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Windows Media テクノロジの基本概念

Microsoft Corporation

December 2000
日本語版最終更新日 2002 年 3 月 20 日

概要 : この記事では、ネットワークによるデジタル メディア提供の基本概念について説明し、Windows Media コンテンツのキャプチャ、配信、再生、ダウンロード、ストリーミング、圧縮、およびエンコーディングに関する情報を提供します。

はじめに

ネットワーク上でデジタル メディアを配信するためのソリューションを作成するには、まずいくつかの基本概念を理解する必要があります。テレビのように、ボタンを押せば何でもできるワン ボックスがあれば簡単です。しかし、ネットワーク上でのデジタル メディア配信を理解するには、テレビよりも大きなシステムを理解する必要があります。

Microsoft® Windows Media テクノロジで作成するようなタイプのネットワーク デジタル メディア システムでは、複数のボックスと多くのケーブルが必要になります。また、ネットワーク ハードウェアやビデオ キャプチャ カードといったほかのコンポーネントとの統合も必要です。ネットワーク マルチメディアに関するすべてを理解するには、オーディオやビデオのコンテンツ制作、コンピュータ ソフトウェアの開発、ネットワーク、Web スクリプトとデザイン、ビジネス プラン、その他多くの分野すべてのエキスパートでなければなりません。

しかし幸いなことに、Windows Media テクノロジを使ってネットワーク上でデジタル メディアを配信するために、何もかも知っている必要はありません。オーディオおよびビデオのコンテンツ制作方法とコンピュータの操作方法を理解していて、ネットワーク マルチメディア コンセプトの基本的な知識があれば、すぐに始めることができます。そこから知識を広げ、可能性を探ればよいのです。

このトピックでは、Windows Media テクノロジの概要の一部である、ネットワーク上でのデジタル メディア配信に関する基本概念について説明しています。以下のセクションが含まれます。

  • コンテンツの配信プロセス。ネットワークを介したデジタル メディアの配布プロセス。
  • ダウンロード。ネットワーク上でデジタル メディアを配信する方法の 1 つで、ユーザーがファイルをコピーする方法。
  • ストリーミング。デジタル メディアを配信する方法の 1 つで、オーディオおよびビデオ コンテンツがユーザーに届けられる際、ファイルをコピーしなくていい方法。
  • 圧縮。ネットワークで配信できるよう、デジタル メディアのサイズを小さくすること。
  • エンコード。デジタル メディアをストリーミングに適した形式に変換すること。

コンテンツの配信プロセス

大きく分けて、コンテンツを配信する基本的なプロセスは次の順序で行われます。

  1. キャプチャ
  2. 変換
  3. 配信
  4. 再生

プロセスを理解していただくため、VHS テープに録画された映画をインターネットでストリーミングできるように加工する作業を例にとって説明します。

キャプチャと変換

まず最初に、映画をコンピュータ上のファイルとして保存します。このプロセスは、デジタル化またはキャプチャと呼ばれます。アナログのオーディオとビデオを、ファイルとして保存できるデジタル形式に変換します。

VHS テープからキャプチャするには、ビデオ デッキのビデオ出力とオーディオ出力を、コンピュータのビデオ キャプチャ カードに接続します。その後、キャプチャ プログラムを使用して、アナログ信号をデジタル化します。キャプチャ カードには通常、簡単なキャプチャ プログラムが付属しています。これらのほとんど、デジタル化されたメディアを Microsoft の標準ビデオ ファイル 形式である AVI ファイルとして保存します。ビデオを AVI ファイルとして保存した後、Microsoft Windows Media エンコーダを使用して、ストリームできる Windows Media ファイルに変換します。Windows Media エンコーダを使用して、Windows Media ファイルに直接キャプチャすることもできます。

図 1. オーディオとビデオのキャプチャおよび変換プロセス

オーディオとビデオをコンピュータにキャプチャすると、もうそれはすでに音や絵ではなくデータになっています。ビデオ デッキから取り込んだアナログ情報は、ビットと呼ばれる、0 と 1 で構成されるデジタル ストリームに変換されます。ビットは一連の長い命令だと考えてください。ビットはオーディオやビデオそのものではなく、どのようにしてアナログ形式のオーディオやビデオを再現するかを示した一連の命令です。

