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フル Windows® System における 64 bit データベース環境を導入。社内の業務システムを一本化して、生産、販売から経理データ処理、データ分析までを実現、情報共有と活用の促進を図る
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株式会社お菓子の香梅は、熊本県内を地盤に和洋菓子の製造、販売を手がけ、2007 年に創業 60 年を迎える老舗です。地元生まれの企業として現在は県内に 30 店舗を展開し、地元密着型の経営スタイルを確立する一方で、早くから経理業務に電子化を取り入れてきました。2004 年、システムの老朽化にともなうリプレース時期を迎えたのを機会に、全社的な業務システムの見直しと刷新を決断。社内の各部門から選抜されたメンバによる委員会を組織し、株式会社テクノアートのコンサルティングを受けながら、自社にふさわしいシステムの検討を重ねました。その結果、Windows をベースにした店舗・物流システム、POS システム、経理システムを 2006 年に稼働開始、社内情報を各部門で連携活用できる体制を実現しました。
<導入背景と狙い>
老朽化した経理システムの入れ替えを契機に全社的な業務情報システム構築を決意


株式会社お菓子の香梅
代表取締役社長
副島 隆 氏
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お菓子の香梅では、"くつろぎのごちそう" を企業理念としています。"ほっとする時間" を演出する甘い味わいを大切にする姿勢には、お菓子作り一筋に精魂を傾けてきた職人のポリシーが込められています。また、直営店の出店は熊本県内で展開するなど地域性にこだわった姿勢には、熊本を代表する地元企業としての強い自負が現れています。代表取締役社長の副島隆氏は、そうした企業理念について語ります。
「地元でのみ販売するのには理由があります。"ごちそうは旅をしない"、すなわちどこでも食べられるものは本当のごちそうではありません。その土地に行ってこそ出会えるおいしさという価値を、当社は大切にしていきたいのです。それというのも、ごちそうというのはお菓子の味だけを指すのではありません。仕事など何かを一所懸命に成し遂げた後の、ほっとくつろぐひとときそのものが "ごちそう" なのです。そうした考えから、最近では新設の店舗に "Do Art スペース" と名付けた催しの空間を設けて、地域で活動されている画家や音楽家の皆さんにお使いいただくといった試みも行っています」。
さらに 2006 年には、後継者不在に悩んでいた県外の和菓子メーカーを、屋号も従業員もそのまま継承して買収し、ブランドの保存や雇用の確保を行ったうえでの事業拡大を進め、地域に根ざした企業活動を展開しています。
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株式会社お菓子の香梅
常務取締役
財務本部 営業本部 製造本部
統括
副島 英史 氏
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同社ではこうした積極的な事業展開の一環として、IT システムの導入にも早くから取り組んできました。1980 年にはすでに経理システムにコンピュータを導入、その後 1985 年にはオフコンによる本格的なシステムが稼働を開始しています。近年では、経年によるシステム老朽化のため、2005 年のリース期間終了に合わせた新しいシステムの導入が課題となっていました。同社常務取締役であり、財務本部、営業本部、製造本部を統括する副島英史氏は、当時の状況を次のように振り返ります。
「まずはオフコンを入れ替えようということになったのですが、社長が熊本経済同友会を通じて知り合ったテクノアートの松脇社長と話をするうちに、全社的な業務システムの見直しを行うところまで発展していったのです。正直なところ、当初考えていたオフコンのリプレースだけでも大変なのを、全社規模で作り直しなどとは想像もしていなかったので、これは大変なことになったと思いました。しかしよく考えるうちに、これはちょうど良い機会ではないかと思うようになりました。というのも、今までのシステムは、いわば会社に与えられたものを社員がそのまま使っていただけです。しかし IT がビジネスの中核となるわれわれの世代では、自分たちが使いやすい形にシステムを見直し再構築することが、今後の事業発展に必須の条件だと思ったからなのです」。
<導入の経緯>
全社から集まった社員が「何をしたいのか ?」を徹底的にディスカッションして仕様を決定


株式会社お菓子の香梅
広報本部
本部長補佐
徳永 俊一 氏
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2004 年の 12 月、システム刷新プロジェクトが立ち上がります。
「その後、年末年始の繁忙期をはさんで、要求仕様ができあがったのが 2005 年の 3 月です。とはいうものの、スタートの時点では誰もこうしたシステム構築を経験した者が社内におらず、"システムを導入するとどうなるか ?" ということ自体がイメージできない状態でした。
そこでまず自分たちで "いったい何がしたいのか ?" というところから始めて、2 〜 3 か月を費やしました。実はテクノアートからは最初に具体的な提案をもらっていたのですが、こうした社内の意識教育的な部分から取り組んで行かなくてはならないと考えたので、あえてその案をお蔵入りにして、ゼロから社員自身の手によって作り上げるという回り道を選んだのです」と、同社広報本部 本部長補佐の徳永俊一氏は語ります。
