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2006 年 6 月 26
日
ユニファイド コミュニケーション革命
世界最大のソフトウェア企業の会長であろうとも、中規模メーカーの販売員、あるいは、起業して間もない小企業の受付係であろうとも、だれもが当り前のように職場で繰り返している作業パターンがあります。そのパターンは、直ちに業務上の連絡をとる必要があるような場合から始まります。まず電話帳で相手の番号を見つけて電話をかけます。相手が出ない場合でもボイスメールがあればメッセージを入れておきます。相手が携帯電話を持っていることが分かれば、そこにもメッセージを入れてきます。念のため、E
メールも送っておきます。その後、連絡相手がそのメッセージを受けて応答してくれたとしても、もし自分が会議などで手が離せない場合には、相手が同様のプロセスを繰り返すことになります。
この 10
年余りの間に出現したソフトウェアの技術革新は、作業環境に変革をもたらし、スピードや効率そしてインテリジェンスといった側面からインフォメーション
ワーカーの力を拡大してきました。一方、業務上のコミュニケーションや情報の共有といった分野には、未だに極めて複雑な課題が残されているのが現状です。
今回は、職場でのコミュニケーション、友人や家族との連絡の方法をダイナミックに合理化することのできる「ユニファイド コミュニケーション」とよばれる新たな革新技術についての私の考えを、マイクロソフトのエグゼクティブ E メール
プログラムに登録されている皆様にお伝えしたいと思います。
新しい仕事環境におけるコミュニケーション強化の要請
現代のインターネット技術は、市場、製品および競合会社などについての情報を、ほとんど無制限に取得できるような環境を私たちに提供してくれます。オフィス用のビジネス
アプリケーションは、そうした情報を活用しながら、めまぐるしく変化する世界への理解を深めるための力を我々に与えてくれます。コラボレーション
ツールは、他者との効果的な協業を通じて、そうした理解を適切な意志決定とビジネスの成功へと変えてくれます。デジタル
テクノロジの新時代ともいえる今後10年間には、社員の力が最大限に引き出され経営に生かされる環境、すなわち社員間の効率的な協業を中心にして、情報を有効に活かしたタイムリーな意志決定を行い、変革のペースを速め、新たなビジネスチャンスへの扉を開くことが可能なビジネス環境が、企業にとってより現実のものとなることでしょう。
といっても、コミュニケーションの分野には依然として大きな課題が残されています。私たちは毎日のように、E
メールの送受信、職場の机上電話あるいは携帯電話による連絡、そして複数のメール
ボックスのチェックなどさまざまな手段を駆使してコミュニケーションを行っています。音声会議に参加したり、インスタント メッセージを活用したり、カレンダー
アプリケーションを使って会議をスケジュールしたりすることもあるでしょう。
そして皮肉なことには、他者との連絡は、こうした多様なコミュニケーション手段やデバイスが普及しながらも、接続が十分に確保できないことなどから、容易になるよりもむしろ困難かつ時間のかかるものになりつつあります。ビジネスの成功が、ますます情報の迅速な活用に依存しつつあるなかで、この状況は大きな問題を残しているといえます。
近い将来、ユニファイド コミュニケーションのテクノロジは、私たちが日常的に利用している E
メール、音声、Web
会議といった多様なコミュニケーション
モード間の障壁を解消してくれるでしょう。そして、この新しいテクノロジを活用することで、他者との連絡や情報入手に利用するデバイスと、入手した情報を活用するためのアプリケーションやビジネス
プロセス間のギャップを埋めることが可能となります。結果として、生産性、創造性およびコラボレーションには大きな影響がもたらされることでしょう。
ユニファイド コミュニケーション時代の夜明け
ある最近の調査によれば、職場で誰かに電話をかけた時に、ボイスメールを利用できる機会は 70%
であるといいます。また別の調査によれば、インフォメーション ワーカーの 4
分の 1 は、毎年 3
労働日に相当する時間を、結果的に相手との連絡がとれない電話作業に費やしています。たとえ相手が電話口に出たとしても、相手が都合よく自分の質問に答えてくれる、あるいは自分の求める情報を持っているとは限りません。
問題は、現在のコミュニケーション手段や使い勝手が、場所、デバイスおよび使用している接続モードなどと深く結びついている点にあります。仕事用の電話番号といえば、職場の机上という場所に置かれた卓上電話の番号です。携帯電話の番号は、自分が持ち歩くデバイスに割り当てられた番号です。昨今ではこれ以外にも、Eメールやインスタント
メッセージング用のアドレス、そして音声会議用の電話番号やコード番号といった接続モードと直結した識別情報が必要とされます。
こうした状況は極めて複雑です。ユニファイド コミュニケーションは、場所やデバイスなどではなく、人間をコミュニケーション
