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モバイルデバイス向けの .NET 開発ツール「Smart Device Extensions」

Larry Roof
Tonked.com

October 23, 2001
日本語版最終更新日 2001 年 12 月 17 日

日本語版編集注: このドキュメントでは、開発評価を目的とした「Smart Device Extensions for Visual Studio .NET」 (SDE) のTechnology Preview の英語版を紹介しています。対応する環境は、Visual Studio .NET Releace Candidate (英語版) となります。SDE Technology Preview は、Visual Studio .NET ベータ2 (英語版) 以前および日本語版の環境では動作しませんのでご注意ください。

デバイス向け開発に Visual Basic .NET を使用する

Windows CE の次期バージョンの開発ツールが、.NET テクノロジーに基づいて開発されたとしても驚きはしないでしょう。まさにそのとおりなのです。新しいバージョンの開発ツールは Smart Device Extensions for Microsoft Visual Studio® .NET と言います。

eMbedded Visual Basic を使ったことがある開発者にとって、Visual Basic .NET の機能をモバイル プラットフォームで使用できるようになるというのは信じられないかもしれません。しかし、Smart Device Extensions for Visual Studio .NET (SDE) のリリースにより、それが実現されます。.NET Frameworkのサブセットとして開発された、モバイル端末向けの新しいフレームワークである.NET Compact Framework を含むSDE では、Visual Basic .NET でアプリケーションを構築でき、モバイル開発者の妨げとなっていた今までのVisual Basicの制限をなくしました。SDE では、Microsoft eMbedded Visual C++® で作成されたアプリケーションに限定されていたすべてのパワーと柔軟性を、Visual Basic ベースのツールで利用し、強力なアプリケーションを作成できます。

Visual Basic .NET を使ったことがない開発者向けに、Visual Basic のこの最新バージョンと前のバージョンの相違点は、多すぎるのでここでは説明しません。ここでは、.NET Compact Framework の概要、および Smart Device Extension for Visual Studio .NET が提供する新しい統合デザイン環境について解説します。

SDE に含まれる内容

Smart Device Extensions for Visual Studio .NET には、.NET Frameworkのサブセットとして開発された、モバイル端末向けの新しいフレームワークである .NET Compact Framework が含まれています。SDE とは Visual Studio Integration Package (VSIP) の一種で、Visual Studio .NET のプラグインです。eMbedded Visual Basic とは異なり、SDE はスタンドアロンで使用することはできません。SDE を使用するには、Visual Studio .NET がインストールされている必要があります。それ以外は特に必要なく、SDE を使って Pocket PC または Pocket PC 2002 のアプリケーションの開発および配置を行うことができます。

SDEには、ビルド済みデバイス プロファイルのセットが含まれています。組み込みデバイス プロファイルには、特定のデバイスをターゲットにした特定の種類のアプリケーションのビルドに必要な情報が含まれています。たとえば、Windowsフォーム や ADO.NET、および XML XML Web サービスを利用する機能を使って、Pocket PC、Pocket PC 2002、または "Windows CE .NET" 用のアプリケーションを作成できるプロファイルがあります。

開発者は、そのプロファイルを、Pocket PC 用などのような固有のデバイスや、Windows CE プラットフォーム、.NET Compact Framework がインストールされているプラットフォームの中から選択することができます。

eMbedded Visual Basic 3.0 より優れている点

なぜ Visual Basic ベースの Windows CE 用開発ツールを大幅に変更することになったか、という点について不思議に思われている読者もいるかもしれません。答えは簡単です。現在の eMbedded Visual Basic 3.0 製品は、ハイレベルの開発には物足らないのです。eMbedded Visual Basic 3.0 は Microsoft Visual Basic Scripting Edition (VBScript) で使用する場合、簡単なアプリケーションに対しては優れていますが、ハイレベルの開発となると使いづらく物足りません。eMbedded Visual Basic を使った場合、eMbedded Visual Basic の限界に挑戦しながら作業をすることになり、結果として余計に時間を費やしてしまいます。モバイル デバイスの市場が急速に発展しつつある現在、デバイスの開発者にとってVisual Basic .NET に見られる豊富で強力なオブジェクト指向 Visual Basic 開発ツールが必要となったのです。開発者たちの必要としている、インターネット、XML Web サービス、XML を利用できるワイヤレス ソリューションをビルドできるツールが、Smart Device Extensions for Visual Studio .NET です。Microsoft は .NET Framework を Windows CE 上に実装することにより、デバイス プラットフォームをターゲットとしたアプリケーションを Visual C# .NET や Visual Basic .NET で記述できるようになりました。

