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グローバル規模での標準ツールとして Microsoft® Office Project を採用
医薬品開発プロジェクトの管理とビジネスの戦略的意思決定に活用
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グローバル展開するライフサイエンスグループ、「アベンティス」の日本における医療用医薬品事業を担うアベンティス ファーマ株式会社は、欧米の法人が開発した医薬品を国内のニーズに合う形にした製品化を進めてきています。そして近年では、日・米・欧において医薬品同時開発を行っていくという、新たな方向性に進み始めています。同社では、これら各医薬品の開発から製品化に至るプロセスを「プロジェクト」として位置づけ、その管理に Microsoft Office Project を利用しています。プロジェクト内でのタスクの進捗状況把握から、グローバル規模での戦略的意思決定にいたるまで、企業全体で成果を上げはじめています。
<導入の背景>
複数部門にわたる長期プロジェクトを Microsoft Office Project で管理


アベンティス ファーマ株式会社
研究開発本部
プロジェクトマネジメント部
シニアダイレクター
部長
内田 実氏
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アベンティス ファーマ株式会社 (以下、アベンティス ファーマ) においては、研究開発から厚生労働省への承認申請、製品化にいたるまでの新薬開発の一連の流れをプロジェクトとして捉え、プロジェクト単位でのプランニングと進捗の管理を実践しています。こうした研究開発から製品化に至るプロジェクトは、平均して約6〜9年におよぶ長期にわたるもので、研究開発本部に属する開発研究所、臨床研究センター、薬事統括センターなど複数の部門が協力して推進しています。
こうした複雑化するプロジェクトを遂行していくために、プロジェクトのマネジメントを専門とするプロジェクトマネジメント部 (PPPM:Productivity, Portfolio & Project Management) を研究開発本部内に設け、各部門のアクティビティを横断的に効率良く結びつける仕組みが整備されています。アベンティス ファーマ株式会社 研究開発本部 プロジェクトマネジメント部 部長の内田 実氏は「各部門では、プロジェクトの進行上必要なそれぞれのタスクを担当し、必要なアクティビティを管理しています。プロジェクトマネジメント部に所属するプロジェクトマネジャーは各ファンクションと協力し、製品毎にチームを組み開発を推進していますが、それ以外にプロジェクトマネジメント部は、プロジェクトの集合体すなわちポートフォリオの観点から各プロジェクトの価値を最大化し、アベンティスのもてるリソースを最適配置することに貢献していくことが目的となっています」と説明します。
このように、プロジェクトマネジメントの観点から各部門を統括する専門部署を設置している企業は国内でも増加しつつありますが、本格的に稼動しているケースは少なく、同社のこの局面における取り組みの先進性がうかがえます。その背景について、アベンティス ファーマ株式会社 研究開発本部 プロジェクトマネジメント部 ポートフォリオ企画グループ グループマネジャーの井上 勉氏は、次のように語ります。
「医薬品の開発はリスクが高く、たとえば 1 万種類の類似化合物を合成したとしても、そのうちの 1 〜 2 つを医薬品として製品化できればよいほうです。臨床試験の段階まで進んだものでも、最終的に製品になるのはその 1 割から 2 割にすぎません。つまり、1 つの医薬品を作るのには莫大なコストと期間が必要とされるにもかかわらず、実際の製品化にはいたりにくいという背景があります。継続的な新製品の上市および医薬品開発の非常に低い成功確率を考慮すると、常時同時に進行しているさまざまなステージのプロジェクトは百件を超える数に及び、それらを効率的に推進していくには、プロジェクトを単体で効率的に管理することはもちろん、複数のプロジェクトからなるポートフォリオを管理することが特に大切なのです」と語ります。
<導入の経緯>
合併を契機にプロジェクトマネジメントのツールを見直し
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アベンティス ファーマ株式会社
研究開発本部
プロジェクトマネジメント部
ポートフォリオ企画グループ
グループマネジャー
医学博士 井上 勉氏
