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生徒に対する指導時間を最大限確保するために、Microsoft® Office Project を活用して、校務処理を効率化
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新潟県立 水原・阿賀野高等学校では、学校行事、渉外活動などの校務をプロジェクトとしてとらえ、Microsoft Office Project を活用することで教員の校務処理の効率化を図っています。その先進的な取り組みは、学校の教育に対する情熱から生まれたものであり、それによって得た時間は生徒 1 人ひとりへの指導に向けられています。
<導入の背景>
校務処理の効率化により、生徒への教育指導の充実を目指す


新潟県立 水原高等学校
阿賀野高等学校
校長
坂井 貞夫 氏
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新潟県立 阿賀野高等学校 (以下、阿賀野高校) は、2 町 2 村の合併 (2004 年 4 月) によって誕生した新潟県 阿賀野市にある県立高校です。この阿賀野高校は、阿賀野市誕生の 1 年後の 2005 年 4 月に新潟県立 水原高等学校 (以下、水原高校) と安田高等学校が統合し、新たに誕生した高校です。現在は、水原高校内に阿賀野高校の 1 学年の生徒と、水原高校の 2、3 学年の生徒が共存する形ですが、水原高校の生徒が卒業する 2 年後には、阿賀野市で唯一の県立高校となります。
「阿賀野高校に対する地域の期待は非常に大きなものがある」と水原高校と阿賀野高校の校長を兼任する坂井貞夫氏は次のように語ります。
「今後、阿賀野高校が阿賀野市で唯一の県立高校になります。これは非常に責任の重いことで、当校では何よりも地域の人たちから信頼される立派な社会人を輩出することを教育目標にしています。そのためにも、これまで以上に生徒 1 人ひとりに目を向けた、きめ細かな教育指導を行っていかなければなりません」。
7 年前より水原高校に勤務し、今回の合併を迎えた水原高校の美術教諭 片桐泰紀氏も学校教育のあり方を次のように話します。
「学校では教師と生徒が触れ合う時間を最大限にしなければならないのです。生徒が教師を訪ねてきた際に、『今ちょっと手が離せないから』と言うようなことがあっては、生徒と信頼関係を持つことなどできません。忙しいことを理由に生徒との時間を優先できないようでは、うまくいっている学校とは言えないのではないでしょうか」。
しかし、今日の教員は昔と比べ多忙化していると言われます。それは、少子化を理由に 1 校あたりの教員数が減少される傾向にある反面、行事や校務の量は変わらず、教員 1 人に対する負荷が増えているからです。そのため、実際問題として、教員は授業以外の校務や事務作業に追われてしまうのです。
「今は社会変化が早いために、各教員は毎年授業の内容を更新し、研鑽していかなければなりません。同時に文化祭、体育祭などの行事や進路指導、生活指導、全体の運営を行う教務に渉外活動など数多くの校務が存在し、関係者への通達など事細かな運営までを教員が行っています」(片桐教諭)。
たとえば、渉外活動では PTA、同窓会、後援会があり、それぞれ年 1 回の総会と役員会の運営に携わります。特に PTA 総会や協議会の開催などでは準備に 1 か月近く要し、その作業は、講師との打ち合わせはもちろん、期日や議題の選定から、案内文の作成や出席者の集約、さらには会場の折衝まで 30 項目以上あり、スケジューリングと業務の割り振りを、実行責任者である教員、PTA 役員など約 30 人の関係者に行う必要があるのです。
そのうえ、阿賀野高校では地理的な要因や時程の関係で、生徒と教師が授業以外で個別に触れ合う時間が限られていると片桐教諭は言います。
「当校は 32 単位制を採用していますので通常 7 限まであり、授業が終わるのは午後 4 時 15 分になります。また、生徒は午後 7 時までには帰宅するようにしていますので、遠方から通う生徒の多くは、放課後に教員と接することができる時間はわずかしかありません。しかし、その放課後にも教員はさまざまな校務をこなさなければなりません」。
そこで片桐教諭は、生徒への教育指導の時間を確保するために学校の諸行事をプロジェクトとしてとらえ、その管理を効率的に行うことで校務にかかる時間を減らしたいと考えたのです。
「学校の業務はルーチン ワークのように見えるかもしれませんが、実際には、文化祭や体育祭の行事などもコンセプトが違えば配置人員も異なります。毎年、新しいプロジェクトを立ち上げているようなものなのです」(片桐教諭)。
<導入の経緯とメリット>
Project Standard により年間計画策定を効率化。教員業務の引き継ぎにも活用