配信

映画をコンピュータ上のファイルにデジタル化したら、ほかのデータと同じように配信できます。たとえば、フロッピー ディスク、CD-ROM、その他の記憶媒体にコピーして、視聴者に郵送することもできます。また、インターネットなどのネットワークを介してデータを配信することもできます。

ネットワークとは、2 台以上のコンピュータがデータを相互に交換できるように接続されている状態です。企業イントラネットは数百、数千ものネットワーク コンピュータから成ることもあり、インターネットにいたっては、無数のコンピュータから構成されています。

ネットワーク上には、次の 2 種類のコンピュータがあります。

  • サーバー
  • クライアント

クライアントは、サーバーにデータを要求し、サーバーは要求を処理してデータを送ります。Microsoft Windows® オペレーティング システムの利点の 1 つは、ユーザーが実行したい操作によって、1 台のコンピュータがクライアントとしてもサーバーとしても機能できる点です。たとえば、1 台のコンピュータからもう 1 台のコンピュータにファイルをコピーしたり、その逆を実行したりできます。

ただしネットワーク上には、サーバー オペレーティング システムがインストールされた特別なコンピュータもあります。これらのコンピュータは、多数のクライアント要求を処理できるように設定されています。Microsoft Windows 2000 Server 上で Microsoft Information Services (IIS) が起動しているコンピュータは、Web ページ、画像、その他のファイルを、インターネットやイントラネット上の数千のクライアントに配信する Web サーバーとして構成できます。サーバーでは、ストリーミング メディアを配信するための Windows Media サービスも実行できます。

デジタル メディアは、以下のいずれかの方法を使って、ネットワークを介してクライアントに配信されます。

  • ダウンロード
  • ストリーミング

Windows Media ファイル形式はストリーミング用に最適化されていますが、ダウンロード用にも使用できます。Windows Media ファイルをストリーミングする最適な方法は、Windows Media サービスが起動されているサーバー上でホストすることです。

デジタル メディアを Windows Media ファイルにエンコードした後、サーバーの特定の場所にコピーまたは公開することによってファイルをホストします。この場所は、公開ポイントと呼ばれます。Windows Media サービスは、クライアントから要求を受け取ると、この公開ポイントからデジタル メディアにアクセスします。その後、サーバー コンピュータが ISP に高速の回線で接続されており、インターネット上に適切に登録されていれば、ユーザーはデジタル メディアを再生することができます。

再生

最後の手順は、ビット (デジタルの命令) にアクセスして、それをアナログ形式に変換することです。そうすると映画を見られるようになります。エンド ユーザーは、これを Windows Media Player で実行します。デジタル メディア ファイルが、エンド ユーザーのコンピュータまたは LAN (ローカル エリア ネットワーク) 接続されているほかのコンピュータ上にある場合は、直接開いて作成することができます。またエンド ユーザーは、Windows Media サーバーから Windows Media ファイルをストリーミングして再生することもできます。これを実行するには、プレーヤー内でデジタル メディアの URL (Uniform Resource Locator) を入力します。

Windows Media サーバーの Windows Media ファイルにアクセスしてストリーミングするための URL は、Web サーバーの Web ページにアクセスするための URL と似ています。 主な違いは、使用されるプロトコルです。エンドユーザーが Web ページを開くときは、http://WebServer/default.htm のような URL を使用します。しかし、Windows Media サーバー上にある映画ファイルを開くときは、mms://WMServer/MyMovie.wmv のような Windows Media プロトコルを使った URL を入力します。

エンド ユーザーは Windows Media Player に URL ファイルを入力して Windows Media ファイルを開くこともできますが、多くの場合、デジタル メディアはWeb ページ上にあるリンクからアクセスされます。たとえば、エンド ユーザーがラジオ局のページを開き、ページ上の情報を読んで、Windows Media ベースのコンテンツへのリンクをクリックするなどです。ユーザーがリンクをクリックすると、Windows Media Player が開き、サーバー上のファイルへの接続を開始します。接続が確立された後、デジタル メディアの再生が開始されます。

Windows Media を Web ページ デザインに組み込む方法は 3 つあります。1 つは、ページに単純なリンクを設定し、そのリンクをクリックしたときに、ブラウザの外にある Windows Media Player が開いてプレーヤーとデジタル メディアの間の接続が開始されるようにする方法です。このデザインの場合、エンド ユーザーは、ストリームを視聴している間にもブラウザを使ったネット サーフィンを続行できます。もう 1 つの方法は、HTML 内で OBJECT タグを使用して、プレーヤーを Web ページに埋め込む方法です。この方法を利用すると、プレーヤーのデザインとページのデザインを調和させることができます。3 番目の方法も単純なリンクを使用しますが、デジタル メディアを Microsoft Internet Explorer 5 に組み込まれた Windows Media Player のラジオ ツールバー内で開きます。

