 | 株式会社エルシーネット / 株式会社ハローシステム |  |  |  | |  |  |
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開発効率向上と TCO 削減のため、Linux 環境から Windows® プラットフォームへ転換。 介護保険関連で初の ASP 型サービス環境の開発、運用コストを約 55 %も圧縮。
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株式会社エルシーネットが提供する介護業務支援システム「楽にネット」は、介護サービス事業者とケアマネージャーの業務を効率化するための ASP 型サービスです。同社はこのシステムを、当初は Java を開発言語とした Linux/Java というオープンソースのフリーウェア環境で構築しようと考えていました。しかし実際の開発に着手してみると、オープンソースソフトウェアではどのようなリスクがあるか不明な点が多いことに加え、介護業務特有の複雑な制度や業務フローの要件に応えうるサービスの提供が難しく、システムの構築は困難を極めました。また、開発だけでなく、稼動後の運用保守、法改正などの新規要因によるカスタマイズのためのコストも高額になることが予測され、開発の中断を余儀なくされました。改めてシステム設計を検討した結果、新たに Windows プラットフォームによる開発に変更することで、介護業界では初のスマートクライアントアプリケーションの開発に成功しています。その結果、開発期間の短縮と当初の予想を上回る開発コストの 55 %の圧縮を達成すると同時に、より使いやすいサービスの提供を実現しています。
<導入背景と狙い>
手作業に頼らざるを得なかった介護サービス現場の事務処理業務。 「楽にネット」によって、作業負担の大幅な削減を目指す。


株式会社エルシーネット
専務取締役
小林 隆治 氏
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きたるべき高齢化社会に向け、法整備やそれを受けたサービスの充実が進む介護医療分野。2003 年 7 月に設立された株式会社エルシーネット (以下、エルシーネット) は、居宅介護支援事業者 (ケアマネージャー) と介護サービス提供事業者 (ホームヘルパー) を結ぶアプリケーションサービスプロバイダ (ASP) 型サービス「楽にネット」を提供しています。公的介護保険制度では、介護支援専門員 (ケアマネージャー) がケアプランを作成し、それに基いて訪問介護員 (ホームヘルパー) が利用者にサービスを提供、その費用を保険者へ請求するという流れになっています。「楽にネット」は、こうしたケアプランの作成からサービスの実行支援、請求処理までをトータルにカバーする ASP 事業による介護業務処理システムサービスの提供です。
2000 年 4 月に施行された公的介護保険制度は、介護が必要と認定された人に対して一定の範囲内で介護サービスを提供する保険制度です。中でもエルシーネットが手がける在宅系介護サービスには、ケアプラン作成、訪問介護/看護、福祉用具貸与など 11 の業務があり、現場でサービスを提供するサービス事業者への費用支払いは、保険者である市町村から国民健康保険団体連合会を通じて行われています。
エルシーネットがこの事業に着手したきっかけは、この公的介護保険制度特有の煩雑な事務手続きにありました。多くのサービス事業者は作業内容の確認と時間集計を、手作業に委ねているのが実情でした。とりわけ「毎月 10 日」の請求書締め切りの直前は、現場ではこの集計作業に追われることが繰り返されていたといいます。また、こうした煩雑かつ繁忙のためにケアマネージャーとホームヘルパーの連携がスムーズにいかず、請求内容が食い違い、支払いが拒絶されるケースも発生していました。
株式会社エルシーネット専務取締役の小林隆治氏は次のように説明します。「ケアマネージャーとホームヘルパーの双方にメリットをもたらす ASP 型の業務システムを提供して、日次で集計処理を行えるようにすれば、請求内容の整合はもちろんですが、現場のスタッフが毎月の集計作業に割いていたエネルギーを、本来の介護業務に振り向けることができると考えました。介護のプランニングから請求までを1つのシステムで完結させることができれば、作業効率は大幅に向上します。そこで私たちは、2003 年 4 月に『楽にネット』サービスの事業化をスタートさせたのです」。


楽にネットのログイン画面
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<導入の経緯>
Linux などのオープンソースソフトウェアによる開発が頓挫。 数々のメリットを持つ .NET Framework のシステムに活路を見出す。
エルシーネットでは当初、オープンソースソフトウェアである Linux をベースとして、開発言語に Java を採用してこのソリューションを構築しようと考えていました。「多くの方に安価でこのサービスを利用していただくために、まず考えたのはシステムの開発コストを低く抑えることです。そうした観点から最初の仕様策定では、Linux をプラットフォームとする Web アプリケーションのシステムを Java で開発することにしました」(小林氏)。
しかしこのシステム開発は、プランどおりに順調には進みませんでした。「介護保険のサービス運営に必要な要件は多岐にわたり、たとえば『この日にどういったサービスを提供した』といった細やかな記録を確実に集積しなければなりません。そうした要件を実現するシステムの構築がうまく進まず、私たちの要望と開発委託先の提案との間にもずれが目立つようになってきたのです」(小林氏)。
このままではシステムのカットオーバーにも支障が出ると判断した小林氏は、開発を中止し、開発委託先の変更も含めた全面的な見直しを決断します。そして要件を改めてまとめ、再度システムインテグレーションを行う複数の企業に提案を依頼しました。その大半は Linux と Java でのシステム構築提案でしたが、そのうちの 1 社、株式会社ハローシステム (以下、ハローシステム) だけが、Windows プラットフォームの導入を提案しました。


