MVP に聞く!MOM 管理パックを活用したサーバ管理 実践

Vol.6 特別編 Workgroup Edition を利用した SOHO 環境管理

公開日: 2005年12月26日
トピック
1.はじめに「Microsoft Operations Manager 2005 Workgroup Edition(以下MOM 2005 WE) とは?」1.はじめに「Microsoft Operations Manager 2005 Workgroup Edition(以下MOM 2005 WE) とは?」
2.ファイルサーバの管理・監視2.ファイルサーバの管理・監視
3.Knowledge の活用3.Knowledge の活用
4.Web サーバの管理・監視4.Web サーバの管理・監視
5.Dell OpenManage 管理パックによる Dell サーバコンピュータの管理・監視5.Dell OpenManage 管理パックによる Dell サーバコンピュータの管理・監視
6.まとめ6.まとめ

1.はじめに「Microsoft Operations Manager 2005 Workgroup Edition(以下MOM 2005 WE) とは?」

SOHO 向けに安価に提供されるパッケージである。MOM 2005 とは主に以下の点が異なる。

管理グループは一つのみサポートされる

管理サーバは一つのみサポートされる

管理パックはインストール済み

レポート機能はサポートされない

MCF (Microsoft コネクタ フレームワーク)はサポートされない

MOM 2005 に関しては、すでにマイクロソフト MVP の小川氏、河端氏が詳しく解説されているので、このコラムでは MOM 2005 WE をSOHO 環境に導入した場合、どのようなメリットがあるか解説して行こうと思う。

その前に、筆者宅の環境を簡単に説明しておく。

ドメインコントローラ(ANDO-SBS):Dell PowerEdge SC420(Small Business Server 2003 SP1)
自宅の SOHO 環境の要。ユーザ認証を担当し、自宅 LAN とインターネットを結ぶゲートウェイとして機能している。今回 MOM 2005 WE が導入され、管理サーバにもなっている。プリントサーバとしても活躍している。

ファイルサーバ(ANDO-NAS):自作コンピュータ(Windows Server 2003 Enterprise Edition SP1)
ハードディスクドライブが 5 基搭載され、RAID5 ボリュームを構成したファイルサーバ。ここに私の今までのすべてが格納されている。普通サーバとなると、常時電源を入れておくと考えられるだろうが、実はこのサーバは使用するときしか電源を入れていない。主に整理したデータを格納保存するのが目的というのもあるが、大変な大メシ食らいなのである。なにせ電子レンジを「強」で使い続けるのと同じ消費電力なのである。さすがに電気代を見て奥方から禁止令が出たのは言うまでも無い。

Web サーバ(ANDO-650):Dell Power Edge 650(Windows Server 2003 Web Edition SP1)
初めて購入したサーバ専用機。何を隠そう 1U である。ご存知の方もいらっしゃるだろうが、この機械は異常なほどうるさい。届いてはじめて電源を入れたときは正直青ざめた(笑)。以前、オークションで出品されているのを見たとき、手放す理由にあまりの騒音に自室での運用をあきらめたというのを見たことがある。それほどすごいのである。現在は専用の部屋を用意され、そこで一人さびしく稼動している。

メイン PC(ANDO-XP64):自作 PC(Windows XP Professional x64 Edition)
一番お金がかかっているコンピュータ。いち早く x64 対応のマルチCPUマザーボードを購入、CPU には Xeon プロセッサが 2 基搭載されている。普段の作業はこのマシンで行っている。モニタも 17 インチと 20 インチの液晶でマルチモニタ環境になっている。実はこいつも大変な大メシ食らいでもあるのだが。(^^

サブ PC(ANDO-VAIOT):ソニーバイオ T(Windows XP Professional SP2)普段持ち歩いているラップトップ PC。出先のネットワークからでも自宅の MOM サーバと接続され、監視される。インターネットには au の W03H で接続。パケット料は固定ではないが、高速な通信が魅力。

サブ PC(ANDO-DELL):Dell Dimension 2400C(Windows XP Professional SP2)
主に奥さんが使用する。仕事は経理関係で、このコンピュータで行っている。

