ロンドン証券取引所 (London Stock Exchange)

掲載日: 2003 年 4 月 24 日
Microsoft® Windows Server™ 2003 と
Microsoft Visual Studio® .NET 2003 による
株式市場情報の即時配信

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ソリューション概要

顧客プロファイル
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ロンドン証券取引所は、年間の取引総額が約 6 兆米ドルに達するヨーロッパ最大の証券市場です。

ビジネスのシチュエーション
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ロンドン証券取引所は収益の増大と情報商品の種類の拡大を目指し、その達成のために、データへの価値の付加と 1 秒未満の時間枠での配信を可能にするシステムを必要としていました。

ソリューション
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ロンドン証券取引所は Accenture と協同で、Microsoft Windows Server 2003 上で動作する回復性に優れたリアルタイム コンポーネントを開発しました。開発には Microsoft Visual Studio .NET 2003 および Microsoft .NET Framework が使用されました。

メリット
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戦略的な新しい収益ストリームをスケジュールどおりの期間と予算内のコストで実現
300 ミリ秒の応答時間で毎秒 3,000 件超のトランザクションを処理
開発期間が他のプラットフォームに比べて半減
データ欠損のないホット フェールオーバーによって保証された回復性と信頼性
低コストのハードウェアを使用して迅速かつ容易に拡張可能

ソフトウェアとサービス
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Microsoft Windows Server 2003 Enterprise Edition
Microsoft SQL Server™ 2000
Microsoft Visual Studio .NET 2003
Microsoft .NET Framework
Microsoft Visual C#® .NET
Microsoft ASP.NET

ハードウェア
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Intel ベースのデュアル プロセッサ サーバーおよび 8 プロセッサ サーバーで構成された複数の 2 ウェイおよび 4 ウェイ クラスタ

パートナー
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Accenture

業種
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金融サービス

国 地域
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英国

対象
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開発者
IT Professional
ナレッジ ワーカー
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株式市場情報は、時間経過による価値低下の速度が極めて速く、あらゆる製品の中でも最短と言えるほど、その有効期間が短いものといえます。市場のプロフェッショナルにとっては、数十億ドルにもおよぶ取引を扱うための情報が毎日必要になり、情報配信のスピードが決定的な重要性を持ちます。ロンドン証券取引所が、付加価値のある最新の株価および取引データを提供することで、情報提供料の売り上げを大幅に伸ばす構想を打ち出した際には、必要な処理能力として、平均 300 ミリ秒未満の応答時間で、毎秒 500 件のメッセージ処理が可能なもの、という要件が定められました。この処理能力を備えたシステムを実現するため、ロンドン証券取引所は、Accenture の協力を得て、Microsoft Windows Server 2003 を採用し、Microsoft Visual Studio .NET 2003 統合開発環境 ( IDE ) を使用してシステムを構築しました。


<シチュエーション>

ロンドン証券取引所 (以下、取引所) は 220 年前に設立され、現在、上場企業の株式時価総額においてヨーロッパ最大の株式取引所です。また、世界で最も国際的な取引所でもあり、60 を超える国々から 450 以上の企業が上場しています。流動性の高さでは他に並ぶもののない市場と評価されており、金融テクノロジの先駆的な導入でも知られています。

取引所の経営は、取引の場を提供することと、世界中の市場データ利用者約 10 万台の端末に、情報を供給することで成り立っています。取引所は、テクノロジでの連携とパートナーシップを通じて資本市場のグローバル化を促進し、それによって株主のために価値を創造することを目指しています。この戦略を実施する主目的は、商品の範囲をより広く厚いものにすることによって、取引所が提供するサービスを拡張することにあります。

取引所は信頼性の点では見事な実績を誇っており、その取引システムは、少なくとも世界各地の主要な株式取引所の、どのシステムにも劣らない回復力を備えています。取引所は、市場システムや消費者に向けた、株価と付加価値情報のリアルタイム配信を新たに実現するため、グローバルな経営およびテクノロジ コンサルティング会社で、超一流のテクロノジ プロバイダでもある企業と提携を結ぶことを決定しました。取引所は 2001 年 7 月から株式公開会社として上場しており、取引や株価のデータに企業ニュースや履歴データを加えた配信などの情報サービスは、大きな収益の柱となっています。

