表現力の高さで勝負
サムライワークスは、表現力の高いコンテンツ作りに強い。Silverlight を活用した「MIX essentials. “Silverlight Day”」公式サイトでは、Flash 制作で培ったこれまでの経験を活かして、クリエイティブな外観デザインを実現した。当然、外観の工夫だけに留まらず、管理、運営のしやすさに配慮した機能の実装を果たしている。本サイトを制作したメインのツールは、「 Microsoft Expression Blend 」だ。
「パブリッシュ、という過程がないことが、実はかなり作業効率を上げたポイント」と営業本部プロダクトセクションマネージャーとしてデザイナーを率いる荒岩玲海氏は、制作作業を振り返る。
インタラクティブなコンテンツを作る場合、成果物はバイナリ形式のムービーファイルになることが一般的だ。この形式で書き出されたファイルに対し、さらに手を入れようとすると、制作した元ファイルを変更する必要がある。ひとりのクリエーターが、作業の全行程を一貫して手がけるような内容であれば問題はないが、開発者を含めた複数のメンバーで構成したチーム作業では、複雑な元ファイルに手を入れ合うという作業が意外なボトルネックになりやすい。管理、運営に配慮したコンテンツの他、ミッション クリティカルな処理を必要とするアプリケーションで、このボトルネックは深刻だ。一方、Expression Blend の成果物に元ファイルはない。XAML 形式によるソースコードが、そのまま表現を伴ったインタラクティブコンテンツ (つまり Silverlight ) になる。この点は、メンバーのスキルに関わらずコラボレーションを可能にする長所だ。
開発者も表現に関わりやすい
「開発者にとっては、Flash が持つ『トゥイーン』という概念が、どうもとっつきにくい。アニメーションのちょっとしたタイミングをずらしたいというだけで、クリエーターに作業を振るのも考えもの。しかし、Expression Blend は、ソースコードに直接書き込むという開発者が一番楽な方法で、開発者自身がコンテンツを微調整できる」と、同セクションで開発チームを率いるマネージャーの西野勝紀氏も Expression Blend の長所を語る。デザインチームと開発チームの間に横たわるコラボレーション問題の根源は、コンテンツのデータ形式にもあるのかもしれない。
サムライワークス取締役の矢追龍之介氏は、「制作単価は下がり気味という現状がある。しかし、それでもリッチなコンテンツを作る、デザインのアドバンテージを保つのが我々だ。それだけに、円滑なコラボレーションによる作業の効率化は重要な課題」と、この問題を経営的な切り口で捉える。
効率的な作業を実現することは、仕事のフィールドを広げ、次のチャレンジを模索する前提にもなるという。
サムライワークスはガジェット制作でも定評のある会社。同社が運営する“ Gadget gallery”では、多種多様なガジェットを配信している。このノウハウを生かして、今後は、Silverlight が持つ動画の著作権保護機能(DRM) を活用したムービートレーラー向けブログパーツを作ることにも興味がある、と矢追氏は言う。ブログパーツの場合、データベースにアクセスするパーツの部分を、再利用可能なオブジェクトという形でプログラムすることで、作業の効率化が図れる。「 C# で開発できるのであれば、ライブラリは多いはず。」 (西野氏) と期待も膨らむ。様々な効率化に関するアイデアをデザイナー、開発者分け隔てなく出し合える環境が作れるという点は、Silverlight 開発ならではの特徴だろう。真の効率化は、デザイナー、開発者のみならず経営者に対しても良い影響を与えるもの。Silverlight が持つポテンシャルは、このあたりにあると言えそうだ。
(インタビュー : 矢野りん)