株式会社ハローシステム
専務取締役
出口 俊輔 氏
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ハローシステム 専務取締役の出口俊輔氏は振り返ります。「仕様を拝見し、あらゆる面から要件を満たすためには、Windows 環境が最良と判断したのです」。それは、Windows プラットフォームに限らず、Linux や Java のプロジェクトも数多く手がけてきたハローシステムが、その実績をもとになされた判断であったといいます。ハローシステムからの提案を受け検討した結果、2003 年の 9 月、エルシーネットでは「楽にネット」の開発環境を Windows プラットフォームに変更し、システム開発を再開しました。
Windows プラットフォームを選択したポイントを、小林氏は次のように語ります。「まず、開発期間がかなり短縮できる点。もう1つは、スマートクライアントアプリケーションである点です。オープンソース環境では、ユーザーインターフェイスに Web ブラウザを使うことになります。しかし介護保険業務では、報告書や届出書などの帳票出力が必須です。請求の締め切り直前に出力が集中しても耐えられるだけのサーバー処理性能を用意すると、かなり大規模なサーバーが必要となり、インフラに大きな費用がかかってしまいます。さらにブラウザはバージョンごとに機能が異なるため、ブラウザ環境を統一することができないこのサービスには向きません。その点、.NET Framework にもとづいたスマートクライアントを扱える Windows 環境は、ユーザーのニーズに合致していると思います」。
<構築システムの概要>
GUI に優れた Windows のユーザビリティを活かす。 PC に不慣れな現場スタッフにも優しいインターフェイス。
「楽にネット」では、ケアマネージャーとホームヘルパーのオフィスにある PC から、エルシーネットのデータセンター内にあるサーバーシステムを Web サービス経由で利用します。データセンター側に置かれたサーバーには、Web サーバーおよびアプリケーションサーバーとして動作する Microsoft® Internet Information Services (IIS)、データベース用の Microsoft SQL Server 2000 、メールサーバーなどがあります。
クライアント側は、Microsoft .NET Framework 1.1 が組み込まれた Microsoft Windows XP もしくは Microsoft Windows 2000 を OS とする PC を用意するだけで済みます。法令の改正などによって新たに必要となったモジュールなどは Microsoft .NET Framework 1.1 のノータッチデプロイメント機能によって、サービスへのログイン時に最新のファイルが自動的にクライアント側の PC にダウンロードされます。クライアント側の PC に表示される画面は、すべて介護保険で定められた帳票フォーマットに則ったレイアウトになっており、使用する一般のユーザーにとっては、これまで台帳などに行っていた業務情報の記載を、PC 画面上で行うだけの違いで済みます。PC を使い慣れていない現場スタッフが、スムーズに操作できるような配慮がなされているのです。
「帳票のイメージをそのまま画面に再現できたのは、Windows の優れたユーザビリティならではでしょう。日頃から PC に慣れ親しんでいない人でも、書類に記入するのと同じ手順で入力できます。サービス提供時間の指定や変更なども、スケジュール表をマウスでドラッグするだけです。この GUI 環境は、Web アプリケーションでは実現が難しいでしょう」と、出口氏はユーザーインターフェイスの良さを強調します。


システム構成図
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<導入結果と展開>
構築のコストと時間の大幅な短縮にとどまらない、長期的な TCO 削減の余裕が次代への展望を生む。
「楽にネット」のサービス開始は、開発着手から約 8 か月後の 2004 年の 10 月です。「実際には半年で完成していましたが、操作性などの検証に2か月をかけました」(小林氏) というだけに、使用した現場からは「直感的な操作ができる」、「入力が簡単でよい」といった声が多く聞かれます。
「Windows のメリットはいくつも挙げることができます。まず、ユーザーインターフェイスが飛躍的に向上したこと。ハードウェアキーのような、クライアント側のリソースが活用できること。またファイルはすべてデータセンター側に置かれ、PC にキャッシュを残さないのでセキュリティ面も非常に向上しています。そして印刷処理のサーバー負荷が少ないことなど。デメリットはほとんどありませんね」と語る小林氏ですが、エルシーネットにとってもっとも大きいメリットは、開発コストを大幅に抑えられたことでした。
「Windows 環境の開発では、期間ともに、Linux 開発時に想定していたコストから約 55 %の圧縮ができました。 またコンポーネント化できるものは部品として今後も再利用できるので、長い目で見れば次の開発コストはさらに下がるのではないかと思います」(小林氏)。出口氏も「そもそも介護保険の仕組みは非常に複雑でコンピュータ化しにくい分野ですので、これと同じものをそのまま Linux/Java で作っていたら、コストも時間も2倍以上かかっていたでしょう。また、Java で作っていたら不可能だった機能もたくさんあります。JSP やクライアントスクリプトなどは、一度作ってしまって後からメンテナンスしようとしても、なかなか手を付けにくい部分です。保険制度の変化に合わせたシステムの変更コストや、フリーソフトウェアの保守責任の問題を考えると、長期的な TCO という観点では 10 倍以上のコスト格差が生まれても不思議はないと思います」と語ります。
時代背景とともに、その重要度がますます高まる介護保険業界。「スマートクライアントアプリケーションを使ったソリューションは、介護保険業界では私の知る限り初めての試みです。開発のスピードアップが可能という Windows プラットフォームの利点を活かして、現場ごとに要件が異なる複雑な介護保険の声に迅速に応えるソリューションを、今後も提供していきたいと思っています」という小林専務の決意の言葉が、株式会社エルシーネットが提供する高齢化社会を支える IT ソリューションの進むべき方向を示しています。
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