MVP に聞く!MOM 管理パックを活用したサーバ管理 実践

Vol.5 Virtual Server 編

公開日: 2005年12月26日

みなさん初めまして。今回初めて筆をとることになった小川誉久です。すでにこのサイトでMOMの解説を多々公開されている日本 MS MVP のドン、小川貢さんとは遠い親戚関係、ではありません ( 笑 )。

今回は、MOM 管理パックの1つとして、 Microsoft Virtual Server 管理パックについて解説します。

*
トピック
Virtual Server 管理パックとは?Virtual Server 管理パックとは?
Virtual Server 管理パックの基本機能Virtual Server 管理パックの基本機能
インストールと初期セットアップインストールと初期セットアップ
「Windows サーバー ベース オペレーティング システム管理パック」のインストール「Windows サーバー ベース オペレーティング システム管理パック」のインストール
エージェントのインストールエージェントのインストール
バーチャル マシン追加機能のインストールバーチャル マシン追加機能のインストール
管理パックを使ってみる:タスクの実行管理パックを使ってみる:タスクの実行
管理パックを使ってみる:監視管理パックを使ってみる:監視
管理パックを使ってみる:通知管理パックを使ってみる:通知
管理パックを使ってみる:レポート管理パックを使ってみる:レポート
複数の物理サーバー、バーチャル サーバーを一元管理複数の物理サーバー、バーチャル サーバーを一元管理

Virtual Server 管理パックとは?

ご存じのとおり、 Virtual Server 2005 は、1 つの物理サーバー上で同時に複数のオペレーティング システムを実行可能にする仮想マシン ソフトウェアです。デスクトップ OS 向けとして販売されている Virtual PC 2004 のサーバー OS 対応版がこの Virtual Server 2005 で、ホスト OS ( 仮想マシンを実現する元となるコンピュータの OS ) として、Windows Server 2003 環境向けに最適化されていることに加え、ゲスト OS ( 仮想マシン上にインストールする OS ) として Windows NT Server 4.0 やWindow 2000 Server 、Windows Server 2003 のサーバー OS に対応しています。Virtual Server 2005 を利用することで、古いサーバーを新しいサーバー環境に移行したり、複数のサーバーを 1 台に統合したり、テスト環境を簡単に構築したりできるようになります。

今回ご紹介する Virtual Server 管理パックは、この Virtual Server 本体と、バーチャル マシンの可用性や稼働状態、パフォーマンスを MOM で監視可能にする管理パックで、以下のマイクロソフトのサイトから無償ダウンロードできます。

Microsoft Operations Manager 2005 用 Microsoft Virtual Server 管理パック ( ダウンロード センター )
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=b8bbf08f-134a-46ce-9d63-fb7ef5258059&DisplayLang=ja

Virtual Server 管理パックを利用することで、物理サーバーを管理するのと同様にして、 MOM で Virtual Server によるバーチャル マシン環境を管理できます。多数の物理サーバー、仮想環境サーバーを管理する場合でも、それぞれ異なる手順で管理するのではなく、 MOM で統一的な管理が可能になるわけです。これにより、問題発生の兆候や問題発生を早期につかんだり、 MOM の自動化機能によって、イベントやパフォーマンス・カウンタに連動させて、特定の管理作業を自動的に実施したりできます。

Virtual Server 管理パックの基本機能

Virtual Server 管理パックの基本機能は大きく「監視」「タスク ( 管理作業の実行 ) 」「レポート」の3種類があります。これらをまとめると次のようになります。

「監視」機能 

Virtual Server の監視

「構成エラー」「サービスの可用性」「重大なエラー状態」「構成エラー」「重大なエラー状態」の検出

バーチャル マシンの監視

「起動と復元のエラー」「保存エラー」「重大なエラー状態」の検出、および「プロセッサとディスクの使用率の監視」

パフォーマンスの監視

「バーチャル マシンのディスク領域使用率」「バーチャル マシンの CPU 使用率」の監視

「タスク」機能 

バーチャル マシンの起動

Virtual Server 上のバーチャル マシン ソリューションを起動する

バーチャル マシンの状態の保存

バーチャル マシンの状態を保存する

Virtual Server の停止

Virtual Server サービスを停止する

バーチャル マシンの再開

一時停止されたバーチャル マシンを再開する

バーチャル マシンの停止

Virtual Server 上のバーチャル マシン ソリューションを停止する

Virtual Server の起動

Virtual Server サービスを起動する

バーチャル マシンのリセット

バーチャル マシンを再起動する

バーチャル マシンの一時停止

バーチャル マシンを一時停止する

「レポート」機能 

Virtual Server

管理するすべての Virtual Server ホスト サーバー、それらがホストしているバーチャル マシンの情報をレポートする。バーチャル マシンによって使用されているディスク、メモリ、および CPU リソースの割合を図で表示する

