけでも意味は通じるが、いささか愛想がよくない。
5 :
同じグラフを、さまざまな書式設定機能を駆使して彩り豊かにした例。プロット エリアの背景にはテーマに合った内容の写真を使い、さらに絵グラフとクリップアートを追加して、とどめは背景のグラデーション。同じ内容なのに、まるで印象が違うのではないだろうか?

結論 : Excelの表現力も侮れない

いうまでもなく、プレゼンテーション ツールの本道は PowerPoint だが、会議の配付資料などで枚数が少なく、かつ数字が主役になっているものであれば、Excel で資料を作成する場合も少なくないと思われる。もちろん、画像でも何でもやりすぎは禁物だが (くどい?) 、ここぞというところでさまざまな表示効果を駆使して、ビジュアルに優れた印象的な資料を作り上げることができれば、説得力倍増 (当社比) ぐらいは期待できそうだ。御健闘を祈る!