Draw 系ソフトを使っていると、どうしても数値を気にしてしまう傾向があるのではないでしょうか。確かに数値を追うことは設計という観点から見れば大切なことです。しかし、Expression® Design はナチュラル ストロークなのですから、思いきって数値を無視し、感覚的に設定してみると新しい世界が広がります。
例えば、【図 01】 のように、常識的なサイズでストロークを設定するのではなく、尋常ではないサイズ、例えば 500 ピクセルといったサイズを感覚的にスライダで指定することで、かなりユニークなイメージを作り出すことが出来ます。その場合、元データの不透明度を 50% ほどに設定し、ブレンドモードを 「乗算」 などに設定しておくと、ストロークの下にあるオブジェクトとの関係も期待できるので、更にユニークな結果を得ることができます。更に思いきって通常ではあり得ない 2000 ピクセルといった値を指定してみると 【図 02】 のようなイメージが得られます。

【図 01】 Expression® Design に
デフォルト登録されている 「マルチレイヤ (薄)」
というストロークを、円に指定した状態と、
ストローク サイズを極端に大きく設定した状態。

【図 02】 【図 01】 のストローク サイズを
更に大きく設定した状態。
2000 ピクセルほどに設定。
また、同様に、ストロークではなく、単純な四角形などの幾何学形の組み合わせを作成し、それぞれの不透明度をランダムに設定してから、ブレンドモードを 「乗算」 とした塊をストローク登録し 【図 01】 と同様に展開すると 【図 03】 のようなイメージが得られました。更に大きなストロークを指定すると 【図 04】 のようなイメージが現れました。ほんの少し回転した色違いの組み合わせだけでも面白いデザインになるのではないでしょうか。

【図 03】 単純な四角形の組み合わせを作成し、
それぞれの不透明度をランダムに設定し、
ブレンドモードを 「乗算」 とした塊を
ストローク登録し 【図 01】 のように展開した結果。

【図 04】 【図 03】 のストローク サイズを
更に大きく設定した状態。
2000 ピクセルほどに設定。
ここまでの考えを今回の作品に当てはめてみることにしました。まず 【図 05】 の上のような太めのパスを作成します。単純な曲線の組み合わせですが、それぞれの不透明度を調整し、ブレンドモードを 「乗算」 としています。ここで、 【図 05】 の下のように、ストロークをデフォルト登録されている 「アウトライン 1」 に差し替えます。あとはこれをストローク登録するだけです。 【図 06】 はストローク登録してから大雑把なストロークを描き、取り敢えず指定してみた所です。これでもかなりの太さですが、今回の作例的にはまだ物足りない太さです。

【図 05】 上の様に癖のない通常のパスを
ある程度の太さにしてレイアウト設定します。
こうすることでストロークのデリケートな歪みが
見付けやすくなります。
あとは好みのストロークを再指定し、
改ためて登録するだけです。

【図 06】 【図 05】 で登録したストロークを
ラフなパスに対して指定。
あとは、パスの流れとストローク イメージの流れを画面で確認しながら太さ調整とパスの位置を感覚的に調整していきます。あまり難しく考えずに行なったほうがいいです。なお、予め 【図 05】 の段階で類似したストロークを幾つか用意しておくと、それらを切り替えることで更に作り込みが楽になります。 【図 07】 は取り敢えずの完成イメージです。あとは新規レイヤを作成後に新たなパスに対して色替えしたストロークを指定し、 【図 07】 との組み合わせを更にデザインしていきます。必要に応じてストローク自身のブレンドモードを適宜変更すると良いでしょう。こうして 【図 08】 ~ 【図 10】 とイメージを少しずつ作り込んでいきます。なお、作例では全て 1 つのストロークの色替えとブレンドモードの調整だけの組み合わせで作り込んでいます。

【図 07】 パスとストロークイメージを確認しながら
太さ調整とパスの位置を感覚的に調整していきます。

【図 08】 【図 07】 に対して、
オレンジ色に設定したストロークを 「乗算」 で乗せてみました。

【図 09】 【図 08】 に対して、
ブレンドモードは通常で、不透明度を落とした白を
上半分だけに乗せています。

【図 10】 【図 09】 に対して、ブレンドモードを残領域で、
不透明度を落とした茶色を下半分だけに乗せています。
一見複雑に見えるイメージも、このような作り込みをすればシンプルなパーツ構成を維持することが出来ます。データ構造がシンプルで表現力が深い Expression® Design はこんな勢いのある使い方が面白いと感じています。なお、作例のようなストロークをデザインする場合の組み合わせは、シンプルな方が意外と効果的です。逆にあまり複雑だと潰れてしまいますので、色々と実験してみてください。

【図 11】 完成イメージ。シャドウ部分はキャラクタの複製を
【オブジェクト > パスの演算 > 合算】 にて 1 つのオブジェクトとし、
パース調整したものを利用しています。
両脇のキャラクタは中心のキャラクタの複製をデフォルメさせて利用しています。