情報サービスの多くは、London Market Information Link (LMIL) TM を介してリアルタイムで配信されており、LMIL は世界中の 10 万台の端末から、直接または間接的にアクセスされています。また、このリアルタイム サービスを補完するものとして、取引所のデータ ウェアハウスからも追加情報が供給され 15 分前のデータが Web サイトで公開されます。

テクノロジは取引所の業務の中核にあり、資本投資の大半を占めています。世界中で時間差なく利用可能な市場情報の一層の充実によって、グローバルな資本市場形成を促進するという取引所の戦略において、新しいシステムおよび提携関係は、中心的な役割を担います。また、質の高い既存の情報リソースにさらに価値を付加する方法を中心に、2008 年までに情報サービスによる収入の大幅増を図る上でも、テクノロジが鍵となります。

ロンドン証券取引所の David Lester 最高情報責任者 ( CIO ) は、「市場のプロフェッショナルが効率的に取引を行うには、出来高加重平均価格や累積売買高、および現在の買い/売り気配値など、幅広いリアルタイム情報が必要です」と話します。「ソースデータは取引所自体の取引システム上に格納されているため、ほとんど遅延のない配信を維持したままで、この極めて重要な付加価値情報を生成できます。利用者が自分で計算するよりも速く情報を配信できれば、市場全体にとってプラスとなるでしょう」。

取引所の経営陣は、市場の利得と取引所の事業目標を達成するには、300 ミリ秒未満の応答時間で、毎秒 500 件を超えるメッセージの処理が安定的に可能なシステムが必須であることを認識していました。さらに、配信にはほぼ 100 パーセントの信頼性が要求されました。

プロジェクトの概要
アプリケーション開発者の人数
最大 45 人
パフォーマンスの基準
10 か月
データベースのトランザクション件数
毎秒 500 件
メッセージの件数
毎秒 3,000 件
アプリケーションの開発期間
メッセージごとの応答時間が 300 ミリ秒

ロンドン証券取引所の情報技術(IT)部門は、何よりも重要なスピードと回復性を備えたシステムを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、および通信の接続性を確保する責務を負いました。必須の配信ネットワークは既に設置されていましたが、パフォーマンスとコストの目標を達成するには、新しいソフトウェアとハードウェアが必要でした。

さらに、新しいシステムは高い拡張性を備え、迅速な市場展開が可能で、従来の中核システムよりも大幅にコストを低減できる必要がありました。取引所は、このような目標をすべて実現するために、グローバルな経営およびテクノロジ コンサルティング会社で超一流のテクノロジ プロバイダでもある企業の協力を求めることにしました。


<ソリューション>

ロンドン証券取引所は、テクノロジ パートナーの Accenture と協同で、新しい付加価値情報システムのためのアプリケーション開発統合プラットフォームの選定を行いました。その結果、オペレーティング システムとして Windows Server 2003 Enterprise Edition が採用され、併せて Microsoft .NET Framework 接続ソフトウェア、および Visual Studio .NET 2003 開発システムの導入も決定されました。データベース コンポーネントには Microsoft SQL Server 2000 が選ばれました。

また、コーディングの生産性を向上させるため、主要なプログラミング言語としてC#が採用されました。回復性を高めるため、新システムの開発、展開用のハードウェア プラットフォームには、Intel ベースのマルチ プロセッサ コンピュータのクラスタを基盤とするシステムが選ばれました。

取引所のテクノロジ部門の責任者である Ian Homan 氏は「システムが生成する情報は取引を行う上で不可欠であるため、ユーザーの要求を常に満たすサービスを保証できるスピードと回復性が、十分に実現可能なソフトウェア、ハードウェアの組み合わせが必要でした」と述べています。「マルチ プロセッサによる並行処理とクラスタ化によって、高速な情報配信と拡張性が実現されただけでなく、最も重要な回復性の要求も満たすことができました」。

