日本ユニシス株式会社

公開日 2005 年 5 月 19 日

.NET Framework は早く安く作れる。
そのメリットを生かし、質の向上に時間やコストを注ぎ込むことが可能に。
そして実現できた品質の高い商品、サービスは自然にビジネスへとつながっていく。
日本ユニシス logo

IT サービスを通じてお客様の価値創造を支援する日本ユニシス グループ。その中核企業としてマーケティングおよびビジネス開発を担う日本ユニシス株式会社 (以下、日本ユニシス) は、日本で活躍する IT 企業としては非常に早い段階から .NET テクノロジにコミットし、その普及に注力してきました。
その結果、同社は .NET および .NET Framework 分野では他の追随を許さないトップ プレーヤーとしての地位を確立しています。同社が早期に .NET ビジネスの参入を決めた背景、現在のビジネス状況について伺ってみました。
日本ユニシス


<最初は .NET への好奇心から活動が始まった>
―― 日本ユニシスには非常に早い段階から .NET にコミットしていただいていますが、まず、取り組みを決意された背景からお聞かせください。

尾島良司 氏
日本ユニシス株式会社
AD CoE コンピテンスセンタ .NET コンピテンスセンタ
チーフSE
尾島 良司 氏

尾島 もともと当社は Windows NT が登場したころから、Windows がビジネスになると考えコミットしてきましたが、Windows 2000 が出たあたりから、W2KCOE というビジネス ユニットを作り、組織的に Windows でビジネスしていこうという形ができました。ただ、それはあくまでプラットフォームとしての Windows にフォーカスしたものです。
その後に .NET Framework が出てきました。これはおもしろそうだと試してみると、実際にいいものだった。「これはいいね、いけるね」という話を現場レベルで広めていくうちに、今度はそれが上層部の耳に止まったのです。「では .NET の専任組織を作ってビジネスを立ち上げてみなさい」と、2002 年 9 月に .NET ビジネスの専任組織ができました。この専任組織の人たちはもともと興味を持って始めた人たちなので、いろいろな案件にコミットしていくうちに、ビジネス組織と言えるまで広がりを持つようになりました。



間瀬 実はここに至るまでには、もう少し会社的な前提があります。当社は 2000 年 3 月に Unisys Enterprise Server ES7000 の発売を開始したのですが、これは米国ユニシスが大規模 Windows 分野でマイクロソフトと提携したところから始まったものなんです。その後、 2002 年になって、米国のマイクロソフトや米国ユニシスとの間のマーケティングマネジメントレベルの会議などをきっかけにして、「国内ではまだどこも本格的に手がけていない .NET 市場への早期参入こそが、日本ユニシスのアドバンテージになり得る」という経営者層の判断があったと聞いています。

尾島 ミッション クリティカルな Windows にコミットするという会社としての流れと、.NET Framework がおもしろいぞと思った私たちのような現場からの流れがぶつかったのが、ちょうど 2002 年 9 月の .NET ビジネス組織の開設ということでしょうね。

―― 尾島さんたちが .NET をおもしろいと思った具体的なポイントはどういう点にあったのですか?

尾島 生産性の高さです。
当時いろいろな開発環境を利用していましたが、そのどれに比べてもフレームワークのできが頭一つ抜けていて、カバー範囲が広かった。これで組んだらもっと早く安くできそうだ、ビジネスになりそうだ、と思いました。


―― 開発には対象となるシステムが必要ですが、それはすぐに見つけられたのでしょうか。

尾島 ビジネス組織を立ち上げたときは、既にお客様からの案件をいくつも抱えている状態でした。

―― それらはお客様からの引き合いによるものですか? それとも御社がセールスに成功して獲得したものですか?

尾島 .NET に先行して進めていた XML Web サービスのマーケティングを通じて、イベント会場でデモをご覧になったお客様からいただいた案件がいくつかありました。また、もともと Windows でシステム構築されていたお客様のところで「次は .NET Framework ですよ」と申し上げたら採用されたというケースもありました。実際に手がけてみたら非常にいい結果が出たので、複数の案件で「これはいい決断だったね」とお褒めの言葉をいただきました。

―― 世間的には「.NET、本当に大丈夫なの?」という時期だったと思うのですが、不安などはありませんでしたか?

尾島 私たちは、技術的によいものだと確認したうえでの決断だったので、不安とかそういうものはありませんでした。周りからはこの取り組みに関して「がんばるねえ」とは言われましたけど。実際に、外部から良い評価をいただきましたので、私たちの決断は正しかったと実感できました。.NET Framework に対しても良いものだったと思っています。

間瀬志帆 氏
日本ユニシス株式会社
.NET ビジネス統括部
.NET ビジネスディベロプメント
間瀬 志帆 氏

―― ここで言われる外部の評価とは具体的には?