こうした社員自身による改革の原動力となったのが、システム刷新のために組織された全社的な部門横断的組織の "新風会" でした。この "新風会" のコンサルタント兼まとめ役を任された、株式会社テクノアート代表取締役の松脇秀三郎氏は語ります。
「これは、いわば社内システム刷新のための "シャドウキャビネット=影の内閣" です。私は社長の一任をいただいて、プロジェクトの技術コンサルタントとして社長と社員側の仲介役を務めました。あえてこうした体制をとった背景には、経営者が現場に口を出すことなく若手社員主導のプロジェクトを実現するということ、また同時に技術的な部分はわれわれ専門家に一任するという社長の意向がありました」。
一方、業務側のリーダーを務めたのは副島常務です。
「まず各部門から 40 歳以下の次世代のリーダーを集めて、新システムには全員の協力が必要であることを説明しました。当社では部門相互に社内決済を行うといった経理システムを採用していることもあって各部門の独立性が強く、情報共有がなかなか進まない面もありました。そこで、"自分たちで作ったシステム" を通じてそうした風土を改革して、部門横断的な考え方の醸成や情報共有の実現を目指そうと考えたのです。また今までは何かプロジェクトがあっても、終了したらそこで解散でした。しかし情報システムはつねに改善、進化していくもので終わりがない。
この点でも継続的な社内のコミュニケーションを図る上で有効だと感じたのです」。
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株式会社テクノアート
代表取締役
松脇 秀三郎 氏
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メンバ一丸となってのディスカッションを何度も重ね、2005 年後半、システム構築の具体的作業に向けて動き出しました。それまでのミーティングで出された要求仕様をもとに、テクノアートがプロトタイプを画面ベースで作成し、業務フローを視覚的に検討するため "たたき台" を提供しました。こうして "見て、さわって" 検討を行うことにより、システムのプランニングはスムーズに進行したのです。新システムではすべてを Windows ベースに移行することも決定しました。ここで松脇氏は Windows System を提案した理由を語ります。
「九州地域にあって当社は、その時代ごとに最新のテクノロジを他社に先駆けて取り入れてきました。2003 年までは Java をメインに手がけてきましたが、その後 PDA 開発のプロジェクトを始めるにあたって Microsoft® .NET Framework を採用して、そのすばらしさに開眼しました。特に開発効率の高さと、それがもたらすコストと時間の効率化が Java の比ではありません。そうした意味では、開発する側にもユーザー側にも大きなコストメリットをもたらすテクノロジだといえるでしょう。今では Java を捨てて、全社 .NET Framework 1 本に絞っています。そこで今回の案件でも迷うことなく Microsoft® Windows Server® 2003 と Microsoft® SQL Server 2005 の組み合わせを提案したのです」。
システム導入は、ネットワークまで一貫してテクノアートが担当し、内線電話をすべて IP 化するなど細部まで最新のアーキテクチャで刷新されました。
<システムの概要>
フル Windows System における 64 bit 化を実現。さらにフル .NET Framework 環境で大幅に開発効率をアップ
今回のシステム刷新の注目ポイントは、大きく分けて 2 つあります。まず 1 つは "フル Windows System の採用" です。合わせて 64 bit 化することで、スムーズなデータ連携と大幅な処理能力の向上を同時に実現しているのが特色。中でも大きなメリットは、社内の各部門のスムーズなデータ連携が実現した点です。
「店舗、物流から POS 、そして経理までデータ管理が一元化され、業務のフローそのものが簡素化されたこと。加えてそのデータをリアルタイムで取得し、レポーティング機能によって必要に応じて参照できるようになった結果、購買単位のデータを業務に活用するという流れが一気通貫でできあがりました。これは、将来に向けた当社の業務データ活用に糸口を付けたといえるでしょう」と、副島常務は語ります。
Windows POS システムの導入も、データ連携による業務の効率化に大きく貢献しています。リアルタイムで得られた販売データは即座に SQL Server 2005 データベースに反映され、経理システムや分析システム、店舗システム、物流システムといった各業務システムで参照することができます。こうしたシームレスなデータ活用は、やはりフル Windows System 構成ならではといえます。
「データ連携がもたらしたメリットは、店側の便宜だけではありません。たとえば本店にご注文をいただいた品物を、お客様のもよりの店舗で受け取っていただけるといった、お客様の利便性も改善されています」と広報本部の田上智宏氏は、顧客メリットの向上を強調します。今までこうしたケースでは本支店間で電話での申し送りをしていたのが、注文情報や入金情報などもオンラインで連携しているため、注文の処理状況をシステムに入力しておけばどの店舗からも確認可能であり、お客様が買い物をしやすい環境が実現しているのです。
「もちろんこうしたお客様の個人情報は、専用のセキュリティ ツールを使ってローカルにデータを置かないしくみを構築しているため、顧客データが端末から流出する心配もありません。今後は Active Directory® の導入も視野に入れながら、一層のセキュリティ強化を進めていきたいと思っています」と、田上氏は語ります。
システムのもう 1 つの注目ポイントとしては、".NET Framework の採用による開発の効率アップ" が挙げられます。
