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県立学校における文書管理システムを、セキュアで使いやすい Web ベースのしくみに統一し、個人情報や機密情報の保持を徹底
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熊本県教育委員会では、平成 19 年に公募された文部科学省の先導的教育情報化推進プログラムに、セキュリティの確保や教職員の校務負担を軽減することを目的として、県立学校の全教職員に 1 人 1 台の PC を配布するプロジェクト案を提出。この案が採択されたことをベースに、県立学校の文書管理システムを、セキュリティに配慮した Web ベースのシステムとして開発し、県内のすべての県立学校に導入することを検討。従来、県の規程は存在しながらも実際の運用は各教職員に委ねられていた文書管理の安全性が、今回の新システムの導入により高められることになります。
<導入の背景とねらい> 県立学校教職員の PC を「私物」から支給された「公共物」へと変更し、セキュリティと利便性を向上

熊本県教育庁
教育政策課 課長
松永 正男 氏
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熊本県教育委員会では、県立学校に勤務する全教職員に対し、セキュリティの徹底を図るとともに、その校務における負担を軽減することを目的として、1 人 1 台の公用 PC を配布することを決定。併せて、3 つのシステムを Web ベースで構築し、すべての県立学校に導入することになりました。
熊本県教育庁 教育政策課 課長 松永正男氏は、この取り組みについて、次のように説明します。
「そもそもは、情報漏洩などを防ぐためには、教職員に対して 1 人 1 台の公用 PC を配布するべきだという話からスタートしています。実情として、県立学校の教職員が使用する PC の 6 割以上は、教職員自身の私物であるという状況がありました。これは、割合はそれぞれに異なるとしても、全国共通の課題です。当然、教職員が自宅に持ち帰って PC を使用することになります。しかし、これはセキュリティ上望ましいことではありませんし、教職員にとっても、不本意な状況であったかと存じます。校務を行うために私物を利用せざるを得ず、さらには、セキュリティ上のリスクまで負ってしまうことになるのですから。
こういった問題を解決するために平成 18 年から協議を続けてきましたが、財政上の問題があり、なかなか難しい状況でした。しかし、平成 19 年に文部科学省の先導的教育情報化推進プログラムの公募があり、問題解決のきっかけになればと、これに手を挙げたわけです」。
そして、熊本県教育委員会が提出した、教職員の負担軽減のためのプランは文部科学省に採択され、課題解決への道筋が立ちました。
「少ない財源の中にあって、このプロジェクト自体が決して消えることがなかったのは、これが校務の省力化と適正化に欠かせない一歩であるからだ」と松永氏は続けます。

熊本県教育庁
教育政策課
広報・情報班
指導主事
教育 CIO 補佐官
柿下 耕一 氏
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こうして、熊本県教育委員会が平成 18 年から協議してきたプロジェクトが、平成 21 年度からいよいよ、全校展開に向けて始動。1 人 1 台の公用 PC の配布に先立ち、3 つの校務用システムの構築が開始されました。
熊本県教育庁 教育政策課 広報・情報班 指導主事 教育 CIO 補佐官 柿下耕一氏は、次のように説明します。
「今回構築しているシステムは、3 つです。1 つ目は、教職員の年休や出張などの服務管理を電子申請・決裁するための『グループウェア』。2 つ目が、成績処理を中心に、通知表や調査書、指導要録を完全電子化する『教務支援システム』。この『教務支援システム』についても文部科学省と協議をして、熊本県が先行したモデル事例として、初めて指導要録の完全電子化に取り組むということで、今進めています」。
そして、3 つ目が、Microsoft Office SharePoint Server 2007 と Microsoft Windows Rights Management Services (RMS) を利用した、「セキュア文書管理システム」です。
「導入後は、これら 3 つのシステム内で重要な情報を扱うことになります。基本的にはローカルへのダウンロードができませんので、データを自宅に持ち帰るという行為自体もなくなっていきます。成績に関する部分は、『教務支援システム』でセキュリティを高めていますが、それ以外の個人情報を含む文書をどうやって守るか? そう考えて検討を開始したのが、この『セキュア文書管理システム』なのです」(柿下氏)。
<導入の経緯> 簡便かつ詳細なセキュリティを実現
「セキュア文書管理システム」構築に際しては、さまざまなシステムを比較検討したと、柿下氏は説明します。
「選定に際しては、いろいろなしくみを検討しました。たとえば、モデル校への導入だけに限って考えれば、一番簡単で安く構築できるのは、複写機メーカーが提供しているような、複合機に付随している文書管理システムです。小規模な導入であれば、費用は数百万で済みます。しかし、それが 77 校の県立学校すべてという大規模な導入となると、高額なライセンス料が発生することが分かりました。『そういうことであれば、新規にシステムを作ろう』という話になり、開発を進めることになったのが、この『セキュア文書管理システム』です」。
システムを構築するにあたって、熊本県教育委員会が掲げていたコンセプトが「Web ベースで構築する」ということでした。これは、各学校に設置された PC の環境に依存せずに運用できることを前提としたためです。「Web ベース」という条件を前提に Linux を利用したソリューションなども含め比較検討した結果、選ばれたのが、マイクロソフトの SharePoint Server と RMS でした。柿下氏は、その理由を次のように説明します。
「実は『グループウェア』と『教務支援システム』は Linux で稼働しています。しかし『セキュア文書管理システム』を検討するうえで、簡便かつセキュアに学校内のさまざまな文書を管理するための機能要件を整理していくと、Linux を利用したソリューションでは実現が難しい部分がありました。そこで今回はマイクロソフトの Windows Server を OS とし、SharePoint Server と RMS を利用して構築することにしました。選定の大きなポイントとしては、RMS を用いて実現できる暗号化に相当する部分です。Linux を利用したソリューションでは、このような機能を実現させることが難しかったのです」。

