青森ヤクルト販売株式会社

掲載日: 2004 年 9 月 2 日
顧客と経営をつなぐ。
「IT 活用経営革新モデル事業」を活用して、PDA 利用の販売管理システムを導入

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ソリューション概要

プロファイル
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青森県青森市に本社を構える青森ヤクルト販売leave-msは、昭和 31 年設立の長い歴史をもつ企業。5 つの営業所配下の「センター」と呼ばれる営業拠点を青森県内 38 か所に展開し、乳酸菌飲料販売を中心に、発酵乳、清涼飲料、化粧品などの販売を行っています。販売にあたるのは総勢約 600 名のヤクルトレディと呼ばれる販売担当者。顧客のもとに毎日直接商品を手渡しして販売する独自の販売形態が特徴です。

シナリオ
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センター業務の省力化による顧客コミュニケーション強化
販売管理システムによる傾向分析とマーケティング強化

ソフトウェアとサービス
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Windows Mobile™ Software for Pocket PC

パートナー

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株式会社ビジネスサービスleave-ms

メリット

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センターの販売管理システムと、ヤクルトレディそれぞれが持つ PDA の連携機能を利用して、販売時点で発生する販売情報を PDA に蓄積、センターに戻って情報をシステムに送ることにより、手作業の集計、報告等の時間を大幅に短縮しました。また、全体の販売傾向の把握や、地図情報と組み合わせた地域ごとの傾向分析機能により、よりきめ細かいマーケティングが可能になりました。これにより 3 年後の売上 10% 向上が予想されています。

ユーザーコメント
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「ヤクルトレディが販売活動のあと、情報の集計などの業務のためにセンターにいる時間が少なくなった分、お客様とコミュニケーションする時間が多くなっています。」

青森ヤクルト販売株式会社
営業企画課
会津博主任 談

「今まではトータルでデータを見ることができず、傾向さえつかめなかったのが、IT の利用によってナマの声に近いその日の活動データを得ることができるようになりました。地図情報と組み合わせて地域に特化したきめ細かいマーケティングも行えます。データに基づいて的確な判断でお客様に新たなサービスを提供できれば、来年のシステム完全稼働時には売上で 3%、3 年後には 10% の伸びを予想しています」

青森ヤクルト販売株式会社
遠藤浩一取締役部長



「こんにちは。商品のお届けにあがりました」。いつものように、ヤクルトレディが健康飲料や化粧品を持って顧客のもとを訪れます。注文品を届け、新しい注文を聞く彼女たちが手にしているのは PDA (携帯情報端末)。手書きメモの替わりに、彼女たちはこの小さな IT デバイスに販売情報を入力しています。この PDA こそが、青森ヤクルト販売株式会社が導入した販売管理システムの最も重要な要素なのです。主婦が主体のヤクルトレディたちは子供を託児所に預けている場合も多く、帰社時間が一番気になります。PDA のおかげで地域の営業拠点 (センター) に帰ってから行う本部への報告作業が従来に比べ大幅に省力でき、販売活動が終わってから帰社までの時間が短縮できました。従来報告業務のために早めにセンターに戻っていたヤクルトレディも、センターでの仕事時間が短くなった分だけ顧客とのコミュニケーションに時間が割けるようになりました。毎日顧客と面談できるヤクルトレディたちの営業活動は、同社にとって大切な情報収集の場であり、PR の場でもあります。彼女たちが持ち帰る膨大な販売情報は、本部で詳細に分析され、今後のきめ細かいマーケティングの基礎になります。現場の仕事を効率化し、同時に経営と顧客とを緊密に結ぶ、新しい IT の活用をめざしたのが、同社の販売管理システムなのです。


<導入の背景と狙い>
顧客とのより深いコミュニケーションを図るための業務効率化が課題


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青森ヤクルト販売株式会社
取締役営業部長
遠藤 浩一 氏

