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開発生産性とシステム連携に優れた Microsoft® .NET Framework をベースに、
すべての工程をひとめで把握できる実績収集システムをスピーディに構築
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JFE継手株式会社は、月産 300 万個にも上る各種配管用継手を製造する配管システムの専業メーカーです。同社では、長年の懸案だった生産管理システムのリニューアルに着手。その第 1 ステップとして、製造現場の実績収集システムを Microsoft .NET Framework で構築しました。リアルタイムの実績データ収集が可能になったことで、作業負荷の削減や社内の仕掛在庫の削減を実現、社内モチベーション アップや顧客満足度の向上など、さまざまな場面で成果を上げています。
<導入背景と経緯>
老朽化が進む旧生産管理システムのリニューアル。
リアルタイムで実績データを収集できる新システム構築へ
大手鉄鋼メーカー JFEスチール株式会社のグループ企業 JFE継手株式会社 (以下、JFE継手) は、金属継手において国内シェア 2 位を占める、世界トップ レベルの配管システム専業メーカーです。創業以来約 70 年にわたり、人々の生活基盤である「水、ガス、油」などを輸送するパイプをつなぐ継手の開発および製造を行ってきました。配管工事の省力化や工期短縮を目的としたワンタッチ タイプ継手の開発にいち早く取り組むなど、時代のニーズに応える商品開発で高度な技術力を発揮しています。
こうした実績や月間平均 300 万個もの継手の生産を支えているのが、同社の生産管理システムです。従来の生産管理システムは、17 年前に COBOL によって組まれたもので、鋳物工区、加工工区 (メッキ、加工、検査)、防食工区 (塗装、ライニング) ごとにサーバーを立て、50 台のクライアント PC で管理するクライアント サーバー システムでした。また、ホストの販売管理システムとも連携しており、受発注から生産管理までをカバーしてきました。
「弊社の継手の生産工程は 10 以上あり、アイテム数も 1 万を超えるため、システムにかかる負荷も相当なものがあります。現場の 24 時間生産体制をずっと支えてきたシステムですが、老朽化が進み、さらに保守期限も切れてしまい、いつ止まってもおかしくない状態でした」。
そう語るのは JFE継手株式会社 業務部 部長 信貴 政則 氏です。従来の生産管理システムでは、実績収集、仕掛管理など手作業が多いこと、各工程のレスポンスが悪く処理待ちが多いことなど、課題が山積していました。
「メーカーとして欠品は許されませんので、基本的には在庫販売になり、常時 4,000 〜 5,000 アイテムを管理していますが、それでもまれに欠品してしまうことがあります。その場合、現場に納期を確認して一刻も早くお客様へ納期の回答をしなければいけません。対応が遅れれば納期クレームを発生させる危険性もあり、スピーディに納期を確認、回答できる新システムへの移行が急務でした。そこで、JFEスチール株式会社の IT改革推進部の協力を得ながら、営業、生産管理、原価管理など約 10 人が参加する『生産管理システム再構築チーム』を社内に発足、生産管理システムのリニューアルに取り組むことになったのです」(信貴 氏)。
<システム構築>
ミッション クリティカルな生産管理システムの短期構築を可能にした
.NET Framework によるシームレスで柔軟な開発環境
顧客満足度向上につながる生産管理システムとはどうあるべきか。本プロジェクト チームに参加した営業、生産管理、工場管理、品質管理、原価管理の各部門代表者は、外部環境や販売環境の問題点を把握し目標を定めたうえで、ビジネス要件やシステム要件を明らかにしていきました。
「顧客満足度の向上を図るには、スピーディな納期回答に加えて、品質を保証するトレーサビリティが不可欠です。いつ生産したのか、どのロットをどの機械で加工し、誰が検査したのかを確実に追及できるしくみ作りが必要だと考えました」(信貴 氏)。
日報も従来は手書きで作成していたため、入力や修正、収集の手間がかかり、データとして利用できる状態になるまで相応の時間を要していました。
「適正在庫の維持、製造リード タイムの短縮、品質向上。仕掛品も含めた部材の実績データ収集の取りこぼしを解決しない限り、計画精度の向上が見込めないことは明らかでした。そこで、システムのリニューアルの第 1 ステップとして、まず実績収集システムの構築に取りかかることにしたのです」(信貴 氏)。
