Pocket PC 用のオーディオとビデオのエンコード
Tricia Gill Digital Media Division Microsoft Corporation
May 16, 2001 日本語版最終更新日 2002 年 3 月 20 日
2002 年 5 月 16 日
概要 : Microsoft Pocket PC などのポータブル デバイスへのストリーミングおよびダウンロード用にオーディオやビデオ
コンテンツをエンコードする場合、これに固有の問題が発生します。この記事ではこれらの問題について説明し、コンテンツを正しくエンコードするために必要なエンコーディング プロファイルの調整方法を紹介します。
目次
要点
はじめに
システム要件
エンコードの注意点
その他の注意点
詳細情報
要点
Web 用にオーディオおよびビデオ
コンテンツをエンコードする際は、常に対象となる視聴者を中心に考える必要があります。ケーブル、DSL、ダイヤルアップ
モデムなどにオーディオやビデオをストリーミングする場合でも、ダウンロードして再生するためのファイルベースのコンテンツを作成する場合でも、コンテンツを再生するコンピュータの性能によってエンコードの際に使用すべき設定が大きく異なります。
幸いなことに、Microsoft® Windows Media エンコーダを使ってパーソナル コンピュータでコンテンツを制作するのは簡単で、特に標準エンコーディング プロファイルを使って圧縮レベル、ビット レート、出力ビデオ サイズを設定する場合は非常に単純な作業で済みます。
しかし、Microsoft Pocket PC などのポータブル デバイスへのストリーミングおよびダウンロード用に
コンテンツをエンコードする場合は固有の問題が発生します。この記事ではこれらの問題について説明し、コンテンツを正しくエンコードするために必要なエンコーディング プロファイルの調整方法を紹介します。
はじめに
Microsoft Windows Media テクノロジ プラットフォームは、インターネットを含むほとんどのネットワークを介するストリーミング用、またはダウンロード用に、オーディオおよびビデオ コンテンツを配信するために設計されました。Microsoft Windows Media エンコーダと Microsoft Windows Media サービスを使用することにより、オーディオおよびビデオ
コンテンツをあらゆる場所のデスクトップ コンピュータの Microsoft Windows Media Player 用に圧縮およびストリーミングできます。Windows Media Player for Pocket PC により、今やお気に入りの音楽やビデオを手のひらに乗せて持ち歩くことができ、またインターネットからストリーミング オーディオやビデオを受信できるようにもなりました。この記事では、Windows Media プラットフォームのエンコード技術について説明し、Windows Media
エンコーダを使用して Pocket PC 用にオーディオおよびビデオコンテンツをエンコードする方法を紹介します。
すでに Windows Media エンコーダを使い慣れている方なら、ブロードバンドからダイヤルアップ
モデムまで各種の接続を介したストリーミングやダウンロード用にコンテンツをエンコードするのがいかに簡単であるかご存知でしょう。ポータブル デバイス用のエンコードも、デスクトップ
コンピュータ用のエンコードと同じように簡単です。プロセス自体はまったく同じです。違いはほとんどのデスクトップ コンピュータと比べ、画面が小さくパワーもあまりないデバイスにオーディオおよびビデオ コンテンツを配信するという点です。
ポータブル
デバイスで効果的にコンテンツを再生させる秘けつは、適切なエンコーディング
プロファイルを使用することです。Pocket PC 用に設計された新しいプロファイルが 3 つ Web サイトで公開されており、カスタマイズも簡単にできます。
Windows Media エンコーダをまだ入手されていない場合は、Microsoft の Windows Media Web サイトからダウンロードしてください。エンコーダは
Microsoft Windows® の正規ユーザーには無償で提供されます。
この記事には以下の内容が含まれています。
- システム要件。Pocket
PC でオーディオおよびビデオ コンテンツを再生するためのシステム要件です。
- エンコードの注意点。エンコーディング プロファイルとコーデックについて説明し、ストリーミングおよびフル解像度ビデオ用のプロファイルのカスタマイズ例を紹介します。
- その他の注意点。コーデック、ビデオ サイズ、および Microsoft Windows Media
著作権管理に関する追加情報を提供します。
- 詳細情報。関連リソースおよび記事へのリンクです。
システム要件
エンコードしたオーディオまたはビデオ
コンテンツを再生するには、ユーザーの Pocket PC が以下の必要条件を満たしている必要があります。
| 要件 |
説明 |