バーチャル マシンの詳細

バーチャル マシンに関する詳細情報。ディスク、メモリ、 CPU の使用率を詳細にレポートし、Virtual Server のリソース設計に利用できる

パフォーマンス履歴

指定コンピュータの指定時間について、パフォーマンス カウンタの値 (使用ディスク、使用メモリ) を集計し、グラフ表示する

インストールと初期セットアップ

Virtual Server 管理パックをインストールするには、前記のファイルをダウンロードして解凍し、MOM にインポートします。

1.

ダウンロードした“ Microsoft Virtual Server MOM 2005 MP-JPN.msi ”をダブルクリックし、起動されるウィザードに従って処理を進めます。このウィザードでは「インストール」という言葉が使われていますが、実際には途中で指定したフォルダにファイルが解凍されるだけのようです。

2.

MOM の[管理者コンソール] を開き、左ペインの [管理パック] を右クリックして、表示される [管理パックのインポート/エクスポート] メニューを実行します。すると [管理パックのインポート/エクスポート ウィザード] が開始されます。

インポート エクスポート ウィザード

3.

ウィザードの途中の画面で、「インポート」の項目を選択し、先ほど解凍したインポート元のファイルの場所を指定します。 [インポートの種類] では、 [管理パックとレポートをインポートする] を選択します。

管理パックとレポートをインポートする

4.

次の管理パックの選択では、管理パックとして“ MicrosoftVirtualServer.akm ”を選択します。ほかの設定はデフォルトのままにします (置き換えではなく、更新を選択。バックアップを作成) 。

MicrosoftVirtualServer.akm を選択します

5.

インポートするレポート ファイルでは“ MicrosoftVirtualServerReports.xml ”を選択します。

MicrosoftVirtualServerReports.xml を選択します。

6.

SSL を使用していないので警告が表示されますが、 [続行] をクリックし、インポートしようとしている管理パックとして“ MicrosoftVirtualServer.akm ”と“ MicrosoftVirtualServerReports.xml ”が選択されていることを確認して、[完了] をクリックします。

7.

インポート処理が開始されます。

インポートの状態

「Windows サーバー ベース オペレーティング システム管理パック」のインストール

以上で Virtual Server 管理パックの準備は完了です。ただし、Virtual Server 管理パックのレポート機能は、別の管理パック (Windows サーバー ベース オペレーティング システム管理パック) に依存しているので、できればそちらもインストールしておきましょう。

この管理パックも、マイクロソフトの管理パック一覧からダウンロードできます。インストールとインポートの方法も、Virtual Server 管理パックとほぼ同じです。

MOM 管理パック
http://www.microsoft.com/japan/mom/techinfo/maintain/default.mspx

エージェントのインストール

エージェントとは、管理される対象 (今回のケースなら仮想マシン) にインストールすることで、MOMによる、より高機能な監視やタスクを可能にするソフトウェア コンポーネントです。エージェントをインストールしなくても監視は可能ですが、MOMによる管理をフル機能で利用したければ必要です。今回はエージェントもインストールしてみます。

エージェントのインストール手順も、ほかの管理パックの場合と特に変わりはありません。ただしエージェントを実行するアクション アカウントには、必要な権限のあるアカウントを指定するようにします。[Virtual Server の起動] タスクと [Virtual Server の停止] タスクを実行するためには、エージェントのアクション アカウントが Power Users 管理グループのメンバである必要があります。