現在、アプリケーションは、デュアル プロセッサ サーバーを使用した 4 ノードの 2 つのクラスタ上で実行されています。このクラスタ システムは Itanium2 64 ビット CPU を使用した 2 ノード構成の SQL Server 、および Active Directory® ベースの多様なサーバーに支えられています。また、この構成の連携には、Windows Server 2003 に含まれている Microsoft Cluster Service が使用されています。

システムのシームレスな管理と運用を可能にする、Web ベースのアプリケーションも開発されました。このアプリケーションでは、サーバーへのアクセスを制御するためにMicrosoft ASP. NET が使用されており、ASP .NET Authorization Services によって、ユーザーの役割に応じたアクセス制限が適用されます。

* 図1
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図 1 :アーキテクチャの概要
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入力のメッセージ ストリームは独自のデータ形式を持ち、取引システムなど取引所のさまざまなソースから、トランスミッション コントロール プロトコル / インターネット プロトコル ( TCP/IP ) を使用して送信されます。このメッセージには、株価や取引データ、告知情報、およびその他の基本的な市場情報が含まれています。

システムの入力インターフェイスは、すべてのメッセージが欠落なく正しい順序で受信されたことを検証します。そしてメッセージのデータを抽出し、.NET Framework 上で C# を使用して作成された、メッセージ オブジェクトの形式に変換します。同時に、入力インターフェイスはメッセージのデータをデータ ウェアハウスに格納し、やはり C# で記述された、システムのビジネス ロジック コンポーネントにメッセージを渡します。ロジック コンポーネントは、リアルタイムで動作して入力のデータ ストリームから付加価値情報を生成し、その情報をメッセージ オブジェクト内に格納します。リアルタイムで生成される主な情報は次のとおりです。
  • 買いと売りの比率
  • 累積売買高
  • 現在の会計簿の注文総額
  • 出来高加重平均価格
  • 買い/売り気配値の高値と安値
  • 取引の高値と安値

ロジック コンポーネントは、入力エージェント、処理エージェント、データ ウェアハウスエージェント、および出力エージェントの各エージェント内に組み込まれています。エージェント間のメッセージ オブジェクトの受け渡しには TCP/IP .NET Remoting が使用され、ルーティングテーブルに基づいて転送が行われます。この方法により、メッセージフローが保たれたまま、付加価値データの併合や平均、比較の処理が完了します。

処理が完了した各メッセージオブジェクトはデータ ウェアハウス エージェントに渡され、その付加価値データは、データ ウェアハウスのデータベース内に永続データとして格納されます。このデータベースから反復処理やバッチ処理用などの他のコンポーネントに向けて、価値付加データのメッセージ オブジェクトが送信される場合もあります。メッセージ オブジェクトは最終的には出力エージェントに送られ、London Market Information Link ( LMIL ) TM を通じて利用者のシステムや端末に配信されます。

エージェント間の通信は、.NET Remoting による TCP/IP 接続を使用して実現されています。メッセージ オブジェクトが正しい順序で渡されることを保証するため、同種のエージェント間でのコールは同期的に行われます。たとえば、出力オブジェクト間の同期通信により、複数の取引が正しい順序で処理されることが保証されます。

異種エージェント間でのメッセージ オブジェクトの受け渡しには、非同期通信が使用されます。たとえば、入力エージェントが処理エージェントとデータ ウェアハウス エージェントの両方にメッセージ オブジェクトを渡す場合、どちらかのエージェントで遅延が発生しても、非同期通信であるため、もう一方のエージェントへのオブジェクトの送信が滞ることはありません。

各メッセージ オブジェクトの処理の進行状況を追跡するため、処理工程の全体にわたってチェックポイント テーブルが使用されます。

システム バスの非同期的な動作は、送信先の各エージェントに対応した内部キューを使用して実装されています。キューはコンピュータのマルチ プロセシング機能を利用(キューごとに 1 つのスレッドを使用) して、高速な入力を実現します。キューからデータを読み取るスレッドは、送信先エージェントに対して同期的な .NET Remoting コールを行います。

「 .NET Remoting を使用した開発や運用は容易であり、その高速かつ低遅延の機構によって信頼性の高いプロセス間通信が実現できます」と Accenture の Callum Licence プロジェクト リーダーは話します。

