クラウド コンピューティングと Windows Azure / .NET Services関田 文雄

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【Windows Azure コラムシリーズ 全 8 回】

クラウド コンピューティングは、今や IT 業界の一番の関心事と言えます。ただ、SaaS, PaaS, IaaS に始まり、AaaS (Architecture as a Service)、BaaS (Business as a Service) … のように、様々な企業が各々の考えをクラウドに関連付けて話を行うため、ベンダ側はまだしも、利用者側はクラウド コンピューティングは何を指すのか分かり難くなっているのではないでしょうか。

これから他のコラムでも Windows Azure 並びに .NET Services 更には SQL Azure 関連の話が出てきますが、それに先だって、このコラムの中では、一般的なクラウド コンピューティングの話とマイクロソフトのポジショニングを明確にしつつ、Windows Azure を基盤とした Windows Azure Platform の概要について記述させていただきます。

(1) クラウド コンピューティングとは?
昨年発売された書籍「クラウド化する世界」 (ニコラス・G・カー) では、電力がユーティリティ化された歴史を取り上げ、これからコンピュータの世界で起きようとしている事象に照らし合わせながら、説明がされています。

当初は電力が制御しにくかったことや、工場の中の既存システムとの共存が必要であった点、更には「規模の経済」で、集中供給になればなるほど安価になる点は、コンピュータの世界で起きようしている事象と同じです。つまり、電力の例と同様、コンピュータもユーティリティ化されていき、自社内で運用していたシステムが、集中供給されるようになる時代が来るということです。

正にこれが、クラウド コンピューティングです。一言で言うと、「インターネットの向こう側にあるコンピュータ リソースをサービスとして利用する形態」となります。この定義だけではあまりにも幅広いのですが、厳密な定義は存在しません。敢えてもう少しその特徴を付け加えるとすると、「インターネットの向こう側にある高い拡張性を持ったコンピュータ リソースをサービスとして利用する形態」になります。高度な拡張性は、クラウド コンピューティングのメリットを活かす上では、必要不可欠な要素であると言えるでしょう。

ただ、コンピュータ リソースをユーティリティ化することばかりに時間を費やしていいのでしょうか?確かにまだビジネス的な側面を見ても、技術的な側面を見ても、課題が残っていることは事実で、議論の中心はしばらくユーティリティ化する部分に集中するでしょう。しかし、ユーティリティ化するのは、あくまでもベンダ側の話です。利用者側から見れば、これらのベンダ側の議論は、技術的な知識を習得するにはいいのですが、それがイノベーションと感じることは少ないのではないでしょうか。

※イノベーション
辞書では単に「技術革新」と訳されますが、Wikipedia では、技術革新だけでなく、「新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。」と定義されています。

再度、電力との対比で話をしますと、電力がユーティリティ化することにより、様々な電気機器が登場し、企業や個人の生活を変えたことは言うまでもありません。コンピュータについても同じことが言えます。ユーティリティ化されることで実現されるサービスを利用して、どのような付加価値が企業や個人にもたらされるかが、クラウド コンピューティングの真価であり、これからの議論の中心であるべきです。

関田 文雄
プラットフォーム ストラテジスト
http://blogs.msdn.com/fumios
ミッション:
マイクロソフトの戦略とテクノロジーをお客様にご理解頂き、企業力向上の手助けをすること