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誰もが豊かに暮らせる社会の実現を目指して

Social Business Award 2008

【特別対談 PART.1】関根健次氏(ユナイテッドピープル) × 田中里沙氏(宣伝会議 副社長)


ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役
関根健次氏

田中氏: 関根さんが主催する『イーココロ!(http://www.ekokoro.jp/)  』は、昨年のアワードでマイクロソフト奨励賞を受賞され、その後、ますます発展されていると伺っています。本日は、受賞後の事業展開などをテーマにお話を伺いたいと思います。まず、クリックひとつで NPO・NGO に寄付できる『イーココロ!』を始められたきっかけからお伺いできますか。
関根氏: 今から 10 年ほど前に 1 人で出かけた大学の卒業旅行が、このビジネスをはじめるきっかけになりました。トルコをスタートして東周りに日本へ帰る旅程で、パレスチナのガザ地区に滞在した経験が、『イーココロ!』の原点になっています。
今日は、現地で私が体験したことを会場の皆様に少しでも感じていただきたいと思いビデオを用意しました。10 年前の映像ではなく一昨年パレスチナ自治区内のカルキリアを訪れた際のビデオですが、当時も今もあまり状況は変わっていません。四方を壁やフェンスで囲まれたこの土地では、誰もが厳しい生活を強いられています。
このときは、私が訪問する直前に、武装闘争グループの過激派がいると疑われて爆撃を受けた後でした。人々の家が破壊され、子どもたちの洋服も教科書も、結婚する子どものために貯めていた結婚資金も瓦礫の下敷きになってしまいました。ハウス農家だったこの家庭は、ウォータータンクを破壊されて水が止まり、生活の糧である畑の野菜がすべて枯れてしまいました。家もない、生活の糧も、現金収入となる野菜もない、まさに壊滅状態です。


イスラエル・パレスチナを隔てる壁。
「分離壁」「憎しみの壁」とも呼ばれる。



訪問の数日前に空爆を受けた、パレスチナ人
の家屋。がれきの下に家財が埋もれた。



病気を抱える老父が孫を抱く。
家も、農場も、お金も失い、絶望状態だった。



10 年前、何も知らずにこの地に入った私は、占領下で生きる人々のこうした実情を目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。その衝撃は帰国後も私の心から離れませんでした。その後、何社かの会社を経験し、6 年前に創業したのですが、その際に『やりたいことは何か』自らに問いかけたとき、返ってきた答えはあの経験でした。世界の人々が一緒に笑い、一緒に輪の中で幸せを分かち合える、そんな世の中をつくるための仕事がしたい。その志を持ってビジネスを立ち上げました。
田中氏: 10 年前には、ソーシャル・ビジネスという概念もほとんど知られていなかったので、創業当時はご苦労されたのではないでしょうか。

株式会社宣伝会議
副社長
田中里沙氏

関根氏: 自宅で妻と 2 人でビジネスを立ち上げたのですが、当初は思ったように利用者が集まらず、半年間で 2 万円しか寄付金を生み出せませんでした。ところが昨年のアワードでマイクロソフト奨励賞をいただいてから風向きが変わり、昨年は前年比 5 倍の約 1,000 万円の寄付を行うことができました。今年は 3,000 万円、2 年後には年間 1 億円の寄付を行うことが今の目標です。
田中氏: 最初から IT を使って世界を結ぼうと企画したことが、成功のポイントだったのではないでしょうか。
関根氏: IT を使えば、国も宗教も人種も乗り越えて世界中の人とつながることができます。私もその一人でしたが 全国には“何かしたいけれど、どうしたらいいのかわからない”という人がたくさんいます。IT を使って、そういう人たちがワンクリックで参加できる仕組みを実現したのが『イーココロ!』なんです。現在 100 を超える NPO、NGO の方々が参加してくださっていますが、IT を使って活動報告やニュース配信、イベント情報などを発信することによって、それぞれの団体が利用者の方々とつながることができています。
田中氏: 本日はありがとうございました。今後の御社の発展を期待しています。最後に会場においでの社会的企業家の皆様にメッセージをお願いします。
関根氏: ソーシャル・ビジネスで世界を、世の中をいっぱいにしていきましょう。

【特別対談 PART.2】 〜 ITと社会貢献〜
マイク ハニガン氏 (Give Something Back Business Products) ×ジム フォスター (マイクロソフト)


ギブ・サムシング・バック・
ビジネス・プロダクツ社
マイク・ハニガン 氏(Mike Haningan)

ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング講演のために来日した米国ギブ・サムシング・バック・ビジネス・プロダクツ社のマイクハニガン氏と、マイクロソフト業務執行役員でソーシャル・ビジネス・アワード審査員を務めるジムフォスターが『IT と社会貢献』をテーマに対談を行いました。
最初に、フォスターから「政府とビジネスの間をつなぐ NGO の役割がますます重要になっている」という意見に対し、ハニガン氏は「まさに、そのとおり」と強く同意。加えて、近年、政府・企業・NGO に続く第 4 の分野としてソーシャル・ビジネスが台頭してきている市場の変化をあげました。
「ソーシャル・ビジネスに求められているのは社会性とビジネスの協調であり、この第 4 分野のビジネスモデルこそがギブ・サムシング・バックが目指している事業の方向性」と熱く語るハニガン氏。「社会貢献活動は IT のお陰で継続性のあるビジネスへと発展した。IT は社会発展のカギとして、草の根の活動を全国に広げる力を与え、点の活動だったチャリティを全世界の面に広げる可能性をもたらすもの」という彼の話は、社会貢献と IT が結びついた効用を実践論から語る説得力のある言葉でした。


マイクロソフト株式会社
業務執行役員法務・政策企画統括本部
政策企画本部長
ジム・フォスター(Jim Foster)

フォスターから「ギブ・サムシング・バックのようなビジネスモデルが、日本で成功するために必要なものは何か」という一番聞きたい点について、ハニガン氏からは「社会格差が問題となる中、社会貢献を目指す団体が続々に設立され、ソーシャル・ビジネスを学ぶ学生が増加するなど、社会全体がよいムーブメントで盛り上がっている。それは、米国だけではなく日本でも同じ。しかし、現実の社会では彼らの活躍の場は限られている。彼らが活躍するために必要なものは、時代にマッチした柔軟な法制度や適切な税制の整備などを含む、政府の理解ある後押しだと思う」という指摘がありました。
『ギブ・サムシング・バック・ビジネス・プロダクツ社 (http://www.givesomethingback.com/)
オフィス備品・関連製品販売利益の 50 %以上を地域の NPO に寄付するビジネスモデルが支持され、 創業後の 18 年間、毎年成長を遂げている。