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 SQL Server 2005 Express Edition 概要
SQL Server 2005 Express Edition 概要

Rajesh George

June 2004
日本語版最終更新日 2004 年 7 月 6 日

対象 :
   SQL Server 2005

概要 : この資料では、SQL Server 2005 テクノロジをベースに、無償で提供される SQL Server 2005 Express Edition を簡単に紹介しています。この製品固有の Application XCopy などのさまざまなコンポーネントや機能を説明すると共に、SQL Server の他のエディションとは異なるネットワークなどの分野について説明します。また、SQL Server 2005 Express Edition と Visual Studio 2005 との統合についても紹介します。最後に、この製品を MSDE や Jet などの既存の Microsoft® の無償データベースと比較および対比します。

目次

はじめに1. はじめに
    はじめに1.1 対象となるシナリオ
はじめに2. SQL Server 2005 Express Edition Beta 2 の主要機能
    はじめに2.1 エンジンの仕様
    はじめに2.2 ツール サポート
    はじめに2.3 ネットワーク サポート
    はじめに2.4 データ アクセス サポート
    はじめに2.5 セキュリティ
    はじめに2.6 レプリケーション サポート
    はじめに2.7 SQL Service Broker
    はじめに2.8 Application XCopy
    はじめに2.9 セットアップと展開
    はじめに2.10 言語サポート
    はじめに2.11 サポートに関する考慮事項
    はじめに2.12 必要なハードウェアとソフトウェア
    はじめに2.13 64 ビットのサポート
    はじめに2.14 SQL Server 2005 Express Edition に同梱されていない機能
はじめに3. Visual Studio との統合
はじめに4. 他のマイクロソフト製の無償データベースとの比較
    はじめに4.1 MSDE との比較
    はじめに4.2 Jet との比較
はじめに5. まとめ

はじめに

SQL Server 2005 Express Edition は、SQL Server 2005 テクノロジに基づいた、使いやすい、無償のデータベース製品です。SQL Server 2005 Express Edition は、使いやすく、優れたデータベース プラットフォームを提供するようにデザインされているので、対象としているシナリオで最も迅速な展開が可能になります。インストール処理の過程をユーザーにガイドする、単純で堅牢なセットアップのグラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) から使いやすさを体感できます。SQL Server 2005 Express Edition に無償で同梱されている GUI ツールには、Express Manager (Alpha バージョン) と Computer Manager があります。これらのツールにより、基本的なデータベース操作が簡素化されます。また、これらのツールは、趣味で開発を行っている開発者が使用することを念頭においてデザインされています。データベース アプリケーションのデザインと開発は、Visual Studio プロジェクトととの統合により、さらに容易になります。さらに、データベース アプリケーションを一般的な Windows ファイルのように移動して展開する機能も導入されています。また、Service Pack や修正プログラムの適用も簡素化され、自動化されます。

SQL Server 2005 Express Edition では、その他のバージョンの SQL Server 2005 と同じデータベース エンジンを使用するので、高い信頼性とパフォーマンスが得られます。また、データベース エンジンには、ADO.NET、SQL Native Client、T-SQL などのデータ アクセス API を使用してアクセスできます。その他の SQL Server 2005 エディションとの事実上の相違点には以下のものがあります。

  • エンタープライズ機能はサポートされていません。

  • CPU は 1 つに制限されます。

  • バッファ プールが 1 GB に制限されています。

  • データベースは最大 4 GB まで拡張可能です。

SQL Server 2005 Express Edition では、自動終了のような機能、データベースをファイルのようにコピーできる機能は既定で有効になっていますが、高可用性機能やビジネス インテリジェンス機能はありません。Express アプリケーションは SQL Server 2005 Standard エディションまたは Enterprise エディションとシームレスに機能するので、必要に応じて非常に容易にスケールアップできます。また、無償で、迅速かつ便利なダウンロードを可能にするために、Web ダウンロード サイズを慎重に管理しています。

この資料では、Application XCopy、ネットワーク、セキュリティなど、SQL Server 2005 Express Edition 固有のコンポーネントと機能について説明します。一般的な使用シナリオに関するガイドラインを提供します。また、Microsoft Visual Studio 2005 を使用して容易になる、データ アプリケーション開発についても説明します。この説明の対象者は、以下のとおりです。

  • 趣味で開発を行う開発者やその他の専門家ではない開発者

  • データベース開発者、管理者、および運用のスペシャリスト

  • ビジネス アナリスト

  • 技術面の意思決定者

対象となるシナリオ

SQL Server 2005 Express Edition は、2 種類の異なる用途を想定して開発されました。最初の用途は、サーバー製品、特に web サーバーやデータベース サーバーとしての使用です。2 番目の用途は、ネットワークに依存しないアプリケーション データ アクセスを行う、ローカル クライアント データ ストアとしての使用です。使いやすさと単純性が、デザインの重要な目標になっています。

SQL Server 2005 Express Edition の 3 つの主な使用シナリオには、以下のものがあります。

  • Web アプリケーションのビルドが専門ではない開発者

  • SQL Server 2005 Express Edition を低価格のサーバーまたはクライアント データ ストアとして再配布する ISV

  • 基本的なクライアント/サーバー アプリケーションのビルドを趣味にしている開発者

SQL Server 2005 Express Edition では、これらのシナリオに対応する機能を豊富に備えた、使いやすく、信頼性のあるデータベース プラットフォームが提供されます。ISV による使用や再配布を容易にするために、セットアップと展開の容易性と信頼性を特に考慮しています。

SQL Server 2005 Express Edition Beta 2 の主要機能

SQL Server 2005 Express Edition では、SQL Server 2005 の他のエディションと同じデータベース エンジンが使用され、プログラム上の機能はまったく同一です。これらの詳細については、SQL Server 2005 Books Online を参照してください。ここでは、SQL Server 2005 Express Edition 固有の機能、またユーザーに大きな影響を与える機能について詳しく説明します。

エンジンの仕様

SQL エンジンでは、1 CPU、1 GB の RAM、および 4 GB のデータベース サイズがサポートされます。このようにしくみが単純であるという点で、SQL Server 2005 の他のエディションと簡単かつ適切に区別できます。データベース エンジンにはそれ以外のワークロードに違いはなく、他のエディションと同等のパフォーマンスを示します。

