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Microsoft® Windows® 2000 Server と
Microsoft SQL Server™ を導入して
電子町政総合システムを稼働
つい 3 年ほど前までは、他の自治体と比べて遅れをとっていたという丸岡町の情報化ですが、2003 年度中に町内全域をカバーすることを目標として、ギガビットクラスの光ファイバー網の整備を進め、このネットワークを使って CATV とイントラネット、インターネット接続を実現しています。「情報通信技術 (IT) による近未来的なまちおこし」を掲げて、2002 年 4 月から「電子町政総合システム」を稼動させ、「電子自治体による開かれた町政」の実現を目指しています。e-Japan 戦略の中で打ち出されている、中央と地方公共団体とをネットワークで結ぶ総合行政ネットワーク (LGWAN) をより意義あるものにしていくために、自治体としても情報基盤を整備していくだけではなく、職員のスキルを高め、町民や地元企業にも IT の普及を図っていこうとしています。
<導入の背景と狙い> 住民サービス向上と行政の効率化を目指して
福井県坂井郡丸岡町は、九頭竜川を隔てて福井市の北に隣接し、石川県と県境を接しています。福井市のベッドタウンとして、この 30 年近く人口増加が続くとともに、質的な面でも町が大きく変貌しようとしています。
そうした中で、事務処理の効率化や住民サービスの向上が急務となってきたこと、さらに、より開かれた町政を目指して IT 化が推進されています。
IT 化に向けて大きな転機となったのは、現在の林田恒正町長が 1999 年 4 月に就任したことです。
「正直なところ、丸岡町の IT 化は遅れていました。定常的な業務を処理するにも、近隣の町村と共同で利用するシステムが使われ、各課に 1 台ぐらいしかコンピュータがないという状態でした」(林田町長)
遅れを打破していくため、急速な IT 化に向かって動き出した丸岡町ですが、最初から IT の重要性が町議会や町役場で一様に理解されていたわけではありません。
「役場内に SE に常駐してもらわなければ、とても運用が難しかったのですが、その必要性やコストについては、なかなか議会の理解が得られませんでした。そこで、思い切って2000 年度に条例改正で収入役を廃止し、その報酬を SE の派遣費用に回すことにしました」 (林田町長)
2001 年 1 月に中央の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部がまとめた「e-Japan 戦略」では、2003 年までに地方公共団体の電子化、官と民との接点をオンライン化していくこと、インターネットでの行政情報の公開や利用促進とともに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現していくことが提唱されています。さらに地方公共団体はお互いに総合行政ネットワーク (LGWAN = Local Government Wide Area Network) で結び、より効率的な住民サービスの実現を目指しています。そのため、各自治体は高レベルな IT 化への要求を早期に満たさなければなりません。
<導入システムの紹介> 基幹システムとして Windows 2000 Server を導入
ギガビットネットワークで拠点を結ぶ
丸岡町では、1999 年度から IT 化に向けた基盤整備が始まりました。きっかけは旧郵政省が全国の 8 か所ほどの地域を選定して行ったイントラネットモデル事業で、丸岡町もこれに参加しました。
まず役場と出先機関の 4 か所、公民館、図書館などを情報センターとして、ギガビット級の光ファイバー網で接続することから着手しました。
同時期に第三セクターとして、ケーブルテレビ (CATV) の運営会社「丸岡春江タウンテレコム株式会社」を設立、2001 年度から放送を開始しました。2003 年までの 3 か年計画で町内全域をカバーする幹線網を完成させ、町内のどこからでも CATV が受信でき、インターネットにも接続できるようになる予定です。初年度には町内 5 校の小中学校を接続して、児童相互のテレビ会議が始まりました。
「教師が使っても良いのですが、まず子どもたちから IT の恩恵に触れてもらおうということです」 (総務課 参事 情報化推進室長 細江輝久氏)
「CATV もインターネットも初めてという世帯がほとんどでしたから、集落ごとに説明会を開催して、普及に努めてきました。現在、CATV の第一期整備地区の加入率は 40 %です。今後、全世帯への普及を進めるとともに、インターネットの接続についても並行して推進していきたいですね」 (細江氏)
一方、役場全体の基幹システムには Windows 2000 Server を導入し、文書管理、財務会計、人事情報の、それぞれアプリケーションサーバーとデータベースサーバーを構築して運用を開始しました。さらに検索用には SQL Server を、クライアント側には Microsoft Windows 2000 Professional を搭載したパソコンを配置し、アプリケーションは Microsoft Office 2000 Professional を導入。1999 年度以前には各課に 1 台程度しかなかったパソコンですが、現在では文書管理用に 200 台、財務会計用に 100 台、給与計算用として 20 台、人事情報には 5 台が配置され、ほぼ職員 1 人に 1 台という状況になっています。
