若きクリエイタの "今" を訪ね "未来" を語るこのコーナー。第 4 回目は株式会社バスキュールのデザイナ橋本敦さんを訪ねた。バスキュールと言えば現在 WEB 広告の世界では知らない人はいないぶっちぎりのトップランナ。国内外で数多くの賞を獲得している超優良コンテンツ制作会社なのだ。そのユニークさを知りたければ、まずは
バスキュールのホームページに行くのが早いだろう。
さて、そのバスキュールのオフィスは東京都港区、愛宕山の前。社屋に入ると、いきなりバー カウンタやゲーム機、不思議な形のソファーなどが置かれた空間が。ここは接客やパーティなどもできるフリースペースなのだそうだ。
いきなりですが、バスキュールのような有名な会社に入るにはどうしたらいいんですか?
「最近は毎年、新卒でも 1 ~ 2 名採用しているようですが、私の場合はちょっと裏口というか (笑)。美大ではグラフィック デザインを勉強していて、周りの仲間は広告代理店や制作会社に入ろうと就職活動をしていました。でも当時は就職氷河期ということもあったし、私自身もそうした企業への就職はピンとしていなくて、就職活動はしていなかったんです。当時出てきたばかりの Flash などの技術に興味があってプログラミングなども個人的に勉強していました。同時にメディア アートの方面も面白そうだなと思っていたのですが、モニタの中だけでなく造形物を作ってみようかなと思い立ちました。でもそれには電子工学の分野の知識がまるで足りない。そこで、大学卒業後は秋葉原の電子パーツ ショップに店員として入ったんです」
ええ!? また変わった方向に行きましたね (笑)。この話、バスキュール入社まで行き着くんですか?
「(笑) 大丈夫です。その電子パーツ ショップは、アキバでもカリスマ ショップといわれるようなお店で、ほとんどなにも知らない私は、まずパーツの名前とその役割と言ったことを、徐々に学んでいったんです。他の店員とお客のやりとりを聞いて。
メディア アートの方は面白そうかなと思っていたんですけど、結局見るもの見るものピンと来ずで、そうこうしているうちにある人が会社を起ち上げるのに、電子工作もできてデザインもできる人材を探していると聞き、そこに面接に行ったら採用! ということになりました。実はその方が、元バスキュールの方だったんです」
お、ようやくバスキュールの話しですね (笑)。
「はい、それでその方の会社はもうちょっと準備に時間がかかるということで、その間、勉強も兼ねてバスキュールにバイトに行ってこいということになって、まずバイトでバスキュールに入ったんですね。で、なんとも面白い会社だなぁと。元々広告の世界には興味があったんですが、何て言うか、オシャレなもの、シュッとしたものが苦手でサブイボが出るっていうか (笑)。華やかだがすましたところのあるこの世界では自分はとても無理だろうと思っていました。でもバスキュールで手がけるコンテンツは違う。まさに自分のやりたいことをやっている会社だと感じました。でも、約束ですから、会社ができたところでバスキュールからそちらに戻るんですが、いろいろあって辞めて、バスキュールの社長に相談したところ、採用! となって正式に入社したわけです」
今はどんなお仕事を? ショップで会得した電子パーツの技術は役に立ってますか?
「いやまったく (笑)。でも当時勉強したプログラミングの知識は、直接ではないにせよ役に立っていると思います、多分。今はデザイナとして、WEB のインターフェイス デザインやそのエフェクト、テレビ番組のオープニング アニメーションなどを手がけています。パソコンに向かっての仕事より、手書きでラフや絵コンテや仕様書を書くことが多いですね。そうそう、入社してすぐくらいの仕事が Expression® を使用して作った 「ドミノ軒」 というコンテンツです。WPF を使うことで今まで難しかった表現を実現した、リアルタイム 3D レンダリング機能を活用したインタラクティブ ミュージカル ムービーです(注:本サイト gallery でご覧になれます)。本当に初期の段階の WPF / Expression® を用いての作業でしたので結構苦労しました。今は仕事で Expression® に触れる機会はなかなかやってきませんが、バージョンもアップするそうだし、進化した Expression® で仕事ができることを期待していますよ!」
ちょっと前までヘアスタイルはモヒカンだったとか、終電の時間に縛られるのがいやで自転車通勤しているとか (片道約 20 分)、最近のお気に入り小物は?と聞くと、ちょっとエッチなライタが出てきたりと、橋本さんの自由な雰囲気はまさにバスキュールのテイストそのまま。外しそうで外さない、そのセンスこそ、得難いものなのだ。
回り道はしたが、来るべきところに来てやりたい仕事をやっている。若きクリエイタへの指針として、これ以上のものはないだろう。
Expression® Studio
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