SQL Server 2005 Express Edition をマルチプロセッサ コンピュータにインストールして実行できますが、常に 1 CPU のみが使用されます。内部的には、ユーザー スケジューラ スレッドの数が 1 つに制限されているので、1 回に 1 CPU のみが使用されます。このような制限により、クエリの並列実行のような機能はサポートされません。

1 GB の RAM という制限は、バッファ プールに使用できるメモリが制限されることになります。バッファ プールは、データ ページやその他の情報を格納するために使用されます。ただし、このバッファ プールの制限では、接続、ロックなどの追跡に必要なメモリは含まれていません。そのため、サーバー全体として 1 GB を超えるメモリが使用されることはあっても、バッファ プールで 1 GB を超えるメモリが使用されることはありません。AWE や 3 GB データ アクセスはサポートされません。

4 GB のデータベース サイズという制限は、データ ファイルのみに適用され、ログ ファイルには適用されません。ただし、サーバーにアタッチできるデータベース数に制限はありません。SQL Server 2005 Express Edition のスタートアップは少し変更されています。ユーザー データベースは自動では開始されません。また、DTC も自動では初期化されません。ただし、ユーザーのエクスペリエンスに関しては、スタートアップが高速になるという以外は違いはありません。SQL Server 2005 Express Edition を使用することを計画しているアプリケーションのデザイン時に、このような変更点を考慮しておくことをお勧めします。

同じコンピュータに、SQL Server 2000、SQL Server 2005、または Microsoft® Desktop Engine (MSDE) と共に、複数の SQL Server 2005 Express Edition をインストールできます。一般的に、SQL Server 2000 インスタンスを SP3a 以上にアップグレードしておくのが最善です。1 台のコンピュータにインストールできる SQL インスタンス数の上限は 50 です。他のインスタンスと区別するために、これらのインスタンスには一意名を付ける必要があります。

既定では、SQL Server 2005 Express Edition は SQLEXPRESS という名前付きインスタンスとしてインストールされます。複数のアプリケーションやアプリケーション ベンダ間でこの特定のインスタンスを共有することを想定しています。アプリケーションで特別な構成が必要とされない場合は、このインスタンスを使用することをお勧めします。SSL (Secure Socket Layer) 認証などの構成が必要な場合、その構成によってインストール全体が影響を受け、別の名前付きインスタンスが必要になる場合があります。ただし、それ以外の場合は共有インスタンスで十分です。共有インスタンスを使用するもう 1 つの利点は、アプリケーション ベンダが、アプリケーションと共に SQL Server 2005 Express Edition をインストールすることを心配せずに済み、アプリケーションのインストール シナリオが簡単になることです。

SQL Server 2005 Express Edition 向けのプログラムで使用できる API は SQL Server 2005 向けの API と同じなので、ユーザーが SQL Server 2005 の他のエディションを使用することを選択した場合も、そのまま API を使用できます。CLR 統合などの SQL Server 2005 のすべての新機能、VARCHAR(MAX) や XML などの新しいデータ型、ユーザー定義型、およびユーザー定義集計がサポートされています。また、SQL Server 2005 Express Edition データベースを SQL Server 2005 にアタッチできるので、SQL Server 2005 Express Edition インスタンス用に作成されたアプリケーションは SQL Server インスタンスでも同様に機能します。レプリケーションと SQL Service Broker 機能も使用できます。これらについては後半で詳しく説明します。

ツール サポート

SQL Server 2005 Express Edition は使いやすさを目的としてデザインされており、グラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) ツールにより、データベースの初心者でも SQL Server 2005 Express Edition の基本的なデータベース機能を簡単に使用できます。SQL Server 2005 Express Edition Manager (XM) という新しい GUI ツールは、別途、Web サイトから無償でダウンロードして入手できます。XM を使用することにより、データベース管理機能やクエリ分析機能を簡単に使用できます。ダウンロードするファイルのサイズは小さく、また無償で再頒布できます。

XM では、SQL Server 2005 Express Edition への接続以外に、他の SQL Server 2005 エディション、SQL Server 2000、および MSDE 2000 への接続もサポートしています。接続ダイアログ ボックスはわかりやすくデザインされており、ユーザーは使用するインスタンスや認証方法を選択して接続することができます。ローカル接続とリモート接続の両方で XM を使用できます。オブジェクト エクスプローラには、インスタンス、テーブル、ストアド プロシージャなど、使用される共通のオブジェクトが階層形式で表示され、ユーザーがデータベースに視覚的にアクセスするのに役立ちます。

すべてのデータベース管理機能は、オブジェクト エクスプローラで右クリックしコンテキスト メニューを表示することにより使用できます。表示されるデータベース管理のオプションには、データベース、テーブル、ログイン、およびユーザーの作成と変更などがあります。このような共通のデータベース オプションの多くは、ユーザーをガイドするタスク ウィザードで使用できます。一方、タブ付きウィンドウ ドキュメント形式で使用できるデータベース オプションも多く存在します。たとえば、XM では New/Edit Database ドキュメントが提供されます。これは、既存のデータベースの編集だけでなく、新規のデータベースの作成にも使用されます。

多くのデータベース ユーザーは、T-SQL を使用してサーバーを管理することを選択します。この方法は、グラフィカル インターフェイスよりもきめ細かく制御できるためです。XM のクエリ エディタでは、T-SQL ステートメントとスクリプトの開発と実行が可能です。クエリ エディタにはキーワードの色設定やデータ グリッド形式で結果を返す結果ペインなど、豊富な機能があります。エラー メッセージがあれば、それも結果ペインに表示されます。

図

1: Workbench クエリ   エディタ

XM の配布は、SQL Server 2005 Express Edition とは別に Web サイトからダウンロードする形式で行っています。ユーザーは、実行可能ファイルをクリックするだけでセットアップを起動できます。また、セットアップを再度起動するか Windows コントロール パネルのプログラムの追加と削除を使用することにより、XM をアンインストールできます。Beta 2 のリリース時点では、使用できない機能もあります。

SQL Server 2005 Express Edition に同梱されるツールには、SQL Computer Manager、SQL Command、および BCP があります。SQL Computer Manager は、SQL Server サービスの開始と停止、およびネットワーク プロトコルの有効化と無効化に使用します。SQL Command はコマンド ラインでの接続とクエリ実行に使用し、BCP はデータの一括コピーに使用します。

