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REMIX07 Fun Innovation Garage メイン ステージ
「美しい家電 amadana で作るユーザー エクスペリエンス」
〜 住空間そのものを innovate せよ 〜

「美しいカデン」として注目を集める “amadana” のキーマン 2 人が REMIX オンステージ! 家電の常識を破る存在感あるデザイン、質感と機能性で絶大な支持を集める “amadana” のブランド マネージャー、株式会社リアル・フリート 代表取締役の熊本 浩志氏とクリエイティブ ディレクターの鄭 秀和氏が、Fun Innovation Stage で共演していただくことになりました。商品のデザインにとどまらず、製品ラインアップや流通、カスタマーサービス・アフターサービスに至るまで家電メーカーとしてあらゆるファクターを 「デザイン」 するという “amadana” のコンセプトと、住空間そのものを Innovate することが私たちの生活をどのように変えていくのか、を語っていただきます。

【登壇者】
熊本 浩志氏
株式会社リアル・フリート 代表取締役/amadana ブランドマネージャー
鄭 秀和氏
有限会社インテンショナリーズ 代表 / 株式会社リアル・フリート クリエイティブ ディレクター

【ナビゲーター】
ショーン・K 氏

Fun Innovation Stage 1 概要

新しいビジネスの最前線でイノベーティブを実践する方々、クリエイティブの現場でイノベーションを起こす方々、はたまたテクノロジーの分野で次世代の技術を拓く方々など、いま輝いているゲストをご招待。ここでは “amadana” のキーマンである熊本 浩志氏と鄭 秀和氏が、“amadana” の創造の源泉と魅力、そして 「“amadana” が考えるユーザー エクスペリエンス」 について語り尽くします。

美しい家電 amadana で作るユーザー エクスペリエンス 株式会社リアル・フリート クリエイティブディレクター 鄭 秀和氏(左)と株式会社リアル・フリート 代表取締役/amadanaブランドマネージャー 熊本 浩志氏(右)
美しい家電 amadana で作るユーザー エクスペリエンス 株式会社リアル・フリート クリエイティブディレクター
鄭 秀和氏(左)と株式会社リアル・フリート 代表取締役/amadana ブランドマネージャー 熊本 浩志氏(右)

会場の模様1 会場の模様2
会場の模様 1 会場の模様 2

ショーン・K(以下司会): まず amadana ブランドをご存じのお客さん、手を上げてください。
(大多数の観客が手を上げる)
熊本 浩志(以下熊本): ちょっとビックリしましたね。逆かと思ってましたけど。
司会: あらためて amadana ブランドについてご説明いただけますか?
熊本: 私たちリアル・フリートは、5 年前の 2002 年 11 月に立ち上げた家電のベンチャー企業になります。もともと東芝にいた私、鄭、そしてもう 1 人 (田部井雅基) がスピンアウトして会社を設立、 amadana ブランドを立ち上げたのが 4 年前 (2003 年) になります。通常の家電メーカーは作ることに専念して、販売は他がやるというスタンスですが、私たちは企画・デザイン・製造・販売をすべて一貫して手掛けています。エンドユーザーに近いところで、自分たちが作ったものをお客さんに直接売りたい、売るだけじゃなくて何かを伝えたい、何か文化を創っていきたい、そういう想いからこういうブランドを立ち上げました。
司会: amadana の由来は何かあるんですか?
鄭 秀和(以下鄭): もともと江戸時代の日本橋 (現在の東京・日本橋室町 1 丁目付近) に漆職人の町があったようで、その地名 「尼店」 (あまだな) からとりました。20 世紀の家電は、日本の大きな産業だと思うのですが、新しい 21 世紀に向けて新しい漆、新しい JAPAN を売っていこうというコンセプトですね。
司会: 鄭さんのプロジェクト チームの中での立ち位置とミッションをご紹介いただけますか?
鄭: リアル・フリートについては非常勤という形で、基本的にはインテンショナリーズというデザイン ファームをやっています。そこではいちおう 3 次元に限定していますが、家電から家具、超高層建築までを手掛けています。今回の amadana も 1 つの空間の中にある “家具としての家電” というような位置づけですね。