MOM 2005 WE を導入するまでは、定期的にリモートデスクトップでログオンし、イベントログや、ディスクの空き状況を実際にそのマシンにログオンして監視していた。さらに Web ログを提供している Web サーバも自宅で運用している。それの管理、監視もリモートデスクトップで行っていた。Web サーバの運用は、24 時間無停止が望まれるので、つね日頃からの状態把握が重要である。以上を踏まえ、MOM 2005 WE を導入することで、どこまで管理、監視を楽できるか試してみたいと思う。

2.ファイルサーバの管理・監視

Microsoft® Windows® ベース オペレーティング システム管理パックの機能により、ディスクの空き容量監視や、ディスクのパフォーマンスを監視できる。ここではドメインコントローラのシステムボリュームと、ファイルサーバの RAID 5ボリューム、Web サーバのシステムボリュームの容量の変化をグラフで表示してる。
オペレータコンソールを立ち上げ、パフォーマンスタブを選択。Microsoft Windows サーバーベース OS 管理パックを選択、パフォーマンス、論理ディスク、% Free Space を表示してみる。カウンタを収集できているコンピュータが一覧されるので、必要な部分にチェックを入れる。

ファイルサーバの管理・監視

そしてグラフ表示ボタンを押すことで以下のようなグラフを表示できる、

そしてグラフ表示ボタンを押すことで以下のようなグラフを表示できる

これを見ると、ドメインコントローラのシステムボリュームは 90% 近い空き容量、Web サーバは約半分、ファイルサーバは、空き容量は 10% に満たない、ということがわかる。グラフ線が引かれていない部分は、コンピュータが未稼働であることを示す。

ここで、Web サーバ(ANDO-650)のシステムボリュームについて、空き容量が残り 50% を切ったときにアラートを発生させて、メール通知させる設定をしてみる。

まず管理コンソールを開き、管理パック→ルールグループ→Microsoft Windows サーバー ベース オペレーティング システム→ Windows 2003 → 状態監視とサービス検索と選択していき、パフォーマンスルールを開く。すでにルールがいくつかあるが、ここに新規にルールを追加する。右のペインでマウスを右クリックすると、新規作成ができる。新規作成はウィザードなので、簡単に追加できるはずだ。以下にウィザードの画面を示す。

パフォーマンスルールの種類

ディスクの容量を監視するので、しきい値を選択して次へ。

しきい値ルールのプロパティ データプロバイダ

論理ディスクの空きを監視するので、プロバイダは画面の項目を選択。
変更ボタンを押して、監視対象ドライブを指定する。

Windows NTパフォーマンス カタログプロパティ

ここで C ドライブを指定する。

しきい値のルールプロパティ スケジュール

常にデータを監視するので、このまま次へ。

しきい値ルールのプロパティ 条件

監視対象を入力する。

しきい値ルールのプロパティ しきい値

サンプリングされた値が、 50% を下回ったときを条件とする。

しきい値のルールプロパティ アラート

アラート生成にチェックを入れる。説明文などカスタマイズが可能である。

しきい値のルールプロパティ アラートの制御

特に変更する必要が無ければそのまま次へ。

しきい値のルールプロパティ 応答

このルールの条件が合った場合、応答する操作を指定する。

通知先グループへの通知送信

ここでは通知を行い、あらかじめ設定してあったグループに通知を行うように指定する。
このグループは、通知が実行されると私の携帯電話にメールされるように設定されている。
メール通知するには、あらかじめ管理コンソールで、オペレータを定義し、メールアドレスを設定しておかなければならない。

しきい値のルールプロパティ 応答

確認して次へ。

しきい値のルールプロパティ ナレッジベース

このアラートが発生したときに、特に必要になる対処や解決法があればここに記述する。

しきい値のルールプロパティ 全般

完了を押して終わり。

選択部分が新たに追加されたルール

選択部分が新たに追加されたルール。
以下に、追加されたルールのプロパティを抜粋している。

しきい値のルールプロパティ

空き容量を変化させてみる

空き容量を変化させてみる。

アラートが発生

アラートが発生。

応答としてメールも送信された

応答としてメールも送信された。

このように、SOHO 管理者として、気になる情報をリアルタイムに知ることが簡単にできる。
今回はディスクの状態を監視しただけであるが、それ以外にもパフォーマンスカウンタは豊富に収集されている。CPU 負荷状態を監視し、一定の負荷を超えたときにアラートを発生させることや、ネットワークトラフィックの監視も可能である。

