Microsoft® Office のアップデート ファイルを組織内に導入する場合、管理者はクライアント コンピュータに直接アップデートを適用するという新しい方法を使用できます。
従来の推奨される方法では、ネットワーク共有の管理者用インストール ポイントにフルファイル (管理者用) パッチを適応し、このイメージからすべてのクライアント コンピュータの再キャッシュと再インストールを実行します。通常は、この方法で問題ありませんが、クライアントと管理者用イメージの同期を維持することが難しい場合もありました。そのような場合、管理用共有とクライアント コンピュータで使用するソフトウェアのファイル バージョンが異なってしまいます。管理用共有と同期しないクライアント コンピュータは、[アプリケーションの自動修復] などの特定の機能を利用できないことがあります。
Microsoft が推奨する新しい方法では、このような同期の問題を起こさずに、余裕のあるアップデート サイクルでコンピュータを管理するために、ユーザーのコンピュータに直接クライアント用アップデートを適用します。この方法では、管理者用インストール ポイントの構成は元の状態に維持されます。このページでは、従来のアップデート方法に伴う潜在的な同期の問題と、代替的なアップデート方法について説明します。
同期の問題が発生する原因
コンピュータ システムが同期しない原因を理解するには、クライアント コンピュータで管理者用ソースが必要になる場合について最初に検討します。管理者用インストール ポイントからクライアント コンピュータに Office をインストールすると、ソース ファイルの場所とバージョンに関する情報を含むパッケージ (MSI ファイル) がクライアントにキャッシュされます。その後で、クライアント コンピュータで次のような操作を実行すると、管理者用イメージのソース ファイルが必要になります。
| • | [アプリケーションの自動修復]。クライアント コンピュータの Office 製品のファイルに破損または欠落があると、管理者用ソースから元のファイルが自動的にダウンロードされて修復されます。 |
| • | [初めて実行するときにインストール]。管理者の設定によっては、Office プログラムはユーザーのコンピュータにアドバタイズされても、ユーザーが初めて使用するまでは実際にインストールされないことがあります。実際のインストール時に、管理者用ソースから必要なファイルがダウンロードされます。 |
クライアント コンピュータと管理者用インストール ポイントで使用している MSI ファイルのバージョンが同じである場合は、上のような操作を行っても問題は発生しません。管理用共有のアップデート後にクライアント コンピュータを同期すると、両者の MSI ファイルが同期して、すべての機能が正常に動作します。一方、クライアント コンピュータのアップデートが遅れると、クライアント コンピュータと管理用共有で使用する MSI ファイルのバージョンに相違が生じて、問題が発生する場合があります。たとえば、アップデートが遅れているクライアント コンピュータから管理者用コンピュータのファイルにアクセスしようとすると、両者の MSI ファイルは同期していないために、クライアントは管理者用イメージを認識できません。
従来のアップデート管理方法
従来、Microsoft では、管理者用イメージとクライアント イメージの同期を維持するための 2 つの方法を推奨しています。1 番目の方法は、コンピューティング環境を管理して、管理用共有の各アップデートの直後にクライアント コンピュータで再キャッシュおよび再インストールを実行します。この方法は、管理を徹底するか、Microsoft Systems Management Server などのソフトウェア導入ツールを使用する場合に、依然として推奨されます。ただし、どの組織でも実行できるとは限りません。
2 番目の方法は、管理者用イメージをアップデートするたびに、アップデート前の管理者用イメージを管理者用インストール ポイントに保持します。同期していないクライアント コンピュータから最新の管理者用イメージにアクセスしようとすると、アクセスは失敗しますが、アップデート前のイメージにリダイレクトされます。ただし、この方法では、アップデートを適用するたびに管理者用イメージを複製する必要があります。したがって、時間の経過と共に必要なハード ディスク領域が増大します。
新しい方法
同期の問題を解決する必要がある組織では、代替方法の使用を推奨します。新しい方法では、管理者用インストール ポイントをベースライン レベル (元の RTM イメージなど) に維持し、クライアント用アップデート (バイナリ) パッチを直接クライアント コンピュータに適用します。この方法は、従来の方法と比べて、次のような利点があります。
| • | クライアント コンピュータと管理用共有の MSI ファイルは常に同じであるため、両者は必ず同期します。クライアント コンピュータにバイナリ パッチを適用しても、MSI ファイルのバージョンには影響しません。[アプリケーションの自動修復] など、管理者用ソースにアクセスする操作を実行した場合でも、バイナリ パッチでアップデートしたクライアント コンピュータと管理用共有では同期の問題が発生しません。 |
