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Microsoft Office Visio による内部統制対応の文書化システムを構築。 延べ数万枚に及ぶ文書化作業の効率化を実現。
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伊藤忠商事株式会社は、繊維、機械、情報・通信、金属・エネルギー関連など 7 つのディビジョン カンパニーがあり、ビジネスの数は本社内だけでも数百種類にわたります。同社では、2005 年から証券取引所より上場企業に義務づけられた内部統制対応の為、プロジェクト組織を立ち上げ、文書化への取り組みも始めました。当初、Excel で作成した業務フロー図とリスク コントロール マトリックス (RCM) は 1 万枚に及び、双方の連携が取れなかったため、管理が非常に困難でした。そこで、Microsoft Office Visio を導入し、文書化作業の効率化を実現しました。
<システム導入の背景>
膨大な内部統制対応の文書化作業に向けた全社レベルでの効率的なシステム化検討
内部統制対応における文書化には多大な労力が掛かるのは周知の通りですが、同社の場合はこれがひときわ大きな課題として受け止められていました。それは、同社が多様な分野の商材を扱い、取引形態もさまざまな国際総合商社であるということに起因しています。2005 年度からプロジェクト側で始めた Excel での文書化に加え、ビジネス単位に展開していく文書化作業に入るにあたり Visio 導入を決定した頃、2006 年に始まった全社的な業務改革プロジェクトである 『ITOCHU DNA (Designing New Age) プロジェクト』 が自社ビジネスの内容を分析した結果が発表され、本社だけで約 650 種類のビジネスが存在することがわかりました。「内部統制対応においては、この約 650 ビジネスを対象としなければならないのですが、これを文書化という観点から見た場合、650 ビジネスにはさらにそれぞれ平均 20 のサブプロセスが存在するため、実際に作成しなくてはならない文書の数は膨大なものになります」。
伊藤忠商事株式会社 CFO 室長中出邦弘氏によれば、業務フロー図だけでも約 1 万枚、リスク コントロール マトリックス (以下、RCM) はそれ以上の枚数に及ぶといい、このリアルな数字を改めて目の当たりにした同社では、既に Visio を活用したシステム開発に着手し始めていましたが、より一層、操作性、効率性のよいツールとなるよう改訂を行いました。中出氏は 「内部統制構築を進めていくうえで膨大な文書を作成しなくてはなりません。そのための確実な基盤を築くため、IT システムの導入は大変有効であり、なおかつ必然的な選択肢だったといえます」 と語ります。こうした実務レベルでの改革プランを推進する一方で、会社としても 2007 年 4 月には新中期経営計画「Frontier + 2008」 の中で 『適正かつ効率的な内部統制構築』をかかげ、DNA プロジェクトが推進する 『業務効率化』 との連携を志向しました。さらに社員の意識啓発についてもさまざまな取り組みが展開されるようになったといいます。その中でも大きな節目となったのは、2007 年 5 月に行われた社長と全社員の対話集会でした。「現場のマネージャおよびスタッフ 1 人ひとりが内部統制対応の必要性と業務効率化を明確に認識しない限り、内部統制対応業務は乗り切れるものではありません。この集会以降、はっきりと社員間の意識レベルが向上してきたのを感じますね」。このほかには、内部統制概要の e - ラーニング コンテンツを国内外の全社員や事業会社へ展開するなど、常に 「啓発」 と 「文書化システムの導入」 を両輪として進められてきたのが、同社の内部統制対応のシステム面での取り組みの特徴だと中出氏は語ります。
<システム構築の経緯と概要>
データベースとの連携ができる点に注目して Visio を選択
同社では 2006 年 4 月頃から、効率的な文書化作業を実現するために具体的なツール選定を開始したと中出氏は語ります。「まず条件として考えたのは、『継続的に文書を管理していけること』。もう 1 つは、『多種多様な文書、それも第三者にそのまま提示できる文書を作れること』 でした。内部統制対応の文書は 1 度作ればそれでおしまいではありません。業務フロー図や RCM や業務記述書といった 3 種類の基本文書が連携して管理できていなければなりません。そうした中、選択肢に浮上したのが Visio だったのです」。同社が Visio を知ったのは、2006 年 6 月のことでした。それまでもツール選定を行ってきた同社 CFO 室の高橋里絵氏が、マイクロソフトの内部統制対応の関連セミナーを訪れたのがきっかけでした。