10 年ほど前から片桐教諭は、Microsoft Office Outlook® を使いスケジュール管理を行っていましたが、予定や作業 (タスク) 同士の関連づけが行えないため、新たなツールを探していたと言います。そして、たどり着いたのが、Microsoft Office Project Standard (以下、Project) だったのです。
Project では、タスクの追加や削除が容易にできるうえ、タスク同士の関連性を明確にでき、1 つの作業期間などを変更した場合の全体への影響を瞬時に把握できます。そのため、柔軟かつスピーディに計画の立案が行えるのではないかと考えたのです。
「学年の年間計画を作る際に、会議室に教員が集まって Project のガント チャート (工程管理表) をプロジェクタで映しながら、どの時期にどんな作業が必要か、誰が担当するかなどをわいわい言いながらスケジューリングしていきます。Project なら『この時期には、こんな行事がある、その準備にはこの作業が必要』というみんなの意見を、その場で入力して、タスクとして反映できるわけです。しかも、1 つのタスクの実行時期を変更した場合、それによって受ける他のタスクの影響も瞬時にわかるので、意思決定も早くできます。会議後に議事録を起こす必要もなく、その場でできあがったガント チャートをプリントアウトして配布すればよいので、非常に効率的です」(片桐教諭)。
そしてもう 1 つ、片桐教諭が Project の活用に適していると考えたのが、“引き継ぎ業務の効率化”でした。教員が担当する業務は、教務、生活指導、保健厚生、校内のシステムの管理を担う情報・図書部や進路指導部、渉外など多岐にわたっています。通常、学校では教員の入れ替わりが 3 〜 5 年程度で行われるため、担当業務の引き継ぎも頻繁に発生し、労力もかかっていたのです。
「Project はガント チャートの中に関連するファイルをリンクさせて貼り付けることができるので、業務をパッケージ化して見せられると思ったのです。試しに、PTA 総会の進行管理を Project で作成して、それぞれのタスクにメモとして注意事項などを書き、さらに、作成した書類もリンクしました」(片桐教諭)。
実際に片桐教諭から渉外の担当を引き継いだ水原高校 教諭 金子将人氏は、当時を次のように振り返ります。
「新任教師として本校に着任しましたので、学校業務や行事などをどのように進めていけばよいのかまったくわからない状態でした。そのときに、片桐先生に Project で作成したガント チャートを見せられたのです。ガント チャートを見ると、どんな作業が必要で、どの時期に何人で、何日間で行えたか、全体像を俯瞰しながら把握できます。当日までこういう形で進んでいくという全体の流れが非常に理解しやすかったのです」。
現在、金子教諭は、片桐教諭から引き継いだ渉外業務はもちろん、担任クラスの運営などでも積極的に Project を利用していると言います。
「Project は、1 度ガント チャートを作成すると、さまざまな角度からデータを検討できるので、たとえば、文化祭でのクラスの作業進捗などを担任として把握する際にも便利です。それぞれの生徒に割り当てたタスクをガント チャートにしておけば、作業進捗とは違う角度からビューを作成し、生徒 1 人ひとりの作業負荷を一覧することができます。そのため『この生徒には負担がかかりすぎているから、作業分担を見直そう』といった状況の把握と改善が容易に行えるようになりました」。
そして今年、片桐教諭は副担任を務めるクラスの生徒と一緒になって、文化際での出し物の制作運営に Project を活用したと言います。
「Project の実際の操作は私がやっているのですが、クラスの運営委員がタスクの洗い出しを行い、作業分担を決めて 1 つのガント チャートにしました。生徒と一緒に使ってみたのは、単に学力という力だけではなく、仕事に活かせる力、社会に出たら必要になるプロジェクト管理のノウハウに少しでも早く触れさせておきたいと思ったからです」(片桐教諭)。
このクラスでは、まず生徒を 6 つのグループに分けて、各グループのリーダーを決定。さらに、運営委員の生徒が“学園祭の準備に必要な作業 (タスク)”を思いつく限りリスト アップしました。その結果、70 以上の作業が必要であることがわかりました。そして、これらの作業を 6 グループのそれぞれに分配し、各リーダーに、グループごとのタスクを網羅したガント チャートを渡しました。その結果、クラス全体で、効率的に動けるようになったと言います。
「普通、文化祭などは、クラスの一部の生徒が積極的に動いていて、あとの生徒は一歩引いた図式になってしまうことが多いようです。それが、今回はクラス全体がよく動いていて、他のクラスから『あり得ないくらい準備が早い』と言われるほどでした」(片桐教諭)。
運営委員の女生徒も、Project の効果を、次のように話します。
「初めはガント チャートの見方がわからなかったのですが、少しして慣れてみると、『どこを何日間で進めていったらいいか』というのがはっきりわかり、作業が進めやすくなりました。全体のスケジュールと、グループごとのスケジュールの 2 つを、グループの責任者に渡して、『このグループの作業が遅れると、他のみんなの作業も遅れてしまうから』と説明できました。だから、男子もいつもより協力的に動いてくれました」。