中核システムの内部では、リアルタイムのビジネス ロジックの動作に必要なプロシージャと状態情報が、処理用のデータ ストアに格納されます。このデータ ストアは、システム遅延を最小限に抑える上で中心的な役割を果たしています。開発チームは、このストアを作成するために Microsoft SQL Server データベースを使用し、SQL Serverと Windows Server 2003 のシームレスな相互連携を活用しています。

データ ストアは、4 プロセッサの Itanium2 サーバー 2 台を使用した、Active/Passive 構成のクラスタ上で動作しており、毎秒 3,000 件超のトランザクションを処理します。ロジック コンポーネントは状態を保持しないため、サーバーの障害時にはデータ ストアの役割が極めて重要なものになります。1 台のサーバーで障害が発生した場合、ソフトウェア エージェントおよびそのロジック コンポーネントは、クラスタ内の別のサーバーに移動します。そしてストアからのデータで状態情報を更新することにより、中断した時点からの処理の再開を可能にします。

* 図1
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図 2 :ノード 3 で障害が発生した場合、Cluster Service はエージェント 3 をノード 1 に移動します。エージェントに割り当てられた仮想IPアドレス ( VIP ) もフェール オーバーされるため、ネットワークの再構成は不要です。
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処理用のデータストアは、ロジック コンポーネントのサポートだけでなく、入力フィード メッセージと、それから生成される付加価値情報を、取引所のデータ ウェアハウスに渡す処理も行います。XML Web サービスを使用した Web ベースの履歴データ サービスは、この処理でストアから渡されるデータに支えられています。また、渡されたデータは、オンライン分析処理 ( OLAP ) システムを通じた、利用者個々からの情報要求に応じるためにも使われます。

開発過程や稼働テストでは、アプリケーションのパフォーマンスをオンラインで監視するために Microsoft Performance Monitor Tool ( PerfMon ) が多用されました。軽量の PerfMon カウンタは Windows に統合されており、パフォーマンス上の大きなオーバー ヘッドを生じることはありません。カウンタは PerfMon ツールによる使用やプログラムのコード内での利用など、さまざまな使い方が可能です。

また、PerfMon のすべてのデータは、パフォーマンス記録機能によってデータベースに保存されるため、毎日の業務終了後のバッチ処理や履歴解析に利用できます。PerfMon を使用すれば、1 日のパフォーマンス カウンタの値を保存できるだけでなく、特定のカウンタにしきい値を設定して、その値を超えた場合に警告を発生させることも可能になります。

「システム全体の概念は単純で、使用しているテクノロジ プラットフォームは、実行すべきタスクによく適合したものですが、システムの実行においては高い耐障害性を実現する必要がありました」と Homan 氏は語ります。「 .NET Framework のクラス ライブラリと、高度な管理性を備えた C# のコーディングを使用したシステム構築によって、その目標の達成は非常に容易になりました」。


<ベネフィット>

ロンドン証券取引所では、新システムが提供するプラットフォームにより、短期の収益ターゲットだけでなく、長期的な戦略目標の達成にも貢献が期待できる、新たな情報サービス商品の配信が可能になりました。このシステムは、付加価値情報を瞬時にサービス利用者のもとへ配信することができ、ハードウェアのトラブル発生時にも、ソフトウェアの障害迂回機能によってサービスは続行されます。ホット フェールオーバーによるサーバー間の切り替えの際にデータが失われることはなく、サーバーのトラブルはエンド ユーザーにとっては透過的に回避されます。

Lester 最高情報責任者は、「これは即時性が命の情報を高速に配信できる革新的な高性能システムであり、その高速性は情報サービス利用者と市場のどちらにとっても重要な利点です」と述べています。「このシステムは、市場のプロフェッショナルが働くリアルタイム環境の、厳しい要件を満たすように設計されています。私たちは、将来にわたって必要とされる信頼性やパフォーマンス、拡張性を Microsoft のソリューションがすべて備えていると確信しています」。