尾島 国内における第三者の調査結果によると、「.NET によるシステムインテグレーションに最も積極的に取り組んでいると思う企業はどこですか?」というアンケートに対し、日本ユニシスが 1 位を獲得することができました。結果を聞いたときは本当にうれしかったですね。

―― 先ほど生産性の高さが .NET Framework の魅力とおっしゃいましたが、具体的にテクノロジとしての優位点はどんなところに見出されたのですか?

尾島 なんと言っても、フレームワークが標準として入っているところだと思います。他の環境で、たとえば C++ が一番いい例なのですが、言語しかないという場合には、開発者がライブラリを整えるところから作業をスタートさせなければなりません。そのライブラリも各人がバラバラに作るので、整合性を持たせるのに時間やコストがかかってしまう。ばかげた話ですよね。既にライブラリが存在すれば開発は非常にスムーズに進みます。
それを最初に J2EE という形でやってくれたのが Java でしょうね。これによって開発者はこの上でプログラムを組めばいいということになりました。ただ、レイヤが低かった。プリミティブな部分の標準を定めてくれただけなので、実際の開発ではその上にそれぞれがフレームワークを乗せて作業しなければなりません。ですが、乗せるフレームワークというのは時代によって流行りすたりがありますし、フロントエンドとバックエンドで違うものを使うと整合性の問題も出てきます。それをうまくまとめるのがエンジニアのテクニックだとそれまでは思っていました。でもよく考えたらもう一段上のレベルで用意されれば、これはいらなくなるテクニックなんですよね。それをマイクロソフトはやってくれた。 .NET Framework はこのレイヤのレベルをもう一段上げてくれたところに意義があると考えています。


―― レイヤの底上げをしたのが一番大きい、と。これはエンジニアの仕事をどう変えたのでしょうか。

尾島良司 氏

尾島 レイヤが上がった分だけ、そこに包含された設計思想を把握して使わなければいけないというのはありますが、開発するレイヤは薄くなる。今度はそこでどんないいものを作っていくか、どういう利益をその使用者に向かって出せるのか、を考えることが重要になりました。道具を正しく理解したうえで、お客様の要求を正しく理解して、それに対して利益を確実に提供していくということがエンジニアの仕事になったと思います。

―― 尾島さんは「ビジネスになる」とおっしゃいますよね。これはどういう意味ですか。

尾島 早く安く作ることができることがポイントなのですが、言い換えれば、早く安く作れるということは、余った時間やコストをよりよいものを作るために使うことができるということなのです。よりよい商品を提供できれば、それは当然ビジネスになりますよね。他の人たちが作るということそのものに苦労しているところを、われわれは作るという段階では苦労しないんですから。

―― それが他社との差別化になって、お客様へのアプローチのポイントになる、と。

尾島 はい。それと、当時は SOA (サービス指向アーキテクチャ)という考えがなかったのですが、企業システムというのは大きな一枚岩のように作るのでは駄目で、小さいものを協調させながら動かしていくべきだと考えていました。その考えをまとめたのが、当社の開発方法である、LUCINA® (ルキナ) なのですが、その道具としても .NET Framework はなかなか適切だと思ったということがありますね。



<.NET Framework 環境におけるシステム構築ノウハウを体系化した LUCINA for .NET>
―― では、その LUCINA for .NET についてご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
尾島 はい。これは .NET Framework 環境における日本ユニシスのシステム構築ノウハウを体系化した開発方法と開発テンプレートのことです。.NET Framework 向けに最適化されたアーキテクチャに基づいて、原則、ルール、標準などのガイドラインとなる開発プロセスを提供します。
内部的には、エンタープライズシステムを見据えたデザインになっていて、企業全体のシステムの構成要素の 1つにすぎないアプリケーションは協働しあうことが重要で、それを忘れて作った個別最適のアプリケーションは意味がない、というところから始まっています。
アプリケーションを作る段階でも、今までのように全体をサブシステムに分割して、サブシステムをモジュールに分割して、モジュールを関数に分割して、というのではなく、見方を変えて抽象化して、ビジネスのアーキテクチャとシステムのアーキテクチャを作っていって、そのアーキテクチャをマッピングする形でシステムを作っていきましょう、という考え方を取っています。このアーキテクチャを、開発のたびに 1 から考えていたのでは時間がかかって仕方がないので、あらかじめ定めておこう、と。