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JFE継手株式会社
業務部 工程商品室
室長
柿花 英志 氏
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JFEシステムズ株式会社
開発本部 関西開発センター
第2開発グループ
主任部員 (主席課長)
塩崎 健一 氏
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工程管理を担当している JFE継手株式会社 業務部 工程商品室 室長 柿花 英志 氏は、正確な実績データを把握できるシステムの必要性について次のように説明します。
「従来の実績データ収集は、ホスト コンピューターによるバッチ処理を行う関係上、修正の反映までにタイム ラグがありました。既に古くなっているデータを見てお客様に納期の回答をすることになり、実際には 1 〜 2 日の納期遅れになるケースも少なくなかったのです。そこで、新しい実績収集システムでは、精度の高い現場の実績データをリアルタイムで自動的に収集できることを第一に考えました」。
また、現場にいる 400 人の作業員のうち約 250 人が入力作業を行いますが、キーボード入力にはある程度の習熟が必要なため必ずしも効率的な方法とはいえません。
「そこで現場での入力にはパートのスタッフでも気軽に操作ができるタッチ パネル方式の導入を希望しました。また、100 台近くの端末からの入力がスムーズに行えるレスポンス性の高さと、24 時間操業を支える安定稼働も必須事項です」(信貴 氏)。
プロジェクト チームがまとめたこれらの提案を受け、現状分析や要件定義作業からシステム構築、保守までを担当したのは、JFE グループの JFEシステムズ株式会社です。今回の実績収集システム構築はゼロ ベースからの開発になるため、採用する開発環境によっては時間を要することも考えられました。いくつかの選択肢がある中で、.NET Framework を採用した経緯について、JFEシステムズ株式会社 開発本部 関西開発センター 第2開発グループ 主任部員 (主席課長) 塩崎 健一 氏はこう説明します。
「弊社では Java を扱うスタッフが多いので Java で開発することもできたのですが、今回は工程と工程を結ぶシステム連携が多いこと、またタッチ パネル方式の採用を重視したこともあり、Java よりも開発ツールが豊富な .NET Framework の開発環境に魅力を感じました。.NET Framework をベースにしたシステムであれば、Microsoft® Visual Studio® を使えるので開発生産性が高いですし、タッチ パネル入力の開発においても豊富な ActiveX コントロールを活用して操作性の良い画面が作れると判断したのです」。
.NET Framework は 2002 年の登場以来、非常に多くのユーザーに利用され、現在では多くの企業の中で .NET Framework 上で開発したアプリケーションが稼働しています。その大きなメリットがさまざまなシステムやデバイスとの容易な接続連携で、たとえば、.NET Framework をコアとするクラス ライブラリ群や、Visual Studio を使った統合開発環境の活用が可能です。業界標準のアプリケーション連携プロトコルである XML Web サービス対応機能や堅固なセキュリティ機能も用意されており、.NET Framework で開発した .NET 対応アプリケーションは、これらのテクノロジを自動的に活用できます。さらに、.NET アーキテクチャーを利用した入力端末は、Web ベースのリッチ クライアント方式で、クライアント サーバー型と同一の GUI 環境を実現できるので、クライアント サーバー利用者も操作に戸惑うことはありません。
.NET Framework を活用したソリューションをいくつか検討した結果、株式会社富士通ビジネスシステムの「WebAS Component Framework」を用いての開発が決定しました。WebAS Component Framework は、.NET Framework を土台にした Web アプリケーション開発の生産性向上を実現するフレームワークであり、.NET Framework に用意されているツールやプロトコルなどに加えて、生産管理などに必要なシステム開発を支援するベース プログラム (共通モジュール群)、ツール、ドキュメント (方式設計書など) をはじめ、あらかじめ機能ごとに用意されているコンポーネントを組み合わせることで、スピーディで柔軟な開発を行うことができます。