.NET Compact Framework

.NET Compact Framework の基本概念なしに SDE を語ることはできません。開発者は、.NET Framework、.NET Compact Framework のいずれをターゲットとしていても、.NET テクノロジを使ってアプリケーションを開発する場合、.NET Compact Framework のクラスが提供する機能を利用してアプリケーションを記述し、.NET共通のプログラミング モデルを使用することができます。SDE で開発されたアプリケーションの場合、ターゲットは .NET Compact Framework です。

.NET Compact Framework について

.NET Compact Framework を使うと、スマート デバイス上のアプリケーションを簡単に開発できます。.NET Compact Framework には、主に 2 つのコンポーネント、共通言語ランタイム(CLR) と .NET Compact Framework クラス ライブラリが含まれています。

.NET Compact Framework の基盤は CLR です。CLR は、メモリ管理やスレッド管理などのコア サービスを提供しながら、実行時にコードとデータを管理し、またコードのセキュリティおよび正確性を保証します。Visual Basic .NET や C# .NET などのランタイムをターゲットとしているコードは、マネージ コードとして知られています。それに対し、eMbedded Visual C++ のようにランタイムをターゲットとしないコードはアンマネージ コードまたはネイティブ コードと言います。

注 : Visual Basic .NET で作成されるようなマネージ コード (ターゲットは .NET Framework または .NET Compact Framework) は、共通言語ランタイムによって処理されます。

.NET Compact Framework クラス ライブラリは、アプリケーションの開発をするために簡単にすぐに使用できる、再利用可能なクラスのコレクションです。このフレームワークは、マイクロソフト、または他社によって作成されたかどうかにかかわらず、ほかのプラットフォームに組み込むことができるように設計されています。これがどのようにみなさんに影響するかと言うと、.NET Compact FrameworkのCLRが実行できるプラットフォームであれば、携帯電話端末や他社の PDA などのデバイス上でも、Pocket PC 用に作成したコード テクニックやアプリケーションを、実行できるのです。さらに、Visual Studio .NET で養ったコード技術を、.NET Compact Framework をサポートするすべてのプラットフォーム上で利用できます。

共通言語ランタイムの機能

共通言語ランタイムは .NET Compact Framework をターゲットとしているコードを管理するコード実行環境を提供します。コード管理には、メモリ管理、スレッド管理、セキュリティ管理、コードの検証およびコンパイル、その他のシステム サービスが含まれます。

モバイル アプリケーションが Visual Basic .NET で記述されていても (それゆえモバイル アプリケーションはマネージ コードなのですが)、ダイナミック リンク ライブラリに関数を統合できます。実際、Visual Basic .NET はデータ型およびストラクチャを幅広くサポートするので、eMbedded Visual Basic で利用できたWindows CE API を利用できます。

注 : eMbedded Visual Basic とは異なり、Visual Basic .NET はデータ型を提供してストラクチャをサポートするので、Windows CE API の関数を簡単にアプリケーションに統合することができます。eMbedded Visual Basic に比べて Visual Basic .NET でこれらの関数を使用する必要があまりないのですが、eMbedded Visual C++ で記述したアプリケーションにある機能を備えたモバイル アプリケーションを作成できます。

CLR はパフォーマンスを向上するように設計されています。.NETコンパイラにより生成される中間言語をJust-In-Time(JIT)コンパイラによりネイティブコードにコンパイルします。これにより、アプリケーションを実行するプラットフォームごとに再コンパイル、及び実行ファイルの生成を行わずに同じ実行ファイルを利用できます。

.NET Compact Framework クラス ライブラリ

.NET Compact Framework クラス ライブラリは、共通言語ランタイムと高度に統合されるクラスの集合です。Visual Basic .NET アプリケーションはこれらのライブラリを利用して機能を派生させます。