―― 雛形のようなものですね。

尾島 そうです。LUCINA を最初に作り始めたときは Java を使っていましたが、 Java でプログラムを組んでいくときに、毎回似たような作り方をしているのにも関わらず、毎回みんなが同じように同じようなところで悩んでいるということがよくありました。言語やインフラストラクチャが決まれば、システムの作り方というのは自ずと決まってくるのではないかと考えて、このときにシステムのインフラストラクチャをあらかじめ定義しておくという作業をしました。
それがうまくいったので、.NET Framework でも適用しようと。レイヤの底上げがなされているので、より詳細なアーキテクチャを定義できるということで作ったのが、LUCINA for .NET で提供している検証済みで均一なアプリケーション構造と開発プロセスというわけです。
最初は、こういう風に作っていきましょう、作る際はこういう開発プロセスでいきましょう、とドキュメントの形で出していたのですが、具体的なものがないとわからないという声もいただいたので、これに加えて Web Foundation for .NET という形で、作る際のテンプレートとなるプログラムと実際そのテンプレートを構成している共通部品群も提供しています。


―― その共通部品群の中に、セキュリティを確保する機能があるとか?

尾島 本当は共通部品群をたくさんご用意していますとお客様にアピールしたいところですが、ほとんどは .NET Framework が網羅しているので、共通部品群は、閉塞処理やロギングなどのもう少し管理的な機能ですね。この部品群の中でも、トランザクション管理に関わるところは、当社のミドルウェアである MIDMOST® for .NET という形で独自商品になっています。

―― それはどういうものなのでしょうか。

尾島 Windows でミッション クリティカルなシステムを開発する際に必要な特有の要件、たとえばトランザクション制御、メッセージ制御、運用制御支援、障害対応支援などを補完するものです。日本のお客様は職人気質というかゴール設定が非常に高いところにあるので、そうした要望に応えるためのミドルウェアですね。

―― LUCINA for .NET をご利用になられているお客様はもう結構いらっしゃいますか?

尾島 当社でアプリケーションを新規に作りましょうという場合は、ほぼ使っています。旅行代理店の顧客・販売管理システムですとか、アパレルメーカーの経営層向け意思決定支援ポータルシステムですとか、事例は既にたくさんありますね。



<組織を立ち上げたときに設定した 3 つの目標を既にクリア>
―― 日本ユニシスにおける .NET ビジネスの達成感は、どういう点でお感じになっていますか。

尾島 .NET ビジネス組織を立ち上げたときに、3 つ目標を設定しています。1 つは「 .NET 分野で No.1 プレーヤーになりましょう」、1 つは「技術者を数多く育成してどんなに案件が来ても対応できるようにしましょう」、もう 1 つは「この分野での年間受注金額をいくらにしましょう」と。
No.1 プレーヤーになりましょうというのは、先ほどの調査にもあったように、思いのほか簡単に達成できてしまいました。技術者も現時点で約 1,000 人に達していて、このボリュームで .NET エンジニアを抱えている会社は、まだ日本でそうはないと思います。後は年間受注金額ですが、これもほぼ達成できるのではないか、とにらんでいます。個人的には、社内のさまざまな部署で .NET 開発が進んでいるのを見ると、ああ、ここまで来たんだなあと感慨深いですね。


―― 最近は、.NET ビジネスに参入されるプレーヤーも増えてきていますが、「ここだけは今後も他社に負けない」と思っていらっしゃる点は何ですか。

尾島 LUCINA などは今も日常的に進化させているので、その完成度や品質などという点では手前味噌ながら 1 日の長があるのではないでしょうか。

間瀬 それに加えて、やはり早くから取り組んでいますので、事例の数が違うと思います。お客様に説明できるものがたくさんあるのに加えて、LUCINA という開発方法も合わせて提供できるということで、高品質で安定したシステム構築が可能です。安定感があるという点では、最近参入された同業他社とは違うかなと自負しております。
また、LUCINA に関しては、マイクロソフトから出てくる .NET Framework の新版に対応できるのですかという問い合わせをよくいただきますが、尾島も触れたように、問い合わせをいただく時点でもう既に対応している状態である、ということを重視しています。早期の製品評価、早期のサービス提供は、.NET Framework に最初からコミットしてきたからこそできるし、継続していかなければいけない任務だと考えています。


間瀬志帆 氏

―― 日本ユニシスの .NET Framework に対する厚い信頼に応えるべく、マイクロソフトもさらに努力していきたいと思います。本日はありがとうございました。

※このインタビューの内容は、2005 年 3 月取材時点のものです。


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