「操作性、レスポンス、インターフェイスなどを比較した場合、WebAS Component Framework が最も優れていましたし、生産管理における実績も十分でした」(信貴 氏)。
工区ごとにシステム要件が異なること、またリスク分散を図る目的もあり、開発工程をずらしながら、工区ごとに並行して開発を進めることになりました。2007 年 5 月、まず鋳物工区の設計からスタート。鋳物工区は小ロット生産には不向きな大容量設備のため、品質トレーサビリティの観点から鋳造ロットごとの識別管理が必要となります。また、加工工区と防食工区は小容量多台数の変種変量に対応したバケット単位の識別管理を行わなければなりません。各工区の特性に合わせた実績データ収集のしくみ作りが必要でした。
「さらに、老朽化したネットワークや設備のインターフェイスも見直し、IT 基盤自体を再構築しました。それによって、250 人が使う 100 台近くのクライアントにおいても高レスポンス、安定稼働を実現しています」(塩崎 氏)。
本システムは、共通データベース (DB) サーバーとアプリケーション (AP) サーバー、そして約 100 台のタッチ パネル方式のクライアント PC から構成されます。現場の造型機、加工機、計量器などから収集された生産実績データは、共通 DB サーバーに蓄積され、各クライアント PC において、日次および月次処理、トラッキング、進捗管理などをリアルタイムで行うことができます。


図 1 .NET Framework をベースに開発した実績収集システムの概要 [拡大図]

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図 2 タッチ パネル方式のインターフェイス

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図 3 JFE継手の製品群 [拡大図]

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<導入効果>
Java に慣れ親しんだ開発者にも快適な開発環境を提供。
当初の予想を超える成果を上げた実績収集システム
2008 年 4 月、ひと足早く鋳物工区の実績収集システムがカット オーバー。それを皮切りに、6 月には加工工区、8 月には防食工区と、同社の実績収集システムは順調に稼働していきました。月産 300 万個分の実績データ収集と各工区をつなぐ大規模システムの構築であることを考えれば、システム設計から約 1 年でのカット オーバーは非常にスピーディな開発といえるでしょう。
「.NET Framework のコンポーネントや、WebAS Component Framework に用意されているツールなどを活用することで、鋳物工区のシステムを Microsoft® Visual Basic® で効率的に開発できました。さらに、鋳物工区のシステムで構築した部品を再利用して、加工工区や防食工区のシステムを開発しましたので、開発生産性はかなり高くなっていると思います」(塩崎 氏)。
タッチ パネル システムの開発では、入力ミスを防止するために前工程の情報を引き継いで選択できるようにするなど、ユーザビリティの向上を図りました。
「その際には、.NET Framework に用意されているツールや部品、Microsoft® Windows® に用意されているドライバーなどが役立ちました。今回のシステムは、内容的には Java でも開発可能かとも思いますが、用意されているツールや部品が多く、統合環境で開発できる .NET Framework の簡便さやスピードには大変満足しています。また、Java に慣れた開発者でも技術的な面での戸惑いがなかったことも印象的でした」(塩崎 氏)。
半年以上が経過した現在も、システムはトラブルなく順調に稼働しています。ねらいどおり、製造現場の情報をリアルタイムで自動的に収集し、それを見て 250 人がタッチ パネルで入力作業を行うというスタイルがすっかり定着しました。
「タッチ パネル方式については『操作がとても簡単になった』と現場からの反応も良く、『移行には少なくとも 1 か月はかかる』という当初の予想を裏切り、1 週間ほどで誰もが使いこなせるようになりました。使い方への問い合わせもほとんどありませんでした」(信貴 氏)。
キーボード入力とは異なり、キー操作に熟練していないパートのスタッフでも容易に入力操作ができるため、現場の作業効率は飛躍的に向上しました。
「日報を手書きする必要がなくなったうえ、修正もリアルタイムで行えるので、日報作成におけるスタッフの負荷がかなり軽減されました。進捗管理でも、リアルに部品の所在地別の情報が見えるようになったおかげで、現場に出向いて現物を確認する必要がなくなり、おそらく 15% 以上は省力化できたのではないかと感じます」(信貴 氏)。
