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REMIX07 Fun Innovation Garage メイン ステージ
「多角的ユーザー エクスペリエンスの検証」
〜 Web における新たなユーザー エクスペリエンス創造へのヒント 〜

デザインを通じて 「よくすること」 を目指す気鋭のアートディレクター、good design company の水野 学氏と、Fun Innovation Garage 会場の空間プロデュースを手掛けた建築家、納谷 学+納谷 新氏と、DESIGN ASSOCIATION の川又 俊明氏による、innovative なトークショー。広告デザインからブランディング、店舗開発や空間演出まで幅広く活躍する水野 学氏と、店舗デザインや住宅建築で数々の賞を受けている納谷 学+納谷 新氏には、「ユーザー エクスペリエンスの創造」 をキーワードに多角的な視点から 「ものづくり」 について語っていただきます。

【登壇者】
good design company
水野 学氏

納谷建築設計事務所
納谷 学氏
納谷 新氏

DESIGN ASSOCIATION
川又 俊明氏

【ナビゲーター】
ショーン・K 氏

Fun Innovation Stage 2 概要

新しいビジネスの最前線でイノベーティブを実践する方々、クリエイティブの現場でイノベーションを起こす方々、はたまたテクノロジーの分野で次世代の技術を拓く方々など、いま輝いているゲストをご招待。ここでは水野 学氏、納谷 学+納谷 新氏、川又 俊明氏が 「創造とは何か」 「ユーザー エクスペリエンスとは何か」 を語り明かします。

ナビゲーターのショーン・K 氏 左より、good design companyの水野学氏、建築家の納谷学+納谷新氏、DESIGN ASSOCIATIONの川又俊明氏
ナビゲーターのショーン・K 氏 左より、good design company の水野 学氏、建築家の納谷 学+納谷 新氏、DESIGN ASSOCIATION の川又 俊明氏

■ good design company
   http://www.gooddesigncompany.com/


ショーン・K :
(以下司会)
本日は、こちらの 3 組 4 名の皆様にお話を伺うわけですが、その前に、プロフィールや実績などを教えてください。
水野 学:
(以下水野)
実績は大してありません(笑)。というのは冗談で、good design company は、グラフィック デザインを中心として、アウトプットの形は考えずに、建築っぽいもの、ファッションぽいもの、ときには雑誌みたいなものもやっている会社です。
これはうちの会社のギャラリーです。玄関をギャラリーにしちゃって、いろんなことに使っていただいてます。
good design company のギャラリー
good design company のギャラリー
水野: これはオフィスです。だいぶ広角で撮っているので広く見えますが、気持ちよく仕事できるよう、実際もかなりのスペースを確保しています。
good design company のオフィス
good design company のオフィス
水野: これは屋上です。屋上緑化で苔が生えてます。
good design company の屋上 作品に見入る観衆
good design company の屋上 作品に見入る観衆
水野: 広告だと、3 〜 4 年前になりますが、全日空で 「Travel Smap」 という、SMAP に出演いただいたものを手掛けました。全日空で沖縄に行くと、SMAP みたいな人に逢えるかもしれないよ、というキャンペーンです。
Travel Smap ポスター
Travel Smap ポスター
水野: NTT ドコモのクレジット サービス 「iD」 の、ロゴ マークやネーミング、広告展開などをすべてやらせていただいてます。
iD の広告看板
iD の広告看板
水野: 最近ですと、石田衣良さんの 「REVERSE リバース」 という書籍の装丁を手掛けました。後お笑いグループで 「ラーメンズ」 という人たちがいて、ものすごくマニアックなカリスマ人気を誇っているんですが、彼らのアート ワークをゼロからやりました。
ラーメンズ第 15 回公演 「ALICE」 DVD ジャケット
ラーメンズ第 15 回公演 「ALICE」 DVD ジャケット
水野: 後はいま、森美術館でル・コルビジェ展をやっているんですけど、それのアート ディレクションをやりました。
ル・コルビジェ展ポスター
ル・コルビジェ展ポスター
水野: 「TOKYO SMART DRIVER」 は首都高速の安全運転キャンペーンなんですが、放送作家の小山薫堂さんとやらせていただいてます。垂れ幕を高速道路に掲げたり、はじめて高速道路をデザイン化したという案件です。料金所で働く方がこの腕章をして働いてくれていたりします。
TOKYO SMART DRIVER デザイン
TOKYO SMART DRIVER デザイン
水野: こちらは、納谷さんと本日お会いできると聞いて、お恥ずかしいですけど、自分で手掛けた内装の写真を持ってきました(笑)。
水野 学氏の手による内装
水野 学氏の手による内装
水野: こちらは赤坂にある 「阿部」 という料理店の店内です。日本人の昔からある良さ、というか、大家族…寺内貫太郎一家といっても知らない人もいるかもしれませんが、ああいう大テーブルで食事する楽しさみたいなものを演出しました。
赤坂「阿部」の店内
赤坂 「阿部」 の店内
水野: その他、ブログもやってます。今日のこともアップしますので見てください。
司会: ありがとうございます。本当にデザイン可能なものは、何でもやるんですね。
水野: 技術としてデザインがあるだけで、別に出口は何でもいいんですよ。 Web だろうがポスターだろうが何でも同じかなあと。納豆の粒の大きさまで考えちゃう(笑)。
司会: 何でもデザインしてしまうという発想を常日頃からお持ちなんですね。
水野: デザイナーというのは、よく医者に例えられるんですけど、患部がお客様自身に分かっていないときがあります。胃が痛いと思っていても、実は胃じゃないときもある。それを見付けて処方してあげるのが、デザイナーの役目かなと思ってます。大手術もあれば栄養剤程度になるときもあるわけです。
司会: 限りなくコンサルティングに近いのかもしれませんね。
水野: そういうふうに見ていただけると嬉しいですね。
左より、good design companyの水野学氏、建築家の納谷学+納谷新氏、DESIGN ASSOCIATIONの川又俊明氏
左より、good design company の水野 学氏、建築家の納谷 学+納谷 新氏、DESIGN ASSOCIATION の川又 俊明氏