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アベンティス ファーマは、ドイツのヘキスト・マリオン・ルセル社とフランスのローヌ・プーラン・ローラー社が合併して 1999 年に誕生した企業です。この合併にあたっては、新会社において今後どういったプロジェクトマネジメント ツールを利用していくかも検討されました。そして、グローバル規模で用いるツールとして採用されたのが、元々ヘキスト・マリオン・ルセル社が使っていた Microsoft Project でした。ヘキスト・マリオン・ルセル社では、プロジェクトマネジメント ツールの導入当初、リモートアクセスをベースに利用する、サーバー上のプロジェクトマネジメント専用アプリケーションを利用していました。しかし、同製品は 1 つのベンダーが製品の販売からカスタマイズ、トレーニングまでを行なうビジネスモデルを採用しており、自社独自の要件に沿った機能を実現するためのカスタマイズ、また利用にあたってのトレーニングをベンダーに依存しなければならないため多額のコストが必要であること、さらにはサポートについての不安といった問題がありました。
「これに対し Microsoft Office Project であれば、PC 上で誰にでも手軽に使えることをはじめ、総ユーザー数が多いので、アップグレードを含むサポート体制にも不安がありません。また、アプリケーションに付随するトレーニングなどのサービスに関しても、ベンダーの選択肢が多いことが決め手となって、1996 年頃に Microsoft Office Project に移行しています。合併後の現在では、日本で約 420 名、ワールドワイドで約 5,400 名が従事する研究開発本部のスタッフの多くが自ら操作するようになっています。専門分野に特化した高価なソフトウェアも発売されていますが、あくまでも利用するのは人。ソフトウェアを利用して出すアウトプットを最重視する我々としては、シンプルに使えるツールを求めていました」と井上氏はその採用のポイントを語ります。
<システムの概要>
グローバル規模での戦略的意思決定が Project ファイルをベースに
井上氏が採用のポイントと説明している通り、アベンティス ファーマにおける Microsoft Office Project の利用方法は至ってシンプルです。Microsoft Office Project には、計画の立案から人的リソースの割り当て、ネットワークを介したタスクの進捗報告とその管理、各種レポーティングなど、プロジェクトマネジメントに求められる幅広い機能が提供されていますが、同社ではこのうち主にプランニングと進捗のトラッキング機能を利用しています。
具体的には、各プロジェクトのプロジェクトマネジャー、あるいはそれを補佐するプロジェクトプランナーと呼ばれる担当者が、プロジェクトのプランを Project のファイルとして国内のサーバー上に作成し、各作業の担当者からの報告を受けてこのファイルを更新していくというかたちです。また、すべての作業担当者の PC には Microsoft Office Project がインストールされており、各担当者は、随時 Project ファイルを参照してプロジェクトのステータスを確認できるようになっています。
各国で作成、更新された Project ファイルは、アベンティス ファーマの研究開発におけるワールドワイドな中心拠点である、米国ニュージャージー州のグローバルドラッグデベロップメントセンター内のサーバーに送信されます。そしてサーバー内の「Consolidator」と呼ばれるシステムの心臓部で、15 分に 1 回ずつデータが統合されます。Consolidator では、集積されたデータを元にして、リアルタイムに各国のプロジェクトの状況をレポーティングできるようになっています。こうして、経営面での意思決定にあたっても、このレポートによってすべてのプロジェクトがどのような状況か、あるいは特定のプロジェクトがどこまで進んでいるかということを、グローバル規模で即座に知ることができるわけです。
Microsoft Office Project のファイルは、各プロジェクトで同じ基本テンプレートが用いられます。それぞれのキータスクを表す用語や定義は統一され、異なったプロジェクトにおいても同レベルでの情報抽出を可能にし、プロジェクト間の比較検討が容易になっています。また、Project ファイルのテキストフィールドに入力を行い、プロジェクトのキーとなる作業に対し、任意の「フラグ」を設定し、検索性や視認性の向上に役立てています。