オブジェクト指向のクラス ライブラリに期待するように、.NET Compact Framework では、文字列管理、データ収集、データベース接続、ファイル アクセスなどのプログラミングの一般的なタスクを行うことができます。

注 : Visual Basic とは機能が大きく異なる eMbedded Visual Basic とは違って、Smart Device Extensions は .NET Framework の真のサブセットを実装します。大きさ、パフォーマンスの問題、ターゲット オペレーティング システムの限界などの理由でサポートされていない機能を除いて、.NET Compact Framework に含まれるクラスのインターフェイスは .NET Framework と同じです。いずれのバージョンの .NET Framework も、クラスの動作、プロパティ、メソッド、および列挙値は同じです。つまり、開発者はVisual Basic .NET コード テクニックを使ってデスクトップ アプリケーションおよびデバイス アプリケーションの両方を作成できます。

次のセクションでは、Smart Device Extensions で利用できる機能を説明します。

フォーム関連のクラス

.NET Compact Frameworkは、System.Windows.Forms および System.Drawing クラスのサブセットを実装します。これらのクラスでは、豊富な機能を提供するWindows CE ベースのデバイス アプリケーションのユーザー インターフェイスを作成できます。これらのクラスとのやり取りは、ほとんどの場合 Visual Studio .NET の Windows Form デザイナ コンポーネントによって管理されます。

Windowsフォーム の.NET Compact Framework への実装には、フォームのサポート、.NET Framework のほとんどのコントロールが含まれ、サードパーティーの提供するコントロールのホストが可能で、ビットマップとメニューがサポートされます。

データ クラスと XML クラス

.NET Compact Framework には、ソースがリレーショナル データであるかどうかにかかわらず、データを簡単に統合できるクラスのセットが含まれています。Visual Basic .NET で作成されたデバイス アプリケーションは、XML コンテンツが簡単に利用できます。.NET Compact Frameworkでは、.NET Frameworkで実装されているデータクラス及びXMLクラスのうち、モバイルデバイスに必要なクラスをサポートしています。

.NET Framework は XML XML Web サービスをフルサポートします。.NET Compact Frameworkには、.NET Framework と同様の機能がいくつか含まれています。最も大きな特徴は、Visual Studio .NET と SDE を使って、Visual Basic .NET でビルドされたアプリケーションから XML XML Web サービスを利用できるアプリケーションを作成できることです。

注 : .NET Framework をターゲットとしている Visual Basic .NET では XML Web サービス クライアントおよび XML Web サービス サーバーの両方を作成できますが、.NET Compact Framework では XML XML Web サービスクライアントアプリケーションの作成ができますが、サーバーアプリケーションは作成できません。

Visual Basic サポート

Visual Basic .NET は Visual Basic ヘルパーライブラリにあるヘルパー関数を頻繁に使用します。.NET Compact FrameworkバージョンのVisual Basic ヘルパーライブラリでもこれらの機能が同様に利用できます。Visual Basic の開発者は、Visual Basic ヘルパーライブラリに含まれる関数を言語の中心的存在と考えていますが、実際にこの関数にはよく使われるキーワードが多数含まれています。

Visual Basic ヘルパーライブラリを含めると、eMbedded Visual Basic 開発者は Visual Basic .NET で作業する際に

頻繁に利用する Visual Basic ステートメントや関数を多数使用できるようになります。

注 : .NET Compact Framework の Visual Basic ヘルパーライブラリは、Visual Basic .NET に含まれるライブラリのサブセットです。サポートされている関数を確認するには、Smart Device Extensions のヘルプ ドキュメントを参照してください。

GDI サポート

.NET Compact Framework は、ビットマップ、ブラシ、フォント、アイコン、ペンといった基本的な GDI 描画エレメントをサポートします。この点、描画機能が制限されている上、使いづらい eMbedded Visual Basic に比べて、 Visual Basic .NET ははるかに優れています。

基本クラス

.NET Compact Framework は、Visual Basic .NET で作業している開発者のために広範な機能を実現する基本クラスを提供します。この基本的なインフラストラクチャによって、マルチスレッド、ネットワーク リソースの利用、ファイルの作業が組み込まれた内容豊富な .NET ベースのアプリケーションを作成できます。