| • | アップデートしたアプリケーションと関連するファイルを変更しても、パッチはクライアント コンピュータに適用されます。クライアント コンピュータの欠落しているファイルを管理者用ソースからダウンロードした場合でも、パッチは新しい方法に従ってクライアント コンピュータに適用されるため、インストールは常に最新の状態に維持されます。 |
| • | アップデートは段階的なスケジュールに従って適用できます。管理者用イメージに依存するすべてのクライアント コンピュータを一度に更新する必要はありません。必要に応じて、グループ別またはユーザー別にアップデートを導入できます。 |
| • | 管理者用イメージの多数の複製をサーバーに保持する必要はありません。製品のライフ サイクルを通じて使用する管理者用イメージは 1 つです。 |
新しい方法を使用しない場合
クライアント コンピュータをアップデートするという方法は、クライアント コンピュータと管理者用イメージの間に同期の問題がある場合の対策です。他のアップデート方法と比べて、いくつかの利点はありますが、次のような場合は新しい方法を使用しないでください。
| • | 管理者用イメージとの同期を失う前にクライアント コンピュータの再キャッシュと再インストールを実行できる場合。管理者用ソースにアクセスする前にすべてのクライアント コンピュータを同期することにより、同期の問題を解決できる場合は、従来の方法が依然として有効です。 |
| • | Office を「ソースから実行」する形式でインストールしている場合。ソースから実行する形式のインストールでは、アプリケーションのコア ファイルはサーバーに常駐し、ファイルのサブセットのみがクライアント コンピュータにコピーされます。このようなインストールをアップデートするには、サーバーのイメージのみをアップデートします。ソースからアプリケーションを実行するクライアント コンピュータにバイナリ パッチを適用すると、そのアプリケーションはコンピュータにローカルにダウンロードされ、ソースからは実行されなくなります。 |
| • | ユーザーがクライアント コンピュータをアップデートする権利を持っていないか、許可されていない場合。アップデートは、ログオンしているユーザーの権限を使用して適用されます。ユーザーが各自のシステムにアップデートを適用するには、管理者権限またはシステム権限の許可が必要です。 |
組織内でのクライアント用アップデート ファイルの導入
代替方法では、クライアント用 (バイナリ) アップデートをユーザーのコンピュータに配布し、ローカル コンピュータ別にアップデートを実行します。クライアント コンピュータ用のアップデート ファイルは、管理サーバー上のフォルダまたはネットワーク上のすべてのクライアントからアクセスできるネットワーク共有に格納できます。別のサーバーをパッチのホストとして設定することはできますが、その必要はありません。
ただし、クライアント コンピュータでアップデートの管理を始める前に、すべての Office 管理サーバーおよびクライアント コンピュータに対して共通のベースラインを確立する必要があります。
ベースライン イメージの確立
この新しいアップデート方法を使用するには、最初に組織内で Office の「ベースライン」構成を確立します。ベースライン構成とは、組織内のすべての管理用共有とすべてのクライアント コンピュータが Office MSI ファイルの同じバージョンを共有し、その MSI ファイルのバージョンにバイナリ パッチが適用される状態のことです。バイナリ パッチは RTM または SR-1 レベル (Office 2000 の場合) あるいは RTM または SP-1 レベル (Office XP の場合) のファイルにのみ適用されるので、実際には、ベースライン イメージとは、Office の元の RTM イメージまたは最初のサービス パックを適用した状態のイメージのいずれかです。
現在、管理用共有とクライアント コンピュータが同期していて、既に Office 2000 RTM または SR-1 あるいは Office XP RTM または SP-1 のベースラインが存在する場合は、新しいアップデート方法をすぐに使用できます。管理用共有とクライアント コンピュータが同期していない場合は、すべてのコンピュータを Office の同じバージョンに移行してベースラインを確立する必要があります。
次の例は、ベースライン構成を確立する方法を異なる状況別に示しています。
| • | Office 2000 または Office XP を導入しており、管理サーバーを一度もアップデートしていない場合は、他のアップデートを行わずに新しい方法に移行できます。RTM バージョンが有効なベースラインとして機能します。 |