「デモを目にして、業務フロー図と RCM を統合的に管理できるツールだと知り、これはいいと思いました。従来は Excel で作成していたのですが、これだと業務フロー図と RCM 間の連携ができません。それが Visio ならできるとわかったのです。帰社して中出にも 『全社的に多くのユーザーに使って頂くには普段から使い慣れているマイクロソフト製品なのでアイコン等も同じで使いやすく、価格的にも手頃ではないか』 と報告しました。業務フロー図と RCM ともに Excel 作成していた時は、他の文書との連携が難しく、修正が非常に手間でした。その点、Visio なら図形にデータを持たせることによって RCM を Excel で出力することが可能ですし、また、Excel から Visio へのデータ取込が可能です。また、個人単位で文書化を行った場合、でき上がりのレベルがバラバラで標準化が難しいといった問題もありましたが、Visio なら標準的なテンプレートを準備すれば、効率良く標準化および均質化された文書の作成が可能だと知りました」。 さらに同社が Visio に着目した点は、データベースとの連携が可能なツールだということもあったと中出氏は語ります。「当時、米国 SOX 法対応ツールをいくつか検討していたのですが、日本版 SOX 法の基準がまだ曖昧な状態で、急いで大掛かりなシステムを導入してもいざ法の詳細が見えたら違っていて、無駄な投資になっては困ると思っていたのです。事実、米国 SOX 法と日本版 SOX 法はかなり違います。そこでまず最低限必要な業務フローと RCM の連携と RCM のデータベースだけを先に作っておこうと決めたのです。そこで Visio が当てはまったのです。価格が安いこと、追加開発が容易なこと、現場スタッフにとって操作性が良いことも決め手になりました」。この結果、SQL Server をバックエンドのデータベースに置き、標準リスク データベースおよび標準コントロール データベース、組織名などのマスタ データベースを作成して、Visio をフロント エンドとして内部統制対応の文書化システムを構築することにしました。Visio に決定して以降、システム構築は急ピッチで進められました。同社の Visio 内部統制専用のシェイプを開発して、各サブプロセス上に内在するリスク情報やコントロール情報を入力する専用のダイアログ ボックスを用意しました。また、ダイアログ ボックス上では、SQL Server に構築した標準リスク データベースや標準コントロール データベースを参照できるようにして、簡単に情報を選択できるようにしました。さらに、リスクやコントロールの情報が載ったサブプロセス単位で標準フロー図のテンプレート登録を可能にしました。このことにより、文書の管理と標準化および均質化が可能となり、さらに現場の負荷を最小限に抑えることができました。作成された文書はデータベースに落とし込むことにより、最新の情報を一元管理することも実現しました。こうして、6 月には業務フロー図や RCM を各カンパニーの現場リーダーに配布、10 月には無事全社サービス インとなりました。
<システムの特徴>
現場の操作性にこだわった Visio アドオン機能の開発


伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠 IT センター 本部
流通システム第 3 部 第 2 課
小林 仁 氏
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伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠 IT センター 本部
流通システム第 3 部 第 2 課
五十嵐 透 氏
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株式会社マイスター
ソリューション事業部
第三課
課長
平賀 茂貴 氏
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今回のシステムで、最も大きな特徴は操作性だと、開発に携わった伊藤忠テクノソリューションズ株式会社伊藤忠 IT センター本部 小林仁氏は語ります。「とにかく全社員が使うものですから、誰もが簡単に、しかも同じように使えなくてはなりません。しかし、個人ごとに PC の熟練度や知識も異なるわけですから、誰が見てもすぐに理解できて容易に操作できる必要があります。開発においては現場での使い勝手の良さにこだわりました」。こうした " こだわり” の 1 つに、標準テンプレート登録機能があります。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社伊藤忠 IT センター本部 五十嵐透氏は、「あらかじめ CFO 室様が登録した標準テンプレートを呼び出して再現できるので、現場のユーザーは業務フロー図を 1 から描き起こす手間がなくなりました」と、1 例を紹介します。