| 150 メガヘルツ (MHz) 以上のプロセッサ |
|
| 1.5 メガバイト (MB)
の記憶域メモリ |
Windows Media Player for Pocket PC をインストールして格納するために必要です。 |
| 2 MB のプログラムメモリ |
Windows Media Player for Pocket PC を実行するために必要です。 |
| 追加のローカル記憶域メモリまたは CompactFlash カード |
コンテンツ用です。必要なメモリの量は再生するコンテンツのタイプによって異なります。たとえば、大きなファイルやビット レートが高いファイルの場合は、より多くのメモリが必要になります。 |
| 8 ビットのカラー ディスプレイ |
グレースケール ディスプレイはサポートされません。 |
以下の一般的なオーディオ サンプリング周波数をサポートしていること
- 8 kHz (キロヘルツ)
- 11.025 kHz
- 16 kHz
- 22.5 kHz
- 32 kHz
- 44.1 kHz
|
|
以下のようなストリーミングのためのネットワーク接続
- PHSなどのカードモデム
- ワイヤレス ネットワーク ハードウェアおよびアクセス
- アナログ モデム
- 接続されたネットワーク ハードウェアおよびアクセス
|
コンテンツをストリーミングしない場合は、ネットワーク接続は必要ありません。ユーザーは、Windows Media Player や Microsoft ActiveSync® を使用して、デスクトップ コンピュータにコンテンツをダウンロードしてポータブル デバイスにファイルを転送することができます。 |
| Microsoft Windows CE バージョン 3.0 以降 |
|
| Microsoft Windows Media Player for Pocket PC バージョン 7.1 以降 |
|
エンコードの注意点
エンコード プロセスの間、Windows Media
エンコーダはライブまたはファイルベースのコンテンツを処理して、インターネット配信用に圧縮します。ライブ コンテンツとは、コンピュータのキャプチャ
カードに接続されたカメラなどのデバイスからキャプチャするコンテンツのことです。ファイルベースのコンテンツには
.wav や .mp3 拡張子のオーディオ ファイル、.avi 拡張子のビデオ ファイルなどが含まれます。コンテンツは圧縮段階で、Windows Media サーバーからストリーミングして Windows Media Player で再生できるように Microsoft Windows Media 形式に変換されます。
実際の圧縮や変換が行われる前に、Windows Media
エンコーダは新しいセッション
ウィザードを使ってコンテンツに関する情報を収集します。ウィザードでは以下のような情報が収集されます。
- ソース (ファイル、キャプチャ カード、画面など)
- 出力形式 (ファイル、ブロードキャスト、またはその両方など)
- コンテンツの配信方法 (Web サーバーや Windows Media サーバーなど)
- 使用したいエンコーディング プロファイル
これらの情報はすべて重要ですが、Pocket PC
用のエンコードを実行する際に特別の影響を与えるのはエンコーディング プロファイルです。
プロファイル
エンコーディング
プロファイルとは、望むような出力結果が得られるようにエンコード プロセス中にコンテンツに適用すべき一連の設定です。プロファイル内の設定には、エンコードで使用するオーディオとビデオのコーデック (compressor/decompressors)、出力ビデオ サイズ、オーディオ サンプリング レート、ターゲットのビット レートといった情報が含まれます。Windows Media
エンコーダには数々のプロファイルがあらかじめインストールされています。プロファイルには .prx 拡張子が付けられており、ドライブ文字:\Program Files\Windows Media Components\Encoder\Profiles にインストールされています。
特に Pocket PC 用にコンテンツをエンコードするために設計された 3 つのプロファイルが、Microsoft の Web サイトにある Windows Media
エンコーダのページから入手できます。これらのプロファイルをダウンロードし、ストリーミングまたはローカルでの再生用にコンテンツをエンコードする際に使用できます。各プロファイルは特定のデバイス用に作られています。たとえば、Video for Pocket PC−Compaq iPAQ (Color) プロファイルは、Compaq の iPAQ 3600 シリーズ用です。ほかの 2
つのプロファイルはそれぞれ Casio Cassiopeia E-125 と EM-500、および HP Jornada 540
シリーズをサポートしています。各プロファイルは特定のデバイスのプロセッサやディスプレイ用に最適化されています。各プロファイルは目的のデバイスに対してのみ使用してください。
