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GPS を使った運転士支援システム「 GPS Train NAVI 」を Windows CE で実現。
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総延長距離 582.3 km。保有客車 1,976 両。1 日平均列車運行本数 5,500本の輸送力( 2007 年 3 月 31 日現在)で、近畿・東海の主要都市と観光地 333 駅をネットワークする近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄)。1 日平均 168 万人の通勤・通学・観光の足となり、街と人を結ぶ動脈として、快適性はもちろん列車ダイヤの充実に取り組み、列車運行をはじめ運転保安度の改善といった旅客輸送業の基本といえる安全性の向上を追求しています。なかでも、複雑な列車編成や路線設定における万が一の人的ミスの防止に注目。運転士の“うっかり”を抑止するために、 Windows CE 5.0 による GPS 搭載の GPS Train NAVI を導入。運行ダイヤを守ると共に、快適な移動を保証するための運転士支援システムとして活用しています。また、この GPS Train NAVI をベースに顧客サービスの拡充を図るなど、将来の展開も視野に入れています。導入背景とねらい顧客満足度と時間コストに直結する“うっかり”ミスを仰止するために、 Windows CE 5.0 による GPS 搭載の GPS Train NAVI を導入。運行ダイヤを守ると共に、快適な移動を保障するための運転士支援システムとして活用しています。また、この GPS Train NAVI をベースに顧客サービスの拡充を図るなど、将来の展開も視野に入れています。
<導入背景と狙い>
顧客満足度と時間コストに直結する“うっかり”ミス

近鉄車両エンジニアリング株式会社
取締役
企画開発事業部長
番匠谷 隆氏
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列車の安全運行に欠かせないシステムとして ATS など列車そのものの動きを制御するセーフティシステムが浮かびます。しかし、列車運行の現場を担うのは運転士にほかなりません。運転士による人為的ミスの防止こそが、安全輸送の原点であるといえるのです。例えば、鉄道輸送全般においてもっとも多い“うっかり”ミスが停止線の位置修正。これが全体の半数にのぼるというデータもあります。こうした制動操作ミスのみならず、行き先の記憶違いや「急行列車か普通列車か」といった種別誤認など、人的ミスの可能性が多くあるのです。
近鉄車両エンジニアリング株式会社(以下、近鉄車両エンジニアリング)の取締役 企画開発事業部長 番匠谷 隆氏は、「 ATS 作動などの特例を除き、運転士の操作に対して列車側から運転に必要な指示が出るわけではありません。しかも、運転士は単一の路線だけを担当するのではなく、近鉄がカバーする複数の路線と列車編成などの情報を記憶し、運行ダイヤに沿った運転をしなくてはならないのです」と、運転士に掛かる負担について説明します。
この負担を軽減し、“うっかり”ミスをなくすため、運転士支援システム、 GPS Train NAVI が企画されたとして、番匠谷氏は話を続けます。「運転士のために、列車を改造して運行システムのようなものを搭載してしまうことも考えられますが、車両形式が多様であるために、改造コストは膨大なものとなってしまいます。そこで、車両改造をせずに運転士をサポートできるシステムを開発する方が現実的だと判断しました。それが、運転士自身が持ち運び、担当する列車に持ち込む PDA 大のモバイル情報端末、 GPS Train NAVI の開発だったのです」。
GPS Train NAVI は、 2004 年秋より企画を開始。 PDA ベースの実験機を用いた基礎実験を行ないシーズを蓄積。このシーズを活かして 2006 年春に開発を開始。OS に Microsoft Windows CE 5.0 の採用を決定した 10 月から 2 か月で製品化。 2008 年 3 月からの全線導入を目指し、 2007 年 12 月から試験運用が開始されています。
<システムの概要とソリューション>
運行ダイヤデータと GPS の連動によって、警告を発信
GPS Train NAVI の使用法は、いたってシンプル。運転士は、毎朝列車区で自分用の端末を受け取り、運転席に据え付けられたアームに、セッティングするだけで自動的に稼働します。「運転士が操作をする必要なく運用できること、確実に動き続けることを念頭に開発しました。安全運行のためのシステムですから、運転士に必要以上の操作負荷がかかったのでは意味がありません。シンプルであることが大切なのです」と番匠谷氏は言います。
さらに、近鉄車両エンジニアリング 車両事業部 企画開発部 技術営業課 テクニカルマネージャー 尾崎 尚氏は、 GPS Train NAVI の要件を「列車種別や編成を把握すること。列車速度の監視ができること。そして、列車位置を捕捉し、それらの情報を運転士に知らせること」とした上で、その運用について次のように説明します。 「運転士が担当する列車種別や編成は、運行ダイヤ データから取り込む必要があります。これは SD カードに個別の路線と運行データを取り込み、その SD カードを端末機に差込むことで自動読み込みができるようにしました。また、列車の位置捕捉については GPS と加速度センサーを連動することで正確に割り出すことができます。トンネルなどの GPS 障害地点では、地上からの無線通信により、位置情報が途切れることはありません。また、速度超過のおそれがある場合など、音と光によって運転士に知らせるようにしています」。