鄭氏が手掛けたデザインの数々 1 鄭氏が手掛けたデザインの数々 2
鄭氏が手掛けたデザインの数々 1 鄭氏が手掛けたデザインの数々 2


司会: Web も作られていますが、そこに一貫する考え方、クリエイションを今日は伺いたいと思います。いま目の前に amadana プロダクツが並んでいますが、ご紹介をいただけますか?
熊本: amadana プロダクツは、現在 30 ラインアップぐらい商品としてあるんですが、その一部が並んでいます。人気商品としてはコードレスフォンなどがありますが、クリエイター、企業社長、芸能人、ショップなどで愛用いただいてます。作り方が普通の工業製品とは変わっていまして、アクリルの板材をくりぬいて作っていたりします。通常の工業製品は金型を作ってどんどん成形していくわけですが、クラフト・ワーク的な要素を盛り込んで、通常の樹脂で作るパーツと切削して作るパーツ、そして手に触れる部分に愛着を持ってもらえるよう天然のパーツを組み合わせています。経年変化で自分の味になっていく、そういうプロダクトを目指すということで、天然レザーを使ったりもしています。ただし、形だけのデザインにとどまらず、音なども重視しています。
電話機については、着信音・保留音に気を遣うだけでなく、たとえば 「ただいま留守にしております」 というメッセージを、実は夏木マリさんがやられていたりします。キューブリック監督の映画 「2001 年・宇宙の旅」 で HAL が断末魔に歌う童謡をロボットの声で再現したりだとか……。スぺックとしては語られていませんが、自分たちが使いながらワクワクするようなプロダクトを目指しながら開発しています。
鄭: こちらのオーブントースターも取っ手に天然の素材を採用しています。大きなデザインコードでいうと、「家電に素材感を入れる」 というコンセプトがあるんですが、やみくもにいろんな素材を使うというわけでなく、手に触れる部分など、優しく空間に調和するような佇まいを意識しています。

amadana のプロダクツを手にしながら解説する熊本氏
amadana のプロダクツを手にしながら解説する熊本氏


司会: 従来の白物家電といわれるものとまったく違いますね。たとえばこのドライヤーなどは、洗面所にあってもドライヤーと気づかれないんじゃないかと感じます。
熊本: (こういう家電は) 買った瞬間が一番ドキドキするもんだと思うんですけど、使いながらだんだんいろんなことに気づいていく、あるいは 1 年ごとに変化していく、そういったことを開発段階でとても気にします。たとえばトースターには LED のライトが付いていて、デジタル表示のジョグダイアルになっています。普通ならデジタルらしくビープ音が鳴るのでしょうが、「美味しくパンが焼けたよ!」 という合図は 「チーン」 というアナログな鐘の音だと思うんです。デジタルでもアナログの音を再現したいというと、ムリだと言われたんですが、スピーカーを積んでサンプリング音で再現するようにしました。ちょっとマヌケな感じの音なんですが、あえてそういうカワイイ音にしてたりします。
司会: たくさんのプロダクトを作られているので、こういうプレゼンテーションの場では、後付けで説明を加えることもできるかと思います。観客の皆さんが知りたいのは 「どうしてこういうプロダクトができたのか」 という部分だと思います。