■ 納谷建築設計事務所
   http://www.naya1993.com/


司会: 納谷建築設計事務所の納谷 学さん (兄)、納谷 新さん (弟)はご兄弟でいらっしゃっるんですよね。
納谷 新: 2 人で始めて、いま 15 年目になるんですけど、住宅をメインで建築しています。年 1 回ぐらい、ショップやこういったイベントを手掛けています。大きなものも手掛けたいんですが、だいたい住宅から仕事はスタートするので、それが次に連鎖している形ですね。その 15 年の間に住宅ですと 50 軒ぐらい、ショップ、イベント、イノベーションなどを合わせると 70 軒ぐらいを手掛けてきています。
司会: どちらかがコンセプト寄り、どちらかが基本設計寄りとか、お 2 人の棲み分けはあるんでしょうか?
納谷 学: まったくないですね。歳は 5 つ離れているんですけど、そこを差別しちゃうと、後で気持ちよく迎えてもらえないので(笑)。
司会: どちらもコンセプトにも図面にも口を出す、という形ですね。
納谷 新: たまにアニキ風を吹かされますけどね(笑)。
司会: 「Fun Innovation」 や 「次世代 Web」 といったテーマがあったと思いますが、今回の会場についてはどういったコンセプトでしょうか?
納谷 新: 最初に 「ガレージ」 というお話をいただいて、こちらのエリアだけを見ると、ストレートに工場を建てたみたいに見られがちですけど、会場に入ったところで、そこがインテリアな空間という話ではなく、さらに入ることで、ここがエクステリアに見えるような、そういったネガポジのような効果をやりたかったんですね。
司会: では、作品のご紹介をお願いします。
納谷 新: これは玉川台の住宅です。けっこう高額な建て売りだったんですけれども、ここで試みたことは、4 組の建築家が同じところでやったんですよね。区画が 4 つあり、それぞれ別に設計をしたんですが、区画割りの段階から建築家同士で話し合い、打ち合わせして進めました。その中で僕たちが考えたことは、建て売りというとギュウギュウ詰めの意識があるので、お互いの間に少しだけ隙間を作ってあげれば、間が大きく空くのではないかということを考えました。南側を空けて北側に寄せるのではなく、西に寄ったり東に寄ったりしながら、真ん中に共有の豊かな空間を作ろうというところからスタートしました。
その中で僕たちの棟で考えたことは、1 つの箱を作って中を間仕切るのではなく、最初に部屋の大きさを設定しました。部屋ごとに 7 つの箱を作り、それを並べて、ただまっすぐ積まないで法的な規制をクリアして積んでいったのがこの形なんです。結果として箱と箱のズレ部分がテラスになったわけです。
玉川台の住宅(外観)
玉川台の住宅 (外観)
納谷 新: 家の中でも箱のズレが起こります。左の写真のように、床に段差が付いたり、部屋によって色を変えて箱のズレを強調したりしています。
玉川台の住宅(内装)
玉川台の住宅 (内装)
納谷 学: こちらはとても自然環境の良いところで、玉川台の住宅とはまったく逆の手法を採っています。部屋を並列に並べるんですけど、ただ並べただけでは均一になってしまうので、それぞれの部屋にアクセスするときに少しだけ地面を掘っていく、というルールを作りました。
北茨城の住宅 (外観)
北茨城の住宅 (外観)
納谷 学: つまり、ステップ階段で何段か下りるんですけど、天井の高い空間が欲しいときには 4 〜 5 段下りていくとか、落ち着きたいときは 2 〜 3 段上がるとか、平面的にはフラットに並んでいるんですけど、3D だと断面構成の面白いものになってます。
少し掘り下げているので、外のデッキの土に埋まっている部分が手すりぐらいの高さになっています。
北茨城の住宅 (内装)
北茨城の住宅 (内装)
納谷 学: 「カミノシゴト」 は、美濃の手漉き和紙が有名なところで手掛けたものです。和紙というと建物の中で 2 次的な部材にしか使われていないので、紙だけで空間を構成するような提案ができないかということで、幅が 1700 ミリメートル、高さが 8 メートルの筒状のスペースを作っています。
カミノシゴト
カミノシゴト