片桐教諭は、この経験が生徒にとっても価値のあるものになればいいと話します。
「私は作品展などで海外のいろいろな立場の人と接する機会が多いのですが、そのたびに、日本の持つ組織力というか、モラルの高さを実感します。日本人には、相手の立場を考慮して、相手が何も言わなくても何かをやろうとする良さがあります。それは日本の誇るべきものであるはずです。しかし実社会では、いつもプロジェクト管理がうまくいっている訳ではありませんし、その失敗のしわ寄せはたいていの場合、立場の弱い者がかぶることが多いのです。社会に出る前の段階で互いの意思疎通と責任の確認を十分に行い、プロジェクトを正しく進めることで、全員がスーパーマンのような働きをしなくとも個人では成し遂げられないことができるはずです。Project を使うことで、生徒の成功体験を増やし、自主的に活動できる力をつけてもらいたかったのです」。
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片桐教諭が生徒と共に作成した文化祭のスケジュール [拡大図]
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<今後の展望>
教育への情熱に裏打ちされた IT 活用を推進
こうした取り組み以外にも、阿賀野高校では、進路指導にも Project が使えれば就職活動や大学受験に役立てられるのではないかと考えています。
水原高校 教諭の鈴木孝紀氏は、その取り組みを次のように説明します。
「現在も、卒業生の大学受験成功談などは在校生に聞かせていますが、大学別に卒業生の学習スケジュールなどが Project として目に見える形であれば、より具体的なイメージがわくと思います。たとえば、英語ではこの時期に単語の学習を、この時期には長文を重点的に行ったなどのスケジュールがメモなどと共に目に見える形であれば、卒業生と比較することで自分の勉強のスケジュールにも役立てられるのではないかと考えています」。
また、「Project を教務で使えば、各教職員の仕事の集中度を可視化できるようになるので、最適なリソース配分をすることで仕事の平準化を図れる」と片桐教諭は教務部における Project の活用も提案していると言います。
「教育現場では今、少子化のために、高等学校でも予算を削られています。特に新潟県では、水害や地震があったために県自体の予算が厳しい状況であり、教員の多忙化が緩和されるのは非常に難しいわけです。その状況下でも教員は生徒と絶対的にきちんと向き合っていかなければいけない。そのためには、校務を初めさまざまなことにマネージメントは避けられないと思うのです」。
今年、阿賀野高校の教諭として赴任した佐藤久氏、中村光哉氏は、阿賀野高校での IT 活用を次のように話します。
「国の e-Japan 構想で、各学校にコンピュータの配置が進みつつあります。しかし、なかなか業務の中に取り入れられないのが現状です。本校では、Project 以外にもファイル サーバーの利用など活発に業務の IT 化を進めています。まず、私自身が既存のシステムの運営ノウハウを受け継ぎ、そのうえで、後任に代々引き継いでいけるように努めていきたいと思います」(佐藤教諭)。
「前任校でも、情報化を業務の中に組み入れようとしました。しかし、IT の場合、使える人と使えない人がいますので、たとえば 30 人の関係者の中で 29 人がやりたいと思っても、1 人ができないとなかなかシステムとして組み入れるのが難しいものでした。阿賀野高校に赴任して驚いたのは、全員が業務の中で IT を自然に使っていることでした」(中村教諭)。
「教育はあくまでも人と人の触れ合いです。経験を積んだ先生方の勘やノウハウにかなうものなどありません。本校におけるプロジェクト管理の成果も、教員と生徒とが触れ合う時間を増やすことにほかならないのです。本校で IT の活用を進められたのは、若手の教員が多かったこともありますが、年配の先生でも IT の活用を『生徒のため』と、教員全体で目的がぶれずに認識できた結果だと思います。今後もこのことを忘れずに、Project の活用はもちろんのこと、データベースや Excel を利用した校務処理システムの効率的な運用方法も含め、学校全体を包括的な視野で捉えた“教育のための IT 化”に取り組んでいきたいと考えています」(片桐教諭)。
教員自らが IT 化を進める水原・阿賀野高校。同校では、あくまでも「生徒と触れ合う時間を増やしたい」という目的の下、教育への情熱に裏打ちされた IT 活用が展開されています。
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本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
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