Power to the PRO
IT 交差点 Vol.2
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技と人
「IT エンジニアは人々のライフスタイルまで変革できるエキサイティングな仕事。楽しまなければ損。」田村 峰幸 氏

第一線で活躍するエンジニアの皆さんの "実像" をお伝えするために始まったこのコーナー。第 1 回目は日立情報システムズで EDI のサービス化に取り組む田村峰幸氏をご紹介します。田村氏は学生時代、メインフレーム創生期だった当時のコンピュータに触れたことがきっかけで、「"ソフトウェア=無形のもの" を作る」ということに魅了されます。その後、メインフレームからインフラ構築、オープン系の開発と IT の変遷をなぞるようにキャリアを積んできました。IT の激動の時代を生き抜いてきた田村氏に、IT エンジニアであることの魅力や誇り、モチベーション維持の方法などについてロジカルに、かつアツく語っていただきました。

大きな影響を受けた「構造的アプローチ」という考え方

―― : 1999 年に『Visual Basic 6.0+SQL Server 7.0ビジネスアプリケーション構築ガイド―n階層アプリケーション開発を実現する構造的アプローチ』 (ソフトバンク クリエイティブ刊) という書籍を書かれていますね。

田村 : はい。たまたま、東京で開催されたマイクロソフトさんのカンファレンスに出席したとき、あるライターさんと知り合ったのがきっかけでした。ちょうど私自身、メインフレームからオープン系の世界に技術者をどうやってシフトさせていこうかと考えていた時期でもあり、半年ほど企画を練ってから執筆しました。

―― : タイトルを見ると、Visual Basic と SQL Server の書籍なのかと思ったのですが...。

田村 : はい。もちろん Visual Basic のコードも出てきますが、むしろ私がこの本でテーマにしたかったのは副題にある「構造的アプローチ」の方でした。実は、私が会社に入って 1、2 年目のころ、大きな影響を受けた本があります。江村潤朗さんという方が 1972 年に書かれた『オペレーティング・システムへの構造的アプローチ』(日本コンピュータ協会刊)という本なのですが、そこで「構造的アプローチ」という考え方に出会ったことが、その後の私を決定付けたと言っても過言ではありません。

―― : 「構造的アプローチ」とは、どういう考え方なのですか?

田村 : 「木を見て森を見ず」ということわざは皆さんご存じかと思います。構造的アプローチとはちょうどそのことわざが持つ意味をさらに広げたようなイメージです。常に全体 (森) を把握したうえで部分 (木) を見るようにし、部分を理解したら、必ずそれを全体の中に位置付けて理解しようとする思考方法のことです。たとえば、構造的アプローチによって現在の森を理解しておけば、未知の森に出会ったとしても、既存の知識を再編成して理解することができます。しかし、構造的アプローチをとらないで平面的な学習にとどまっていると、学習したこと自体が邪魔をして、新しい森を理解することが困難になるのです。

―― : その思考方法が、IT エンジニアとして大きな影響を受けたということですか。

田村 : そうですね。コンピュータの世界は技術革新が激しいですから、平面的な学習では必ず行き詰まります。しかし、構造的アプローチで理解しておけば、学習したことが無駄になりません。本の執筆のお話を受けたときは、ちょうどメインフレームからオープン系に人が移っていった時期なのですが、多くのエンジニアが対応に苦労していました。それは、学習したことが新しい森の理解を妨げてしまうからで、ちょうどそういう時期に江村さんの本を読み返し、自分も構造的アプローチをテーマにした本を書いてみたいと思ったわけです。

―― : 構造的アプローチの考え方は現在の仕事にも活かされていますか?

田村 : もちろんです。今でも、物事を常に大きくとらえてから部分を理解し、その後再び部分を全体の中に位置付けて理解するようにしていますね。たとえば、いくら Web サーバーやメール サーバーだけを理解しても、インターネット全体のことは理解できませんよね。やはり、インターネット全体を理解したうえで、Web サーバーやメール サーバーのことを理解しないと、全体は見えてこないのです。私自身、メインフレームで得た知識は、たとえば Windows の世界を理解する際にも役に立っています。もしも、平面的な理解しかしてこなかったら、難しかったでしょう。

―― : とはいえ、ウォーターフォール型でシステムを開発することの多い IT エンジニアの多くは、どうしても「木を見て森を見ず」にならざるを得ない面はありませんか。そういう状況下でも常に森を見るように自分をモチベートしていくには、どうすればよいのでしょうか。

田村 : そうですね。まず、我々の属している IT 業界というのは、現在、産業革命に匹敵するくらいの変化を世の中にもたらしています。1995 年から 2005 年くらいの 10 年間を振り返っても、インターネットや携帯電話の普及など、IT の進化は一般の人々のライフスタイルそのものを大きく変えました。IT エンジニアは、自分たちがそういった変化を作り出しているのだという自覚を持ち続けることが大切です。日々の仕事に追われるとなかなか難しいかもしれませんが、時間を作って、自分がやっている仕事の意義を考えてみるのも重要ですね。もちろん、今の仕事を「仕方ない」と思うのではなく「おもしろい」と思うことも大切だと思います。

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