たとえば、Video for Pocket PC−Compaq iPAQ (Color) プロファイルは、最高 225.2 Kbps (1 秒当たりのキロビット数) のビット レートをサポートしています。 Microsoft Windows Media Audio 8 および Microsoft Windows Media Video 7 コーデックを使用し、オーディオを 32 Kbps および 22 kHz ステレオでエンコードし、出力ビデオ サイズは 208 × 160 ピクセルで、ビデオ配信は 20 fps (1 秒当たりのフレーム数) です。
3 つのプロファイルの設定がニーズに合わない場合は、Windows Media エンコーダのプロファイル
マネージャ機能を使って独自のプロファイルを作成できます。新しいプロファイルは、インストール済みの
Pocket PC プロファイルを基盤にして作成することをお勧めします。デスクトップ コンピュータ上でエンコーダのメイン ウィンドウからプロファイル マネージャを起動するには、[ツール] メニューの [プロファイルの管理] をクリックします。既存のプロファイルを選択して [編集] をクリックするか、またはプロファイル マネージャ ウィザードを使用する場合は [新規作成] をクリックします。プロファイルのカスタマイズ例は後で紹介します。
プロファイル マネージャを使ったユーザー設定プロファイルの作成の詳細については、Windows Media エンコーダのヘルプを参照してください。
コーデック
前述したように、コーデックはエンコーディング
プロファイルの一部です。コーデックはオーディオとビデオのデータを圧縮および圧縮解除する際に使用されます。Windows Media Audioおよび Windows Media Videoは、ネットワーク上でデジタル メディア ファイルを効率的に配信できるよう、ビット レートを低くするために使われるコーデックです。Windows Media エンコーダはこれらのコーデックを使用してストリーミングのためにデータを圧縮し、Microsoft Windows Media Player は再生のためにデータを圧縮解除します。
Windows Media
エンコーダは数々のコーデックをサポートしていますが、それらのコーデックでエンコードしたコンテンツの中には
Pocket PC で正しく再生できないものもあります。オーディオ
コンテンツをエンコードする際は Windows Media Audio コーデックを使用してください。ビデオ コンテンツをエンコードする際は、Windows Media Video 7 コーデックまたは ISO MPEG-4 ビデオ コーデック バージョン 1.0 を使用してください。MPEG-4 バージョン 3
コーデックでエンコードしたコンテンツも Pocket PC
で再生できます。以前のバージョンのコーデックでエンコードしたコンテンツは
Pocket PC では再生できないため、エンコードし直す必要があります。
フル画面解像度でのコンテンツのエンコード
Pocket PC の画面サイズは 320 × 240
ピクセルです。現在 Pocket PC 用に提供されているエンコーディング プロファイルでは、出力サイズとして 208 × 160
ピクセルを指定します。これは品質、フレーム レート、ビット
レートをすべて考慮すると、この解像度が最適であるためです。また、このサイズなら標準的な Player のユーザー インターフェイスや Player に適用されるユーザー設定スキン内にビデオが収まります。
Pocket PC はフル画面解像度 (320 × 240 ピクセル) でビデオを再生する能力を持っています。この能力を活用したい場合は、プロファイルの出力ビデオ
サイズを適切な値に変更できます。解像度を高くすると
Pocket PC の処理能力を余分に消費するため、プロファイル内のほかの設定を変更して埋め合わせる必要があります。プロファイル マネージャを使用して以下の変更を行ってください。
- 出力ビデオ サイズを 320 × 240 ピクセルに変更する。
- フレーム レートを 15 fps に落とす。フル解像度ではこれ以上は実現できません。
- ビデオの一部をエンコードして再生し、品質をテストする。さらに調整が必要な場合は手順 4 に進みます。
- オーディオ形式を 20 Kbps、22 kHz ステレオまたはモノラルに落とします。
- キー フレーム間隔を4 秒 (コンテンツによってはそれ以上) に増やす。
28.8 または 56 Kbps モデムを介して Pocket PC
にストリーミングする場合は、フル画面解像度は適しません。
ストリーミング用のコンテンツのエンコード
ストリーミング用のコンテンツをエンコードする際に最も注意すべき点は、ユーザーがストリームを受信する際にどのようにしてネットワークやインターネットに接続するかという点です。ユーザーが最大 1 Mbps (1 秒当たりのメガビット数) のデータ レートでコンテンツを受信できるワイヤレス ネットワークを介して接続していれば理想的です。しかし通常はPHSなどのカードモデムを使用していて、9.6kbps から 64kbps程度の低ビットレートでしかコンテンツを受信できません。