生産性の優れた C# 言語を含む Microsoft の統合開発プラットフォームは、この強力な新システムを 10 か月という短期間、かつ過去に導入されたテクノロジを使用した場合の数分の一の低コストで市場に出すことを可能にしました。取引所は、仮に従来のプラットフォームを使用したとすれば、システムの開発完了までに、少なくとも倍の期間を要しただろうと推定しています。Microsoft と Intel の組み合わせは、技術革新を通じて利用者に利益をもたらすという、取引所の方針を迅速に実施することを可能にします。既に、サービスの連続性におけるすばらしい実績を維持したまま、一層内容の充実したリアルタイム情報を配信することが可能になりました。

取引所の旧来のシステムは、品質とパフォーマンスの面で高い評価を得ていますが、さらなる性能向上を図る場合、改善を実現できる速度には限界があります。一方、新しいハードウェアを導入すれば、技術革新や成長を阻む障壁が取り払われ、無理のないコストで新たなソリューションを構築できるようになります。

「私の見るところ、Windows の総合的な信頼性は非常に優れています。また、それに劣らず重要なのは Microsoftの開発ツールが一級品であり、このプロジェクトに関する私たちの要求を十分に満たしてくれたことです」と Homan 氏は語ります。

<堅牢性、信頼性、回復性に優れたプラットフォーム>

ロンドン証券取引所の新しい情報サービスは、証券取引に伴う厳しい要求に耐え得るように設計、構築されています。取引所は、Windows Server 2003 、SQL Server 、および Visual Studio .NET の組み合わせを活用して、拡張性、信頼性、および開発期間の目標を達成しました。同時に、これらのテクノロジの密接な統合は、ソフトウェア インターフェイスにおいて、システムにバグが「忍び込む」ことを防ぐためにも役立っています。

Windows オペレーティング システムの統合コンポーネントの 1 つである .NET Framework の最新バージョンには、堅牢な新しいプログラミング モデルと実行環境、共通言語ランタイム、および Windows Server 2003 の一部である Microsoft Internet Information Services ( IIS ) 6.0 が含まれています。これらはセキュリティを高めた新しいプロセス モデルを使用しており、オペレーティング システムおよび共通言語ランタイムとの統合も一層緊密化されています。これらのプログラミング環境やサービスを含む .NET Framework は、取引所がインターネット利用者向けの Web サービスを構築するために必要な機能を標準で完備しており、その機能を活用するだけで、利用者のアクセスを制御しながら、データ ウェアハウス内のデータへのアクセスを提供することが可能になりました。

.NET Framework は開発者に、作業の基盤となる堅固な構造と、検証済みの多数の構築ブロックを含むクラス ライブラリを提供しました。また、VisualStudio .NET は、完全に統合化されたデバッガと、プログラミングに関する疑問が生じた時点で、その解決に有用な情報が直ちに得られる、包括的かつ動的なヘルプ機能を備えています。

さらに、Windows Server 2003 の一部である Cluster Service によって、クライアントへのサービスを途絶することなく瞬時にホット フェールオーバーを実行することが可能になっています。

<拡張可能な処理容量とパフォーマンス>

ロンドン証券取引所の新しい情報システムでは、サーバーにプロセッサとメモリを追加する方法で、パフォーマンスを直ちに向上させることが可能です。Windows Server 2003 Enterprise Edition は 8 ウェイ対称マルチ プロセッシング、および最大 32 ギガバイト ( GB ) の RAM をサポートします。Itanium サーバーで Windows Server 2003 Enterprise Edition の 64 ビットバージョンを実行する場合は、最大 64 GB の RAM が活用できます。

「システム アーキテクチャを大幅に変更することなく、サーバーやサーバー クラスタを追加する方法で拡張できます」と Licence プロジェクト リーダーは話します。「 Windows Server 2003 ではクラスタあたり最大 8 ノードまでサポートされ、構成できるクラスタの数に制限はありません。そのため取引所は、既存の情報フィードを使用している 10 万台の端末からの、付加価値情報に対する予想需要がどのレベルに高まっても対応できます」。

同様に、取引所の市場の出来高が増加し続けるにつれて入力データ量が増大しても、やはりシステムの拡張によって対応可能です。このようにシステムの処理容量を高めることが可能であるため、取引所は他の株式市場のサービスをホストするという野心的な計画も進めており、既にヨハネスブルク証券取引所については実現しています。別の取引所が新たにホストされた場合、その取引所の利用者は直ちに、ロンドン市場を対象に提供されているのと同等のリアルタイム付加価値情報を得られるようになります。