SQL Computer Manager は MMC スナップインで、管理者はこれを使用して、基本的なサービスやネットワーク プロトコルを構成できます。このツールは、サーバー ネットワーク ユーティリティ、クライアント ネットワーク ユーティリティ、サービス マネージャなどの以前のツールと同等のツールです。SQL Server のパフォーマンス上の特性や操作を調節するものではありません。

SQL Computer Manager には、"Microsoft SQL Servers" ノードが表示されます。その下の階層には、すべてのサービス、サーバー ネットワーク プロトコル、およびクライアント ネットワーク プロトコルが表示されます。[services] ノードには、使用可能なすべての SQL Server 2005 Express Edition サービスと、サーバー インスタンスの名前、サービスの状態、スタートアップの種類などの詳細情報が表示されます。特定のサービスを選択することや、サービスの開始、停止、一時停止、再開などの操作を行えます。[Server Network Protocols] ノードには、コンピュータに存在する各インスタンスのプロトコルが一覧表示されます。プロトコル (たとえば、TCP) を右クリックすると、そのプロトコルを有効にしたり無効にしたりできます。また、プロトコルのプロパティを変更することも可能です。[Client Network Protocols] ノードでも同様のオプションを使用できます。[Server Network Protocols] ノードは SQL Server インスタンスのプロトコル設定を直接処理し、[Client Network Protocols] ノードは MDAC や SQL Native Client プロバイダのプロトコル設定を処理することに注意してください。[Client Network Protocols] ノードでは、SQL Server のもう 1 つの名前である別名を作成し、サーバー名、使用しているプロトコル、接続文字列、および暗号化情報などの情報を格納できます。

SQL Command は既存の osql ツールの OLE DB 版ツールです。osql との機能面での互換性維持を目的とするだけではなく、SQL Server 2005 の新しいデータ型もサポートします。どのコマンド ライン オプションを使用しても、標準出力に情報が出力されます。ただし、操作の失敗時に表示されるエラー メッセージを除きます。SqlCmd -? コマンドを使用すると、sqlcmd スイッチの構文の要約が表示されます。

SQL Computer Manager と SQL Command は、SQL Server 2005 Express Edition と SQL Server 2005 の他のエディションとの間に違いはありません。

ネットワーク サポート

TCP/IP や名前付きパイプなど、他にサポートされているプロトコルをユーザーが明示的に有効にすることもできますが、SQL Express 用に既定でアクセスできるのは、ローカル コンピュータの共有メモリのみです。VIA プロトコルと HTTP プロトコルは、SQL Server 2005 Express Edition ではサポートされていません。ネットワーク サポートを有効にしない限り、既定の共有メモリを使用するだけでは、リモート コンピュータから SQL Server 2005 Express Edition に接続することはできません。ネットワークを有効にする方法として、以下の選択肢が用意されています。

  • SQL Computer Manager を使用して、関連するプロトコルを有効にし、SQL Browser を起動します。図 2 に、このツールを使用してネットワーク プロトコルを有効にする方法を示します。

  • 前もってネットワーク サポートが必要なことが分かっている場合、セットアップ コマンド ラインで、DISABLENETWORKPROTOCOLS=0 を使用します。

  • SMO ベースのスクリプティングを使用して、プロトコルを有効にします。

SQL Browser は、名前付きインスタンスが受信待ちを行うポートの識別に使用する、SQL 2005 の新しいサービスです。共有メモリでは SQL Browser が使用されないので、SQL Server 2005 Express Edition ではこのサービスは既定で無効になっています。つまり、ネットワーク アクセスを可能にするには、このサービスを開始する必要があります。ここで理解する必要がある興味深い事実は、SQL Browser が、UDP ポート 1434 で受信待ちを行うということです。ただし、ポート UDP 1434 を保持する SP3 以前のバージョンの SQL Server 2000 では、ポートの開放が拒否されるので、SQL Browser の名前解決に失敗することがあります。この問題を回避するには、コンピュータ上のすべての SQL Server 2000 インスタンスと MSDE インスタンスを SP3 以降にアップグレードします。

2: SQL Computer Manager を使用したプロトコルの有効化

データ アクセス サポート

SQL Express では、他のエディションの SQL Server 2005 と同じネイティブ プロバイダとマネージ プロバイダがサポートされます。これにより、SQL Server 2005 Express Edition 向けに記述されたアプリケーションが他のエディションの SQL Server とシームレスに連携できるという大きな利点が得られます。

SQL Server 2005 Express Edition では、マネージ アクセス用に ADO.NET がサポートされます。Application XCopy 機能のほとんどは SqlClient によってのみ使用できるので、新しいアプリケーションの開発には SqlClient データ プロバイダを使用することをお勧めします。ADO.NET 2.0 データ プロバイダ (Visual Studio 2005 で使用できます) では、varchar(MAX) や XML などの新しい SQL Server のデータ型とユーザー定義型がサポートされます。

SQL Server 2005 からは、サーバーの論理セッションが物理接続から切り離されます。クライアントとサーバーのトランスポート層はどちらも更新されており、1 つの物理接続で複数の論理セッションを確立できるように、多重化機能が提供されます。これにより、クライアントは同一の接続に複数の Multiple Active Result Sets (MARS) を用意できるようになります。MARS は、一般的に、複数の接続を用意する必要性を取り除くことを目的とはしていないことに注意してください。MARS は、SQL Server 2005 では既定で有効になっており、SQL 操作のインターリーブを可能にします。たとえば、結果セットを操作し、その処理中に、新しい接続を開かなくてもデータベースに対してステートメントを実行できます。MARS は、このようなシナリオの大部分で効果的にカーソルを置き換え、データの取得操作と更新操作をすべて同一のトランザクション内で行う際に特に役立ちます。

また SQL Server 2005 では、アプリケーション スレッドがデータ転送操作によってブロックされるのを防ぐために、非同期入出力 (I/O) がサポートされます。これにより、クライアント アプリケーションの応答が最大限に高速化されます。このモデルでは、I/O 呼び出しが直ちに返され、I/O の完了が非同期にアプリケーションに通知されます。これにより、アプリケーションの他の処理を続行し、後から I/O の完了イベントを確認できるようになります。

