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日本オラクル株式会社

公開日 2004 年 12 月 14 日

両社の製品を組み合わせて使用するアプリケーション開発者の
ことを考えれば、わたしたちには密接に協力していく責任があります。
ORACLE logo

マイクロソフトと日本オラクル株式会社 (以下、オラクル) はある面では競争関係にありますが、一方で Windows プラットフォームの進化、発展において協力関係を持ち続けてきました。そして、その 1 つの成果といえるのが、2004 年 5 月に発表されたオラクルの VSIP (Visual Studio Industry Partner) プログラムへのプレミア レベルでの参加による Microsoft .NET へのコミットです。今回のアライアンスは、両社の製品を使用する開発者にとって何をもたらすのでしょうか。同社に、VSIP 参加の意義とその取り組みについてお伺いしました。ORACLE


<VSIP は長く待たれていたプログラム>
―― 2004 年 5 月、オラクルとマイクロソフトの米国本社が共同で 1 本のプレス リリースを発表しました。それがオラクルの VSIP (Visual Studio Industry Partner) プログラムへの参加でしたが、これは、社内外から画期的な出来事と受け止められたのではないでしょうか。

芳賀浩美 氏
日本オラクル株式会社
マーケティング本部
システム製品マーケティンググループ 担当マネージャ
芳賀 浩美 氏
芳賀 はい。.NET と Oracle の組み合わせでの案件や、事例もすでにあり、お客様からのお問い合わせが増えてきています。そうした状況の中で、VSIP の取り組みで的確な情報を発信できるようになったことはマーケティングの立場として幸いだと感じています。これは、さまざまな業界標準と Visual Studio との統合を高める上での戦略的な提携だと理解しており、両社のトップ エグゼクティブが公式に発表したことで、よりお客様や技術者の方に喜んでいただけるシステムを提供できるようになりました。マイクロソフトに協力いただくことで .NET と Oracle が良い組み合わせであることがお分かりいただけると思います。

―― 発表以降、何か変化はありましたか。

芳賀 まず社内的に認知されました。それから、対外的な面でも非常に興味を持たれる場合が多いです。特に技術者を読者とするメディアの方の関心は強いですね。取材などでは、特に媒体関係の方に VSIP の取り組みの話をすると、従来の VB と Oracle での実績がすでにあるなか、そこから .NET に移行する際はどうなってしまうのかという点で興味をもたれるようです。
また、VSIP という大きな冠がつきましたから、担当者としては非常に動きやすくなりましたね。



―― 大きな変化があったということですね?

芳賀 そうですね。明文化されたアライアンス条件ができたというのは大変大きいことです。これまでは、やはり暗闇を手探りで進んでいる状態でしたので、後ろ盾ができた感じがします。
良くなった点としてたとえば、オラクルが「VB .NET による Oracle システム開発」といった技術資料を作成し、情報提供する際、開発環境の VB .NET に関する部分はマイクロソフトのご担当者に確認させていただいたり、不明な点を「ここの部分がわからないので教えてほしい」などとマイクロソフトの方とやり取りしながら進められるようになりました。当社の専門でないところを、いろいろと悩みながら書かなくてすむので、当社のエンジニアは助かりますし、技術資料の品質も上がります。これまで以上に、内容に責任を持って発行できるようになる事はとても重要だと思っています。


―― VSIP への参加は、オラクルにとってどのような意味を持つのでしょうか。

芳賀 大きく 2 つの側面があると考えています。1 つは、マイクロソフトとオラクルが本格的に協力し合うことで、現状関わっている Visual Basic と Oracle を使用して開発されている開発者の方々の .NET 移行を支援できるという点と、もう 1 つは決裁権を持たれる経営者および購買部門の方々にも安心感を持ってもらえるという点です。
これら二つの側面に対してそれぞれ注力したいと考えています。開発者の方々というのは自ら勉強することに慣れていて、セミナーに参加したり書籍を読んだりして「気をつけなければいけないのはここだな」と当たりをつけられる。このような傾向を踏まえて、技術情報を提供していきます。そして、実際に採用される管理職の方々にとっては、以前はある意味冒険だった .NET で Oracle という組み合わせも、オラクルが VSIP に参加することで、「別に間違っていないのだな、ハシゴを外されることはないだろうな」と思っていただけるのではないかと推測しています。


<意外に長い Windows 版 Oracle の歴史>
―― 振り返って見ると、オラクルでは、かなり早くから Windows プラットフォームに対応しているのですね。