将来、より高性能な Intel ベースのサーバーが利用可能になった時点で順次システムに追加していく場合にも、ソフトウェアの大幅な変更は必要ありません。ソフトウェアに関しても、将来にわたってユーザーの要求に応えていくという Microsoft の揺るぎない方針に支えられた、より強力なサーバーおよびデータベース ソフトウェアへの、明確なアップグレード パスが用意されます。

<高生産性かつ低コストの環境>

基幹アプリケーションのサポートに Microsoft のテクノロジを採用したことにより、開発から運用サポートまでのすべての段階で、システム所有コストが削減されました。Windows 環境に対応したプログラミングやサポートのスキルは広く調達可能であり、必要なハードウェアの購入、保守、およびアップグレードのコストは、他の環境を選択した場合に比べてはるかに安価です。

Licence プロジェクト リーダーは、.NET Framework 、Visual Studio .NET 、および C# の採用によって、開発チームの生産性は以前の環境の約 2 倍に向上したと評価しています。

「ハードウェアや定型的なコーディング、システムサポートなどに要していたリソースを、ビジネスプロセスの向上に集中できるようになりました」と Licence 氏は言います。「この環境によって、より速く、簡明で、生産性向上の著しい開発ルートが開かれました。これは同時に、品質やパフォーマンス、信頼性における最高度の要求に応えるための確実な手段でもあります」。

プロジェクトの開発過程では、通信ハンドラなどの検証済みシステム コンポーネントを利用するために、Framework のクラス ライブラリが最大限に活用されました。また、Visual Studio .NET に統合された構文チェッカーやその他の高度な編集機能も、コンパイル前の段階で潜在的なエラーを除去することによって、生産性を向上させました。

Homan 氏は「 C# は非常に自然な言語で C++ との類似性が高いため、開発チームは短期間で修得できました。さらに重要なのは、C# ではエラーが防止されるとともに、革新に必要な柔軟性を損なうことなく、コーディングにおける一定の規律が保たれることです」とコメントしています。

運用においても、ASP.NET を使用して構築されたブラウザ インターフェイスによって、簡単かつ柔軟性に富んだシステム管理が実現されており、システム管理者は、システムへのアクセスさえ可能なら、事実上どの場所からでも管理作業を実行できるようになっています。

<開発チームの編成と開発工程>

ロンドン証券取引所は、Accenture と協同で新しい付加価値情報サービスの開発を進めました。コアチームは取引所のプログラマおよびアナリストと Accenture の世界規模の組織から選ばれた専門家によって編成されました。

十分な経験を有するメンバを集めた開発チームは、ロンドンの金融街中心部にある取引所の本部で、2002 年 6 月に作業を開始しました。開発チームは、営業部など取引所の他の部門と協力しながら、新システムの設計要件を策定しました Windows Server 2003 の採用が決定した時点で、Microsoft の担当者もメンバとしてチームに加わりました。

取引所との提携におけるエンゲージメント パートナーを努める Accenture の John Erik Ellingsen 氏はこう語ります。「 Accenture と Microsoft は、以前にも何度か英国の大きなプロジェクトで緊密な協同作業を行った経験があります Microsoft の特化した技術力と業界に精通した Accenture の高度な専門知識と実現能力は、クライアントが求める革新を可能にする強力な組み合わせであることが証明されています。Accenture は以前のプロジェクトの経験を通じて、Windows Server と Visual Studio .NET に関する強力なスキルを蓄積してきたため、その最新バージョンを使用することは、当社の開発者にとっては容易な移行でした」。

開発チームは、プロトタイピングと機能設計完了後の 2002 年 7 月に技術的な設計を開始し、8 月にはコーディングに着手しました。機能テストは 11 月と 12 月で終了し、2003 年の年初から開始された技術テストでは、1 〜 3月の 3 か月にわたり、最悪の運用条件を想定したシミュレーションによって、システムのパフォーマンス、回復性、および統合性が入念にテストされました。