SQL Server 2005 リリース時に使用できるデータ アクセス コンポーネントは、オペレーティング システムの一部である MDAC スタックと、ネイティブ データ アクセスに SQL Server 固有のデータ アクセス ライブラリを提供する SQL Native Client プロバイダの 2 種類です。SQL Native Client は、新しいアプリケーションを記述しているか、既存のアプリケーションを拡張して SQL Server 2005 の新機能を利用する SQL OLEDB、SQL ODBC、および ADO ユーザーを対象としています。

SQL Native Client には、SQL OLE DB、SQL ODBC、SQL BCP、および SQL Networking Interface に対する SQL Server 2005 の追加機能が含まれています。MARS、ユーザー定義型、XML データ型などの SQL Server 2005 の機能は、C または C++ プログラマが SQL Native Client を使用してのみ利用できます。SQL Native Client は、MDAC の既存のコンポーネントとは別の独立した新しいコンポーネント (新しいクラス ID) から構成されます。たとえば、OLE DB の Progid には SQLNCLI が使用され、ODBC ドライバ名には SQL Native Client が使用され、ヘッダー ファイルには SQLNCLI.h が使用されます。

SQL Native Client は、単一の DLL (SQLNCLI.dll) です。つまり、オペレーティング システムのコンポーネントではないので、サービスが簡素化され、アプリケーションの再配布と展開が容易になります。SQL Server とアプリケーションの新しいリリースごとに、このプロバイダの最新のバージョンを使用するように明示的に構成マニフェストを変更できる、更新された SQL Native Client がリリースされます。

MDAC プロバイダと SQL Native Client プロバイダ間の相互作用に基づいた興味深い動きがあります。たとえば、MDAC 2.5、2.7、または 2.8 では、共有メモリを使用して SQL Server 2005 に接続することができません。これにより、SQL OLE DB または SQL ODBC を使用するすべてのネイティブ アプリケーションに影響があります。影響を受けるアプリケーションは、既存のネイティブ アプリケーションだけでなく、マネージ OLE DB アプリケーションやマネージ ODBC アプリケーションも含まれます。これは、これらのアプリケーション内部で MDAC が使用されているためです。通常 SQL Server では、共有メモリ接続が失敗した場合、TCP/IP などのネットワーク プロトコルが使用されます。しかし、SQL Server 2005 Express Edition ではネットワークが既定で無効になっているので、これらのアプリケーションは必ず接続に失敗します。この問題を回避するには、SQL Native Client プロバイダを使用するか、ネットワークの伝送制御プロトコル (TCP) を有効にして SQL Browser を起動します。

セキュリティ

SQL Express の目的の 1 つは、さまざまなコンポーネントを既定でセキュリティで保護することです。たとえば、TCP/IP や名前付きパイプなどのネットワーク プロトコルは無効になっています。SQL Browser サービスは、ユーザーがセットアップ コマンド ラインで明示的に要求しない限り開始されません。Windows 認証を使用している場合、sa (システム管理者) アカウントは既定で無効になっています。コンピュータの一般ユーザーには、SQL Server 2005 Express Edition インスタンスに対する特権はほとんど与えられません。サーバーのローカル管理者は、一般ユーザーが SQL の機能を使用できるように、関連するアクセス許可を明示的に一般ユーザーに与える必要があります。

sa ログインは、SQL Server の特殊なログインであり、sysadmin ロールのメンバです。sa ログインは、SQL 認証モードを使用する構成で主に使用され、Windows 認証モードでは使用されません。セキュリティ上の理由から、SQL では強力な sa パスワードを用意する必要があります。またユーザーは、GUI インストールおよび SQL 認証モードによるサイレント インストール中に、強力な sa パスワードを提供する必要があります。ただし、Windows 認証によるサイレント インストールの場合は、sa パスワードは必要ありません。これは、Windows 認証モードを使用するときは、SQL Server 2005 Express Edition のサイレント セットアップで、パスワードがユーザーにより指定されない場合、ランダムに強力な sa パスワードが提供されるためです。また、この場合、sa アカウントはセットアップで無効になります。このため、sa アカウントを使用する場合は、T-SQL または Express Manager を使用して後から明示的に sa を有効にする必要があります。この動作は、ISV が Windows 認証を使用する際にパスワードを提供する必要性を取り除くことにより、大量の展開を行うシナリオが妨げられないようにすることを目的としています。今後のリリースでは、この機能は Windows ベースの GUI インストールにも拡張される可能性があります。

レプリケーション サポート

ユーザーは、レプリケーションによって、複数のサイトにデータのコピーを保持できます。レプリケーションでは、ユーザーが定義した間隔でコピーを同期するパブリッシャとサブスクライバのモデルが使用されます。SQL Server 2005 Express Edition では、マージ パブリケーション、スナップショット パブリケーション、およびトランザクション パブリケーションへのサブスクリプションはサポートされますが、パブリケーション自体は許可されていません。SQL Server 2005 Express Edition でのレプリケーションのサブスクリプションは、完全に機能します。ただし、SQL Server 2005 Express Edition には SQL エージェントが同梱されていないので、サブスクリプションのスケジュールすることは非常に困難です。以下の方法によって、SQL Server 2005 Express Edition のサブスクリプションを同期することができます。

  • Replication Management Objects (RMO) を使用して、プログラムで同期します。

  • Express Manager は、オンデマンド同期を公開しますが、この機能は beta2 では利用できません。

  • 定期的な同期には Windows 同期マネージャを使用します。

SQL Service Broker

SQL Service Broker (SSB) は、SQL Server の新しい信頼性の高いメッセージング インフラストラクチャです。サービス プログラムは、ダイアログと呼ばれる、ピア ツー ピア メッセージ交換コントラクトによって通信することを選択できます。この機能には、T-SQL 言語の拡張機能によってアクセスできます。

SQL Server 2005 Express Edition では、他のエディションの SQL Server と組み合わせる場合のみ Service Broker を使用できます。SQL Server 2005 Express Edition がもう 1 つの Express インスタンスから Broker メッセージを受信し、メッセージが Express 以外のエディションの SQL Server からのアクセスされない場合、そのメッセージは削除されます。このため、メッセージが Express インスタンスから発信されており、最終的に Express インスタンスに到達させる場合は、Express 以外のインスタンスを経由してルーティングされる必要があります。プロファイラからアクセスできる "Message Drop" トレース イベントを調べるか、トレース ストアド プロシージャを使用して、この種の現象の発生を追跡できます。通常、削除されるメッセージに関連するエラー メッセージには、"This message has been dropped due to licensing restrictions..." という文章が含まれます。

