ダイニチグループ

掲載日: 2005 年 4 月 7 日
小ロット、高品質、短納期生産で競争優位に立つ。
.NET Framework で実現した業務フロー改革。


Logo Image
*
Logo Image
*
* ストリーミング
*
*
*
この 導入事例に関するビデオを Windows Media プレイヤーでご覧いただけます。

750K


ダウンロード
*
*
*
Download File 9677-NK1.pdf
*
PDF ファイル 376 KB
Adobe Reader を利用して PDF ファイルを閲覧・印刷することができます。ダウンロードはこちらleave-msからできます。

ソリューション概要

プロファイル
*
*
*
繊維産業を地場産業とする和歌山県、和歌山市に本拠を置くダイニチグループは、織物の精錬漂白、タオルの漂白加工、無地染めを行う大日本晒染株式会社、フラット スクリーン捺染を行う日吉染業株式会社をはじめとして、関連する事業会社など計 9 社で構成されています。加工工程に CCM をはじめとする先進的設備を積極的に導入し、小ロット、短納期、高品質の加工を実現してきました。

シナリオ
*
*
*
陳腐化したオフコンによる OA および生産管理システムのリプレース
.NET Framework をベースにした新規開発
既存業務機能の利便性向上と事務処理効率向上
情報抽出、分析を容易にして戦略的情報活用を実現

ソフトウェアとサービス
*
*
*
Windows 2000 Server
SQL Server 2000
Windows XP
Office XP
Visual Studio .NET
.NET Framework

パートナー
*
*
*
倉敷紡績株式会社

メリット
*
*
*
帳簿への手書き記載とコンピュータ入力の二度手間を解消し、データを新システムで一元管理することにより、事務処理が半減。また必要なデータを随時 Excel 等に抽出して分析が可能になり、戦略的な商品企画などが可能になった。またオフコンを .NET ベースのシステムにリプレースしたことにより、今後の柔軟なシステム変更が可能になる素地が生まれた。

ユーザーコメント
*
*
*
「データが出るから的が絞れる。経営でどちらの方向かに迷ったら、第 1 にはこちら、次はあちらと、速い対応ができますんで、非常にありがたいですね」。

日吉染業株式会社
常務取締役
山本 憲 氏 談


「スピードは絶対必要でしょう。そして他と違ったことをやっていかないと。とにかくチャレンジしようと、『サプライズを起こせ』を合言葉にしています」。

大日本晒染株式会社
常務取締役 社長代行
喜納 浩 氏 談

繊維産業はかつて日本の工業化を牽引した産業発展のシンボル的存在。しかし現在では海外製の低価格製品が大量に輸入され、国内企業は苦戦を強いられています。価格競争に不利な条件を抱えながら生き残りを賭けて奮闘する国内繊維産業のなかで、特に中小企業では、より顧客のニーズをすばやく、的確に反映するために商品企画から生産、販売という業務フローを徹底的に合理化する必要に迫られています。もともと品質面では世界のトップクラスの実力を認められている日本企業。課題は小ロットで多様な製品を、より速く、より効率的に市場投入していく力です。生地の「晒し」と「染色」という重要な生産工程を担う和歌山市のダイニチグループは、かねてからコンピュータを活用した生産の合理化に努めてきました。しかし従来のオフコンを利用したシステムは、新しい市場環境に沿った新規事業の推進や商品開発力の強化のためには限界を見せていました。それがビジネス発展のネックともなりかねないと考えた同社が、打開策としてチャレンジしたのは .NET Framework による新システムの開発です。約 1 年がかりの開発の結果、同社は従来の業務フローを劇的に変化させ、効率的な小ロット生産、デリバリーまでの迅速化を実現してコスト削減を達成したばかりでなく、生産、販売情報分析の緻密化により、さらに高度な商品企画能力を手にすることができました。