.NET Compact Framework でサポートされない機能

.NET Compact Framework では、そのサイズを軽量化するために、次の .NET Framework 機能はサポートされていません。

  • 印刷 : eMbedded Visual Basic でサポートされていたプリンタ管理および印刷API は、.NET Compact Framework ではサポートされません。
  • MDI フォーム : Windows CE は Multiple Document Interface (MDI) をサポートしないので、この機能は .NET Compact Framework に含まれません。
  • GDI+ : GDI+ は Windows CE ではサポートされないので、.NET Compact Framework に含まれていません。
  • ドラッグ アンド ドロップ機能 : OLE ドラッグ アンド ドロップ機能は Windows CE ではサポートされないので .NET Compact Framework には含まれていません。
  • バイナリのシリアル化 : バイナリのシリアル化は .NET Compact Framework ではサポートされません。

開発環境

Smart Device Extensions for Visual Studio .NET とは Visual Studio Integration Package (VSIP) の一種で、Visual Studio .NET のプラグインです。VSIP として、SDE は Visual Studio .NET に用意されている IDE (統合開発環境) を利用します。この IDE では、Windows CE 向けアプリケーション開発ツールの前バージョンにはない開発を試みることができます。

このセクションでは、Window CE アプリケーションの作成に使用される Visual Studio .NET IDE の主要なコンポーネントについて見ていきます。

新しいプロジェクトを作成する

Visual Studio .NET を実行すると、[Start Page (スタート ページ)] (図 1) が表示されます。[Start Page (スタート ページ)] では既存のプロジェクトを開いたり、.NET Compact Framework をターゲットとしたプロジェクトなどの新しいプロジェクトを作成することができます。


図 1. Visual Studio .NET の [Start Page (スタート ページ)]

[New Project (新しいプロジェクト)] ボタンをクリックすると、[New Project (新しいプロジェクト)] (図 2) ダイアログ ボックスが表示されます。このダイアログ ボックスでは、アプリケーションの作成に使用するテンプレートを選択できます。テンプレート セットは、Smart Device Extensions によって Visual Basic Projects フォルダおよび Visual C# Projects フォルダにインストールされます。

Visual Basic Projects フォルダには、4 つのテンプレートが SDE によってインストールされます。Pocket PC Application テンプレートは、Pocket PC アプリケーションの作成に必要な基本的なプロジェクト設定を提供します。図 2 では、このプロジェクト テンプレートが選択されています。

図 2 には、Pocket PC 関連のテンプレートがほかに 2 つ表示されています。Pocket PC Class Library テンプレートは、クラス ライブラリの作成に使用します。Pocket PC Control Library テンプレートでは、コントロールを作成します。

注 : コントロールおよびクラス ライブラリをサポートしない eMbedded Visual Basic に比べ、Visual Basic .NET はこれらの機能が追加されており、モバイルアプリケーション開発の利便性がより強化されました。


図 2. Pocket PC 関連のテンプレートが 3 つ表示されている [New Project (新しいプロジェクト)] ダイアログ ボックス

SDE に含まれる 4 つ目のテンプレートは、Windows CE Application テンプレート (図 3) です。このテンプレートでは、.NET Compact Framework をサポートする Windows CE が実行されているデバイスをターゲットにした .NET Compact Framework プロジェクトをビルドできます。


図 3. デバイス プロジェクト ウィザードを表示する [New Project (新しいプロジェクト)] ダイアログ ボックス

すべてのデバイス テンプレートと同じように、Pocket PC プロジェクト テンプレートは指定したプロジェクトの種類に適切な初期ファイル、参照、コード フレームワーク、プロパティの設定、およびタスクを作成します。デバイス テンプレートでは、開発者が使用するであろう.NET Compact Frameworkライブラリを組み込んだターゲット プラットフォームが考慮されています。

ユーザー インターフェイスを作成する

Visual Studio .NET で作業したことがある開発者であれば、Smart Device Extensions を使い始める前に説明することはあまりありません。.NET を使い始めて間もない eMbedded Visual Basic 開発者は、次のセクションを読んで Visual Studio .NET IDE の主な機能を確認するとよいでしょう。