完全な Windows Media システムには、デジタル メディアのキャプチャ、エンコード、配信、そして再生が含まれます。この後のセクションでは、ダウンロードとストリーミング、およびエンコード プロセスについて詳しく説明します。

ダウンロード

ファイルをダウンロードするときは、ネットワークを介して 1 つのコンピュータから別のコンピュータへファイルをコピーします。これは、ローカルでフロッピー ディスクからハード ディスク ドライブにファイルをコピーするのに似ています。

ダウンロード可能なコンテンツを再生するときは、Web ページに表示されている、Web サーバー上のファイルを示すハイパーリンクをクリックします。するとブラウザが、サーバーからのファイルのコピーを開始します。ファイルがハード ディスク ドライブにコピーされた後、Windows Media Player などのソフトウェアを使用して、ファイルを開いて再生することができます。

ファイルをダウンロードする場合、ファイルを再生する前にすべてのデータがサーバーからハード ディスク ドライブにコピーされる必要があるため、時間がかかります。コピーの所要時間は、ネットワークで利用可能な帯域幅と、モデムまたは NIC の通信速度によって決まります。ネットワーク帯域幅は、水道管に例えることができます。モデムと電話線でインターネットに接続する場合は、非常に細い水道管を使っているのと同じで、一定時間内に取得できるデータ量が少なくなります。この場合、ファイルはタンクの水に例えることができます。水の量が多い場合、細い管で移動させるには時間がかかります。インターネットを介して大きなファイルをダウンロードするには、数分間かかることがあります。しかし、ローカルで CD-ROM からハード ドライブにコピーする場合は、帯域幅が格段に広いため、数秒しかかかりません。

図 2. 低速なインターネット接続とローカル転送での帯域幅の違い

ユーザーがデジタル メディアを再生する際、Windows Media Player は、ビットに格納されている命令を使用して、元の音声と画像を再生します。命令が多いほど表現が豊かになり品質も高くなりますが、ビット数が増えてファイル サイズが大きくなるため、ダウンロードの時間が長くかかります。

ストリーミング

ダウンロード プロセスを省いて、コンピュータでデータを受信しながらすぐに再生できる方法もあります。この場合は、ビットがコピーされるのを待つ代わりに、到着したビットから次々に変換され再生されます。これがストリーミングです。ビットは、ネットワーク上のサーバーから受信しながら再生され、通常、ハード ディスク ドライブに保存されません。

ストリーミング メディアは、ダウンロードを待たず、すぐに楽しむことができます。オーディオやビデオ ファイルのストリーミングは、CD やテープの再生に似ています。再生、一時停止、停止、巻き戻しなど、コントロールも同じです。唯一の違いは、テープや CD などの物理的な媒体がないという点です。このため、何をいつ視聴するかを自由に選ぶことができます。

ストリーミングではまた、ラジオ局やテレビ局と同様、ライブ放送が可能ですが、インターネットを利用する点だけが違います。ファイルを作成する必要はありません。Windows Media エンコーダは、作成したビットをファイルに保存せず、ネットワークを使って直接プレーヤーに送信します。

ストリーミングを機能させるには、メディアのビット レートが、ネットワークの帯域幅よりも低くなければなりません。ビット レートとは、ネットワーク上でデータが送信される速度のことです。水道管の例えに戻ると、帯域幅が水道管のサイズだとしたら、ビット レートは、管を通って移動できる水量、つまり 1 秒あたりのデータ量です。デジタル メディアを受信しながら再生する場合、ネットワークの帯域幅がメディアのビット レートより低いと、メディアを正しく再生できません。

静止画像を低速接続でダウンロードしても、画像の品質は影響を受けません。ただ、コンピュータにすべてのビットをコピーするのに時間がかかるだけです。静止画像自体には、ビット レートはありません。一方、ストリーミング メディアにはビット レートがあります。コンテンツが Windows Media Player で再生されている間、ビットは連続的な一定の速度でストリーミングします。プレーヤーがビットのストリームを連続的に受信できなければ、画像や音声は、停止や再生を不規則に繰り返します。つまり、ダウンロード用のファイルをエンコードする際は、ファイル サイズが重要で、ビット レートは関係ありません。一方、ストリーミング用のファイルをエンコードする際は、ファイル サイズは関係なく、ビット レートが重要です。ビット レートがクライアントの帯域幅以内であれば、非常に大きなファイル、またライブ放送のように、サイズが確定していないファイルも問題なくストリーミングすることができます。