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株式会社システム研究所 情報システム部公共システム課 課長 清水正喜氏
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「マイクロソフト製品に統一したのは、さまざまな設定が容易にできるということが第一です。2001 年 10 月に仮稼働させましたが、そこでわかったのは家庭や民間企業でも Windows や Office がよく使われているため、研修などを通じて新システムを使いこなせるようになるのが早いというメリットでした」 (株式会社システム研究所 情報システム部 公共システム課 課長 清水正喜氏)
IT 化初年度ともいうべき 2001 年度には、役場の 1 階ロビーにタッチパネルによる行政情報、町内の観光、イベント情報などを提供する「総合案内システム」も設置しました。また図書館などの収蔵品検索システムも稼動させて、オンラインで貸出予約もできるようにしました。
翌 2002 年度には「電子町政総合システム」を稼動。財務会計、文書管理、人事情報、給与計算、電子決裁、例規集のデータベース化、電子申請が実現しています。
(1) 電子申請システム
電子申請では、サーバーに各種の申請書類を PDF として備え、町民はダウンロードして必要事項を記入して、メール添付で役場に送付します。
「書式の不備や記載漏れなどのため修正が必要な場合には、役場の担当者から返送します。こうした事前審査を行っていますので、何度も行政窓口に足を運ばなくてもよくなり、受付での待ち時間短縮がはかられます」 (細江氏)
申請書類は Windows 2000 Server で構築された庁内システムの Web ページに一覧表示され、画面で書類が見つからない場合や担当部署が明確でない場合には、検索して利用できるようになっています。
(2)電子決裁システム
また電子決裁システムによって役場内での印鑑による書類決裁を廃止、事務の効率化が実現しました。丸岡町の決裁システムの特長は、高いセキュリティが要求されるものであるだけに、Windows 2000 Server 上で構築されたシステムに、決裁権者の本人認証に指紋認証が使われていることと、町長や助役など多忙で外出の多い重職者はノートパソコンを使ったモバイルでの決裁もできるようにしていることです。
「平均して 1 日に 40 件ほどの決裁が上がってきます。2〜3 日出張などで不在にすると、書類が山積みという状態ですから、外出先でも決裁できるのは事務の効率化には大きなことです。単なる決裁短縮というだけでなく、私自身も添付書類の参照や担当者への細かな確認のために自由に時間がかけられますから、より内容を把握した上で決裁できるようになりました」 (林田町長)
システム導入に関しては、Windows ベースで開発されている株式会社 TKC の「地方公共団体向け総合パッケージシステム」を採用し、株式会社システム研究所が丸岡町のワークフローに合うようにカスタマイズを行うことで、利便性の高いシステムに仕上げています。
<導入の結果と今後の展開> 基盤整備の段階を終え、より充実したサービス提供へ
「まだ環境基盤が整ったという段階ですから、高度に使いこなしていくというよりは、役場の職員や町民の皆さん、民間会社などに慣れ親しんでもらうのが当面の課題だと思っています」 (林田町長)
電子申請システムが稼働したことで、次に考えられるのは認証や決済まで電子化することだと言います。「とはいえ、従来通りの紙による手続きも多く利用されているのが現状ですから、手続きのすべてを電子化していくのは少し先のことになるだろうと捉えています」 (細江氏)
また 2003 年度には、中央省庁や全国の市町村を結ぶ、総合行政ネットワーク (LGWAN) の稼働や、福井県が構築する「情報スーパーハイウェイ<仮称>」も予定されています。これらのネットワークとの接続を通じて、町民がより手軽に行政を利用できるような運用が必要になります。
たとえば行政相談、要望収集、公共施設の使用状況確認と予約申込への展開、地域災害、除雪情報をリアルタイムで公開、ネットワークを使った商店街の活性化を次の展開の目標に掲げています。
事務処理の効率化という点だけに注目すれば、アウトソーシングという方法も採用できるが、それではだめだというのが林田町長の考えです。行政と町民、民間企業がともに知恵を出し合い、住民サービスの向上につながるアイデアを出していくことこそが重要だと言います。
また最後に、IT 導入成功のポイントとして、林田町長はトップダウンの重要性を指摘しました。「自治体の電子化に必要なことは、まず首長自身が必要性を強く認識することです。議論を重ねるだけでなく、高いビジョンを示して実際に推進していくことが肝心なのです」 (林田町長)
そして次に重要なのは、目先のコストパフォーマンスだけを追い求めて評価していくのではなく、遠い将来につながる効用を考えることだと言います。
「事務合理化、省力化という発想ではなく、新しいシステムを導入することで職員の意識改革がなされることこそ大切ですし、町民の生活まで変わっていかなければ意味がないと思っています」 (林田町長)
電子町政総合システムが稼働開始した現在、次にはより町民が利用しやすいシステムにしていくことが課題だと林田町長は言います。丸岡町の高齢化率は 18 %と今は全国平均より低いものの、やがて上がっていくことを考えれば、高齢になっても使いやすいシステムの開発には、特に知恵を絞っていきたいと語りました。
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