よりハイエンドなユーザー向けにコンテンツをエンコードしている場合は、Pocket
PC 用の 3 つのエンコーディング
プロファイルを使用して通常どおりコンテンツをエンコードしてよいでしょう。しかしユーザーが 32 または 64 Kbps のモデムで接続している場合は、Windows Media エンコーダに、 28.8 および 56 Kbps
ユーザー向けに用意されている標準プロファイルのいずれかを使用してください。これらのプロファイルは
Pocket PC 用に設計されたものではありませんが、ダイヤルアップ モデムを介してポータブル デバイスにコンテンツをストリーミングするのに適した出力ビデオ サイズ、フレーム レート、およびビット レートが設定されています。
ユーザーが PDCの携帯電話やモデムを使用していて、対象が9.6kbpsまでしかサポートしていない場合は、オーディオしかストリーミングできません。Windows Media Audio コーデックを使用するユーザー設定プロファイルを作成する必要がありますが、9.6 Kbps 以下の低いビット レートを使用しなければなりません。Windows Media エンコーダにはオーディオのみのプロファイルがいくつか含まれていますが、これらは、Windows Media Player for Pocket PC でサポートされていない ACELP コーデックを使用しているか、または PDCモデム ユーザーには高すぎるビット レートでコンテンツをエンコードします。 対象のモデム が 64Kbpsまでサポートしている場合は、Windows Media エンコーダで 56 Kbps ユーザー向けに用意されている標準プロファイルのいずれかを使用してください。
その他の注意点
Pocket PC 用にコンテンツをエンコードする際は、以下の点にも注意してください。
- Windows Media Encoder 7 または 7.1
を使用してください。どちらのバージョンも Pocket PC
プロファイルと Windows Media Audio コーデックおよび Windows Media Video コーデックをサポートしています。
- Windows Media Video 7 コーデックを使用してください。Windows Media Video 8 コーデックもサポートされていますが、このバージョンの圧縮技術は CPU に大きな負荷をかけるため、ポータブル デバイスには適していません。Windows Media Video 7
コーデックは Windows Media エンコーダ 7 および 7.1 の両方で使用できます。
- ユーザー設定エンコーディング プロファイルを作成する際は、出力ビデオ サイズを 320 × 240
ピクセル以下にしてください。出力ビデオサイズを大きくすると、ビデオを小さな画面に合わせるためにビデオが切り取られたり、なんらかの処理が行われるため、エンコードしたビデオの品質が落ちます。最適な結果を得るには
208 × 160 ピクセルを使用してください。
- Windows Media 著作権管理を使用すると、エンコードしたコンテンツの使用方法に制限を課すことができます。たとえば、デスクトップ
コンピュータから Pocket PC
へのコンテンツ転送を許可するライセンスなどを作成できます。また、許可される転送の数やコンテンツ転送の有効期限なども指定できます。ユーザーは Web
ページから Pocket PC に直接コンテンツをダウンロードしても、ライセンスを取得することはできません。まずデスクトップ コンピュータにコンテンツをダウンロードしてライセンスを取得し、その後ポータブル
デバイスに移す必要があります。
- Microsoft Windows Media 8 エンコーディング
ユーティリティを使用して Pocket PC 用のコンテンツをエンコードすることは可能ですが、お勧めできません。エンコーディング
ユーティリティは、ダウンロードして再生するための高品質コンテンツを作成するように設計されています。ほとんどのポータブル
デバイスには、大きなファイルを取り扱えるだけの能力やネットワーク接続はありません。
詳細情報
- Windows Media エンコーダ 7 および 7.1
の詳細については Windows Media エンコーダのヘルプを参照してください。
- Windows Media Player for Pocket PC の詳細については Windows Media Player のヘルプを参照してください。
- Windows Media テクノロジの詳細については Microsoft の Web サイトにある Windows Media テクノロジのページを参照してください。
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