■ DESIGN ASSOCIATION
   http://www.c-channel.co.jp/
   東京デザイナーズウィーク
   http://www.c-channel.co.jp/jp/exhibition/index.php


司会: DESIGN ASSOCIATION での川又さんの立場はどのようなものですか?
川又 俊明:
(以下川又)
僕の立場はお三方とは違って、いわゆるプロデューサーの立場で仕事をしています。大仰な名前ですが 「DESIGN ASSOCIATION」 という建築・インテリア・グラフィック・イラスト・フォト、いろいろな縦割りのジャンルを、我々は横割りでゆるやかに横断していきたい、という NPO の運動体です。
代表的なプロデュース作業としては、「東京デザイナーズウィーク」 というイベントを毎年秋に行っています。今年は 22 年目なんですが、明治神宮外苑を中核の会場にして 10 月 31 日 〜 11 月 4 日の間、東京都内をデザインで溢れさせるというようなイベントです。
昨年は明治神宮前の軟式野球場を会場にして、巨大なテントやコンテナを使って展開しました。納谷さんにお願いしてデザイナーさんとコラボレーションして作ったコンテナもありました。
DESIGN ASSOCIATION のロゴ 東京デザイナーズウィークのロゴ
DESIGN ASSOCIATION のロゴ 東京デザイナーズウィークのロゴ
川又: 昨年から “テーマは LOVE” ということで、愛=デザインという形でやらせていただいてます。
テーマは LOVE
テーマは LOVE

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司会: デザインの最前線にいて常に Innovate していると、“新しいものほど、受け入れられないかもしれない” というリスクがあると思います。そういったリスクはどうやって解消していますか?
水野: 基本的には、「新しいことで正しいこと」 と 「新しいことで間違っていること」 があると思います。僕は、「答えは最初から机の上に置かれている」 と考えるタイプなんですよ。つまりクライアントが答えをすべて知っている、Web でいえば作らなきゃいけない正解は出ている、なのでそれを丁寧に小説のように紡いでいく作業が正しいのだと思います。
司会: 非常に科学的なアプローチですね。デザイナーというと、情緒・感性が中心の本能的な人が多いと思っていましたが……。
水野: そういうふうにやっていると行き詰まるので、A の次は B、B の次は C とやっていくタイプです。



司会: 納谷さんにお聞きします。建築の場合は、そこに住んでいる方がユーザーになると思いますが、「お客さん価値」 というのは過去現在未来とどう変わっているのでしょう?
納谷 新: 20 年 〜 30 年前のお客さんと、いま僕たちが接しているお客さんでは明らかに異なっています。以前は量というか、絶対的な住戸数が欲しいとかだったと思うんですが、いまはもうそれだけではお客さんが満足しなくて、最近のクライアントはあまり条件を僕たちに言わなくなっているんですね。「びっくりさせてくれ」 とか 「すべて任せます」 とか、極端に抽象的な注文だったり……。そういうお客さんというのは、たぶん昔はいなかったと思います。
司会: お客さんはニーズが分かっていない状態でいらっしゃってるんですよね。
納谷 新: でもそれを楽しんでますよね。お客さんは、自分自身が考えつく程度のものは、デザイナーが当然考えているだろうと思うから、それ以上のものを期待してるんですよね。ですから、求められている以上のもの、いい意味で期待を裏切るもので騙してあげないと、お客さんも納得できないようです。