新しいプロジェクトを作成する場合、[Start Page (スタート ページ)] に空のフォーム (図 4) が表示されます。


図 4. Windows Form デザイナ

一見、Visual Studio .NET IDE のこの部分は eMbedded Visual Basic のフォーム デザイナに似ています。しかし、よく見てみるとこのウィンドウには上部にタブが並んでいることに気が付きます。上の図には、[Start Page (スタート ページ)]、[Form1.vb]、および [Form1.vb [Design] (Form1.vb [デザイン])] の 3 つのタブが表示されています。

[Start Page (スタート ページ)] については説明しました。残りの 2 つのタブは、eMbedded Visual Basic フォーム インターフェイスおよび eMbedded Visual Basic のフォーム コードと相関関係があります。Visual Studio .NET IDE では、これらのタブを使用してユーザー インターフェイスのデザインとコード ウィンドウを簡単に切り替えることができます。

新しいツールボックス

Visual Studio .NET IDE のツールボックスは、eMbedded Visual Basic のツールボックスと同じ場所にありますが、既定では画面に表示されません。Visual Studio .NET IDE のパネルは、未使用のときは表示されないようになっています。そのため、広い画面でフォームのデザインやコードの記述を行うことができます。

ツールボックスは、非表示の状態では図 5 のように IDE の左側に表示されます。ツールボックスの上にマウスを置くと、図 6 のように表示されます。


図 5. 非表示状態の Visual Studio .NET ツールボックス


図 6. 表示状態の Visual Studio .NET ツールボックス

Smart Device Extensions のコントロール

eMbedded Visual Basic のコントロールは制限されていましたが、Smart Device Extensions では、多くのコントロールが利用可能になっていますその多くがデータ バインディングをサポートします。表 1 はコントロールの一覧です。

ButtonCheckBoxColorDialogComboBoxContextMenu
DateTimePickerDomainUpDownErrorProviderGroupBoxHScrollBar
ImageListLabelLinkLabelListBoxListView
MainMenuMonthCalendarNumericUpDownOpenFileDialogPanel
PictureBoxProgressBarRadioButtonSaveFileDialogStatusBar
TabControlTextBoxTimerToolBarToolTip
TrackBarTreeViewVScrollBar  

表 1. Smart Device Extensions に含まれるコントロール

フォームにコントロールを追加する

Visual Studio .NET のツールボックスでは、eMbedded Visual Basic のツールボックスと同じように作業することができます。ツールボックスでコントロールを選択してフォーム上に移動します。図 7 は、フォーム上にボタンが追加された状態を示しています。Visual Studio .NET の [Format (書式)] メニューには、配置、サイズ、スペース、中央揃え、位置のロックなど、ユーザー インターフェイスの設定ツールが一式そろっています。


図 7. フォームへのボタンの追加

プロジェクトを管理する

.NET Compact Framework のプロジェクトは、[Solution Explorer (ソリューション エクスプローラ)] ウィンドウで管理します。[Solution Explorer (ソリューション エクスプローラ)] (図 8) ウィンドウは、機能的には eMbedded Visual Basic の [Project Explorer (プロジェクト エクスプローラ)] ウィンドウと似ており、プロジェクトとそのコンポーネントへのアクセス、およびそれらの設定を行うことができます。


図 8. Visual Studio .NET Solution の [Solution Explorer (ソリューション エクスプローラ)] ウィンドウ

プロジェクト項目

eMbedded Visual Basic がサポートするプロジェクト項目は、フォームと標準モジュールのみと限られていましたが、Smart Device Extensions for Visual Studio .NET では、さまざまなプロジェクト項目を選択できます。サポートされているプロジェクト項目とそのファイル拡張子ならびに簡単な説明を表 2 に示します。