| • | Office 2000、Office 2000 SR-1 アップデート、および以降のセキュリティ アップデートを導入している場合は、SR-1 レベルの管理者用インストール ポイントを再構築し、すべてのクライアント コンピュータの再キャッシュと再インストールを実行すると、ベースラインを確立できます。すべてのシステムを SR-1 レベルに同期したら、選択したアップデートをクライアント コンピュータに適用できます。または、組織内のすべてのクライアント コンピュータを Office XP RTM に移行するという方法もあります。 |
| • | Office XP と Outlook 2002 管理者用アップデートを導入している場合は、管理者用コンピュータを Office XP SP-1 にアップデートするとベースラインが確立できます。 |
管理者用インストールおよびクライアント コンピュータへのアップデートの適用の詳細については、Office リソースキットの「サービス リリースの導入」を参照してください。
既存のインストールのアップデート
すべての Office インストールに対するベースラインを確立したら、クライアント用アップデートを各コンピュータに導入できます。クライアント アップデートは EXE ファイルとしてリリースされるため、ユーザーはそれらの EXE を実行して、使用しているコンピュータにアップデートをインストールできます。次のいずれかの方法でパッチを各ユーザーに配布できます。
| • | SMS や Tivoli などのソフトウェア導入ツールを使用してアップデートを導入する。 |
| • | EXE をネットワーク サーバー上で共有し、それを実行するようにすべてのユーザーに指示する。 |
| • | EXE を電子メール メッセージで送信する。 |
クライアント EXE パッケージから個々のアップデート ファイルを抽出し、提供されている OHotFix ユーティリティ プログラムを使用してコンピュータにパッチを適用するという方法もあります。OHotFix をコマンド ラインから実行して、UI モードやログ ファイルの作成などの機能を制御できます。
OHotFix を実行すると、大文字/小文字を区別するアルファベット順 (A〜Z に続いて a〜z の順) に、フォルダ内のすべての MSP ファイルが適用されます。フォルダ内の MSP ファイルの数に制限はありません。更新状態が異なる複数のコンピュータを更新する場合でも、最も多くの更新が必要なコンピュータに合わせて、アップデート ファイルのすべてを同じフォルダに置いておくことができます。アップデート ファイルが既にそのコンピュータに適用されており、同じパッチを適用し直さなくて済むかどうかは、OHotFix により自動的に判断されます。ただし、各アプリケーションについての最新のアップデートには、それ以前にリリースされたアップデートの修正プログラムがすべて含まれているので、アップデート フォルダには各アプリケーションの最新のアップデートだけを置くことをお勧めします。アップデートが不適切な順序で適用されると、新しいアップデートの上から古いアップデートが適用されてしまう可能性があります。Office 2000 および Office XP の最新アップデートの一覧については、「管理者用アップデート」を参照してください。
MSP ファイルを抽出し、サーバーの恒久的なフォルダに格納しておくことで、アップデートの回復時にすぐに利用できるネットワーク ソースを作成できます。この方法は、クライアント コンピュータのユーザーが誤ってローカル MSP ファイルを削除してしまい、アップデートの回復が必要になった場合に役に立ちます。ローカル MSP が削除されると、Windows インストーラは、そのパッチのインストール元のパスで MSP ファイルを探します。ネットワーク ソースがあると、Windows インストーラはそこから MSP ファイルを再キャッシュできるので、アップデートの回復に失敗したり、MSP ファイルの場所を確認するメッセージが表示されたりすることはありません。
各クライアント アップデート ファイルは、アップデート用の MSP ファイルと、OHotFix 修正実行プログラムおよび INI ファイルを含む EXE 形式にパッケージ化されています。コマンド ラインで次のようなコマンドを実行すると、クライアント EXE から各ファイルを抽出できます。
C:\<アップデート ファイルのパス>\MyUpdate.exe /c /t:C:/<ファイルを抽出するフォルダ>
たとえば、Office XP アクティベーション アップデートのクライアント アップデート ファイルは Oxp1001.exe という名前です。この Oxp1001.exe から抽出されるファイルは次のようになります。
| ファイル名 | 説明 |
Ohotfix.exe | OHotFix 修正実行プログラム。 |
Ohotfix.ini | 設定情報の一覧。この設定を変更することで、Ohotfix.exe と Windows インストーラの動作を制御できます。 |
Ohotfixr.dll | OHotFix プログラムのライブラリ ファイル。 |
Shared.msp | Office XP アクティベーション アップデートの Windows インストーラ アップデート ファイル。 |