司会: 「ユーザー エクスペリエンス」 という今回のテーマについては、どうお考えですか?
鄭: 定義としては難しいと思いますが、amadana に関していえば、まず 「自分自身もエンドユーザーである」 ということですよね。自分自身が納得するかということと、隣にいる人間 (熊本氏) が納得するかということが基本です。そして会社の人間がこれを世に出したいと思える瞬間があるかどうか、です。
司会: 不特定多数を想定するのではなく、自分自身が納得するかどうか、ですね。自分の感度が問われますね。
熊本: 工業製品のようなマス プロダクトの世界では、なるべく確率の高いものを採っていくという手法だと思います。そのとき、アパレルも家電業界も大きなマーケットですが、アパレルと違って家電は、作れるメーカーが 10 社ほどしかないんですよ。それが徹底的に違うところで、お客さんが選択できる商品がそもそも少ないわけです。その中でまったく同じ手法をとっても、我々が生まれた意味がありません。わずかなお客さんでも、感動して、愛着を持ってもらって、そういう変わり方をするブランドになることが我々の使命だと思います。潜在的に眠っているニーズを引き起こすというか。
司会: しかし、トーク前の雑談時に 「ユーザー ニーズなんて、もうないよ」 といったこともおっしゃっていましたが?
熊本: すいません (笑)。分業化されている世の中では、そういう (ユーザー ニーズを掘り起こして顕在化させるような) やり方はリスクになると思います。ただ、作ること、プロモーションすること、売ることを一貫して自分たちでやっているので、川下から川上まで遡って (ニーズがきちんと) 届くということはあると思います。
司会: 「アウトソーシングすることで、コストを下げる・リスクを回避する」、そして 「自分たちの力は発想や創造といった部分に注力する」 という考え方もあると思いますがどうでしょう?
熊本: 全部がそうではなくて、ある程度内製化することに意味がある部分があると思います。とくに何を基軸にして考えるかというと、「ユーザーとのコミュニケーション」 の部分です。そこだけは絶対に端折らない。


司会: 鄭さんが送り出すものは、マーケット ニーズに応えるより、我々がビックリしたり感動したりするような、ある種の 「驚き」 を与えてくれるものだと思いますが、これが当たる “打率” を上げていくために、コンセプト メーカーとして考えていることなどはありますか?
鄭: 私の作っている空間というのは 「完成形でプレゼンテーションできない」 という、非常に戦い方としては難しいものなんですよね。建物をプレゼンテーションするときに、100 分の 1 の模型を作ったり、3 次元 CG や図面を使ったりするわけですが、そこには 100% の理解が存在しないんです。自分と受け手であるクライアントが思っていることに距離感があるんですよね。それを 「駄目なこと」 と考えるのか 「期待感」 と考えるのか、そのとき僕はつねに 200% でお返ししたいと思っているんで、それができたときに 「期待感」 として、家電の中でも 1 対 1 ではなく、1 対 1 万、1 対 100 万で当たるだろうなあと自分の中で思っています。
司会: 新しさ・進歩性・新規性に対するものとして、経済性・採算性という問題があり、「商売として儲かるのかね」 という場合に、その折り合いはどう付けるんでしょう?
鄭: どうですかね。何をもってして成功とするのかで、いろんな断面が切れると思います。たとえば、話題になった・媒体に露出したということも 1 つの経済活動だと思いますし、リアル・フリートは、とくにさまざまな断面の切り方を持っていると思います。今のところ、この 4 年間については我々が生まれてきたことが、その評価軸になっていると思います。
熊本: 「両方含めて、一貫して判断できる」 という組織を作ってしまうことが効率的だと思いますよ。プログラミングにおけるデザイナーとデベロッパーの関係とも同じですが、(進歩性・新規性を尊重するスタッフと経済性・採算性を尊重するスタッフとが) お互いに尊重しあって意見を出し合えるということが大事でしょう。先ほど 「分業化」 という話が出ましたが、組織である以上、自分が見えないところに対して否定をしてしまったりしないよう、全部自分たちで一貫して行い、最終的な損益も自分たちで受け止めないといけないわけです。
司会: コスト面が増大したりはしませんか?
熊本: 大量生産が前提になってくると効率を求めると思いますが、まだ我々はそこにまで行っていませんし、小ロットで大事に作って大事に売っていくというスタンスですので、そうはなってないと思います。