プロジェクト項目ファイル拡張子説明
アセンブリ情報ファイル.vbバージョンやアセンブリ名などのアセンブリ情報が保存されます。
アセンブリ リソース ファイル.resxローカライズプロパティが TRUE に設定されている場合、プロジェクトのローカライズ情報が含まれます。
ビットマップ.bmp簡単なイメージを作成するときに使用される空白のビットマップ イメージ ファイルです。
クラス.vb初期設定で、空のクラス宣言を 1 つ含むコード ファイルです。
コード ファイル.vbコードが含まれていない空の Visual Basic コード ファイルまたは Visual C# コード ファイルです。
コンポーネント クラス.vbこのクラス (ビジネス オブジェクト) のためにビジュアル デザイナが存在します。
カーソル ファイル.vbカスタム カーソルを作成するためのイメージ ファイルです。
カスタム コントロール.vbグラフィカルな画面を使用しないで、コードを記述して Windows コントロールを作成する必要があります。
データ フォーム.vbデータ接続の作成に役立つデータ フォームです。
データ セット.xsdXSD スキーマのことで、プログラミングによるデータ アクセスに使用できるデータセットのクラスを作成します。
ダイナミック検索ファイル.vsdiscoディスコ ファイルとも呼ばれるこのファイルは、Web プロジェクト内のすべての XML Web サービスとすべてのスキーマを列挙する手段を提供します。
アイコン ファイル.vbカスタム アイコンを作成するためのイメージ ファイルです。
継承されたフォーム.vbWindows フォームはビジュアルの継承機能を使用してほかのフォームを派生できます。ほかのフォームから継承するとき、このフォームを雛形となるフォームとして利用できます。その後、フォームを追加し、その内容を変更します。。
継承されたユーザー コントロール.vbユーザー コントロールと似ていますが、このコントロールは既存のほかのユーザー コントロールから派生しています。
モジュール (Visual Basic のみ).vb初期設定で、関数を保管するために 1 つのファイルが含まれているコード ファイルです。
スタティック検索ファイル.discoXML Web サービスに関する情報の発行に使用されます。
テキスト ファイル.txt書式なしのテキスト ファイルです。
ユーザー コントロール.vbWindows フォーム上に配置できるコントロール (ビジュアル要素) です。このコントロールには、ビジュアル デザイナがあります。
Windows フォーム.vbローカルのアプリケーションに使用する基本的な Windows フォームです。グラフィカル デザインが採用されています。
XML ファイル.xmlXML ドキュメント ファイルです。
XML スキーマ.xsd作成されたクラスを含まない XSD スキーマ ファイルです。

表 2. Smart Device Extensions でサポートされるファイルの種類

プロパティを設定する

Visual Studio .NET のプロパティ ウィンドウでは、フォームとコントロールのプロパティを設定できます。図 9 に示すように、プロパティ ウィンドウには項目別ビューと全体ビューがあります。項目別ビューは、特定のプロパティ セットで作業しやすいように項目を展開したり、折りたたむことができます。


図 9. Visual Studio .NET のプロパティ ウィンドウ

注 : eMbedded Visual Basic で使用されていたコントロールのプロパティのうち、Visual Basic .NET ではプロパティ名が変更されているものがあります。たとえば、Visual Basic .NET ボタンにある Text プロパティは、Caption プロパティでした。

コードを追加する

Visual Studio .NET のコード ウィンドウ (図 10) は、eMbedded Visual Basic バージョンのコード ウィンドウと似ています。メインの編集領域には、コード セクションを展開または折りたたむ機能が追加されています。このウィンドウの左上にあるコンボ ボックスではクラスを選択できます。eMbedded Visual Basic では、ここでオブジェクトを選択できました。コード ウィンドウの右上にあるコンボ ボックスではメソッドを選択できます。eMbedded Visual Basic では、ここでプロシージャを選択できました。Visual Studio .NET のコード ウィンドウは、メンバ一覧の自動作成やパラメータ情報の提供などを含め、強力にコードの記述をサポートします。


図 10. Microsoft IntelliSense® 機能が動作中の Visual Studio .NET コード ウィンドウ

注 : Visual Basic .NET は、メソッドのオーバーロードをサポートします。一般的に、eMbedded Visual Basic 開発者にとってオーバーロードとは新しい概念です。簡単に説明すると、オーバーロードではそれぞれ異なるパラメータ一覧を使用してメソッドを数回宣言することができます。上の図で、メソッドの説明ウィンドウの左端にナビゲーション機能が表示されています。このナビゲーション ツールを使うと、開発内容に最適なメソッドの説明を選択できます。これに関連していますが、Visual Basic .NET ではメソッドに対して定義されたすべてのパラメータの値が必要になります。Visual Basic .NET はオプションの引数をサポートしません。