芳賀 1993 年 12 月に登場の Windows NT の最初のバージョンに、1994 年の早い時期に Oracle 7 が対応してからもう 10 年以上になりますね。Windows NT 3.1 対応の RDBMS (Relational DataBase Management System) として出荷しました。新しい理想を掲げた OS の性能を生かすために、いちはやくスレッド モデルでのプログラムを提供していますし、パフォーマンス モニタへの統合も最初のリリースから対応しています。Windows NT 上でのデータベース システムという、まったく新しい市場を立ち上げようと、積極的に活動してきたという実績があります。
私たちとしては、マルチ OS 、マルチ プラットフォームで、お客さまのさまざまな声にお応えするというのが基本的なスタンスです。しかし、現実には、アナリスト機関の数字を見ても、当社の調査でも、Windows 版 Oracle の占める割合は非常に大きなものがありますね。
芳賀浩美 氏

最新版の Oracle Database 10g では、Windows プラットフォーム上での性能向上にさらに力を入れていて、スレッド モデルだけでなくファイバ モデルにも対応しているとか、Intel Itanium 対応もしていて、とにかく Windows プラットフォームに関しては高く評価しており、会社を挙げて大きなコミットをしています。

―― .NET に関してのオラクルの特別なファンクションなどもあるのですか?

芳賀 もちろん .NET 環境に関しても同様です。現時点ですでに Oracle Data Provider for .NET (以下ODP.NET) というオラクル製の .NET にネイティブなミドルウェアがあります。このミドルウェアを使用して、Visual Studio .NET からシームレスかつ統合的に開発できる環境が整っています。たとえば、Visual Studio .NET のヘルプ ファイルに Oracle が取り込まれるとか、サーバー エクスプローラから Oracle のリソースが見えるとか、Visual Basic 6.0 の時代には考えられなかった便利な機能がいくつも加わっています。オラクル自ら .NET 対応のミドルウェアを提供することで、Oracle ならではの拡張部分をお客様に享受していただこうと考えています。たとえば Oracle 固有のデータ型が使えるとか、PL/SQL との親和性がいいとか、あとは XML 対応ですね。 .NET でも安心して Oracle を使っていただける環境を整えています。

―― 自社製品のミドルウェアでオラクル データベースの本来の性能を 100% 引き出せるのですね。

芳賀 そうです。 Oracle と Windows 環境を接続するツールとして Oracle Object for OLE (以下oo4o) という製品があり、多くの実績をあげています。ODP.NET に関しても、開発効率の面や、トランザクションのオーバー ヘッドを極力軽減するという点から、開発者の方やユーザー様にとって oo4o 同様にご愛顧頂けるツールであると確信しています。
実際、開発技術標準としてみた場合、10 年、20 年と安定的に使えることも重要なのですが、一方では、新しいツールの方がいろいろ便利になっているのも真実です。Oracle と .NET を組み合わせるというメッセージがあまりにも少なかったことを反省していています。Visual Basic で Oracle をご選択いただいていたお客さまにも、今後 .NET をご検討の方に対しても、新しいものを提案するという活動が正直欠けていたかなと思います。これからは、きちんとご紹介していかなければと考えています。


―― 基本的な質問ですが、ODP.NET のつなぎ先は Oracle Database 10g だけですか?

芳賀 いえ、Oracle 8i から、正確には Oracle 8.1.7 から対応しています。現在お使いのオラクル データベースをそのまま活用いただけるのです。これは実はあまり知られていないことかもしれません。

―― すると、Oracle 8.1.7 以降を使用されているお客様なら、ODP.NET を使って、 .NET で Windows アプリケーションや Web アプリケーションを開発できるのですね。

芳賀 そのとおりです。これまで Visual Basic を使ってクライアント/サーバー環境で Windows アプリケーションを開発されてきた数多くの開発者の方々のご経験と Oracle に関する知識を活用していただく事ができます。ただ、 .NET という言葉の理解として、概念、フレーム ワーク、開発環境などいろいろ解釈できるため、私は当初少し戸惑った経験があります。

―― おっしゃるとおりです。 .NET は実はその真実の姿がまだよく伝わっていないのですね。マイクロソフトが Web サービスの側面を強調しすぎたからかもしれませんが、妙に高い壁があるように思っていらっしゃる。クライアント/サーバー型の Windows アプリケーションの開発を、VB .NET と ODP.NET の組み合わせにするだけでも、開発支援機能が強力になっているので、パフォーマンスは向上するし、いいことはたくさんありますね。