<導入の背景と狙い>
高度な生産技術だけでは生き残れない現実


* PHOTO
*
大日本晒染株式会社
常務取締役 社長代行
喜納 浩 氏
*
和歌山県は古くから繊維産業の盛んな土地柄で、多くの繊維関連企業が活躍しています。なかでも綿素材のプリント染色では和歌山で 3 本の指に入る日吉染業株式会社、および「晒し」と呼ばれる生地の精錬、漂白加工を得意とする大日本晒染株式会社は、ともに「ダイニチグループ」の一員として同地方の地場産業の発展を支えてきました。
同グループの強みの 1 つは、年々低コスト化が厳しく要請されるなかで積極的にコンピュータを活用した設備投資を行い、伝統的、手工業的要素が強かった生産工程を大幅に合理化してきたことにあります。CCM (コンピュータ カラー マッチング) と呼ばれる調色システムをはじめコンピュータ制御による調液装置、オフコンによる OA や生産管理システムを早くから導入し、製品の短納期化とサービス品質の向上に努めてきた日吉染業は、業界でも注目される存在です。また染色加工の基礎となる「晒し」に特化して事業展開を行ってきた大日本晒染は、業界屈指の月産 500 万メートルの生産力を備えるまで成長してきました。

低コスト化、短納期化、小ロット加工へのチャレンジ

しかし、同グループはそれでも今後に不安を抱えていました。近年の中国をはじめとする低人件費を背景にした低コストな海外製品の台頭を前にして、生産工程を合理化することによるスケール メリットの追求だけでは対抗が難しいことが明らかになっています。加えて繊維産業の基盤である染色工場そのものが縮小傾向にあり、同社の中核をなす大日本晒染の今後の受注量にも不安がありました。
生き残りのために、今なすべきことは何かを考えた同グループは、製品の品質ばかりでなく、小ロットの商品を、できるだけ短い納期で、しかも低廉な加工賃で提供することが重要だと結論づけました。さらに市場のニーズに的確に、きめ細かく対応するための商品企画力も海外製品との差別化に重要と考えられました。
これらの課題の克服のために、大日本晒染では、2000 年には液流染色機を導入して染色加工の分野にも進出を図りました。最先端の調色システムを用いたラボを新設し、見本染色用の設備により小ロット加工を可能にし、また特殊風合い加工やコーティングなどの設備も導入して商品企画力を高めるとともに付加価値の高い加工を可能にしています。同社の染色加工は順調に受注量を増やし、顧客も増加してきましたが、一方でサイクルの速い顧客ニーズへの対応力が問題になってきていました。
同社の喜納浩常務取締役社長代行は言います。「既存の『晒し』加工だけでは非常に厳しい状況になってきました。しかし『晒し』ができるところに当社の強みがあります。
液流染色機により 1 反という小ロットであっても染めることができるようにもなりました。『晒し』加工と染色加工とを含め、高品質な商品を短納期で仕上げることができます」。ところが、その能力を十分に生かそうとすればするほど、処理すべき業務が増加していきます。業務の増加に対して、業務を支援するコンピュータ システムはオフコンを中心としたもので、それに依存した業務フローには数々の問題がありました。今後の事業拡大のためには、コンピュータ システムそのものがネックになることが予想されました。

<システム導入の経緯>
帳簿と伝票処理の労力削減が第 1 の課題


PHOTO
*
日吉染業株式会社
常務取締役
山本 憲 氏
*
*
業務フローの問題の核心は、帳簿作業量の多さに求められました。コンピュータへの情報入力に加えて手書きによる帳簿記載の手間がさまざまな段階で生じてしまっていたのです。同じような内容の情報を管理するために 2 重の作業が生じる無駄を省き、時間を短縮することが第 1 の目標とされました。「何を変えれば具体的な時間短縮につながるか。従来のコンピュータでは、入出荷業務でも単にワープロのような作業を行うだけでした。帳簿もつけつつコンピュータにも入力するという 2 重の手間を無くして、1 つのデータをいろんな形で抽出できるようにすれば、単純に (作業時間が) 半分になるんじゃないかと」(大日本晒染 営業部 営業企画開発課 主任 倉橋清訓氏)。
やはりオフコンを長年利用してきた日吉染業でも同じような問題を抱えていました。同社の常務取締役山本憲氏は従来のシステムをこう振り返ります。「月末の伝票処理、請求書、在庫証明などの作業にものすごい労力がかかっていました。社員が遅くまで残業して処理をしていましたが、その処理については担当の社員がエキスパートになって、上司にもその細かい仕事がわからないようになってしまった。もしも担当社員が辞めたらパニック状態になりかねませんでした」。すでに同社のオフコンは 2 世代目になり、さらに業務効率化を図るには 3 世代目のオフコンを導入するか、他のシステムへのリプレースを図るかの岐路に立たされていました。オフコンを利用し続けることによるさまざまな制約と、高額な導入コストを考えると、簡単には決断することができません。