Visual Basic .NET フォームのコード

Visual Basic .NET を使ってフォームを作成するとは、フォームのインターフェイスを定義するコードを作成するということです。これは eMbedded Visual Basic とは異なります。eMbedded Visual Basic では、フォームの定義はフォームのコードごとに別々に説明されていました。

Windows フォーム デザイナは自動的にこのコードを作成し、フォームのコード モジュールに追加します (図 11)。通常、このコードは領域と呼ばれる場所に表示されません。代わりに、この領域には "Windows Form Designer generated code (Windows フォーム デザイナによって生成されたコード)" というラベルが表示されます。

注 : フォームのこのセクションは、Visual Studio .NET の Windows フォーム デザイナのコンポーネントによって作成および管理されます。このセクションのコードは変更しないでください。変更すると、予期せぬ問題が発生する場合があります。


図 11. 生成されたコードが表示されていないコード

この領域は、コード ウィンドウの左端にあるプラス (+) またはマイナス (-) 記号をクリックして展開および折りたたむことができます。Windows フォーム デザイナで生成されたコードを展開すると、フォームのインターフェイスを定義していたコードが表示されます (図 12)。


図 12. 生成されたコードが表示されたコード (フォームおよびコントロールの定義に注目)

プロジェクトを設定する

プロジェクトのプロパティは、プロパティ ページ ダイアログ ボックスで設定します。このダイアログ ボックスには、[Project (プロジェクト)] メニューの [Properties (プロパティ)] をクリックしてアクセスするか、[Solution Explorer (ソリューション エクスプローラ)] ウィンドウでプロジェクトをマウスの右ボタンでクリックして、ポップアップ メニューの [Properties (プロパティ)] をクリックします (図 13)。


図 13. プロジェクト プロパティへのアクセス

プロパティ ページ ダイアログ ボックス (図 14) では、プラットフォーム、デバイスの種類、ターゲット出力フォルダなどのデバイス デプロイメントの詳細など、プロジェクトのすべてを設定できます。


図 14. プロジェクト プロパティの設定

アプリケーションをビルドする

アプリケーションをビルドするには、[Build (ビルド)] メニューの [Build (ビルド)] をクリックします。ビルドの結果は [Output (出力)] ウィンドウに表示されます (図 15)。


図 15. プロジェクト ビルドの結果が表示された Visual Studio .NET の [Output (出力)] ウィンドウ

[Output (出力)] ウィンドウには、デプロイメント メッセージの表示、例外の処理、ステータスの通知が表示されます。デプロイメント メッセージには、デバイス情報、ソース フォルダおよびターゲット フォルダ、ファイル情報、メモリ使用率が含まれます。例外の処理情報には、接続タイムアウト、メモリ不足、パスが見つからない、アクセス拒否、共有違反、キャンセルされたデプロイメント、その他の予期せぬエラーが含まれます。ステータス情報には、成功、失敗、およびスキップされた項目が含まれます。コンパイルおよびデプロイメントに関する問題を解決するには、[Output (出力)] ウィンドウを参照します。

アプリケーションをテストする

eMbedded Visual Basic と同様に Smart Device Extensions でも、エミュレータまたはデバイスでアプリケーションをテストできます。eMbedded Visual Basic IDE のように、Visual Studio .NET IDE を強化する SDE には、テスト用のターゲットを選択できるメニュー バーのインターフェイス (図 16) があります。


図 16. デプロイメント ターゲットの選択

SDE のまとめ

正直なところ、私は Windows CE オペレーティング システムにおける Visual Basic ベースの開発にばかり気をとられていました。Windows CE 向けの最初の Visual Basic を開発しようとして数年後、その願いを叶えるかのように eMbedded Visual Basic が出てきました。そして、もうすぐパワフルでこれはできた魅力的でパワフルなほかのツールがリリースされます。近い将来リリースされる SDE ベータ版を試してください。それと、Visual Basic .NET 技術も磨いておいてくださいね。これらは、移行する際に必要です。

新しい旅の始まり

以上でSDEの簡単な紹介は終わりです。次回は、SDE の理論は終わりにしていよいよこのパワフルな新ツールを実際に使って、アプリケーションの基本的な作成方法を説明します。それでは、さようなら。

 



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