たとえば、前臨床の研究段階から臨床試験へ進むフェーズ移行のポイントなどは、「ディシジョン マイルストーン」というフラグとして設定され、ディシジョン マイルストーンのみを抽出したレポートを元に、世界同時進行で研究の進捗管理が図られます。あるいは各国の規制当局への申請時期など、製品化に向けた大きな方針決定のポイントとなるマイルストーンも、「クリティカル マイルストーン」として設定されています。Consolidator 側では、これらのフラグを抽出してレポートを作成できるのです。この様に作成されたデータは、売り上げ期待値など他の情報とともにレポート化され、ワールドワイドの研究開発に関する意思決定を行なう月例会議で活用されることになります。
つまり、アベンティス ファーマではワールドワイドなビジネス上の意思決定に、Microsoft Office Project によって作成した情報を有効に活用しています。「ここにおいて重要なのは、『常に最新の情報が Consolidator 上に存在していなければならず、プロジェクトマネジャーができるだけ迅速に、最新のステータスを Project ファイルに反映させる必要がある』ということです。そのため、ツールにはシンプルかつ容易に使えることが求められるのです」と井上氏は Microsoft Office Project を選択した理由と使用する機能を限定した背景をあらためて強調しています。
<今後の展望>
クリティカルポイントへの認識が浸透しプロジェクトマネジメントスキルが向上
アベンティス ファーマでは、1999 年の会社設立以来、こうしたかたちでプロジェクトマネジメントのためのツールとして Microsoft Office Project を利用してきました。井上氏は「その間にプロジェクトマネジメント、とくに進捗管理を実践していくうえでの質は確実に向上してきています。まず何よりも、Project File から抽出されたデータをもとに、当該のプロジェクトにどういうマイルストーンがあって、今現在プロジェクトの進捗状況はどうなっているのか、といった点での共通認識に立った議論が可能になり、次にとらなければならないアクションを迅速に決定できるようになりました」とその成果を説明します。
また、同様の観点から内田氏は「個々のタスクがいろいろな原因で遅れるのはありうることですが、より重要なのは、プロジェクト全体の進捗に影響が予測されるような場合、事前に取りうる複数の選択肢を創り、どのオプションがそのプロジェクト及び全体のポートフォリオにとって最適なのかを判断することです。さらにプロジェクトを評価する様々なデータを基にシニアマネジメントが意思決定を行なえるので、担当者のプロジェクトマネジメントに対してのスキルが大きく向上したと感じています」と語ります。もちろん、こうした日常的な成果の積み重ねが、アベンティス ファーマにおける長きにわたるプロジェクト全体のリスクを未然に防止し、その運営をより効率的なものにしていることは言うまでもありません。
Microsoft Office Project は、アベンティス ファーマのプロジェクトマネジメントにおいて、欠かせないツールとなっています。現在のところ、プロジェクト全体を俯瞰したマイルストーンやディシジョン ポイントといった、どちらかというと上位レベルのプランの管理が中心ですが、実際に各部署が仕事をしていくためには、担当者ごとの細かなオペレーションレベルのプランニングも必要です。
井上氏は「担当者レベルの作業のプランニングにも、Microsoft Office Project がツールとして利用され始めています。今後は、プロジェクトのプランニングと進捗管理の基本となる全社的なプロジェクトのプランと、下流にあるオペレーションプランとをリンクさせ、たとえばプロジェクトプランに変更があった際には、すぐさまオペレーションプラン上で担当者にこの変更が伝わり、それぞれの計画に反映することができるような仕組みや、現場の作業効率に関して有用な指標のレポーティングも検討していくことになります」と将来に向けての展望を語っています。
プロジェクトマネジメントの方法論は、ツールの導入や仕組みの整備だけですぐにその真価を発揮できるものではありません。自社の目指す方向性やビジネスの目的を明確にし、その目的にあった管理方法を導入し、ビジネスを行なう際の全員のよりどころとして形作っていくことで、初めてその効果を発揮します。アベンティス ファーマにおける Microsoft Office Project の活用方法は、プロジェクトマネジメントをビジネス プロセスのマネジメントに適用した、先進的な結実例といえるでしょう。
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