スケールアウトのサンプル シナリオを考えてみましょう。アプリケーションには、キャッシュ レジスタに展開される 100 個の SQL Express インスタンスがあります。インスタンスは、バックエンドで Express 以外のエディションの SQL Server 2005 に接続しています。このシナリオは、バックエンド サーバーがすべてのダイアログに関与している限りは、適切に動作します。SQL Express インスタンスは、バックエンドを経由しないで、相互に成功するダイアログに関わることはできません。

Application XCopy

Application XCopy は、SQL Server 2005 Express Edition の新機能で、データベースをファイルのように扱う機能が提供されます。ローカル データベースは、このアプリケーションにより、移動、コピー、電子メール送信が可能になります。このアプリケーションを動作させるため、新しい場所で追加の構成を行う必要はありません。SQL Server 2005 Express Edition には、Application XCopy のサポートを有効にする 3 つの主な機能があります。接続文字列の AttachDBFilename オプション、論理データベース名を指定する要件の削除、および自動終了です。

Application XCopy には、いくつか暗黙的の前提事項があります。SQL Server 2005 Express Edition が、インスタンス名 SQLEXPRESS で、コンピュータに既にインストールされていることを前提とします。また、Application XCopy はマネージ スタックのみのソリューションで、.NET SQL Server データ プロバイダを使用して XCopy 展開できるアプリケーションを開発する必要があります。つまり、SQL Native Client または MDAC を使用して、Application XCopy 可能なアプリケーションを開発することはできません。また、Beta 2 でこの機能を使用するには、コンピュータの管理者であるか、SQL Server のシステム管理者である必要があります。

通常、アプリケーション開発者は、アプリケーションと共にユーザー データベースとログ ファイルのみをコピーすることになります。ただし、SQL Server では、master と呼ばれる特別なシステム データベースにいくつかの構成エントリが存在します。master のエントリに依存する機能には、SQL 認証 (できる限り Windows 認証を使用することをお勧めします) があります。アプリケーションが master の任意のエントリに依存している場合、アプリケーション開発者はこれらの構成エントリが、対象のシステムに複製されることを確認する必要があります。これを確認する 1 つの方法は、対象のコンピュータにアプリケーションがインストールされるときに実行される SMO、DMO または T-SQL 構成スクリプトをアプリケーションと共に含めることです。Windows 認証で実行されるアプリケーションの大部分は、master データベースから情報を複製しても、問題にはなりません。

AttachDBFileName

AttachDBFileName 接続文字列エントリに、相対ファイル パスまたは絶対ファイル パスを指定できます。指定されたデータベース ファイルは、接続が開いている間にアタッチされ、このデータベースがその接続の既定のデータベースとして使用されます。AttachDBFileName が呼び出されるときにデータベースが既にアタッチされている場合、アタッチは行われません。このキーワードによって、|DataDirectory| と呼ばれる特別な文字列がサポートされます。この文字列により、実行時にデータベース ファイルが格納されているアプリケーションのデータ ディレクトリが参照されます。この特殊な文字列をファイル パスの先頭部分に配置する必要があります。この文字列は、ローカル ファイル システムに対してのみ機能し、確認は "\..\" 構文に対して行われます。このため、最終的なファイル パスが、置換文字列によって指されているディレクトリよりも上位のディレクトリになることはありません。

AttachDBFileName を使用する際のログ ファイルの使用法には、いくつかのバリエーションがあります。ログ ファイル名は、<database-File-Name>_log.ldf という形式にする必要があります。また、AttachDBFileName を使用するときにログ ファイル名を指定するオプションはありません。たとえば、データベース ファイル名が myDb.mdf で、ファイルの場所が c:\myApp の場合、ログ ファイル名は myDb_log.ldf になります。SQL が同じディレクトリにデータベース ファイルとしてこのファイルを見つけられない場合、アタッチ中に新しいログ ファイルが作成されます。つまり、AttachDBFileName を使用するときは、ユーザーがログ ファイル名を定義することはサポートされていません。

SQL Server では、1 つのデータベースに対して複数のデータ ファイルとログ ファイルの使用がサポートされており、これらのファイルを複数のファイル グループに分散できます。このような使用法は、AttachDBFileName 構文ではサポートされません。また、ネットワーク共有、HTTP パス、または汎用名前付け規則 (UNC) 形式のリモート データベースもサポートされません。

論理データベース名

接続文字列に論理データベース名が指定されていないと、アタッチされるデータベースに自動的に名前が生成されます。生成される名前は、.mdf ファイルの関連するファイル パスに基づいています。たとえば、ファイルが c:\myDocuments\Myapp\myDB.mdf の場合、論理データベース名はフルパスに基づくので、組み込み関数 GenDBNameFromPath を呼び出すことで論理データベース名を取得できます。ファイル パスが 128 文字を超える場合、この関数が既存のパスやハッシュを使用して、論理データベース名を生成します。SQL Server 2000 ではデータベース名を指定しないとエラーが発生するので、これは SQL Server 2005 Express Edition の新しい関数です。サポートされる構文には、database=; または initial catalog=; があります。または、ユーザーは接続文字列内でこれらを完全に省略することもできます。

この機能は、論理名に基づくファイル パスが一意になるので、データベースを同じコンピュータで移動またはコピーするときに便利です。この機能が存在しなかった場合に、同じ論理名を使用して 2 つの異なるディレクトリのデータベースを開くと、SQL Server 内で名前の競合が発生する場合があります。また、コンピュータ間の Application XCopy もサポートされています。

database または Initial Catalog というキーワードを使用すると、論理データベース名を明確に指定することができることに注意してください。レプリケーション、SQL Service Broker、T-SQL クエリで複数部構成の名前、または複数データベースのシナリオを使用するときに、論理データベース名を明確に指定できます。

自動終了

自動終了は、SQL 2000 に存在する機能で、SQL Server 2005 Express Edition では既定で有効になっています。この機能により、ユーザー データベースへの接続がアクティブではないときに、ユーザー データベースのファイルのロックが解除されます。このため、データベースを使用するアプリケーションが終了した後で、データベースを移動またはコピーする準備が整います。