司会: 川又さんに伺います。いろんなデザイナーもご覧になっているし、プロデュース、プロジェクト マネージメントもされていますよね。デザイナーが持っておくべきスキルや能力は何でしょうか?
川又: 僕がいろいろな方と仕事をしている中で感じていることは、プロデューサー能力に長けていることだと思います。
司会: プロデューサーって何でしょうか? いった者勝ちみたいなところがありますよね?
川又: 自分の目指したい方向のゴール地点に対して、人をうまくアサインしたりコストをはめ込んだりという、マネージメントをしながら、イラストレーター、カメラマン、デザイナーなどをコラボレーションをしていく人ではないでしょうか。
水野: 分かりやすい言葉でいうと、僕は 「通訳」 とよく言ってます。いま川又さんがおっしゃった、クリエイターをつなぐ脳を持っているか持っていないかが大きいと思います。
川又: クライアントであったり、納谷さんでいう施主さんとをつないであげる役割ですよね。建築家もそうだと思います。
司会: お客さんの要望をデザイナーに通訳して、デザイナーの専門用語の説明をお客さんに通訳する。そういう役割を背負っているのだと思いますけど、リーダーとして一番注意すべきこと、身につけておくべきスキルは何でしょうか?
川又: 僕が常々思って動いているのは、“化学反応” ですね。たとえば、水野さんのように広告の世界で活躍されている方を建築に引っ張り出すなど、別の世界にあえて連れてくるわけです。そこの着地点を見定めて、お願いして、通訳をしていく、ということだと思います。



司会: 本日のイベントのテーマの 1 つは 「次世代 Web」 ですが、こうだったらいいな、僕ならこうするという話を聞かせてください。
水野: 僕は Web に関してはいろいろな悩みがあって、1 つは 「ホームページを立ち上げるのは雑誌を創刊するのだと思ったほうがいい」 ということです。中身がない Web が多すぎる。雑誌を立ち上げると考えれば、ライターも記事も必要になる。その考え方が必要なのが第 1 点。
そして 2 つ目に時代が急にデザイン化したので 「文字の組み方の見本が Web にはまだない」 ということです。いろいろな制限はありますが、そういうところに立ち返る部分、この2つが基本だと思います。
納谷 学: 僕らの世界は割と現実的なことが要求されます。 Web 上のことで何ができるか考えると、少し前までは全部手書きだったのが、いまは CAD に移行して Photoshop や Illustrator も組み合わせて作っている。それがもう少し、動的な視点で僕らがプランニングした空間を見せられたり、そこにリアリティがあったりすると、プレゼンテーションがもっとスムーズに行くかなと思ってます。それがややこしい手続きではなく、クライアントの要望や質問に、その場でキーボードを叩いて答えられるぐらい簡単になってほしいと思います。
納谷 新: Second Life 内で建物を設計してみたいとか思いますね。本当の世界とは違うバーチャルな感じ、というのが面白いと思います。ただ現実として、全部 CAD で設計図を書いていても、コンピュータはまだまだ鉛筆に変わった道具でしかない感じがするので、それがもっと飛躍するようなことが起こってほしいと思います。自動車が 4 輪だと変わらないように、車輪が無くなって “跳んで” ほしいと思います。
川又: いまツールという話がありましたが、「作るためのツール」 になっている部分を、いかにここにいるデザイナーの皆さんの作品の中に取り込めるか、という点が重要だと思います。建築の中に Web というものや IT 技術を使って、物を作っていけるようになるか、というのが面白くなっていくところでしょう。そこに IT は欠かせません。技術とデザインが一緒になって、新しいユーザー体験が可能になっていくのだと思います。
水野: デザインの波、物を作る波というのが来ていると思います。だからこそチャンスでもありピンチでもある。真剣にやっていくと、絶対盛り上がっていくんじゃないでしょうか。凄く強く近年思うようになりました。
司会: 皆さんありがとうございました。
Fun Innovation Garage も終盤に
Fun Innovation Garage も終盤に

 

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