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グレープシティ株式会社

公開日 2004 年 11 月 26 日

開発環境への支援が強力だから、プログラマはその分開発の本質に集中できる。それが .NET の最大の魅力。GrapeCity logo

GrapeCity日本をヘッドクォータに、中国、インド、アメリカ、モンゴルの世界各国に拠点を要するグレープシティ株式会社 (以下、グレープシティ) は、Windows 開発者にとって 最も身近なアプリケーション コンポーネント PowerTools 製品の提供ベンダです。仙台市の北の中心部に隣接する本社社屋「紫山キャンパス」は豊かな緑に恵まれた閑静なたたずまいの中にあり、自然と調和のとれた理想的な開発環境の下で、日々の業務が進められています。今回は、VSIP (Visual Studio Industry Partner) パートナーである同社に、.NET 環境への移行動向や .NET マイグレーション推進への取り組みについて伺いました。


<Visual Basic .NET、Visual Studio .NET は非常に重要な製品>
―― PowerTools シリーズで充実した ActiveX コントロール製品を販売されてきたグレープシティにとって、Visual Basic .NET、Visual Studio .NET という開発環境はどのような製品なのでしょうか。

福地雅之 氏
グレープシティ株式会社
マーケティングコミュニケーション本部 本部長 福地雅之 氏
福地 それを語るには、当社の沿革から少し話をした方がいいでしょう。当社がそもそも情報システム分野に進出するきっかけとなったのは、当社のグループ組織である学校法人の経理システムを開発したのが最初です。それが今日の LeySer シリーズなのですが、このアプリケーションが好評を得て外販することになり、その製品展開の中で Visual Basic 版の開発を決めました。その一環で米国で調査をしているうちに、この開発環境の上で動くコンポーネント製品があることを知り、ユーザーとして使ってみて便利だったので、日本でも紹介していくということになったのです。それがPowerTools の誕生でした。この製品は Visual Basic の進化と共に歩んできたといっても過言ではありません。当ツール部門の売り上げ高は、当社の売り上げ高全体の 70 〜 80 %を占めており、それだけに Visual Basic、Visual Studio .NET は、当社にとって非常に重要な製品といえます。

―― ありがとうございます。

福地 Visual Basic は、当初こそ個人開発者の支援ツールと評されましたが、その後の進化に伴って、完全にビジネスに使えるプログラミング言語に発展していきました。それでいながら、とっつきやすさは変わらず維持していて、入り口の言語にも、メインの言語にもなりうる優れた言語だと思います。当社でも非常に幅広い捉え方ができる製品だと認識しています。

―― そうした中で、グレープシティは VSIP (Visual Studio Industry Partner) プログラムに参画されて、 .NET への移行推進をお手伝いされているのですが、.NET についてはどのように考えておられますか。

福地 もちろん、マイクロソフトの現在の基盤技術のメイン テクノロジだと考えています。といって、特別視をしているわけでもありません。当社のビジネスは、開発者の方々に便利に使っていただけるツールを提供するという点で 10 数年間一貫していて、その間にテクノロジが ActiveX、.NET と変化していっただけという考えです。それは今後も変わらなくて、開発生産性の向上に貢献できるコンポーネントを提供するために、新しいテクノロジへのキャッチアップが必要ならします、というスタンスですね。


<.NET で開発負荷は大幅に軽減、一度使うと手放せなくなる>
―― .NET 製品を開発するために、このプラットフォームを利用されていますが、どんなメリットをお感じでしょうか?

市川 開発が格段に楽になりました。Win32 ベースのコンポーネントは、Internet Explorer や Dynamic Link Library の動作に注意しなければいけなかったり、サードパーティ アプリケーションのインストールで影響を受けたりすることがあったので多方面に気遣いが必要だったのですが、.NET になったことで非常にシンプルになりました。また、フレームワークの上で動作するものですので、フレームワークが許容する範囲の動作に限定でき、開発者としては安心して作れるというのもありますね。

福地 言語でいえば、.NET、C# と両方ありますが、当社の開発者は全員 Visual Basic には習熟していたのですが、製品を出すということで .NET に移行したら、何も特別なことをしたわけではないのに、両方使えるようになりました。
市川利弥 氏
グレープシティ株式会社
ツール開発部
部長 市川利弥 氏

市川 私もそこはうまくマージできたなと思います。今までは Visual C++ で動作する場合と、Visual Basic で動作する場合とで、コンポーネントの動きが微妙に違っていて、それが製品担当者としてはジレンマだったりしたのですが、今はまったく同じになりました。やっぱりフレームワーク上で動くことのメリットというか、意識せずに使えるというのはすごく良いと思いますね。

―― .NET での開発生産性向上を、定量的に測定されたりしましたか?