株式会社テクノアート
Integration部
兼 管理部
ゼネラルマネージャー
下田 政洋 氏
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学校内で作られる文書の種類は多種多様であり、またその中には個人情報を含むものも多く存在します。教職員の日々の業務の中で、システムを利用することが校務を妨げる負担にならず、セキュリティの遵守が心理的な負担にならないようにしながらも、「暗号化」や「印刷、二次配布の禁止」など適切かつ十分なセキュリティ対策を実現することが重要なポイントでした。
「『グループウェア』も『教務支援システム』もそうですが、やはり文書管理にしても、職種や個人ごとに権限設定ができるようなシステムにする必要がありました。学校の中には、人には見られてはいけない情報が数多くありますから。その管理をきちんとやるためには、どうしても細かいセキュリティがらみの設定が必要になってきます。ファイルの暗号化などが手軽にできて、詳細な権限設定が行えるものが、RMS だったということです。USB メモリにデータをコピーして持ち出すことがあっても、データを開くことはできません。そのような安全性の高さが一番のポイントです」。
<構築のポイントと導入効果> ユーザーに特別なことを意識させない安全・安心な環境を低コストで実現

株式会社テクノアート
Solution部
熊本セールスオフィス
マネージャー
佐藤 洋治 氏
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「セキュア文書管理システム」が導入されることで、学校内の文書管理サイクルは、ほぼ自動化されると柿下氏は言います。
「学校の文書管理規程として、『熊本県教育庁文書規程』というものを定めています。この中に文書の保存期限などが細かく定められています。従来は、この規程の運用が学校任せ、個人任せとなってしまっていた側面があります。しかし、新システムでは、そうした管理が容易になるように、『とにかく簡単に使えるものを』と、システムの構築を依頼したテクノアートさんにはお願いをしました」。
構築を担当した株式会社テクノアート (以下、テクノアート) Integration部 向井健二氏は、次のように説明します。
「操作性を向上させるために、どなたでもわかるようなユーザーとグループの管理をするインターフェイスと、アクセス権の管理、そして RMS の管理を行う部分の Web パーツを作り込みました。.NET Framework 3.5 ベースの開発ができる Visual Studio 2008 を利用しましたが、旧バージョンに比べ、開発効率が上がっており、とても作りやすかったですね。
もう 1 つのポイントは、文書保管期限の設定です。文書の作成日に対して計算式を設定し、保管期限を持ったテンプレートを作りました。そして保管期間を 3 年にするのか、5 年にするのか、各学校の管理者の方に決めていただいて、ドキュメント ライブラリを作成できるようになっています」。
こうした作り込みを行うために、学校内にどのような情報資産が、どれだけ存在しているかを洗い出す作業を行ったと柿下氏は説明します。
「たとえば、成績処理、生徒指導、進路相談など、校務を全部リストアップして、それぞれの中にどういう個人情報が含まれるのか、などを調べました。次に、具体的に、その文書については学校でどれくらい保存期限が設定されているのか、ということを整理して、システムに反映させる要件を、ずっと検討していきました。学校の中には保管ルールを守らなければならない文書がたくさんあるのです」。
膨大な量かつ多様な重要書類を、効率よく管理するシステムであること。そのためには、現場で使い続けられることが第一条件となります。だからこそ、「特別なシステムを作ることはしたくなかった」と柿下氏は続けます。
「『セキュア文書管理システム』は、ユーザーである教職員の方々から見ると、Microsoft Office で作成したファイルは、何もしなくても暗号化されたうえで保存されているように見えるわけです。使い慣れたツールで、ごく普通に作業をしているだけであって、セキュリティを高めるために特別なことをするわけではありません。
そして、システムを統一することで、わからないことがあったら隣の人に聞く、というごく当たり前のことができる環境にするということです。今までは、皆さんの PC 環境が不揃いだったために、隣の人に聞いてもわからないのが実情でした」。