この機能を活用することにより現場の手間を省き、同時に標準化および均質化された良質な業務フロー図を作成することを可能としたのです。これらのアドオン機能の開発にあたった株式会社マイスター 平賀茂貴氏は語ります。「当社では Visio のアプリケーション開発やカスタマイズに経験がある点を評価して頂き、今回の開発をお任せ頂きました。業務フロー図から RCM を作成する機能や、データベース更新機能などの開発作業を通じ、一貫して現場の使い勝手の良さを追求されている姿勢に、伊藤忠商事様の取り組みの真剣さを感じました。特に、部門枠シェイプのサイズ自動調整機能、シェイプごとの権限管理、ビジネス フローとサブプロセス ページとの連動など、オリジナリティあふれるアイデアを実現させました」。
こうして、Visio の持つ特徴を十分に活かし、さらにカスタマイズを加えることによって、文書化を強力に支援するツールが産まれたのです。
<ユーザー テクニカル サポート>
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ファーストコンタクト 株式会社
カスタマーサービス 第 1 本部
河上 千晶 氏
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同社はシステムを取り巻くソフト的な体制の整備にも早くから力を注いできました。その典型が社内ヘルプ デスクの設置です。ヘルプ デスク担当のファーストコンタクト株式会社カスタマーサービス第 1 本部 河上千晶氏は語ります。
「弊社は、伊藤忠商事社内で利用される主要システムの『サービス デスク』の役割を負っています。本システムも全社員が利用するうえでヘルプ デスク機能は絶対に必要との伊藤忠商事様のご意向で、開発当初からプロジェクトに参加させて頂きました。日頃のヘルプ デスク業務でユーザーと会話することも多く、ユーザーがシステムに何を求めているかを理解できる立場にいたので、ユーザーの視点に立って使いやすい画面構成やアドイン機能などのご提案もさせていただきました」。
さらに、研修も積極的に実施されています。2007 年 10 月中旬から下旬にかけて東京で Visio のハンズオン トレーニングを実施しました。「13 日間で 2 時間の研修が毎日 2 コマずつというプログラムで、約 550 名の方々が受講されました。内容は、内部統制の必要性に関する説明からマイクロソフト社による Visio の基本操作と今回開発した内部統制文書化システムの操作説明です。私は、主に内部統制文書化システムの説明を担当させて頂きましたが、この研修以前に、RCM の作成にご協力頂いた方々には、ひときわ今回の研修も内部統制業務に役立てて頂けるという実感を持って頂けたと思います」。 (河上氏)
<今後の展望>
運用フェーズを視野に入れたシステム拡張を
いよいよ運用フェーズに入り、今後の施策にさまざまな思いを巡らせています。「Visio を導入した結果、自分で Excel を使って業務フロー図を手書きしていた頃に比べたら、簡単で使いやすくなったのは明らかです。しかし、システムを提供する私たちとしては、それで安心していてはいけません。むしろこれからが本番だと思っています。内部統制はこれから長年にわたって現場において日常的に動かし続けていくことが重要なのです」。(中出氏)
この Visio ツールを使って蓄積したデータを有効に活用し、運用評価業務を円滑に行えるようシステムをブラッシュ アップしていく必要があるのです。
こうした要請にシステム担当も、「伊藤忠商事様の IT を担ってきた CTC のノウハウを発揮し、伊藤忠グループ全体の内部統制業務におけるベスト ソリューションを提供していきたい」 (小林氏) 、「現場から上がってくる声を的確にキャッチ アップし、ユーザビリティとセキュリティのバランスが取れたシステムにしていきたい」 (五十嵐氏) 、「伊藤忠商事様のユニークな発想にたいして技術力をもって応えていきたい。」 (平賀氏) と一様に意欲を語ります。「さらに将来的には、このシステムを国内本社だけでなく各事業会社や海外拠点へも展開していきたいと思っています。そうした観点からも、今回のシステムは会社のかけがえのない財産として次世代に渡していく義務があると思っています」。 (中出氏) 日本中の企業が内部統制対応への取り組みを行う中、具体的に何をどうすればよいかを明確に把握している企業は多くないかもしれません。そうしたなかで、明確なビジョンを全社で共有し、それを IT システムの実装レベルまでに結実させた伊藤忠商事の事例は、まさに内部統制対応のベスト プラクティスとして多くの人々から注目されています。
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