ただし、ユーザーの観点からは、特に、クライアントが予期せず終了した場合、または接続プールを使用している場合は、自動終了が行われない場合があります。クライアントが予期せず終了した場合、タイムアウト メカニズムによって、最終的には接続がクリーンアップされます。接続プールが有効なときは、ユーザーが接続の終了を呼び出しても接続は実際に閉じられません。代わりに、その接続がプールに返されます。すべての接続を終了するには、通常、アプリケーション ドメインをシャットダウンするか、すべての開いている接続を閉じる必要があります。ADO.NET にも、手動でリセットするための 'ClearPool' のような関数があります。

セットアップと展開

SQL Server 2005 Express Edition のセットアップは、SQL Server 2005 のセットアップ処理の簡易版です。SQL Server 2005 Express Edition のセットアップは、堅牢で信頼性が高く、かつ GUI とサイレント インストール モードがどちらもサポートされています。Windows インストーラ (.msi) ベースのテクノロジのみがサポートされています。

SQL Server 2005 Express Edition Web ダウンロードは、SFXCab というマイクロソフト インストール テクノロジを使用して、単一の実行可能ファイルとしてパッケージされています。このダウンロード サイズは、36 MB 未満です。.exe をダブルクリックすると、インストール処理が自動的に開始されます。SQLRun .msi * には、50 個の製品コードが含まれているので、1 台のコンピュータで 50 個の SQL インスタンスをサポートできます。(SQLRun.MSI は、SQL Express インストール用のメイン MSI です。他にも、msxml3.msi、sqlrun_tools.msi、sqlrun_sql.msi など、Web ダウンロードの一部である MSI があります。) ISV は、使用している特定の製品コードについて心配する必要はありません。サポートされている 50 個の製品コードのうちのいずれかを変更すると、マイクロソフトから .msi のサービスが提供されなくなるので、製品コードを変更しないことを強くお勧めします。

* SQLRun.MSI は、SQL Express インストール用のメイン MSI です。他にも、msxml3.msi、sqlrun_tools.msi、sqlrun_sql.msi など、Web ダウンロードの一部である MSI があります。

Visual Studio 2005 バージョンの .NET Framework は、SQL Server 2005 Express Edition をインストールするための前提条件です。適切なバージョンがコンピュータ上で見つからなかった場合は、セットアップでエラーが生成されます。セットアップには、実際のセットアップが開始する前に実行されるシステム構成チェック (SCC) というコンポーネントが含まれています。このコンポーネントにより、システムがインストールの最低条件を満たしているかどうかが確認されます。このような条件には、最低限必要なハードウェア、最低限必要なオペレーティング システム、保留中の再起動要件などがあります。多くのユーザーで保留中の再起動要件に関するエラーが発生する可能性があります。その場合、ユーザーは、コンピュータを再起動しないと SQL Server 2005 Express Edition のインストールを処理できません。SCC の主な利点は、不適切なコンピュータ構成が原因で発生する一般的なインストール エラーが早期に確認され、適切な警告とエラー メッセージがユーザーに表示されることです。たとえば、SCC から警告を受け取った場合でも、コンピュータに 256 MB のメモリが存在すれば、インストールが続行されます。以下の図 3 に、SCC のサンプル スクリーン ショットを示します。

図 3: システム構成チェック

セットアップの開始後、開発経験のレベルにかかわらず、すべての開発者が利用しやすいように、画面が簡素化されていることに気付きます。たとえば、照合順序やサービス アカウントを処理する一部の複雑なダイアログは、既定では [Hide Advanced Configuration] というチェック ボックスを使用して非表示になっています。ユーザーがこのチェック ボックスをオフにすると、詳細設定を行うダイアログ ボックスが表示されます。既定では、セットアップのログ収集が有効になっているので、ユーザーは、\Program Files\Microsoft SQL Server\90\Setup Bootstrap\LOG ディレクトリに作成されたログ ファイルを使用して、すべてのインストール エラーを容易に把握できます。

既定では、SQL Server 2005 Express Edition が、SQLEXPRESS という名前付きインスタンスとしてインストールされるので、アプリケーションで共有 SQLEXPRESS インスタンスが使用されるように設定することをお勧めします。また、SQL では、既定ですべての機能が無効になっているので、インストールするコンポーネントを明示的に選択する必要があります。セットアップ コマンド ラインで ADDLOCAL=All を指定すると、インストールするすべてのコンポーネントが選択されます。コンポーネントを選択する際、ベータ リリースでは、プログラムの追加と削除を使用した修復やメンテナンスがサポートされていないことを認識しておく必要があります。以下の表 1 に、機能コンポーネント ツリーの GUI エントリ、および対応するコマンド ライン オプションを示します。

機能コンポーネントの GUI

機能コンポーネントのコマンド ライン パラメータ : ADDLOCAL の後に、インストールする機能を、スペースを含めずに、コンマ区切りのリストで指定します。

SQL Server データベース サービス

SQL_Engine

データ ファイル

SQL_Data_Files

レプリケーション

SQL_Replication

クライアント コンポーネント

Client_Components

SQL コマンド ライン ツール

Server_tools

接続コンポーネント

Connectivity

プログラミング モデル

ProgrammingModels

管理ツール

SQL_Tools90

SQL Server Computer Manager

SQL_ComputerManagement

表 1: SQL Server 2005 Express Edition の機能コンポーネント ツリーの機能のツリー

独自に製品をインストールするときは、GUI セットアップ モードをお勧めします。通常、SQL Server 2005 Express Edition は、マイクロソフト サイトから Web ダウンロードとして入手するか、アプリケーション CD-ROM から入手します。

アプリケーション インストールの一部として SQL Server 2005 Express Edition をインストールするときは、サイレント セットアップ モードを使用することをお勧めします。このモードでは、インスタンス名 SQLEXPRESS がコンピュータ上に存在するかどうかを確認し、存在しなかった場合は、SQLEXPRESS を自動的にインストールできます。以下に、コンピュータ上の SQL Server 2005 Express Edition インスタンスを容易に識別する方法を 2 つ紹介します。

  • SQL Windows Management Instrumentation (WMI) プロバイダの ServerInstance には、SQL エディションとバージョン情報が含まれています。

  • Select SERVERPROPERTY( "ENGINEEDITION") を実行すると、SQL Server 2005 Express Edition が存在すれば 4 を返します。

