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The Next Web Now - UNIVERSITY

特集

ソフトウェア開発におけるユーザーエクスペリエンス戦略

第 1 回 ユーザーエクスペリエンスの定義とピラミッド モデル

■ ユーザーエクスペリエンスの定義

「ユーザーエクスペリエンス」という言葉自体は様々な場所で使われるようになってきましたが、使われる文脈や人によってその意味が大きく異なるようです。かっこいいデザインのことを指していたり、エルゴノミクスやユーザビリティ テストのことを指していたり、「おもてなし」のようなキーワードで説明されていたり、状況によってさまざまな意味で使われています。

それも仕方がないかもしれません、ユーザーエクスペリエンスの共有可能な定義は実はまだ決まっていないようです。2008 年 5 月に開催された ACM 主催のコンピュータ ヒューマン インタラクションの学会・カンファレンス CHI2008 で、「Towards a Shared Definition of User Experience」というセッションが開催されていました。こういった議論がされるということは、まだ共有可能な定義がないことと、それが必要とされていることを意味します。そこでは 5 つの定義を UX の研究者と実践者にアンケートとして問い合わせた結果が発表されていました。その時使われた資料 (英語) はこちらにありますので参照してみてください。5 つの定義は以下のとおりです。

定義 1: 企業・そのサービス・その製品と、エンドユーザーとのインタラクションの全側面。代表的な UX の第一の要件は、混乱や面倒なしに、顧客の正確なニーズに合致することである。第二の要件は、所有して楽しく、使って楽しい製品を作り出す簡素さと優雅さである。真の UX は、顧客が欲しいというものを与えたり、チェックリストにある機能を提供するだけでは十分でない。
[http://www.nngroup.com/about/userexperience.html]

定義 2: インタラクションが発生する際の (ex.組織的・社会的背景、アクティビティの意義、使用の任意性など) 、ユーザーの内部状態 (素質、期待、ニーズ、動機、ムードなど) 、設計されたシステム (ex.複雑さ、目的、ユーザビリティ、機能性など) 、コンテキスト (あるいは環境) の結果。[Hassenzahl & Tractinsky 2006]

定義 3: ユーザーと製品との間のインタラクションから生じる全ての影響。それに含まれるのは、我々の全感覚の満足度 (美的体験) 、その製品に付加された意味 (意味的体験) 、生じた感覚と感情 (感性的体験) 。
[http://studiolab.io.tudelft.nl/static/gems/hekkert/DesignAesthetics.pdf]

定義 4: 製品やサービスとのインタラクション[あるいは予測されたインタラクション]から派生する価値と、使用する文脈においてサポートする特色 (ex.時間、場所、ユーザーの傾向) 。
[http://download.intel.com/corporate/education/emea/event/irc/files/David_Sward.pdf]

定義 5: 個々のデザインとインタラクションするときに人が持つ体験の品質。その範囲は、コップや玩具やウェブサイトのような個々の生成物から、博物館や空港のような統合された体験まで。
[http://uxnet.org/]

アンケートの結果は次のとおりです。研究者の多くは定義3を選び、研究者以外では定義1を選んでいます。皆さんならどの定義を選びますか? もちろんこれしかないわけではないので、もっと自分にぴったりした定義を持っているという方もいるかもしれませんが、ここでは「共有可能」な定義を質問しているため、5 つに限定されています。

研究者研修者以外
定義 1 18%41%
定義 2 25%18%
定義 3 32%14%
定義 4 7%9%
定義 5 18%18%
■ ユーザーエクスペリエンスのピラミッドモデル

「Towards a Shared Definition of User Experience」で議論されていた内容の 1 つに「ピラミッドモデル」の議論がありました。これは、「ユーザーエクスペリエンスは、『ユーザー中心設計 (UCD) 』を基にして、『機能、ユーザビリティ、楽しさ』の 3 つの要素から構成されているという」概念モデルです。このピラミッドモデルは「ユーザーエクスペリエンス」の基本手法と構成要素を明示しており、どの定義を選ぶにしろ、共有可能で合理的なモデルでしょう。現在のソフトウェアでは、機能だけでは不十分であり、ユーザビリティを考慮しなければならないというのは当然のことでしょうし、Webのようなコンシューマ向けのサービスを考えた場合、「楽しさ」という要素が無視できないことも確かなことです。これらの構成要素を実装するための基本手法としてユーザー中心設計 (UCD) を位置付けています。確かに「ユーザー」を中心に据えなければ、これらの構成要素を正しく評価することができませんし、「ユーザー」によってそれぞれの構成要素の重みづけも変化します。

ユーザーエクスペリエンスのピラミッドモデル

次回は、ユーザーエクスペリエンスによってどのようなメリット・利益が得られるのかということについて紹介します。


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