近鉄車両エンジニアリング
車両事業部
企画開発部
技術営業課
テクニカルマネージャー尾崎 尚氏
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<開発の経過とソリューション>
短期間での開発性と安定した稼動性、導入コストが、Windows CE 5.0 導入の決め手
GPS Train NAVI に搭載する OS として、 Windows CE 5.0 を採用したことについて、Windows CE 5.0 に実績を持ち、PDA やカーナビゲーションシステムにノウハウがある株式会社ソフィアシステムズと協議して決定したと尾崎氏は話します。 「じつは Linux と Windows CE 5.0 を比較しました。考慮したのは、信頼性と開発の生産性です。 Linux は自分たちで検証環境を構成しなくてはなりません。2 か月という短期での開発が求められていましたので、ドライバが豊富に用意されていることも Windows CE 5.0 を選択の大きな理由です。また、コストの面から考えても、Windows CE 5.0 はライセンス 1 本から購入できるので少量多品種開発にも向いていました」(尾崎氏)。
システム開発を担った株式会社ソフィアシステムズの樫平 扶氏は、Windows CE 5.0 にマッチングさせる CPU の選定について説明します。 「 CPU として採用したのは、携帯機器用に開発された Marvell PXA270 。 Windows CE 5.0 との相性も実証されており、また、リチウム イオン電池による省電力環境が構成できることが大きい。連続稼動時間に関して CPU フル稼動状態で 10 時間以上、通常運用状態で 24 時間以上という開発条件もクリアしています」。 また、株式会社ソフィアシステムズの秋谷 弘氏は、端末のサイズと発熱の問題について触れています。 「運転台という限られた空間に設置するため極力小型化しなくてはなりません。最小限サイズの中に、Windows CE 5.0 用の基板を 1 枚、 GPS 用のメイン基板とサブ基板を各 1 枚、 Marvell PXA270 用の基板 1 枚、そして、電池スペースを納めることになります。そうなるとどうしてもノイズや熱への対策が浮かび上がってきます。まずノイズに関しては、もっとも障害となる GPS の 1.75MHz が CPU 周波数との共振ノイズを拾わないようにするため、 CPU 周波数をフィルタによって変更することで解決。熱に関してはボディ構造はもちろん、 GPS CPU をフルパワーで稼動させないことで抑えました」。
><GPS Train NAVI の効果と今後の展望>
運転士支援のための情報を顧客サービスへ

株式会社ソフィアシステムズ
カスタムソリューション
開発 1 部
秋谷 弘氏
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文字通り、運転士支援システムとして、列車の現在位置を捉え、列車種別と編成に沿ったインフォメーションを送る GPS Train NAVI 。近鉄と近鉄車両エンジニアリングは、この情報力を顧客サービスへ展開することも検討していると番匠谷氏は言います。
「 Window CE 5.0 と PXA 270 のコンビネーションによる無線携帯端末機は、双方向コミュニケーションにも適しています。また、 GPS との対応もできています。まずは運転士のための運行支援システムとして運用しますが、さらに、この機能を活かして、ダイヤ乱れ時の復旧支援やお客さまへの『ロケーションシステム』としての展開を視野に入れています。また、安全性と快適性を追求する全国の鉄道輸送企業にも提供したいと考えています」。
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