セットアップ ブートストラップまたは VS の Click once テクノロジを使用できます。これは、SQL Server 2005 Express Edition、Microsoft Windows インストーラ (MSI)、または Web ダウンロード exe を含めるためのテクノロジです。このテクノロジは、特に ISV にとって役立ちます。SQLEXPRESS インスタンスが既に存在する場合は、SQL Server 2005 Express Edition のインストールを続行しないでください。留意する必要がある 1 つの重要事項は、.msi の変更がマイクロソフトでサポートされていないので、使用してはいけないことです。また、SQL Server 2005 Express Edition では、マージ モジュールもサポートされていません。SQL Server 2005 Express Edition Beta 2 の使用を計画している既存の MSDE マージ モジュール ユーザーはすべて、MSDE をアンインストールしてから、クリーン インストールを実行する必要があります。

以下に、一般的に使用されるコマンド ライン パラメータの一部を示します。

  • SA アカウントのパスワードを指定するために使用する SAPWD。このパラメータは、主に、SECURITYMODE=SQL を一緒に使用している場合に使用されます。SECURITYMODE=SQL を使用すると、混合モード認証が有効になります。厳密な SA パスワードを指定することが重要です。Windows 認証の場合、このパラメータは必要ありません。

  • インストールするすべての SQL Server 2005 Express Edition コンポーネントを選択する ADDLOCAL=ALL。

  • ネットワーク プロトコルを有効または無効にするために使用する DISABLENETWORKPROTOCOLS。既定値は 1 です。つまり、既定では、ネットワークが無効になっています。DISABLENETWORKPROTOCOLS=0 を使用して、インスタンスのネットワークを有効にします。

  • サイレントにインストールするために使用する /qn。

  • 名前付きインスタンスの名前を指定するために使用する INSTANCENAME パラメータ。推奨する既定値は、SQLEXPRESS です。

Beta 2 では、アップグレードがサポートされていません。つまり、MSDE から SQL Server 2005 Express Edition へのアップグレードまたは Express から SQL Server Developer Edition へのアップグレードはすべて無効です。アップグレードのサポートは、今後のリリースで変更される可能性があります。前述のように、Beta 2 では、修復やメンテナンスのシナリオもサポートされていないので、プログラムの追加と削除では対応するボタンが淡色表示されます。レプリケーションなどの新たなコンポーネントを追加する場合は、既存のインスタンスをアンインストールし、新しいコンポーネントを選択して再インストールする必要があります。ネットワーク設定を変更する場合は、メンテナンスや修復のオプションを使用する必要はないことに注意してください。このことに関する詳細については、「ネットワーク サポート」に記載しています。

言語サポート

SQL Server 2005 Express Edition の Beta2 は、英語と日本語にのみローカライズされています。今後のリリースでは、新たな言語を追加する予定で、最終リリースまでには、MSDE でサポートされている 12 言語すべてのサポートを計画しています。対象となる言語は、英語、ブラジル語、ポルトガル語、オランダ語、スウェーデン語、簡体字中国語、繁体字中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、およびスペイン語です。

サポートに関する考慮事項

SQL Server 2005 Express Edition Beta 2 は、Web ベースのドキュメント、SQL Books Online やホワイト ペーパーなどのリソースだけでなく、ニュースグループでもサポートされています。また、有償の PSS サポートも利用できます。

必要なハードウェアとソフトウェア

  • 必要なハードウェア

    • 600 mHz 以上のプロセッサ

    • 1 G のプロセッサ (推奨)

    • 256 MB 以上の RAM (セットアップの警告対象)

    • 512 MB の RAM (推奨)

    • 170 MB 以上のハードディスクの空き領域 (前提条件として .Net が必要)

    • 800 x 600、256 色以上のビデオ

    • 1024 x 768 High Color - 16 ビットのビデオ (推奨)

  • " 必要なソフトウェア

    • " Microsoft Internet Explorer 6.0 SP1 以降

    • Microsoft .NET Framework 2.0

  • " オペレーティング システム

    • Microsoft Windows 2000 SP4 Professional

    • Microsoft Windows 2000 SP4 Server

    • Microsoft Windows 2000 SP4 Advanced

    • Microsoft Windows 2000 SP4 Data Center

    • Microsoft Windows XP SP1 Professional 以降

    • Microsoft Windows 2003 Server 以降

    • Microsoft Windows 2003 Enterprise 以降

    • Microsoft Windows 2003 Data Center 以降

    • Microsoft Windows Small Business Server 2003 Standard 以降

    • Microsoft Windows Small Business Server 2003 Premium 以降

64 ビットのサポート

SQL Server 2005 Express Edition では、64 ビット プラットフォーム上での Windows on Windows (WOW) がサポートされます。基本的に、WOW は 64 ビットのコンピュータ上で 32 ビットの Express を実行することを意味します。ただし、この機能は今後のリリースで動作させることが予定されており、Beta 2 の使用期間中は利用できません。したがって、64 ビットの Visual Studio 2005 Beta 1 には、SQL Server 2005 Express Edition をインストールするためのオプションがありません。

SQL Server 2005 Express Edition に同梱されていない機能

SQL Server 2005 Express Edition では使用できず、他の SQL エディションでは使用できる機能には、以下のものがあります。

  • データのミラー化やクラスタ化などの可用性機能

  • フルテキスト検索

  • SQL エージェント

  • Reporting Service

  • Notification Services や Analysis Services などのビジネス インテリジェンス プラットフォーム

  • SQL 2000 Enterprise Manger に変わる新しい GUI ツールである、SQL Management Studio

Visual Studio との統合

SQL Server 2005 Express Edition は、Visual Studio (VS) のすべての 32 ビット エディションと共にインストールされます。VS では、SQLEXPRESS という名前のインスタンスを使用して SQL Server 2005 Express Edition がインストールされます。Beta 2 では、アプリケーションは SQLEXPRESS というインスタンス名に依存していますが、この依存は、今後のリリースで変更される可能性があります。VS と SQL Server 2005 Express Edition の統合の目標は、SQL Server 2005 Express Edition を使用したデータベースへのアクセスが Jet を使用した場合のアクセスと同様に単純で簡単なものにすることです。これはクライアント アプリケーションのみではなく、ASP.NET Web サーバー シナリオにおいても実現されることを目標としています。