芳賀 クライアント/サーバー型アプリケーションだから新しい技術や情報は必要ないということはありませんね。また当社としては、今後ますます注目され、採用されるであろう SOA を意識した上で、ユーザーの方が .NET へ移行される事を希望しています。なぜなら、分断化された基盤、ミドルウェア、アプリケーションでは情報の欠落や経営層の意思決定の遅れなどが弊害として上げられるからです。


<.NET マイグレーション関連情報を提供予定>
―― VSIP への具体的な取り組みとしては、どのようなことを考えておられるのですか。

芳賀浩美 氏芳賀 まず製品に関して言えば、SDK の提供を受けることで、性能がより向上します。それから広報的な展開として、マーケティング活動での協力関係を通じ、お客様や技術者の方に情報を届けたいと考えています。現状ですとまだまだ露出不足と実感しています。

―― オラクルで .NET へのマイグレーション推進のためのマーケティング プログラムは考えておられますか。

芳賀 何を開発標準として利用するかはお客さまの自由だと考えているため、こちらから特に水を向けるということはありませんが、.NET に移行しようと決意されたお客さまには、積極的に情報を提供していこうと考えています。


―― その具体的な方法とは?

芳賀 まずは技術資料を充実させようとしています。VB 6.0 から Visual Basic.NET に移行する際の TIPS (小ワザ) を紹介していきます。実際、.NET に移行して開発生産性が上がったという声はたくさん頂戴していますので、Oracle Technology Network などでも読んでわかりやすい技術資料を充実させていこうと思っています。また、インターネットを使用した「iSeminar などで遠隔地の方に対しても情報をリアルにお届けする活動を行っています。
今年 2004 年の 8 月下旬に複数日にわたって、「Oracle Developer Days」という開発者向けの有償セミナを開催したのですが、そこで .NET のセッションを 2 コマ持ちました。正直、お客様に参加いただけるのかなと不安もあったのですが、非常に多くの方にご来場いただき、アンケートでも大変好評でした。あれは、こういった観点のニーズがあることを強く確信できたイベントでした。


―― 11 月 24 日に大阪で、11 月 29 日に東京で開催された「Oracle .NET Summit」には、マイクロソフトも講演に参加しました。

芳賀 はい。マイクロソフト様から基調講演とテクニカル セッションそれぞれにご登壇いただきました。従来はオラクルのリソースだけで .NET 環境で Oracle を使用するためのセミナーを主催せざるを得なかったのですが、マイクロソフトに講演していただくことで、お客様には詳細な技術情報を持ち帰っていただけたでしょうし、この VSIP によるアライアンスは本物だという証明にもなったと思います。今回は、東京、大阪それぞれの会場で 700 人強の開発者の方にご参加いただきました。お陰様で、非常に人気のあるセミナーで、事前登録の申し込みが殺到し、すぐに受付が終了しまい、皆様の関心の高さを実感できました。そこで、セミナー内容をそのままストリーミング配信する準備を進めています。受講いただけなかった方にも同じ内容を、是非ご覧いただければと思います。


<開発者の方々を支援したい気持ちは同じ>
―― 結局、こうした協業を行うのは、マイクロソフトに Visual Basic でアプリケーション開発をしてこられたお客様がいて、オラクルには、Windows 版 Oracle を使ってこられたお客様がおられる。
たくさんのお客さまがクロス オーバーしているという厳然たる事実があるからですよね。

芳賀 そのとおりです。そういう両社のお客様に向けて、これまでの既存資産を生かしながら、新しいテクノロジに移行できる手段があることを、きちんとメッセージしていかなければならないし、その点で協力していく責任があるということだと思います。先日の Oracle .NET Summit や、弊社調査でのアンケートなどからも、共同で技術者の皆様を支援する必要があると実感しています。
当社としては .NET にぜひ大きく発展していただきたいですね。実際、オラクルがコミットしたことが追い風になって、普及が加速すればいいなと考えています。フレーム ワークとしては大変優れていると思いますし、Oracle を使った場合の生産性も上がります。Visual Basic という大きなインストール ベースを持つ開発環境と、Oracle というこれまた大きなインストール ベースを持つデータベースとの関係が、.NET においても引き続き継続することを望んでいます。Visual Basic.NET で Oracle という形があって、この組み合わせがちゃんと使えて性能も上がることを、これからもマイクロソフトとの協力体制でメッセージ アウトしていきたいと考えています。

芳賀浩美 氏