3.Knowledge の活用

MOM 2005 WE には、ほぼすべてのアラートに「製品ナレッジ」というトラブルを解決するための情報が添付されおり、オペレータコンソールから簡単に参照できる。

オペレータコンソール

このように、発生したアラートに関して要約や、原因、解決策などが詳細に記述されている。
ここではこの製品ナレッジをどのように活用できるか検証してみる。

ある日、出先からファイルサーバのとあるファイルが必要になったため、自宅の奥方にファイルサーバの電源を入れるように依頼する。しかしいくら待てどファイルサーバにアクセスできない。通常ファイルサーバはディスプレイが接続されていないため、すぐに画面を確認することが出来ない。リモートデスクトップで確認しようにも、ネットワークに異常をきたしているようで、ログオンすることが出来ない。筆者は出先にいるため、すぐにローカルマシンを確認することが出来ない状況にあるとする。このようなときに MOM 2005 WE の出番である。

さっそくオペレータコンソールを起動する。

まずイベントを確認する。イベントログは、今までは個別にコンピュータの管理画面や、ログオンして管理ツールから確認していたと思うが、MOM 2005 WE を導入すれば、以下のようにすべてのコンピュータのイベントが集約されて表示される。個々にコンピュータにログオンして確認する必要はないのである。

オペレータコンソールを起動する

なんと IP アドレスが重複しているというイベントが発生していた。

そういえば、手動でIPアドレスを割り振ったベータ版OSのコンピュータの電源を入れっぱなしであることを思い出した。早速奥方に連絡を入れ、テストに使用していたコンピュータの電源を切ってもらうことで無事解決した。

イベントには付随してアラートがあり、そこから製品ナレッジを参照できる。

イベントには付随してアラートがあり、そこから製品ナレッジを参照できる

イベントのアラートタブを選択して、表示されているアラートをダブルクリックする。

アラートの詳細を確認する

アラートの詳細を確認する。

製品ナレッジタブを選択すると、このように原因と対策を確認できる

製品ナレッジタブを選択すると、このように原因と対策を確認できる。

このように MOM 2005 WE には便利なナレッジデータベースが付属しており、発生したトラブルを簡単に解決できる。製品ナレッジにはマイクロソフトのサポート技術情報の URL が記述されている場合もあり、トラブルに関する情報をさらに得ることも出来る。

今回は、出先からMOM サーバにつなぎ、直接オペレータコンソールで筆者が確認し、奥方に連絡して対処してもらう形をとった。さらにオペレータコンソールを奥方自身に確認してもらい、ナレッジを見てもらうことで筆者の手を煩わすことなくトラブルを解決できるようにすることも可能であろう。MOM 2005 WE はとても便利なのである。

4.Web サーバの管理・監視

SOHO 環境となると、通信回線として ADSL を利用している方も多いだろう。筆者もご多分に漏れずそれである。本当は光ファイバーを引きたいところなのであるが、田舎のおかげでなかなか実現できないでいる。おそらく人口の関係で今後も光は期待できないだろう。話はそれたが、ADSL はご存知のとおり、上りの伝送速度が遅いのである。これはサーバを運用するのに致命的だ。本格的な Web サービスはとても無理である。しかしながら筆者の自宅では http://blogs.msmvp.jp/ というサイトを運用している。

http://blogs.msmvp.jp/

これはマイクロソフト MVP の方に限って、今はやりの Blog をサービスしているのである。ここではこのサイトの管理について述べる。
Web サーバとしてのマシン(ANDO-650)は、通常の OS の管理パックで監視されているため、ダウンと同時にアラートで知らせてくれる。もし仮に IIS がダウンしたらどうなるであろうか。ちょっと試してみた。