以下は、 VSERVER という名前のコンピュータにエージェントのインストール途中の画面です。

エージェントのインストール途中の画面

エージェントのインストールが完了すると、そのコンピュータが MOM 管理コンソールの[エージェントに管理されたコンピュータ] に登録されます。

エージェントに管理されたコンピュータに登録されます。

バーチャル マシン追加機能のインストール

さらに、Virtual Server の側にも、追加機能をインストールする必要があります。この「バーチャル マシン追加機能」は、バーチャル マシンのパフォーマンスを最大化し、ユーザー インターフェイスの操作性を向上させるソフトウェア ドライバです。バーチャル マシン追加機能によって、バーチャル マシンと Virtual Server 間の通信が円滑に行われ、Virtual Server 管理パックに必要な重要なデータが提供されるようになります。

インストールが複数のステップに渡って少々面倒ですが、以上でVirtual Server を MOM で管理する準備が整いました。次はさっそく追加した管理パックを使ってみましょう。

管理パックを使ってみる:タスクの実行

Virtual Server 管理パックがインストールされたMOM の [管理者コンソール] には、 [ルール グループ]に [Microsoft Virtual Server]が追加されます。

管理者コンソール ] には、ルール グループ に  Microsoft Virtual Server が追加されます。

次はVirtual Server 管理パックがインストールされた、MOM の [オペレータ コンソール] でアラートを表示したところです。

オペレータ コンソール  でアラートを表示したところです。

画面から分かるとおり、さっそく heartbeat の重大なエラーが発生しているバーチャル マシンがあるので、このバーチャル マシンを MOM からリセットしてみましょう。

1.

[オペレータ コンソール] の右のペインにある [バーチャル マシンのリセット] をクリックします。

オペレータ コンソール の右のペインにある バーチャル マシンのリセット をクリックします。

2.

すると次のような [タスクの起動ウィザード] が表示されます。[説明] の部分から、バーチャル マシンを再起動するタスクであることが分かります。[次へ] をクリックします。

タスクの起動ウィザード

3.

スクリプトのパラメータとして、バーチャル マシン名を指定することが分かります。

スクリプトのパラメータとして、バーチャル マシン名を指定することが分かります。

4.

管理しているバーチャル マシンが一覧表示されるので、問題が発生しているバーチャル マシンを選択します。

問題が発生しているバーチャル マシンを選択します。

5.

以上でウィザードの作業は完了です。 [完了] ボタンをクリックするとタスクが実行されます。

以上でウィザードの作業は完了です。

6.

イベントの [タスクの状態] で、タスクが成功したことを確認します。イベントのプロパティから、リセットが正常に実行されたことが分かります。

イベントの タスクの状態 で、タスクが成功したことを確認します

管理パックを使ってみる:監視

次は管理パックを利用して、バーチャル マシンのパフォーマンスをチェックしてみましょう。

1.

[オペレータ コンソール] で [パフォーマンス] を開きます。

 オペレータ コンソール で パフォーマンス を開きます。

2.

ここでは試しに、CPU の使用率を監視してみましょう。これには [バーチャル マシン] の [CPU 使用率] を開きます。管理中のバーチャル マシンが一覧されますので、監視したいバーチャル マシンを選択して、[グラフの表示] ボタンをクリックします。

ここでは試しに、CPU の使用率を監視してみましょう。これには [ バーチャル マシン ] の [ CPU 使用率 ] を開きます。管理中のバーチャル マシンが一覧されますので、監視したいバーチャル マシンを選択して、グラフの表示 ボタンをクリックします。

3.

すると次のように、CPU パフォーマンスが表示されました。

すると次のように、CPU パフォーマンスが表示されました。

管理パックを使ってみる:通知

次は、通知機能を使ってみましょう。MOM 管理コンソールのアラート ルールを確認すると、デフォルトの設定では、アラートの重要度が [サービスは利用できません] よりも重大なイベントが発生した場合に、電子メール、またはポケット ベルに応答を送信するようになっています。とはいえ、もはや日本では、ポケット ベルのサービスはあまり一般的ではありませんね。

すると次のように、CPU パフォーマンスが表示されました。

実際には、メールで通知を受けたいという管理者が多いでしょう。メールで通知を受けられるようにするには、メール サーバー (SMTP サーバー) を設定します。

1.

[管理者コンソール] で [グローバル設定] の [電子メール サーバー] のプロパティを開きます。

グローバル設定 の 電子メール サーバー のプロパティを開きます。

2.

ここでメール サーバーを指定します。

ここでメール サーバーを指定します。

次は、通知を受けるオペレータを作成します

1.

[管理者コンソール] で [通知] を開き、右側のペインにある [オペレータの作成] をクリックします。

オペレータの作成 をクリックします。

2.