株式会社テクノアート
Integration部
竹元 秀樹 氏
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こうして、重要な文書を、労せずして安全に管理できるシステムが完成。77 校の県立学校すべてに導入するコストも、他社のシステムと比較して、かなり抑えられていると言います。
「たとえば、複合機を利用したソリューションを全校へ展開したときのことを考えると、ユーザー ライセンスを別途支払うことになります。仮に 1 ライセンス 1,000 円としても、教職員が 4,600 人いますから約 460 万円になります。しかし熊本県内の公立学校では、マイクロソフトの School Agreement (School Desktop) を締結する予定がありましたので、今回導入したシステムに関しては、SharePoint Server 2007 のサーバー ライセンスと RMS CAL を買い足すだけで済みます。全体のコストとしては、かなりの差が出ていると思います」(柿下氏)。
そして、このシステムが長期にわたって利用されることを想定して、「最新の製品を提案させていただいた」とテクノアート Integration部 竹元秀樹氏は言います。
「当初 Windows Server 2003 で開発するというお話があったのですが、今後長く使われるインフラであるということを考慮して、最新の Windows Server 2008 と SQL Server 2008 の 64 ビット版を採用していただきました。パフォーマンスと機能の充実などを考えると、この辺が、今回のポイントとなっているかと思います」。
また、SharePoint Server 2007 について、同社 Solution部 熊本セールスオフィス マネージャー 佐藤洋治氏は次のように話します。
「『セキュア文書管理システム』では SharePoint Server 2007 の文書管理の機能を活用していただきましたが、SharePoint Server 自体は、情報共有のプラットホームとして非常に大きな可能性をもったソリューションであると思っております。既存システムとの連携性の高さやカスタマイズの幅の広さもありますし、セキュリティを維持したまま生産性を上げることができるツールですので、文書管理に限らず、いろんな用途での利用を模索していきたいと思います」。
こうしたテクノアートの一連の取り組みについて、Integration部 兼 管理部 ゼネラルマネージャーである下田政洋氏は次のように話します。
「当社は九州地域にあって、その時代ごとに最新のテクノロジーを、他社に先駆けて取り入れて来ました。また、一昨年はマイクロソフトのパートナーアワードを受賞させていただくなど、マイクロソフトさんとの協業を深めてまいりました。この度ご依頼いただきました『セキュア文書管理システム』で使用している SharePoint Server 2007 に関しても、リリース直後の 2 年前から取り組んでおり、多くのノウハウを蓄積していたため、熊本県教育委員会様の『とにかく簡単に使えるものを』とのご要望に対しても、今までの経験から知恵を絞り出し、よい形で対応することができたと思います」。
<今後の展望> ユーザーの声を反映してシステムの絶え間ない改善を

株式会社テクノアート
Integration部
向井 健二 氏
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「セキュア文書管理システム」は、熊本県全ての県立学校に、初めて全面導入される統一の文書管理システムです。導入されたからと言って、そこがゴールではありません。
「今後は、ユーザーである教職員の方々の声を取り入れて、システムを成長させていく必要があると考えています」と柿下氏。
まずは、平成 21 年度にモデル校での運用を開始するところからすべてが始まります。
熊本県下の 77 校すべてに向けた本格導入を前に、心強いことに、ネットワークの強化も行われると、松永氏は言います。
「県と各学校が光ファイバーの専用線で繋がれていますが、現時点で回線スピードに関する不満はあがっていません。さらに今年 (2009 年) には、県内のネットワークすべてがリニューアルされる予定です。Web サービスとして提供する 3 つのシステムにとって、これも良い話だと思います。
「また、平成 21 年度国の補正予算の対象となった『スクール・ニューディール構想』による『学校 ICT 環境整備事業』に申請することで、教職員用 PC 3,900 台に加え、生徒用 PC 4,000 台も配布できる可能性が出てきました」(松永氏)。
熊本県立学校の、教職員の負担軽減プロジェクトは、今後、より一層の成果をあげていくことでしょう。
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