サービスを停止してみる

サービスを停止してみる。

たちまちアラートが通知された

たちまちアラートが通知された

このようにコンピュータの異常に即座に反応してくれる。外出していても、不慮の事態に対応できる。MOM 2005 WE さまさまである。

5.Dell OpenManage 管理パックによる Dell サーバコンピュータの管理・監視

MOM 2005 WE にはマイクロソフト以外からも提供される管理パックも多数ある。その中の Dell Open Manage 管理パックを試してみた。Dell Open Manage 管理パックは以下の URL より入手可能である。

Dell Management Pack for Microsoft Operations Manager (Application)
http://www1.jp.dell.com/content/topics/reftopic.aspx/gen/solutions/enterprise_solutions/mom2005?c=jp&l=jp&s=bsd

ダウンロードして解凍すると、Readme.txt、管理パック本体、説明 PDF が作成される。

インポートは管理コンソールから行う。

インポートは管理コンソールから行う

うまくインポートできると、このように表示されるであろう。もちろんすべて英語である。

この管理パックは主にコンピュータのハードウェアの状態を監視するもので、電源の電圧や、ファンの回転数などに異常が発生するとアラートで知らせてくれる。
これはどうやったら試せるかな、と思案していたところ、タイミングよく?電圧異常のエラーが発生した(さすがに電圧異常などを意図的に発生させるのは恐ろしい)。

電圧異常を検出し、エラーが発生したところ

電圧異常を検出し、エラーが発生したところ。

今回は、+12Vの電源電圧が11.125Vまで落ち込んだことによるエラーが発生したものである。オペレータコンソールでは、発生のみ記録されているので、該当コンピュータのOpenManage Server Administratorにログオンして、もう少し詳細な情報を確認してみることにする。

OpenManage Server Administratorの画面

これがWebサーバのローカルコンピュータ上でのOpenManage Server Administratorの画面である。先頭の2行が、+12Vの異常を検出し、5秒後に復帰したことを示している。短時間で電圧が復帰しているので、今回の対応は特に発生しないが、このような電源電圧低下が発生した状態が続く場合や、頻繁に電源電圧異常のアラートが発生する場合は電源周りの故障を考慮したほうがよいだろう。

それ以外のログは、まだ Dell Open Manage 管理パックをインポートする前だったので、MOM 2005 WE には通知されていない。こうして見てみると、MOM 2005 WE を導入する前から結構頻繁に起きていることがわかった。

今回 MOM 2005 WE を導入したことで、初めて電圧の異常が数回発生していることがわかった。MOM 2005 WE のおかげである。今まで OpenManage Server Administrator の存在は知っていたが、実際に電源に異常が発生しているなどとは夢にも思わなかった。実は少し前に電源の故障で Webサーバが数日停止したことがあった。もっと早く MOM 2005 WE を導入していれば、電源異常が発生する前に対策を講じることが出来たかもしれない。今後はOpenManage管理パックを大いに活用し、Webサーバの安定運用に努めることを肝に銘じた。

6.まとめ

このように、MOM 2005 WE を使うことで SOHO 管理者として、必要な情報をリアルタイムに入手することが可能となる。また製品ナレッジを活用することで、トラブルの解決を早めることが出来る。トラブルシューティングに管理者がいなくても、製品ナレッジにより自宅にいる人が解決できる場合もある。
また、ほとんどの監視・管理項目は、管理パックであらかじめ用意されているが、必要に応じて自分でルールを追加することもできる。
本記事では Windows XP/Server 2003 がメインとなったが、管理パックは Linux 用なども開発されていると聞く。SOHO 管理者は Linux を使っている方も多いだろう(筆者もそうだが)。ぜひ MOM 2005 WE を導入して、日頃の SOHO 管理に役立ててもらいたい。


安藤幸治(安藤@大分)

フリーでソフトウェア開発を請け負って生活している。
メーリングリストや Web 掲示板、ニュースグループでの活動を認められて 2003 年にマイクロソフトMVPを受賞する。
以後毎年受賞。年に一度のマイクロソフト本社訪問を楽しみにしている。
MVP for Windows - Shell/User


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