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営業現場で本当に必要なものは何か。
現場が作った Excel 営業支援システム
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営業担当者の仕事の中核はお客さまとの対話。しかし実際にはさまざまな営業資料や見積書、提案書などの書類作りやそのためのデータ集めに多くの時間を費やしてしまいます。できればその時間を短縮したい、でもお客さまとの対話をスムーズにするために各種書類は欠かせない。そこで、営業に関連するドキュメントを簡単に作成できる、営業支援システムが必要になります。営業支援を謳うシステムは数多くありますが、本当に現場のニーズを反映したシステムはどれくらいあるでしょうか。マルニ木工では、営業現場のニーズをそのまま反映し、データベースに集約したデータや画像を Excel 上から呼び出してさまざまに活用できる、手作りの営業支援システムを開発して成果を上げています。
<導入の背景と狙い>
現場のニーズに沿った商品情報データベースの活用システム


株式会社マルニ木工
営業企画部 マネージャー
寅丸 健造氏
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株式会社マルニ木工は 1928 年 (昭和 3 年) 創業の老舗家具製造、販売会社です。広島県廿日市市に本社を置く同社は、日本の洋家具製造の創成期から数々のエポック メイキングな家具製造を行ってきました。
家具は用途による種類が豊富であるばかりでなく、さまざまなデザイン、色、素材によるバリエーションも多岐にわたります。こうした商品の販売を行う営業現場では、お客さまに提案し、納得してもらえる営業資料が重要なセールス ツールとして活用されています。
精度の高い商品カタログをどう作るかがスタート
「このシステムを開発する以前の 2000 年までは、商品の情報源は社内でも社外でも、商品カタログがすべてでした」と語るのは、同社営業企画部マネージャの寅丸健造氏。たくさんの商品種類とそのバリエーションを営業担当者がすべて覚えることは不可能です。そこで活用されるのがカタログです。しかし同社の商品はそれぞれ常に寸法やバリエーションなど細部が変更される特徴をもっています。最新の情報を営業担当者が把握し、顧客に正しく伝えるためには、カタログを頻繁に更新する必要がありました。グループ企業である株式会社マルニ木工のマネージャの寅丸氏は、「システム開発の最初は商品情報データベースでした。それはカタログをいかに効率よく作るかというところからスタートしたのです」と振り返ります。
しかし、カタログという形をとる以上、活用の方法には制限がありました。顧客への営業にあたって個別の商品提案を行なうためには、カタログだけでは十分な理解を得ることが困難だったのです。同社にとっての課題は、最新の商品情報を必要に応じて顧客に最適な形で提示できる体制づくりにより、従来以上に高度な営業活動を行うことと考えられました。
Excel でできることなら使わない手はない


株式会社マルニ木工
企画管理部 情報システム担当 課長
佐々木 一成氏
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しかし、この課題解決のための既成システムを検討してみるとどうしても高価になりがちで、導入から運用開始までに時間がかかることが避けられないのがネックとなっていました。 そこで同社は Excel に注目しました。当時 (2000 年) は、同社で 1 人 1 台のノート パソコンが導入され、Excel が使われ出してきた時期でした。その当時はオフコンによって商品情報が管理されており、寸法や画像については対象外になっていました。営業資料を作ろうとすると、オフコンからの情報と営業担当者が自分で他から集めた情報とを Excel などを使って手作業で組合せて作成するという大きな手間がかかっていました。「Windows® にはデータベースにアクセスするためのコンポーネントは標準で備わっているわけですから、例えば SQL Server™ とかは非常に使いやすいんじゃないか。それならすでに持っている Excel でいけるぞ、と考えたわけです」(企画管理部情報システム担当、佐々木一成課長)。
その当時から Excel を利用していた営業企画部マネージャーの土井康義氏も、「Excel は自分でレイアウトや編集がしやすいソフトだと思っていました。しかしそれでも資料作成などには時間がかかってしまっていました」と言います。Excel の使い勝手を生かしながら、データベース内の情報を活用していく方法に魅力を感じたのは当然の成り行きだったでしょう。
最初のカタログ作りのためのデータベース利用という考え方に、Excel を利用するというアイディアが加わって、さらに「営業系のエッセンスが加わるようになりました」 (佐々木氏)。「販売実績のデータベースも使えるんじゃないか、生産と在庫のデータベースも使えるんじゃないか、そういう形で、商品情報データベースを Excel 上で自在に使うアイディアが『応用編』として出てきました」(土井氏)。
<導入の経緯と効果>
見積書作成、資料入手、提案書作成が効率化