「フル Windows System 化に合わせて開発もフル .NET 環境下で行った結果、開発にかかる時間は従来の約 3 分の 1 に削減されました。レポーティング機能の構築などでは、SQL Server 2005 の Reporting Services を活用することで 最大 10 分の 1 に開発時間が短縮できたのではないでしょうか。また .NET Framework はオブジェクト指向ですから、部品化して開発できるしフレームワークの蓄積もできるし、飛躍的な開発の効率化が実現しました。また POS システムの OS には Microsoft® Windows® XP Embedded を採用したのですが、SQL Server 2005 の Integration Services を活用したおかげで、従来は 1 週間かかった本部オンライン機能の開発を数時間で終えることができました」と、松脇氏は語ります。
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株式会社お菓子の香梅
財務本部
経理グループ長
宮本 順子 氏
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.NET Framework を利用して、レガシ システムの一部を温存したまま新システムへ取り込む試みも行われました。財務本部 経理グループ長の宮本順子氏は、「当社では 1985 年のコンピュータ本格導入時に、制度会計と管理会計の両方を経理部門で担当することにして、これを COBOL のシステムで運用してきました。一般の経理業務の他に、仕入れ管理や出荷実績といった原価管理に関する部分までをカバーすることになり、この結果かなり高度で複雑な経理処理システムになっていたのです。今回のシステム刷新でこれを移行するために既存の会計パッケージもかなり検討したのですが、どうしても管理会計の部分までカバーしきれないことがわかりました。そこで、この COBOL の部分を .NET COBOL アプリケーションとして活かしたまま、新しいシステムの中に継承するようにしたのです」と語ります。
.NET Framework という大きな枠組みに新旧のシステム資産を包括することで、同社独自の会計処理フローを活かしながら、最新の Windows アーキテクチャを活用した処理スピードの向上が実現しました。この結果、経理システムにおいては従来紙の伝票ベースで行われていた処理が、オンラインで迅速に行われるようになりました。
「処理速度に加えて、紙の文書量も大きく減りました。伝票量だけ見ても半減したのではないでしょうか」と、宮本氏はシステム連携の効果のほどを語ります。
<今後の展望>
"生産管理" から "管理生産" のフェイズに向けて、データ活用でさらなる業務改革を目指す
2006 年 7 月の稼働開始以来、早くも社内からは「新システムで仕事が変わった」という反響が聞かれています。店舗や経理などの現場の他に、意外なところではお菓子作りの現場でのデータベースの活用効果もあります。製造直売部門でシステムを担当する白山本店 草野篤氏は語ります。
「レシピ エディタというツールがあって、お菓子の製造レシピをここに登録することでデータベース化を進めています。従来の職人の世界では、手書きでフォーマットもバラバラだったレシピをデータ化して蓄積することで、その情報を互いに共有したり、後進の職人に伝達できるようになると期待しています。またこのツールはお菓子の作り方だけでなく、必要な原材料を生産数に合わせて自動計算して原材料見積を出力する機能も備えています。これによって精度の高い生産量調整や出荷管理が実現しました」。
生産日報も紙ベースからデータによる管理に移行したことで、現場から報告された情報が全社で共有可能となりました。また新商品発売時のマスタ データ配布も、従来のようなタイムラグがなくなり、発売と同時にマスタが現場に行き渡るようになったことで、業務の遂行速度は以前と比較して格段に速くなりました。
こうした新システムがもたらした変革を追い風に、同社では早くも次のステップに向け動き出そうとしています。
「今回のシステム刷新で、ある程度まで部門横断的に各ポイントをつなぐことはできましたが、そのままシステム化できるのは業務の一部分に過ぎません。今後は工場の生産過程を詳細なデータで収集して、整合性のとれた形で社内に提供していけるようになるのが次のステップだと考えています。そこまでできれば、今度は店舗と工場が一体になって効率的に動けるようになるからです。"生産管理" から "管理生産" へ進むためにも、内部の組織づくりにますます努力していく必要があると考えています」(徳永氏)。
また副島常務は「県内 30 の店舗と工場があって 1 つの会社なのに、本社とのタイムラグや温度差があることを長年にわたって感じてきました。それが新システムによって明らかに意志疎通が良くなってきている。それだけに、単なる情報交換ツールに終わらせたくないと思っているのです」と今後への期待を語ります。
社内のデータ管理システム構築から、さらにデータを活かした業務の質的向上に向けて動き出したお菓子の香梅。熊本の地で 60 年間にわたって築いてきた伝統と評判を、Windows プラットフォームをベースにした新しい IT ツールによってますます確かなものにしていくことは間違いありません。


「誉の陣太鼓」「武者がえし」を はじめとする熊本の銘菓
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白山本店(白山本社ビル 1 階)
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白山本店の工房で作る洋菓子
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