<プラットフォームの選択>

過去、取引所は基幹システムを COBOL で開発し、耐障害性を備えた大型のメインフレーム サーバー上で運用していました。新システムの導入にあたっては Microsoft や Intel のプラットフォームを含む、多数の選択肢が検討されました。取引所は既に、リテール証券サービスプロバイダが取引所のシステムにアクセスするためのゲートウェイの構築に、Microsoft Windows 2000 DatacenterServer を使用していました。このアプリケーションでは、データや状態情報の格納するために SQL Server が使われました。この組み合わせが示した高速かつ堅牢で完全な信頼性を備えたシステムとしての実績は、新しいプロジェクトのチームに SQL Server と Windows の最新バージョン採用の積極的な検討を促す、1 つの材料となりました。

2002 年 7 月に開始された機能仕様の策定作業は速いペースで進みました。そして、Linux など、数種の UNIX OS や、Windows Server 2003 Enterprise Edition を含む多様なソフトウェアおよびハードウェア プラットフォームを基盤とする概念設計が準備され、パフォーマンスや安定性、セキュリティ、開発コスト、サポートコスト、リスクなどの要素を含む一群の基準に基づいて、各選択肢の評価が行われました。

その結果、Intel XEON および Intel 64 ビット Itanium デュアル プロセッサを複数搭載したクラスタ サーバー上で動作する Windows Server 2003 Enterprise Edition が、他のすべてのプラットフォームを上回る評価を得ました。

処理用のデータストアとして機能する SQL Server の役割は極めて重要であるため、Microsoft と Accenture は、パフォーマンスが目標に到達していることを実証するために、一連のラボ テストを実施しました。テストの結果、SQL Server の 32 ビットバージョンは、キャッシュ用のメモリを十分に搭載すれば、応答速度や処理容量の要求を十分に満たせることが問題なく示されました。システムは 32 ビットによるデータベース管理を使用して、要求される処理能力の最大値である毎秒 3,000 件のトランザクション処理 (メッセージ遅延 0.5 秒未満) を達成することが可能でした。その後、システムは新たにリリースされた SQL Server 2000 ( 64 ビットバージョン) に移行され、さらなるパフォーマンスの向上が実現されました。

Windows Server 2003 およびマルチ プロセッサ サーバーは、ともにシステムの中核をなす最重要の役割を持ち、しかも、開発当時はどちらも市場に登場したばかりの新しい製品であったため、開発チームは、稼働システムの構築を開始する前に、両者を組み合わせたテストを実施することを決定しました。テストでは、稼働システムとまったく同じ構成のハードウェア上で、アプリケーションのプロトタイピングが行われました。Visual Studio.NET と Windows Server 2003 を使用したプロトタイプの構築とテストに要した期間は、わずか 1 か月でした。

プロトタイピング フェーズの実施には、開発チームが C# を試用する機会を得られたというメリットもありました。Ellingsen 氏は、実際に開発を体験した開発者たちは、C# に高い評価を与えたと回想し、「この新しい言語やコード管理の話はよく聞いていましたが、プロジェクトの開始時にはまだ懐疑的でした。しかし、実際に使用してみると、生産性が向上しただけでなく、開発期間も大幅に短縮できました」と語っています。

<ビジネスへの貢献に的を絞ったアプリケーションの開発と展開>

このプロジェクトにあたって、取引所が開発環境を Visual Studio .NET および .NET Framework に移行した大きな理由は、ビルド済みのモジュールやシステムの「配管」的な基盤コンポーネントが、標準で提供されていることにあります。モジュールの活用は、統合デバッガや構文チェッカーなどの、プログラミングの生産性を向上させる機能とともに、開発者が取引所の業務要件を満たす開発に集中できる時間を増やすために役立ちました。

プロジェクトの全体を通して、Visual Studio .NET と Microsoft Office の連携は、開発チームにとって大きなプラスとなりました。ドキュメントや図表の作成は Microsoft Word やグラフィックス ソフトウェアの Microsoft Visio を使用して円滑に進められ、Microsoft Excel も多数の作業に活用されました。

テストにおいては、統合デバッガが時間の節約に大きな効果を発揮しました。また、Visual Studio .NETと Framework によるコードの構造化や体系化によって、テストの実行と更新管理も以前より容易になりました。