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株式会社 ビジネスサービス
営業本部マーケティング企画PJ システム営業G
民需担当リーダー
三上 勝久氏

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雨の日も雪の日も、毎日町のすみずみの顧客のもとをたずね、直接顧客に商品を手渡しするのがヤクルトのおなじみの販売形態です。この業務を担当する女性は「ヤクルトレディ」と呼ばれます。青森県下に 38 か所の営業拠点 (センター) を持ち、約 600 名のヤクルトレディを擁する青森ヤクルト販売株式会社は、長年続いているこの販売形態で地域の顧客の信頼を築いてきました。しかし、同社の遠藤浩一取締役部長は従来の販売活動にはまだまだ改善の余地があると考えていました。

センター業務の省力化とトータルな販売情報管理が必要

毎日直接顧客と対面して販売を行うヤクルトレディの仕事は、単なる商品配達や新しい受注、集金だけではありません。顧客と十分なコミュニケーションをとることによって信頼関係の強化を図り、同時に顧客の求めていることを引き出すことも重要な役目になっています。さらに、販売品目と数量など販売活動そのもののデータは、今後の経営の方向を決める重要な基礎データになります。
それまでの販売の現場では、ヤクルトレディたちが毎日の売上内容を逐一「お届けメモ」という手帳に記入し、それをセンターに持ち帰って商品別に集計してから、パソコンに手入力してとりまとめ、本部で分析するようになっていたのです。販売活動のあと、毎日メモの情報を集計するのには多くの時間がかかります。さらに月が替わると新しい手帳を渡されるので毎回数多くの顧客データを書き写す作業も必要になり、センターでの仕事時間が長引きます。帰社時間が気になるヤクルトレディたちにとって、こうしたセンターでの業務に時間を割かれることは悩みの種でした。
一方で、経営の側では情報の収集から分析にかかる時間が問題でした。顧客の数 (商品の届け先) は 8 〜 9 万件あります。これを手作業で集計、分析するには 1 〜 2 か月はかかっていました。それだけの時間を経過した情報はもはや「生」の情報とは言えず、販促計画の立案は後手に回ってしまいます。販売情報の発生から集計・分析までのプロセスを短縮し、適時の販促活動が行えるようにするしくみが必要と考えられました。


<システム開発の経緯>
PDA を活用して販売管理情報をセンターシステムにスピーディに入力・管理


ヤクルトレディのセンターでの業務を省力化して顧客とのコミュニケーション時間を増やすことと、販売情報を全社的にトータルで管理してスピーディに経営戦略に結びつけることが重要と考えた遠藤部長は、この課題に IT が活用できることを確信していました。また、それには IT ソリューション提供に熱心な地元企業、株式会社ビジネスサービス (KBS) が応えてくれるはずだと考えていました。KBS はかねてから同社の IT 導入に多くの実績を積み、厚い信頼関係で結ばれていた会社です。

KBS では、新販売管理システムのためのプロジェクトチームを発足させました。チームの中核となったのは、営業本部の三上勝久氏です。三上氏は言います。「業務情報はアナログ情報からデジタルへと移行しなければ、連携がうまくいきません。業務情報が連携することにより、コスト低減や売上アップの方法が生み出せるのではないかと思っています」。三上氏は、中小事業所の IT 化促進のための「オープンコンサルティングプロジェクトleave-ms」への参加などを通して「顧客との Win - Win の関係」を作ることが大切なことを学んできたといいます。そのコンサルティング能力と経験を生かし、青森ヤクルト販売の経営に即し業務プロセス改善に向けたさまざまな IT 施策の提案を行いました。

モデル事業認定を得て補助金を獲得

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青森ヤクルト販売株式会社
営業部 営業企画部 主任
会津 博氏