エクスペリエンスの中心に置くことで、こうした複雑さの解消をはかります。目的は、電話、PC、その他のデバイスに共通する単一の識別情報を用いることで、あらゆるコミュニケーション手段を単一の環境のもとに統合することです。そのビジョンは、最も使いやすいデバイス上で、最も生産的なコミュニケーション
モードを利用して容易に必要な相手と連絡が取れるような使い勝手や、連絡を受ける時間帯や手段、相手先などを自由にコントロールできるような仕組みをユーザーに提供することにあります。
ユニファイド コミュニケーションが実現されれば、必要な相手がオフィスにいるか、自分からの連絡を受けられる状態にあるかを一目で判別できるようになります。1
対 1
の電話連絡を行っている途中でも、マウスをクリックするだけで音声会議に変更したり、さらにビデオ会議に切り替えたりといったことを、世界中の仕事の仲間やパートナーとの間で行うことが可能となります。また多忙中に連絡が入った場合、誰の割り込みを許すかを判断できるようなインテリジェンスや、不在中に連絡が入った場合、それを電話、E
メール、インスタント メッセージなどで適切なデバイスに自動転送するための機能も提供されるでしょう。さらに、E
メールを音声に変換したり、電話メッセージを文字情報に変換したりすることも可能となるでしょう。
ユニファイド コミュニケーションは、バックエンドの複雑さをも解消してくれます。昨今の IT
部門は、電話用の PBX(Private
Branch eXchange、構内交換機)システム、ボイスメール用のメッセージング システム、E
メール用のソリューション、インスタント メッセージング用のシステムなどが複雑に混在した環境の運用に手を焼いています。ある最近の調査によれば、6
種類のコミュニケーション デバイスを展開し、5
種類の異なるコミュニケーション ソフトウェア システムを運用しているのが典型的な企業の現状です。
経費は膨大なものとなります。マイクロソフトでも、基本的な電話機能を新入社員に提供するのに一人あたり最大
750 ドル、その維持と管理に年間 180
ドルの経費がかかっています。そして、職場でのコミュニケーション手段としては、電話よりも PC
が使われるケースが大幅に増えたといっても、マイクロソフトのような企業では、依然として電話システムに関連した経費は膨大な金額になります。最近のアンケート調査では、75%
のインフォメーション ワーカーが、毎朝職場ではボイス メッセージよりも E
メールを先にチェックするとしながらも、コミュニケーション ツールとして E
メールを主に使用していると回答した者は 61%
でした。
コミュニケーション の統合化への道
ユニファイド コミュニケーションの登場は、VoIP(インターネット経由で音声通話を伝送する機能)、E
メール、インスタント メッセージング、モバイル コミュニケーション、オーディオやビデオの Web
会議などを、共通のディレクトリや開発ツールなどを共有できる単一プラットフォームのもとに収束させる、コミュニケーション
の統合化への道の始まりを示すものです。ユニファイド コミュニケーションはまた、SIP(Session
Initiation Protocol)などの標準コミュニケーション
プロトコルを活用して、適切な相手先や適切なデバイスとのコミュニケーションを可能にしています。マイクロソフトは、こうしたコミュニケーション標準を基礎にして、ユニファイド
コミュニケーションを可能にする一連の強力な機能を実現し、場所やデバイスの枠にとらわれない人間中心のコミュニケーション
フレームワークを提供しようとしています。
ユニファイド コミュニケーションの実現に向けた、当社の手法は以下のとおりです。
個人性と直感性:当社の最重点目標の一つは、コミュニケーションや情報へのアクセスを、場所やデバイスを問わずシームレスかつパーソナルなものにするということです。プレゼンス情報、すなわち他者からの連絡に対応できるかどうかを示す情報は、一度の試行で必要な相手と接触できるような仕組みを提供します。また、インテリジェントな情報エージェント
ソフトウェアは、ユーザーの好む作業スタイルを理解することで、連絡を受ける相手、デバイス、時間帯などをユーザー自身がコントロールできるようにします。SIP
標準およびソフトウェア ベースの通話管理機能は、コミュニケーションをより機能豊富かつ直感的なものにするほか、コミュニケーション
モード間のシームレスな切り替えを可能にします。
利便性と統合性:仕事上の連絡をとろうとする場合、現在は、まずその時点で使用しているアプリケーションを離れてアドレス帳を探し、そして(電話などの)デバイス、あるいは(E
メールのような)アプリケーションへと移動する必要があります。マイクロソフトのユニファイド
コミュニケーションの環境では、現在使用中のアプリケーションから直接にコミュニケーションやコラボレーションへと繋げることが可能です。Microsoft
Office との統合により、Microsoft
Outlook が、あらゆるタイプのコミュニケーションのためのセンターとなり、例えば
Microsoft SharePoint のようなコラボレーション