司会: ユーザー エクスペリエンスについては、機能を満たすだけでなく 「情緒」 や 「愛着」 というものがありますよね。でも機能がほとんど同じだから、値段も同じぐらいじゃないといけないのに、他の物より高い品物がある。それでも売れる場合、それは 「ブランド価値」 だと思うのですが、 “amadana におけるブランド” とは何でしょうか?
鄭: エルメスなんかは歴史の積み重ねがあると思うんですけど、 amadana はそれをいま積み重ねながら、全速力で走っている感じですね。
熊本: 事実として、(市場に同種のものが) 「なかった」 というのが大きいと思います。「生まれたことの新しさ」 が一番大きかった。一方でまだ世の中の人は amadana をほとんど知らない。だから、すでに知っているお客さんを大事にしてファンにしていくか、つねに感動し続けるということに向き合ってやっていかなければと思ってます。


司会: amadana のそういった考え方やポリシーは、 Web の世界にも通じるものだと思いますが、 Web についてはどうお考えですか?
鄭: 自分の中では取捨選択というか、「自分にとって必要なのかどうか」 をつねに考えています。自分の周りはめまぐるしく変わっているわけですが、本当に必要なのかどうかを考えちゃってますね。
司会: 私は Web 2.0 ありきテクノロジーありきで考えがちなんですが。
鄭: そういったものが生まれてくる “必然性” はあると思うんですけど、「そこに自分がどう参加するか」 を考えちゃうんですよね。「いま周りがこうだから○○」 というような判断基準はないです。
司会: 「Web をこう変えたい」 といった部分はありますか?
鄭: よくレコードを買ってるんですけど、情報の取得の仕方が変わらなかったり、しっくりくるものが探しにくかったり、ジャンルを逸脱してるものがおもしろいんだけど見つからなかったり……。そういう自分の 「検索の仕方」 を考えちゃったりはしますね。
司会: Google の検索アルゴリズムではなく、“自分というアルゴリズム” を作りたい?
鄭: それが作れたら最高ですね。
熊本: 僕は鄭とは違って、流行っていたらいろいろ使っちゃうんですけど、その中でアイデアをいただくこともありますし、アイデアが浮かぶのは Web だったりするんですよ。すぐに手も付けられる。その一方で、僕らがやっている工業製品作りなんてのは 20 世紀の産業なんで、もの凄く進化していないんですよ。その中で価値だけが下がっていっている……。そして、やろうと思っても時間がかかる。いまから始めても出来上がるのは 3 年後かもしれない。そのときに価値が変わっているかもしれない。そういうところで上手く Web を活用することで、価値を伝えて、物体としての “FUN” を伝えて、形としてのおもしろさを伝えて、ユーザーとコミュニケーションをとるように変えていきたいなあと思ってます。


司会: これからの amadana の展開、無謀(笑)、希望、何でもかまいませんので、お聞かせください。
鄭: いま “形” という話が出ましたが、そういう形のないもの、インフラみたいな部分で amadana が進化する可能性もなくはないでしょう。 1 個のものを作るのに 1 年以上かかっちゃうわけで、結果として形になっているわけです。 amadana というのは 「考え方の 1 つ」 「家電の解釈の仕方」 なので、時代とともに変わる可能性はあります。
熊本: タイミング的に具体的な話はできませんが、 10 月に大きなプロジェクトの発表を予定しております。皆さんにもメッセージが伝わると思いますが、それが 1 つのターニングポイントになると思います。先ほど鄭が言った 「形のないサービス」 だったり 「インフラ」 だったりに amadana が変わっていくキッカケになるかもしれません。
司会: 今日はありがとうございました。

amadana の創造の源泉は 「期待感」 と語る鄭氏 amadana のプロダクツ
amadana の創造の源泉は 「期待感」 と語る鄭氏 amadana のプロダクツ

 

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