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しかし、より行き届いた業務プロセスを突き詰めると、そのためのシステムには相応のコストが避けられません。しかし可能な限り最適なシステムに近づけたい三上氏と遠藤部長は、この難問の解決に思い切った大ワザを使ってみようと決意しました。それは東北経済局が募集していた「IT 活用型経営革新モデル事業」補助金獲得です。補助金は、単に熱意だけでは交付されません。経済局が納得できる形でシステムプランとビジネスビジョンの双方を、合理的、論理的に示して説得できなければなりません。
「私たちは IT 化に億単位のコストがかけられる大企業ではありません。せいぜい数百万円の規模の支出しか考えられない私たちにとって、補助金は大きな助力になります」とは遠藤部長の言葉です。三上氏は厳しい審査をくぐり抜けるために、より精密なプランニングとクォリティの高いシステムイメージの作成に、日夜奮闘を繰り返し、やっと作り上げた補助金申請書をもって、遠藤部長とともに経済局でのプレゼンにのぞみました。プレゼンのあと、遠藤部長は「これは絶対に社員にとって必要なシステムで、補助事業に採択されなくても実現する」決意を強調したといいます。申請書類の力に遠藤部長の情熱をプラスした効果か、申請は約 15 倍の難関を突破し、モデル事業として認可されたのでした。三上氏があとで担当者に尋ねたところ、やはり最大の認可理由は「儲かる仕組み」と「システムイメージ」が明確であったからとのことです。
システムイメージを明確化する過程では、三上氏が積極的にマイクロソフトの情報を集めたことがより高度なイメージづくりに役立ちました。「このシステムには Exchange Server と SQL Server との連携が必要でした。しかし地方の SE には情報を仕入れる手段が限られています。そこでマイクロソフト社の担当者に相談したところ、すぐに研修の手配をしてくれて、それまでは知りえない情報、テクノロジーを知ることができました。これはシステムの品質を高めるために重要なことでした」 (三上氏)。
こうして開発が進んだ新販売管理システムは、当初の見込みよりも早く完成しました。


<システムの紹介と導入結果>
販売活動の情報の即時収集と分析、きめ細かいマーケティングが実現


新販売管理システムの第一の特徴は、ヤクルトレディ一人ひとりが持つ PDA です。PDA には販売品目や数量などが、販売時点で入力されます。そのデータは PDA 内に格納され、センターに戻って社内ネットワークに接続すると、即座にデータがシステムに吸い上げられ、集計が行われます。この仕組みはヤクルトレディの業務負担を劇的に軽減しました。「毎日の手書きの必要がなくなり、雨の日に手帳が濡れてダメになることもなくなり大変助かっています。何よりセンターに帰ってからの作業に時間がかからなくなったのが一番うれしいことです」とはあるヤクルトレディの感想です。かねてから顧客とヤクルトレディとのコミュニケーション時間の充実を願っていた営業企画課の会津博主任も、「センターにいる時間が少なくなった分、お客様とコミュニケーションする時間が多くなっています」と満足そうです。加えて PDA にはイニシャルコストさえかければランニングコストが最小で済むという利点もありました。
また、同システムは集計した情報をもとに、地図情報と組み合わせて地域的な傾向の把握ができる機能をはじめ、さまざまな分析機能をもっています。「今まではトータルでデータを見ることができず、傾向さえつかめなかったのが、IT の利用によってナマの声に近いその日の活動データを得ることができるようになりました。地図情報と組み合わせて地域に特化したきめ細かいマーケティングも行えます。データに基づいて的確な判断でお客様に新たなサービスを提供できれば、来年のシステム完全稼働時には売上で 3%、3 年後には 10% の伸びを予想しています」と遠藤部長。実はこの数字は申請書上での数字。実際にはそれ以上の効果を確信しているといいます。
PDA を活用した同社の新販売管理システムは、当初の目標だったマーケティングの高度化を果たし、同時にヤクルトレディの業務負荷を軽減ました。販売時点の情報をフルに活用できるこのシステムは、顧客と経営との距離を大きく縮めるものと期待されます。さらにきめ細かいマーケティングのために、また社員のために、IT はここでも力強い味方になりました。



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