適当なオペレータの名前を指定します。

適当なオペレータの名前を指定します。

3.

オペレータのメール アドレスを指定します。

オペレータのメール アドレスを指定します。

4.

今回は電子メールだけ送ることにするので、そのまま [次へ] をクリックします。

そのまま 次へ をクリックします。

5.

外部コマンドで通知する場合には [このオペレータに外部コマンドで通知する] をオンにします。今回は指定しません。[完了] をクリックして設定を終了します。

外部コマンドで通知する場合には このオペレータに外部コマンドで通知する をオンにします。

デフォルトの設定では、通知先グループの [ネットワーク管理者] に通知が送信されるようになっています。そこで、先ほど作成したオペレータ (今回の例ではVirtual Server Admin) を [ネットワーク管理者] グループに追加します。

1.

MOM 管理コンソールで [通知先グループ] を開きます。

通知先グループ を開きます。

2.

続いて [ネットワーク管理者] のプロパティを開きます。すると [指定できるオペレータ] に先ほど追加したオペレータが表示されているので、これを [グループのオペレータ] に移動させます。

ネットワーク管理者 のプロパティを開きます。

以上で、サービスが利用できないようなアラートが発生すると、オペレータに通知メールが送信されるようになります。例えば、次のようなメールが送信されます。

サービスが利用できないようなアラートが発生すると、オペレータに通知メールが送信されるようになります。

イベント ルールはたくさん用意されているので、必要なアラートが発生したときだけ通知メールが送信されるようにカスタマイズするとよいでしょう。MOM 管理コンソールのイベント ルール一覧で、プロパティを変更して無効にすれば、そのイベントではメールは送信されなくなります。

必要なアラートが発生したときだけ通知メールが送信されるようにカスタマイズするとよいでしょう。

管理パックを使ってみる:レポート

次はレポート機能を試してみましょう。レポートの種類としては、次のようなものが用意されています。

次はレポート機能を試してみましょう。

ただし、インストールした直後はレポートするためのデータが蓄積されていないので、レポート機能を試すには、1 日ほど待ってみる必要があります。ここでは CPU レポートを表示してみましょう。次のように、バーチャル マシンの CPU 負荷の状況がグラフで表示されます。

バーチャル マシンの CPU 負荷の状況がグラフで表示されます。

複数の物理サーバー、バーチャル サーバーを一元管理

以上、簡単ではありますが、Virtual Server 管理パックの入手からインストール、主要な機能の概要について見てきました。いかがだったでしょうか。

管理上のメリットは、Virtual Server 管理パック単体にあるのではなく、物理サーバーや SQL Server 、 Exchange Server などのサーバー ソフトウェアと、バーチャルサーバを MOM という1つの窓から集中的に管理できることにあります。特に、多数の物理サーバー/バーチャル サーバーを管理している場合に効果が大きいでしょう。

最近では、ブレード サーバーを利用して、複数の物理サーバーの型式を統一し、設置場所をまとめることで、可用性やサーバーのキャパシティ向上と、管理コスト削減を同時に実現しようとするケースも増えていると聞きます。このようなサーバーの一部に Virtual Server を組み込んで、レガシー マイグレーションやサーバー統合を図るという場合には、今回の Virtual Server 管理パックが非常に役に立つでしょう。

関連リンク

Microsoft Operations Manager Home
http://www.microsoft.com/japan/mom/

Microsoft Operations Manager 管理パック
http://www.microsoft.com/japan/mom/evaluation/managepacks/default.mspx

管理パック (管理パックの一覧)
http://www.microsoft.com/japan/mom/techinfo/maintain/default.mspx

製品レビュー Microsoft Operations Manager 2005 (@IT)
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/productreview/mom2005-01/mom2005-01_01.html


小川 誉久

(株)デジタルアドバンテージ代表。
@IT にて Windows Server Insider(Windows ITプロ向け)、Insider.NET(.NETプログラマ向け)、System Insider(ハードウェア・エンジニア向け)の 3 つフォーラム運営を担当する。
自身は Windows Server Insider 編集長を兼務している。
Windowsビジネス・コンピューティングの技術動向、コンピュータ・セキュリティ、情報メディアの未来などに興味を持っている。
MVP for Windows Server - Software Distribution


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