圧縮

高解像度のフルフレーム ブロードキャスト ビデオのビット レートは、およそ 128 Mbps (メガビット/秒) です。1 秒間分のブロードキャスト ビデオを、モデムを使った 28.8 Kbps (キロビット/秒) の接続でダウンロードするには、1 時間 14 分かかります。このようなビデオをネットワーク上でストリーミングすることは不可能です。ビデオ フレームのすべての細部を再現するためにはあまりにも多くの命令が必要となるため、ほとんどのコンピュータでは、ビデオを再生することもできません。また、ファイルを保管するための膨大な記憶域も必要になります。Windows Media テクノロジは、この問題を、圧縮技術を使って解決します。圧縮によって、品質をなるべく高く維持しながら、ビット レートを下げることができます。

圧縮アルゴリズムは、データを分析してビットを削除または変更することで、元のコンテンツの完全性をなるべく保ちながら、ファイルのサイズとビット レートを下げます。Windows Media ファイルの作成時に Windows Media エンコーダがデータを圧縮し、再生時に Windows Media Player が圧縮データを圧縮解除します。

圧縮には、可逆非可逆の 2 種類があります。名前が示すように、可逆圧縮の場合は、圧縮したデータを圧縮解除すると元とまったく同じデータになります。非可逆圧縮では、圧縮時にデータの損失が発生し、圧縮解除しても元と同じデータにはなりません。失われるデータの量は、圧縮アルゴリズムの品質と、データに適用された圧縮量によって異なります。オーディオとビデオをインターネット上でストリーミングするのに必要なレベルまでビット レートを低くするため、ストリーミング メディアには、非可逆の圧縮および圧縮解除アルゴリズム (コーデック) が使用されます。

Windows Media テクノロジは、複数の異なる帯域幅で可能な限り最高の品質を実現し、ストリームをインターネットの不規則な帯域幅に合わせて自動的に調整するよう設計されています。Windows ムービー メーカーや Windows Media エンコーダの品質オプションを選択すると、デジタル コンテンツは、特定の帯域幅を越えないように圧縮されます。これにより、たとえば、28.8 Kbps の接続を使用して映画を受信するコンピュータ上でも正常に再生できるように、ビット レート 20 Kbps のコンテンツを作ることもできます。あるいは、ISDN、DSL、ケーブル モデムなどを使用した、ブロードバンドと呼ばれる高速接続でストリーミングする 384 Kbps の映画を作ることもできます。 ビット レートを少なくすると、ファイルのサイズが小さくなります。ストリーミング用にエンコードされたファイルは、ダウンロードやディスクへのコピーにも適しています。

Windows Media Audioおよび Windows Media Video コーデックは、デジタル コンテンツの圧縮に使用されます。これらは、オーディオとビデオの高品質な再生を実現するだけでなく、帯域幅が大きく変化する条件下でも適切にストリーミングできるようにします。たとえば、転送中にデータが失われた場合、ビデオ コーデックが、フレームの失われた部分を補おうとします。また、オーディオ コーデックを使用することで、比較的低いビット レートで、非常に高いオーディオ品質が実現されます。圧縮していない CD オーディオと比べると、何分の 1 かのビット レートとファイル サイズで、CD に近いレベルの品質のオーディオを提供できます。標準的な CD には、1 時間強の音楽を保存できます。しかし Windows Media オーディオ コーデックで音楽を圧縮すると、CD に近い品質の音楽を、同じ 1 枚の CD に 10 時間分以上も保存できます。

エンコード

Windows Media エンコーダがファイルまたはキャプチャしたオーディオやビデオを変換する際、まずデータを圧縮し、その後 Windows Media フォーマットを使用してエンコードします。圧縮およびエンコードされたデジタル メディアは、Windows Media ファイルとして保存できます。デジタル メディアがライブ ブロードキャストの場合、メディアはリアルタイムで Windows Media サーバーに配信され、そこから、サーバーに接続されたプレーヤーにストリーミングされます。

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