株式会社マルニ
営業企画部 マネージャー
土井 康義氏
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既に社内で使われていた Excel と商品情報データベースをもとに、同社の新しいシステム作りがスタートしました。営業現場からの意見を取り込みながら、情報システム部門でそれを Excel 上で実現できるように開発していったのです。見積書などは定型のスタイルがあればよいのですが、提案書などはお客さまや営業担当者によって作り方は千差万別です。作りやすさを優先して定型的な書類にしてしまうことはできません。
データベースは、最初は商品のスペックや金額の検索のために作られました。それに寸法、材料、塗装、貼り布の組成など、見えない部分の機能スペックや商品説明、社内備考などの項目も付け、画像も大きなものを付加していきました。これらの材料を、必要に応じて Excel 上に抽出し、レイアウト、編集が行えるようにするシステムが作られていったのです。
1 日がかりの仕事を瞬時にこなす「見積書、提案書作成」機能
作成された Excel 上のシステムで、劇的に効率化したのが見積書作成業務でした。従来、見積書を一から作成しようとすると 1 日がかりになることもあったといいます。それがこのシステムでは、商品マスターの表から必要なものを画面にドラッグ アンド ドロップしていくだけで、瞬時に複数枚の見積書が作成できてしまいます。それを提出する際に、客先に提示する商品画像も、ほとんど手間をかけずに抽出することが可能になりました。新任の営業担当者は「営業に入って間もないので、『どんな色、どんな材料なのか』とお客さまにたずねられても答えられない、カタログを見ないとわからないことがあります。しかし、画像を一緒に持っていくと、カタログを開かずに説明することができます」と言います。
また、顧客 (家具販売店) に商品を提案するときのツールとしての提案書作成にもシステムは大きな省力化と高度化をもたらしました。説得力のある提案書に仕立てるには、文字や数字ばかりでは不十分で、画像も組み込んだビジュアルなものにしたほうが営業効率が上がります。このシステムでは、Excel 上に提案書の雛形 (テンプレート) と商品リストを表示し、リストの品番をテンプレートにコピーするだけで名称、サイズ、希望小売り価格、素材、塗色、塗装の種類という情報が瞬時に反映されるようになっています。また情報にリンクしている商品画像もすぐに呼び出せ、Excel 上に貼り付けることができるようにもなりました。さまざまな情報と画像とがレイアウトされた提案書を作成するのにかかる時間は、およそ 3 〜 5 分。従来は 30 分ほど要していた作業です。従来これらの情報を手入力しながら個別にデザインしていたことからすれば、非常に大きな効率化が実現したことになります。
「こうした書類は、シーズンのときには 50 種類ぐらい作ります。今では一気に作業ができちゃいますから、非常に有効に使えるツールの 1 つだと思いますね」(営業担当者)。
必要な書類は自動配信機能で入手
またデータベースが整備されたことにより、営業用の資料もデータベースからイントラネットを通じて簡単に入手できるようにもなりました。営業担当者が画面で資料を選んで自分の名前をクリックすれば、必要な資料をメールで自動的に自分宛に配信してくれます。また日付を指定して、入手したい時点で配信してもらうことも可能になりました。例えば商品ごとの在庫表などを、その時点の数字で配信してもらえることになります。
「販売店の応援で家具売り場に立ったりすることが多いんですよ。その場でコール センターに問い合わせるとお客様を待たせてしまうので、販売応援に行く日の朝は在庫表を出して持って行きます。それで在庫確認ができ、今後の入荷、入庫の日時まですぐわかるんで大活躍ですね。それに、自分が今まで売り上げたデータが毎日配信されてくるんですよ。他の部署で受注したものについても営業チェックできる。すべての販売員の名前が入っているんで、その方に会ったときにご挨拶が逐一できるというところが いちばん自動定期配信では便利ですね。自分の数字を再確認できる いちばん早い手段がこれになりますね」(営業担当者)。
営業担当者のイメージするものが実現できる環境があることが大切
このような文書作成業務等の大幅な効率化が実現した今、同社の課題はこのシステムを営業担当者すべてに浸透させていくことです。このシステムはもともと、営業担当者が自分の作りたいイメージを文書に反映できることを念頭に作られています。「最初から作り込まれてしまっているものを使う方法もありますが、それは担当者レベルで変更がきかない。営業担当者には自分たちの作りたいもののイメージを頭の中に持っています。それが実現できるような環境があればそれでいいんじゃないか。このシステムを利用したうえで、Excel で自分で作り込めば、自分の思うとおりのものができます」(佐々木課長)。それだけに、なかにはハードルを感じる人もいるかもしれません。「『ここまでできるんだ』ということを認識してもらい、浸透させていきたい。使い込めば使えるが、そうでない人もいる。そうした人にいかに浸透させていくかが課題です」(寅丸氏)。システム導入を振り返って、佐々木氏は考え方を語ってくれました。「お仕着せの仕組みではうまくいきません。現場の人間は、当然自分たちのイメージがあって、こういう形のものを作りたいと思っているわけです。我々、机の上でしか考えない人間がその形を規定することはできないし、それを推し量ることも、正直、1 割か 2 割できればいいほうだろうと。そうすると、やっぱり実際に使う人間が頭に描いたことが、それが実現できるような裏方と言いますか、効率化するための環境があればもうそれでいいんじゃないかなと。逆にそこを充実させていく。表向きはExcel なんですよね、そういう表なんですよ。その中に、自分がこういう機能を込み込んでいけば、自分の思うようなものができると。やっぱりこういう形に持っていかないと、本当の意味での情報活用ということにはないないんじゃないかと、私は個人的に思っているんですけどね」(佐々木氏)。
もともとが営業現場のニーズに先導されて作られてきたこのシステムですが「まだまだ(現場からの)意見は出てきている」(佐々木氏)といいます。豊富な種類の膨大な情報を一元管理するデータベースと、それを柔軟に活用する Excel 上のシステム。さまざまに変化し、生起する現場ニーズを柔軟に取り込める特長をもつこのシステムは、今後も形を少しずつ変えながら発展を続けていくのでしょう。
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