福地 それはしていませんが、慣れるともう元に戻れないというのはありますね。

市川 何かアプリケーションを作るとき、ファイルの I/0 などといった通常のファンクションは揃っているので、もう利用するだけ。作っているのが業務アプリケーションだとしたら、その分、ビジネス ロジックにフォーカスすることができます。そういう意味での生産性はすごく高いと思いますね。
開発している段階では、.NET の膨大なファンクションを 1 つ 1 つ覚えているわけではありません。でも、見当がつけやすいのです。ボタンをポツッと押すとダーっと候補が出てきて、名前から大体こんなことかなと思っているとヘルプが出て、やってみると動いたという感じで、次々と進んでいける。慣れるともう手放せないですね。

福地 社会人に成り立ての頃、先輩に「仕事のできる人間というのは、誰に聞けば何がわかるというのを把握している人間だ」と言われたのですが、それと同じ状況だと思いますね。.NET ならやり方をすべて覚えている必要はなく、どこを調べれば何が出てくるかさえ把握していればいいのです。

―― ツールが強力に支援する分、開発者は本質部分に集中できるというわけですね。

福地 ほかに便利なツールが当社から出ていないか、と探す余裕もできます (笑)。

―― グレープシティには ActiveX コントロールの時代に、いろいろ便利なコントロールを提供され、Visual Basic がファンクションレベルで揃えていないところを補完していただいたと思っています。それが今は .NET コントロールでも一通り揃っているということですね。実際に .NET に移行されたお客さまからは、何か感想や意見のようなものは届いておりますでしょうか。

鎌田 製品直接の話ではないのですが、事例として伺った話ではいくつかあります。これはあるシステム開発会社の例ですが、J2EE を採用して Java を推進しようとされたのですね。しかし、少し時流に乗り遅れて、あっという間に周りに先を越されてしまい、それならと、.NET に目を向けられた。使いやすかったこともあってどんどん使いこんでいったら、知らないうちに .NET 開発では名の知れた企業になられていたということです。結果として、 Java に乗り遅れたことで、.NET で一番になれた。もともとその会社はマイクロソフトの技術に深く携わっておられたので、「下手に流されないでよかった」とおっしゃっていました。


<Visual Studio .NET は、Windows アプリケーション開発ツールでもある>
―― 逆に、ActiveX コントロールを利用されているお客さまで、.NET へ移行されないお客さまはいらっしゃいますか?

鎌田明 氏
グレープシティ株式会社
ツール事業部
鎌田明 氏
福地 確かにいらっしゃいますね。

―― その理由については、どのように考えておられますか?

福地 これまでマイクロソフトの開発ツールは、多くの場合、OS の進化と共に発展してきたと思います。「Windows 95 が出てきたから、32 ビット開発に変えましょう」という具合です。しかし、.NET では、微妙にそのバランスが崩れてしまったのかなと。どうしても乗り換えなくてはいけない必然的な理由や、きっかけがないから移行しないのではないかなと思っています。

市川 もう 1 つは、Visual Basic の時代が長期にわたったために、お客さまの環境でかなりのソフトウェア資産が揃ってしまい、いざ .NET へ移行するとなるとその作業が大変、ということで足踏みされていることもあると思います。ある意味、それはそれで完結されてしまっているのだと思います。

福地 開発期間の短期化という潮流も影響しているのかもしれませんね。今までは半年かけて作っても許されていたのに、今は 3 か月で作りなさいと言われる。それなら使い慣れた Visual Basic を使おうかということになりますよね。慣れた道具なら作業時間の見積もりができますから。

―― そのほかには、いかがですか。

福地 常々、私が思っているのは、.NET が Windows アプリケーションの開発ツールであるということを、もう少しマイクロソフトが宣伝してもいいのではないかということですね。これまでの開発ツールは、フリーウェア、シェアウェア、といったソフトウェアの隆盛から人気が高まってくることがあったと思っていますので。Visual Studio .NET に関しては、その部分が少ないのかなという感じはしますね。

―― ビジネスよりのメッセージが強すぎたということでしょうか?

福地 そう言ってもいいかもしれませんね。Web アプリケーションや Web サービスが出てきたことで、ビジネスの側面が前面に出てきてしまったように思います。本来、プログラミングというのは、好きな人間が自分のためにちょこちょこと作って、それがおもしろくなって仕事になっていたと思うんですよ。もう少し自分の作りたいツールを作るプログラマや、誰かに使ってもらおうとツールを作るプログラマが増えてくると、状況はまた変わるのかなと思います。


<移行に特化した技術情報の提供や無償の e-メール サポートを実施>
―― グレープシティでは、VSIP の枠組みの中で考えておられる、.NET 移行推進への取り組みはありますか?

福地 これまで、移行に関わる質問については、個々に無償の e-メール サポートで対応してきました。あえて ActiveX と .NET をつなげるような情報は出してこなかったのです。ActiveX のやり方に縛られると .NET の利点が活用できないので、それは避けたいという思いがありました。しかし、あまりにも何の情報も出してこなかったという反省もありまして、これからは、「ActiveX のこれを使っていた人はこれとこれが候補になりますよ」といった技術情報を出していきます。e-メールのサポートについても、.NET への移行を検討されているお客さまには、特別な入り口を用意して誘導することを考えています。どちらも 2004 年の 11 月中には実現します。あとは、当社のニュースレターを活用したご案内ですね。マイグレーション キャンペーンの紹介やマイグレーションに関わるコラムの掲載で、.NET 移行への気運を高めていければと思っています。

―― 今後のグレープシティの .NET での製品展開について教えてください。

福地 ラインナップ的には一巡したので、これから成熟期といいますか、.NET 製品も第二世代に突入します。最初の .NET 製品というのは、ActiveX と同じことができただけで、正直なところ、.NET Framework になって簡単にできるようになった点を、あまり取り入れられてなかったですね。発売以来、お客さまからいただいたフィードバックや、当社内でも研究してきた部分を取り入れた形でバージョンアップしていきます。このように、この先は製品の幅だけでなく質もどんどん充実させていきますので、あとはお客さまにバトンタッチして、どうぞこれらのコンポーネントを使って .NET の開発を便利に進めてくださいと申し上げたいですね。そうした中で、いただいたフィードバックは必ず製品に反映していきます。そういう形でスパイラルに製品を進化させていけたらと考えています。