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タイプライターに魅せられた少女は、やがてMacに出会い未知の扉を開く | マガジンハウスAge[アージュ]編集長 : 池田美樹さん

本や雑誌が好きな一方で、両親がともにアマチュア無線が趣味のため無線設備の傍らで育ち、高校生のときには中型二輪を乗りこなしていたというメカ好きでもあった池田さん。Mac と出会うことで、開いた扉の向こうに見えたものとは?

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■活字好きとメカ好きが合体すると、Mac が魔法の機械に思えた

池田美樹さん

「最初に買ったのは、Macintosh LC575 という一体型の機種。秋葉原に行って、大っきい段ボール箱をタクシーに乗せてお持ち帰り(笑)。出たばかりのころで約35万円だった」と当時を振り返る池田美樹さん。1994年ごろのことだ。「パソコンを自分で組み立てたりするほどには自信がなかったので、一体型なら買って帰れば使えるだろうと。可愛かったし」。Mac を選んだのはすでに職場で Mac を使っていたからだという。「デザイナーは Mac で DTP をしていたし、編集もみんな Mac を使っていたんですよ。Windows マシンもあることはあったけど、それはいかにも業務用の“装置”で、個人で買う気にはまったくなりませんでした」。その後 LC575 に加えて持ち歩ける PowerBook150 も追加購入し、2台体制で Mac 生活はスタートした。

 池田さんが小学校の4年か5年のころのこと。「両親から誕生日プレゼントに何が欲しい? って聞かれて、私、英文タイプライターをお願いしたんですよ。昔から本や雑誌が好きで、そういうプロが創ったものに出てくるようなキチッとデザインされた文字が、自分がキーを叩いたら打ち出されるってことに、何かものすごくワクワクしたことを覚えています」。なるほど、やがて大人になり、他のパソコンにはない美しいフォントを搭載していた Mac に惹かれたのもうなずける。

 もともと、池田さんは“メカ好き”なのだという。「両親がアマチュア無線をやっていて、自宅に大きなアンテナと無線機一式があって。物心ついたころから両親が無線機を操作して友人たちと会話を楽しんでいたり、地域のアマチュア無線クラブに毎週のように連れて行かれたりしていましたからね。そうした“メカ”をいじることに何ら違和感を感じず、私も中学1年のときに免許を取りました。また、父親がバイクに乗っていて『一緒に出かけられるから』とバイクの中型免許も。学校では禁止だったんですけど、父親が一筆入れて(笑)」。確かにメカ好きな素養が育まれる土壌があったようだ。

 数年して PoweMac8500 に買い換える。「そのころは Olive 編集部にいて、俳優の田辺誠一さんを取材する機会があったんです。新番組の現場取材インタビューということで。そこで『田辺さん Mac を使ってらっしゃるんですよね』と質問したところから話がものすごく盛り上がって、『えー女性で 8500 を使ってるんですか。珍しいですねえ』という感じですっかり意気投合。その後田辺さんに取材でお会いするたびにそのことが話題になります。それだけ女性の Mac ユーザーは当時は希有な存在だったんでしょうね」。

■ネットを利用したコミュニティが楽しくてしかたなかった

iPad を使用したプレゼンは、クライアントの関心度も高いという
iPad を使用したプレゼンは、
クライアントの関心度も高いという

 Mac を購入した後、当時パソコン通信最大手だった『 Nifty-Serve 』(現 nifty)に加入した。「メールを使いたくて。私、そのころから俳句をやり始め、小さな結社で月刊の句誌の編集も担当していたんですけど、そのためには俳句のテキストをデータで送ってもらう必要があったんです。FAX で送ってもらったのをいちいち入力していたら面倒ですから、じゃあみんなメールでやりとりしましょうよって感じで。私の周囲の女性たちはわりとふつうに利用していましたよ」。その後、インターネットにも興味を持ち始めた。「でも当時は、インターネットっていう言葉だけが先行していて、いったいどうしたらインターネットが利用できるのか、さっぱりわからなかったんですよ。パソコン系専門誌は自分にとって意味不明だったし(笑)。そのうち、雑誌広告を見て『 BEKKOAME 』(ベッコアメ)というプロバイダがあることを知り、どうやらそこに契約して接続すれば、Nifty-Serve もインターネットもつながるらしい……とわかって(笑)。ようやくインターネットを利用することができるようになったんですが、思ったほど情報はありませんでした」。まだ日本語の WEB サイトすらほとんどなかった時代だけに仕方のないところだ。

「そのころマルチメディアという言葉がすごく流行っていて、当時勤めていた出版社でも CD-ROM 付きムックなどを出版していたんですが、コンテンツに BGM を付けるために使用するフリー音源がほとんどなかったんですよ。それで私に白羽の矢が(笑)。いちおう、子どものころからピアノを習ったり学生時代にバンドをやったりして DTM には興味があったので、MIDI 音源とシーケンスソフトを買い、自宅で適当なループ BGM を作ってオーサリング担当者に渡してました。『音楽でクレジット入れてくださいね!』とか言って(笑)。今では信じられないことですけど、そのころはそういうのもアリだったんですよ」。

 1999年には、念願の俳句ホームページも起ちあげた。「ホームページ作成ソフトを利用し、ワープロのように文章や画像をレイアウトするレベルでしたけど、掲示板機能も盛り込み、激論を交わしていました。『オンライン句会』も開催し、私がお題を出して全国から投句をしていただき、それを公開し、公開された句に対する選や評をまたアップして発表する……ということを毎月やっていました」。インターネット上で俳句のコミュニティを運営するということでは、かなり草分け的な存在だ。

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プロフィール

マガジンハウス Age [アージュ]編集長

池田美樹

熊本生まれ、熊本大学文学部出身。転職3度目でマガジンハウスに入社、『olive』『Hanako』『croissant』『an・an』を経た後、2009年に新しい女性誌『Age[アージュ]』を発行。働く女性達に、パワフルなライフスタイルを提案している。不定期刊行誌およびWEBにて情報発信中。WEB ダカーポにコラム「LOVE CITY WALK」を連載中。俳人・如月美樹としての活動歴は14年。Twitter@IKEDA_MIKI

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