ツールへのシームレスなアクセスを提供します。マイクロソフトは、コミュニケーション機能を容易に統合できる標準ベースのプラットフォームを開発者に提供することで、これまでにない価値、利便性そしてパワー備えたアプリケーションの実現をはかります。
柔軟性と信頼性:マイクロソフトのユニファイド
コミュニケーションは、ユーザーごとに単一の識別子(ID)を割り当てることで、既存のコミュニケーションシステムを一つの統合化されたプラットフォームへと集約するとともに、管理と法令遵守のための共通インフラストラクチャを提供します。これにより
IT 部門は、コミュニケーションやコラボレーションの大幅改善を実現できるだけでなく、複雑さの軽減や TCO(総所有コスト)の削減も可能となります。安全性と信頼性に優れたプラットフォームを基礎に置くマイクロソフトのユニファイド
コミュニケーション テクノロジは、すでに幾つかの有力企業で試行され、TCO
の大幅な削減に寄与しています。例えば Ebay
では、メールボックスあたりのコストを 70%
削減することに成功しています。また、日産自動車(株)では、コラボレーション テクノロジの採用により、1
億 3500
万ドルのコストを削減しました。また、Siemens
では、130 のビジネス ユニットを単一の Active Directory
のもとに統一することができました。
当社はこれまで、Microsoft Exchange Server、Microsoft
Office Outlook および
Microsoft Office Communicator といった製品の提供を通じて、デジタル
コミュニケーション テクノロジの最先端を担ってきました。今後は、Microsoft Exchange
Server 2007、Microsoft
Office Communications Server 2007、Microsoft
Office Communicator 2007、Microsoft
Office Live Meeting 2007、Microsoft
Communicator phones および Microsoft Office RoundTable
といった新たなコミュニケーション製品群を通じて、ビジネスの手法に変革をもたらせるようなインフラストラクチャの構築を支援していきます。
ユニファイド コミュニケーションが可能にする社員の潜在能力の活用
ユニファイド
コミュニケーションがどのようなものであるかを理解するには、職場の若い人達、なかでも大学を出たての新入社員の生活スタイルを見てみるのが良いでしょう。彼らは、生まれた時からデジタルの時代に生活し、テキスト
メッセージやインスタント
メッセージなどを利用したリアルタイムのコミュニケーションを行っています。なかには、他者とのコミュニケーション手段としてはEメールにさえも飽き足らない人達もいます。こうした世代の人達にとっては、デスクの電話機(従来型の電話機)も、彼らから一世代あるいは二世代前の人達にとっての電動タイプライタに等しく疎遠な存在です。
こうした若い世代の人達は、最先端のコミュニケーション テクノロジを駆使することで、それぞれの関心事を共有するためのオンライン
コミュニティを作ります。相手の居場所は気にせず、自分が好意を持つ人達との接触を常に保ちながら、音楽、写真、ニュース、ビデオなどのデジタル
コンテンツや情報を作成、収集、そして共有します。こうした現象は、すべてが現代のデジタル テクノロジのパワーや即時性の証となるものです。
さらに、こうした状況はまさに、新しい仕事環境の到来に向けた準備期間だと見ることもできます。彼らが企業で働くことになれば、興味を共有するためのオンライン
コミュニティにかわって、地球規模の広がりを持つ仮想作業チームを構築するでしょう。常時連絡すべき重要な相手先リストの中には、その企業の顧客も含まれるでしょうし、音楽や、写真ばかりでなく、同僚やパートナーとのコミュニケーションを通じて作成したレポートやプレゼンテーション資料なども共有するでしょう。
こうした世代が職場で活躍することになれば、彼らは、自分たちとともに成長してきたデバイスをそのまま使い続けられることを期待するでしょう。そして、才能ある若者達は、新世代のコミュニケーション技術の価値を理解できる企業に入社しようとするでしょうから、こうした期待に応えられない企業は極めて不利な状況に置かれることになります。
一方、こうした若い世代の人達が期待するユニファイド
コミュニケーションの枠組みを提供できる企業には、大きな利益がもたらされます。もちろん、若い才能を確保しやすくなることも事実ですが、ユニファイド
コミュニケーションがもたらす利益はそれにとどまらず、生産性の向上、変化するビジネス環境への迅速な対応、お客様との関係強化、革新的な製品の迅速な開発そしてコスト削減など、極めて広範な分野にわたります。
ユニファイド
コミュニケーションとは、究極的にはプロセスよりも人間こそが重要だという認識にもとづく新たなビジネス手法の提供であり、かつ、我々が毎朝職場に出かけるときに抱えていく情熱や可能性といったものを解き放てるような新しい仕事環境を創造することでもあります。
ビル ゲイツ
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