たとえば、Visual Studio プロジェクトには、SQL Server データベースのテンプレートであるデータベース オブジェクトが導入されました。このオブジェクトは、Visual Studio プロジェクトで新しいオブジェクトを追加するオプションを選択した際に表示されます。プロジェクトにデータベースを追加すると、データベースへの接続管理が自動的に行われ、ユーザーはテーブルを操作するように、データベースをクリックしてデータベースに含まれているオブジェクトを参照したり、ストアド プロシージャなどについても同様にクリックして内容を参照することができます。関連のあるテーブルを直接フォームにドラッグ アンド ドロップする機能も提供されます。Visual Web Developer を使用している場合、GridView と SqlDataSource は自動的に作成されます。その際、ユーザーはコードを入力する必要はありません。また、単純なドラッグ アンド ドロップ操作で、テキスト ボックスなどのコントロールをデータベースの値に自動的にバインドすることができます。すべての接続文字列は、集中管理されれている Web.config に格納されているので、ユーザーが接続文字列を変更する必要のある場所は 1 か所だけになります。

VS により SQL Server 2005 Express Edition のアプリケーション XCopy のサポート機能が使用されるため、VS プロジェクト内では SQL Server のデータベース ファイルを通常の Windows ファイルと同様に扱うことができます。たとえば、Data ディレクトリにあるデータベース (.mdf) ファイルは、Jet ファイルと同様に名前を変更、コピー、または移動できます。VS では、ログ ファイルとデータベース ファイル間の関連が維持されるため、関連付けられているログ ファイル (.ldf) には .mdf ファイルと同じ処理が行われます。これらの操作は VS で管理されるため、ASP.NET ページまたはプロセスがデータベースに対して実行されているときにも、これらの操作は正常に完了します。つまり、一般的な VS アプリケーション開発者は、デザイン時または開発時に、ログ ファイルについて考慮する必要はありません。ただし、展開時には、データベース ファイルと共にログ ファイルも移動することをお勧めします。1 つ注意すべきことは、Beta 2 で VS データベース機能を使用するには、ユーザーはコンピュータのローカル管理者である必要があることです。

他のマイクロソフト製の無償データベースとの比較

MSDE との比較

SQL Server 2005 Express Edition は、SQL Server 2005 における Microsoft® SQL Server Desktop Engine (MSDE) の代替製品で、データベースの専門家ではない開発者や趣味で開発を行っている開発者が SQL Server 2005 Express Edition を使えるように多数の使いやすい機能が用意されています。MSDE は SQL Server 2000 のテクノロジに基づいており、Windows 9x プラットフォームでの使用が推奨されていますが、SQL Server 2005 Express Edition は SQL Server 2005 のテクノロジに基づいています。SQL Server 2005 Express Edition には、MSDE にはない Application XCopy、豊富なセットアップの UI、CLR のサポート、GUI ツール、および Visual Studio との統合などの機能があります。ただし、SQL Server 2005 Express Edition では MSDE の一部の機能が削除されています。削除された機能には、DTS、レプリケーションのパブリッシュ、および SQL エージェントがあります。

MSDE では、展開にマージ モジュールを使用することが問題となっていたため、この機能は SQL Server 2005 Express Edition では使用できません。MSDE のワークロードのしきい値を理解して使用するのは困難な場合もありました。SQL Server 2005 Express Edition では、しきい値という概念を完全に取り除きました。代わりに、SQL Server 2005 Express Edition では、他のエディションとの差別化を図り、CPU、RAM、およびデータベース サイズの制限を使用しています。次の表に、これらの製品の違いを示します。

SQL Server 2005 Express Edition 2005

MSDE 2000

Application XCopy サポート

該当する機能はありません

DTS はありません

DTS ランタイムがあります

MDAC がないので容易に展開できます

MDAC はインストールの一環としてインストールされます

MSI のみ (処理は簡単です)

MSI と MSM (MSM の処理は困難です)

クライアント側でのトランザクション レプリケーション、マージ レプリケーション、およびスナップショット レプリケーション

レプリケーションのサブスクリプション以外に、マージ パブリケーションとスナップショット パブリケーションがサポートされています

豊富なセットアップの UI

必要最低限のセットアップの UI

エージェントはありません

エージェントがあります

Windows 2000 SP4、Windows XP SP1、Windows 2003 をサポートしています

Windows 98、Windows Me、Windows 2000、Windows XP、Windows NT4、Windows 2003 をサポートしています

CLR のサポート

CLR のサポートはありません

GUI ツールが用意されています

GUI ツールはありません

データベース サイズの制限 : 4 GB

データベース サイズの制限 : 2 GB

1 CPU、1GB の RAM

2 CPU、2GB の RAM

しきい値はありません

ワークロードのしきい値が適用されます

Visual Studio との密接な統合

Visual Studio との必要最低限の統合

表 2: SQL Server 2005 Express Edition と MSDE の比較

Jet との比較

SQL Server 2005 Express Edition は、最新の SQL Server 2005 のテクノロジに基づいていますが、Jet はかなり前から Service Pack やメンテナンスの段階に入っています。CLR の統合や XML のサポートなど、最新の優れた機能は Express でのみ使用できます。また、SQL Server 2005 Express Edition の信頼性とスケーラビリティも優れています。SQL Server 2005 Express Edition 向けに記述されたアプリケーションは、容易に SQL Server Standard Edition や Enterprise Edition に移行できますが、Jet 向けに記述されたアプリケーションを拡張することは Express よりも困難になります。また、SQL Server 2005 Express Edition では、Jet よりも、データベース ファイルのセキュリティをきめ細かく制御できます。Visual Studio 2005 との統合と Application XCopy 機能を提供することにより、SQL Server 2005 Express Edition を Jet よりも使用しやすいエンジンにしました。

まとめ

SQL Server 2005 Express Edition Beta 2 は、データベースの専門家ではない開発者、ISV、および趣味で開発を行っている開発者を視野に入れてデザインされた製品なので、Microsoft SQL Server における重要な製品になります。Express は、無償で、使いやすく、強力な機能を備えており、他の SQL Server のエディションにシームレスにアップグレードすることができます。SQL Server 2005 Express Edition には、この SQL Server のエディションに固有の機能 (Application XCopy など) があり、インストールや展開では既定でセキュリティが保護されます。SQL Server 2005 Express Edition には、Jet や MSDE など既存のマイクロソフトが無償で提供しているデータベースにはない、大きな利点があります。SQL Server 2005 Express Edition の Visual Studio 2005 との統合により、単純なデータ-ベースのデザインと開発エクスペリエンスがもたらされます。

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