既存業務機能を継続しながら業務効率を上げる新システムが必要

両社ともに、さらなる合理化のためにはコンピュータ システムの見直しは必然と考えていました。それに加えて手作業による転記や 2 重処理をなくし作業効率を上げることや、従来印刷しなければ確認できなかった管理項目などを容易に確認可能にする仕組みなどが必要とされていました。
そこで同グループとしてシステム構築のパートナーとして選んだのは、同業種で豊富なノウハウを持つ「クラボウ」こと倉敷紡績株式会社 (以下、クラボウ) でした。クラボウは、言うまでもなく明治期から続く日本の代表的繊維メーカーの 1 つです。さまざまな部門に進出した同社は、繊維に関連する自動化機器やソフトウェアを製造、開発、販売するエレクトロニクス事業部で IT を駆使するソリューションを多数提供しています。
「他社をパートナーにするとなると、生地の『キ』の字からこちらが教えなくてはならなくなります」と語るのは大日本晒染の生産部部長の山中英央氏。膨大な生地の種類や幅や長さのバリエーションなど、この業界ならではのノウハウがシステム構築の際にも重要になることがわかっていました。日吉染業も、繊維業界の実業務を知るパートナーが望ましいと考えていました。
クラボウは両社の熱い期待を受け止めながら、従来システムの調査を開始しました。しかし繊維業界のノウハウだけでは十分でないことはすぐに明らかになりました。両社の業務は 1 件 1 件の顧客にあわせ、それぞれ個別のルールや方法をとり、柔軟な対応をとってきていたのです。「これを単に最適化された標準に合わせるというのではいけない」と考えたのは、クラボウのエレクトロニクス事業部の成田裕氏でした。「クラボウがやっているやり方がそのままあてはまるということは全くないわけです。1 件 1 件のお客さまに満足していただける付加価値の高いビジネスに役立つシステムをつくるということが、非常に重要になっていました」(成田氏)。

<導入システムの概要>
.NET Frameworkを利用して業務プロセスの最適化を実現


PHOTO
*
倉敷紡績株式会社
エレクトロニクス事業部
成田 裕 氏
*
*
スタート時点でこそ、すでにあるクラボウのパッケージを活用することも検討の俎上に上げられましたが、経営者のビジョンと現場の要望を丹念に掬い上げるなかで、パッケージは、利用はしても部分的に利用することとし、大部分は業務フローを一から見直しながら新規に構築することが最善だと考えられました。
すでに陳腐化している既存システムのリプレースを前提として、新生産管理システムのポイントは次のようにまとめられました。

・投資金額を抑え、費用対効果を高くすること。
・既存業務で発生する手作業や転記、重複作業の業務プロセスを最適化すること。
・受注情報の履歴管理やリピート オーダー時の検索など増大する顧客対応業務の時間を短縮すること。
・電子化一元管理化により、業務全体の負荷を軽減すること。

これらのポイントを押さえることにより、両社がこれまで培ってきた顧客への高いサービス品質を維持、発展することができると考えられたのです。そして最適な構築基盤として選ばれたのが、.NET Framework でした。「.NET Framework によりユーザー インターフェイスを高めていくこと、あるいはシステムの連携において XML によるデータのやりとりということを将来まで見据えて対応していく」(クラボウ 成田氏) ことが、今後の両社のシステムにとって最善だと考えられました。また、将来的にシステム変更の必要が出てきても、.NET ベースであることにより開発は容易になるとも考えられました。「従来システムでは‘普通’の文章を消すだけでもおおがかりにプログラムを変更しなければならず、そのたびに費用がかかっていました」(大日本晒染 山中氏) という非合理の解消になるはずです。
約 1 年のプロジェクトで両社には、SQL Server 2000 と Windows® 2000 Server が中心になり、クライアントに Windows XP および Office XP が導入され、Visual Studio® .NET を利用した次のようなシステムが構築されました。