「基幹システムでは、技術テストを徹底的にやり抜くことが絶対的に重要であり、開発チームにとっては常にストレスの多い作業となります」と Ellingsen 氏は言います。「しかし、このシステムが予想可能なあらゆる事態に耐え得るものであることや、最終段階で問題が発生する可能性が極めて低いことはすぐにわかりました」。

2003 年 4 月、入念なテストを経て運用可能となった情報システムは、取引システムを初めとする取引所の複数のアプリケーションに接続されました。システムの出力は London Market Information Link ( LMIL ) TM にリンクされ、世界中の市場のプロフェッショナルたちは、売買の判断に不可欠な付加価値情報に一層高速にアクセスできるようになりました。情報配信時間の短縮は数分の一秒にすぎませんが、金融取引の世界では、この瞬時の差が数百万ドル規模の違いを生む可能性があります。

取引所にとって、新システムのパフォーマンス上の優位性と、本質的な回復性を備えたその設計は、成長目標の達成に向けて飛躍するための足がかりと言えます。

Lester 最高情報責任者は「この新しい付加価値情報システムは、取引システムとリアルタイム データ配信に続く取引所の第 3 の中核サービスであり、パフォーマンスや信頼性に関して妥協の余地はありませんでした」と述べ、「トレーダーへの高速で信頼性の高い情報配信は、市場を活性化して流動性を生み出します。取引所のサービスの質の高さとリアルタイム データ配信の豊かさは、ロンドン取引市場の劇的な成長を支える推進力となっており、今後も新しいシステムによってこの成功を維持していくことを目指します」と語っています。



Microsoft Windows Server 2003 は、接続型アプリケーションや、ネットワーク、Web サービスの基盤となる生産性に優れたプラットフォームの構築を可能にします。Windows Server 2003 は次の優れた特長を備えています。

  • アプリケーションとネットワーク サービスのための信頼性、セキュリティ、および拡張性を備えたプラットフォームを実現します。
  • 展開、管理、運用を容易にします。
  • 接続型ソリューションの短期間での構築に必要な機能を完備したサーバー プラットフォームを提供します。
  • 最大規模のパートナー ソリューション エコシステムの活用により、ビジネスの価値を最大限に高めることを可能にします。

Windows Server 2003 の詳細については、次の Web サイトをご覧ください。
http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/

.NET Framework は、次世代のアプリケーションや Web サービスを構築、実行するための Windows 統合コンポーネントです。このフレームワークは、高い生産性を備えた標準ベースかつエンタープライズ対応、多言語対応の環境を提供することで、アプリケーションの開発を簡単化し、開発者が習得済みのスキルを活用することを可能にするとともに、既存ソフトウェアとの統合を容易にし、インターネット規模のアプリケーションの展開と運用に伴う負担を軽減します。.NET Framework は主に、共通言語ランタイムと、統一化された階層的クラス ライブラリの 2 つの要素で構成されています。このライブラリには、Active Server Pages を大幅に刷新した ASP.NET 、スマートなクライアント アプリケーションを構築するための環境 (Windows Forms) 、および緩やかに結合されたデータ アクセス サブシステム ( ADO.NET ) が含まれています。

.NET Framework の詳細については、次の Web サイトをご覧下さい。
http://www.microsoft.com/japan/msdn/net/

Microsoft Visual Studio .NET は次世代 Web アプリケーションと Web サービスを構築するための高速アプリケーション開発 ( RAD ) ツールです。Visual Studio .NET を使用することにより、任意のデバイスやプラットフォームに対応した広範なWebアプリケーションを短期間で設計することができます。また Visual Studio .NET は .NET Framework と完全に統合されており、複数のプログラミング言語をサポートするとともに、定型的なプログラミングタスクの多くを自動的に処理します。このため、開発者は任意に選択した言語を用いて Web アプリケーションを短期間で作成することができます。Visual Studio .NET には、Web アプリケーションと中間層ビジネス ロジックを構築するための RAD 機能を備えた単一の統合開発環境 ( IDE ) と、データ構造を設計するための RAD XML デザイナが含まれています。

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