クライアント アップデート パッケージをダブルクリックすると、自動的に OHotFix プログラムが実行されます。OHotFix プログラムは、最初にクライアント コンピュータの状態を調べ、続いて Windows インストーラに適切なコマンド ライン引数を渡してアップデートを適用します。OHotFix.ini ファイル内の設定を変更することで、OHotFix の動作を変更できます。指定可能な設定についての情報はすべて、OHotFix.ini 内に記載されています。
メモ Office 2000 アップデート パッケージの多くは、OHotFix9.exe という名前の、以前のバージョンの OHotFix ユーティリティと共にリリースされました。OHotFix9 には INI ファイルが含まれておらず、代わりに、一連のコマンド ライン スイッチでインストールを制御するようになっていました。現在のバージョンの OHotFix は OHotFix9 と同等の機能を持っているため、Office 2000 と Office XP のどちらのクライアント アップデートを適用する場合にも、現在のバージョンの OHotFix を使用できます。OHotFix の詳細およびダウンロード可能なバージョンへのリンクについては、Office リソース キットの「Installing Client Update Files with OHotFix」(英語) を参照してください。
新しいインストールの作成
新しいクライアント コンピュータに管理者用インストール ポイントから Office をインストールする場合、管理者用ソースからベースライン バージョンに最初にコア ソフトウェアがインストールされ、そのインストール完了後に最新のパッチがインストールされます。したがって、新しいクライアント コンピュータには最新のアップデートが適用されます。
Office のインストール後に自動的にアップデート ファイルをインストールするには、Office の Setup.ini ファイルでアップデート ファイルを連鎖させます。「連鎖」とは、Office XP および関連アプリケーションを 1 つのシームレスなプロセスとして導入するための方法です。連鎖パッケージをカスタマイズするには、セットアップ設定ファイル (Setup.ini) でプロパティを設定するか、トランスフォーム (MST ファイル) を作成します。
たとえば、「SecurityPatch」というアップデートを Office XP インストールに含めるには、対応する EXE ファイルを Setup.ini に追加します。
[ChainedInstall_1]
TASKTYPE=exe
PATH=\\server\share\admin_install_point\1234\SecurityPatch.exe
DISPLAY=None
MST=MyTransform.mst
CMDLINE=SOURCELIST=\\server2\share admin_install_point\1234
詳細については、Office リソースキットの「Office XP インストールに追加パッケージを含める」を参照してください。
Q & A
Q. Microsoft は Office アップデートの管理者用バージョンを今後も作成しますか?
A. はい。すべてのクライアント コンピュータを遅滞なくアップデートできる場合は、従来どおりに管理者用パッチを使用することをお勧めします。Microsoft はすべての Office アップデート ファイルの管理者用バージョンを今後もリリースします。
A. はい。すべてのクライアント コンピュータを遅滞なくアップデートできる場合は、従来どおりに管理者用パッチを使用することをお勧めします。Microsoft はすべての Office アップデート ファイルの管理者用バージョンを今後もリリースします。
A. はい。新しいインストールについては、本来のインストールの完了後にアップデートが適用されます。したがって、セットアップ中に確立したすべての設定やポリシーは計画どおりに挿入されます。カスタマイズは、管理者用アップデートの場合と同様に、アップデートの適用後も有効です。
Q. クライアント パッチをカスタマイズする方法は?
A. アップデートには、カスタマイズできるもの (Outlook セキュリティー アップデートなど) とできないものがあります。カスタマイズ可能なアップデートは、カスタム メンテナンス ウィザード、プロファイル ウィザード、またはシステム ポリシーを使用して管理できます。詳細については、Office リソースキットの「インストール後にユーザー設定を変更する」を参照してください。
Q. アドバタイズされたプログラムについてはどうですか? パッチは依然として適用できますか?
A. クライアントにアドバタイズされているがインストールされていないプログラムには、クライアント用パッチを適用できません。詳細については、Office リソースキットの「Office XP をユーザーのコンピュータに配布する」を参照してください。