こうした「データの見える化」によって、それぞれが自覚的にデータ把握に努めるなど、社内の意識改革も進んでいるといいます。
「パッとひとめでわかるので、気軽にアクセスして現状把握しようという気持ちになるようです。また、以前のシステムでは実績データをいったん帳票出力して、そのデータを Microsoft® Excel® に入力して活用していましたが、今回のシステムでは最初からデータ化されており、それまで月次 1 万ページほどあった帳票出力の 7 割を削減できました。このペーパーレス化は想定外の成果でした」(信貴 氏)。
我々メーカーでは、出荷の際に検査成績書を現品に添付します。同社では通常、出荷指示を行うのは 14 時頃、製品をトラックに積み込むのは 17 時頃で、約 3 時間のうちに検査成績書を現品に添付しなければなりません。従来は各工区の検査結果を集約した後、手書きで検査成績書に記入する手間がかかり、2 〜 3 人での作業となっていました。しかし、今回のシステム化によって、どういう工程で生産されてきたのか全工程がひとめでわかるようになり、しかも入力が容易になったことから 1 名での対応が可能になりました。
また、工程管理においては欠品をどれだけ少なくできるかが鍵になりますが、最近は複数の部品を組み合わせて作る製品が多くなっており、対応が難しくなっていたといいます。
「弊社の場合、多いものでは 10 種類くらいの部品を組み合わせることがあり、そうすると欠品を恐れてどうしても仕掛部品を多めに作ってしまうので、なかなか在庫削減に至りませんでした。しかし新しいシステムでは、組み合わせ部品がすぐにわかり、どんな複雑な組み合わせであっても、どの部品が何個必要か瞬時に判断できますから、欠品を出さずに在庫を減らすという理想的な成果が得られるようになりました」(柿花 氏)。
結果、工場全体では仕掛在庫が 15%、外注の仕掛在庫も 30% は削減できました。
「不良品が出た場合も、すばやく原因を追及できるトレーサビリティ機能ができましたので、お客様から求められたときに迅速な報告ができるだけでなく、さらなる品質向上に役立てることが可能になりました」(信貴 氏)。
<今後の展望>
.NET Framework の拡張性と連携性の豊かさをフルに活かし次のステップへ。
JFE グループ内におけるシステム構築の水平展開が進行中
こうして同社のシステム改善の第一歩、実績収集システムの構築は大成功に終わりました。今後はさらなる品質向上、顧客ニーズへの迅速な対応を目指し、.NET Framework をフルに活用して新たなシステム開発に着手することになります。
今回のシステム開発全般を担った JFEシステムズ株式会社の塩崎 氏は、次のように語ります。
「.NET Framework を用いたシステム構築により、精度の高い実績データをリアルタイムに収集して DB に蓄積。多様なデータの『見える化』を実現しました。これで JFE継手さんにおける生産管理の基盤システムの構築はできたと判断しています。私たちも従来の Java による開発に加えて、.NET Framework による開発ノウハウを得ることができましたので、今後は蓄積した開発ノウハウを活かし、作った部品をうまく再利用しながら、たとえば遠隔地の工場のデータもリアルタイムに収集できるようにするなど、同社の他のシステムにも適用していく予定です。また、JFE グループ内でも同様のニーズがありますので、グループ各社の生産現場にも .NET Framework による開発を水平展開していきたいと考えています」。
また、本件のプロジェクト リーダーである JFE継手の信貴 氏も数年先を見据え、以下のように抱負を語ります。
「2 〜 3 年以内には資材購買へのインターフェイスを整えて、より適正に発注できるシステムや、タイムリーに受注につなげるシステムを構築する予定です。こうした一連のシステム化によって、お客様から『対応が良くなった』という評価を受けられるよう、これからもいっそう努力していきたいと思います」。
.NET Framework の活用により、ユーザビリティが高くミッション クリティカルな実績収集システムの構築を実に短期かつスムーズに実現した JFE継手株式会社。エンタープライズ システムの開発環境として、その生産性の高さを証明した .NET Framework は、JFE グループの中で今後ますます活用されていくに違いありません。
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