1. 販売管理 (受注および完了報告、出荷明細、晒染納品、請求業務)
2. 在庫管理 (入出庫、生地在庫、型管理)
3. 生産管理 (染色指令書、進捗問い合わせ、予定組、出荷予定表)
4. 売り上げ管理 (売上集計、日報など)

<導入システムの効果>
業務効率向上と「攻め」の営業への転換


2004 年 5 月、大日本晒染の新システムが稼働を始めました。新システムは当初から、期待された業務効率化を果たしてくれました。それは業務プロセスの見直しと表裏一体の効率化です。
まず手書きの帳簿がなくなりました。データ入力の起点は加工の対象である生地の入庫から始まります。そのデータに対して晒しと染めの受発注データが関連づけられ、さらに納品書や請求書に至るまでの一連のプロセスがシームレスにつながるようになりました。従来、個別の業務であった晒し工程と染め工程はシステムによって連動性が高まり、納期短縮に大きな効果が出てきました。「コンピュータを使うことによって連動が取れるので、どこまで工程が進んでいるかを、必要なときに画面で確認することができます」(倉橋氏)。「部署間などで進捗などの問い合わせがあると、従来なら帳簿を開いていろいろ探していたのが、いまはコンピュータで検索して即答できます」(山中氏)。
一方、日吉染業のシステムもほぼ同時期に完成しました。ユーザー インターフェイスの刷新や管理情報のとりまとめの迅速化は同社でも高く評価されています。従来は属人的な業務になりがちだった管理情報に関する作業は誰にでもできるものとなりました。「商社 (顧客) によって生地の呼び方が違うことがありますが、その基本がシステムに取り込んであるので、品番を聞けばすぐに検索して何のことかがわかる。従来は紙を引っ張り出して確認していたことです。作業量が減って、社員が定時に帰れるようにもなりました」(山本氏)。

Excel へのデータ抽出で管理情報取得と分析が容易に

このような業務効率向上効果に加え、新システムは経営戦略的な情報活用も可能にしました。新システムには、さまざまなデータを Excel などで利用できる CSV 形式で出力できる機能が備えられ、用途に応じた情報抽出や加工が可能になったのです。
「各人がデータを使い慣れた Excel に持ってきて、必要な資料を作成したり情報分析したりすることができるようになり、その数字をもとにして次の改善なり改革なりというような方向に進めることは、非常なメリットと思っています」(大日本晒染 喜納氏)。「今までなら管理面で疑心暗鬼を生じた部分でもきちんとデータとして出てくる。過去との比較対照もできる。特に予測困難だった型枠のコストについても (予測が正確になって) 毎月大幅なコストダウンが現時点でできています」(日吉染業 山本氏)。
そこが構築を担当したクラボウの腕の見せどころでもありました。「日々変わる経営環境のなかで必要なレポートをいかにタイムリーに出せるかというところが命題でした。
営業の方が攻めに使えるシステムとして、経営戦略的な情報が出てくるところがリクエストされていました」(クラボウ 成田氏)。
また、受発注などの事務処理が簡素化され、社内での事務負荷が軽減された営業部員は、その分の労力を顧客営業や新商品企画に回すことができ、営業力強化にもつながったといいます。
新システムは、両社の業務を大きく効率化したのみならず、今後のさらなるコスト削減や売り上げ増に結びつく経営戦略的な情報活用の道を開いてくれました。海外企業などの攻勢に立ち向かい、差別化した商品とサービスが、両社の競争力をさらに強くしているようです。
「しんどいのは事実。しかし時代に沿って、我々も変わっていかないと乗り遅れます」(日吉染業 山本氏)。
「スピードは絶対必要でしょう。そして他と違ったことをやっていかないと。とにかくチャレンジしようと、『サプライズを起こせ』を合言葉にしています」(大日本晒染 喜納氏)
「ものづくり」への情熱は、工業国としての日本の底力。その伝統を脈々と受け継ぐダイニチグループは、古くからのノウハウと顧客優先のサービス品質を損なうことなく新システムに生かしています。競争が激化する繊維産業界にあって、変化すべきものとそうでないものを見極めながら新環境への対応を果たした同グループのチャレンジは、今後も続いていくでしょう。

本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
ページのトップへ