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ERM(エデュケーション リレーションシップ マネジメント)の実践によって、学生たちの「自律した学習スタイル」をサポートする"理工学ナビゲーションシステム"を構築
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名城大学では 2005 年から 2015 年までに実現すべき将来像として取りまとめた「学校法人名城大学における基本戦略について (Meijo Strategy-2015 [以下、MS-15])」 という長期ビジョンにより、各部署で個別の具体的行動目標に基づく行動指針を策定し、名城大学および大学院、附属高等学校の充実に向けた施策展開を進めています。そうした中、理工学部では、学生たちの自律した学習スタイルの確立と、学士力向上をサポートするために、学習の PDCA サイクルの各ステージを支援する Web システム「理工学ナビゲーション」の構築を計画。Microsoft Dynamics CRM を活用することで、使いやすく、柔軟性に富んだシステムの実現を目指しています。
<導入の背景とねらい>
学生個人を軸として、学習の PDCA サイクルを効率的に支援することで、学生の自律的学習を後押し
名城大学 理工学部の人材養成目的は、その学則において「幅広い素養を備え、社会に通用する専門知識とその応用力を持ち、科学技術者として自らの手で新しい分野を創造的に切り拓いてゆく人材の養成を目的とする」と定められています。
2004 年から日本技術者教育認定機構 (JABEE : Japan Accreditation Board for Engineering Education) への取り組みも本格的に実施している同学部では、学生の学習意欲向上など教育改善の推進を行う一環として、2007 年 6 月には理工学教育推進センターを設置。研究室や実験室を訪問して研究活動を垣間見る「オープンラボ」や、簡単なものづくり体験のほか工場見学などによって早い時期からものづくりに触れさせる「実感教育」、工学系 8 分野を 1 年間にわたって概説し、技術者としての広い視野を養成する「理工学概論」などの取り組みを進めています。


名城大学
理工学部長
安藤 義則 教授
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名城大学
理工学教育推進センター長
吉久 光一 教授
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名城大学
理工学教育推進センター
副センター長
佐川 雄二 教授
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こうした取り組みを推進する背景について、理工学部長 安藤義則教授は、次のように説明します。
「本学では、2005 年から MS-15 という長期ビジョンを策定し、取り組みを進めています。最終目標は、2015 年までに『総合化』『高度化』『国際化』によって広く社会に開かれた文理融合型総合大学を目指すことになりますが、その第一段階として、2010 年を目標として、『教育力』『研究力』『就職力』『社会力』『資源力』という 5 つの力を向上させて、大学の社会的責任の確立を実現するという中期ビジョンが掲げられています。私たち理工学部が取り組んでいる理工学教育推進センターも、その一環です」。
そしてもう 1 つ、理工学教育推進センターの取り組みが求められてきた背景には「学生の変化」も挙げられると、安藤教授は続けます。
「理工学教育推進センターの中で『実感教育』などさまざまな活動を行っていますが、これには学生各人に専門分野への関心を高めてもらうというねらいがあります。私たちの人材養成目的を推し進めていくためには、学生に目的意識を持たせて、自律した学習スタイルを身につけさせることが重要です。
そのためにはまず、本学で 4 年間学ぶことが実社会に出てから、研究、ものづくりの現場でどのような役に立つかを把握して、目的意識を高め、専門分野への関心を持ってもらうことが大事なのです」。
こうしてさまざまな側面から学生たちの学習支援を行ってきた名城大学 理工学部では、この取り組みをさらに一歩先に進めるために、2009 年に学習の PDCA (Plan-Do-Check-Action) サイクルを支援するために Web システムの構築を計画。
「理工学ナビゲーションシステム (以下、理工学ナビ)」と名付けられたこの Web システムを実現させるうえで、目にとまったのが、イベント ドリブンではなく、「人」を中心に経年変化をマネジメントできる "XRM" 実践のためのパッケージ Microsoft Dynamics CRM でした。
<導入の経緯とシステム概要>
学生たちの自律的・継続的学習を支援するために
名城大学が、Microsoft Dynamics CRM を理工学ナビ実現のために選択したのが 2009 年 9 月のこと。
以来、毎週水曜日には理工学部 佐川雄二教授と同 吉久光一教授を中心とした理工学教育推進センターの中のワーキング グループが開催され、要件定義が進められています。2009 年末時点では、佐川教授の教える情報工学科と、吉久教授が教える建築学科の 2 学科を先行モデルとしてパイロット版の構築が進められています。
理工学ナビゲーションシステムの概要は、下記の通りです。
● Plan
・ 目標の設定 : 学生は卒業時の目標として、自分の希望する職種または修得したい具体的な能力を複数選択 (途中変更可能)。
・ 学習プランの作成 : 学生が選択した目標に基づいて、理工学ナビが履修すべき科目を選択し、系統図を表示。目標と科目の 関連だけではなく、ある科目を履修するために履修しておくべき科目を把握しているため、目標達成に必要な科目を網羅的に選択し、自分の学習プランを作成できる。
● Do
・ 学習状況の記録 : 学生が個々の学習状況を、日もしくは週単位で随時記録。学習状況達成には、各科目の到達目標がどこまで達成できたかを記録する。また、より細かい単元ごとの到達目標についても達成状況を記録する。
● Check
・ 学習状況のチェック : 学習が順調に進んでいるかを「履修登録時」「開講時」「単元開始時」「単元終了時」において、理工学ナビがチェックし、結果を学習履歴に保存させる。また「日常のチェック」として、学習履歴の中で学習時間が不足している場合には警告を発する。
● Action
・ 再学習等の勧告 : 学習状況チェックで何らかの問題が見つかった場合は、再学習や直接指導を勧告する。
佐川教授は、この理工学ナビを「『理工学教育推進センター』による理工学への動機付けと、『再試験・再履修制度』による再学習支援の中間に位置するもの」として、次のように説明します。
「理工学ナビは、学生たちを『手取り足取り』導くためのものではありません。個人の学習目的、将来の希望職種に合わせた目標設定からの PDCA を、学生自身が自律的かつ継続的に実践していくことを支援するためのものです。
本来、私たち教育担当者が行うべきことだと思いますが、対象学生が多数になると、個々の状況を把握することは、非常に難しくなります。
そこで、学生自身に Web からアクセスして記録をつけさせ、私たちがその学習状況を閲覧してアドバイスを行うためのしくみを構築することにしたのです」。
<Microsoft Dynamics 採用のメリット>
イベント ドリブンではなく、「人」を中心としたマネジメント
理工学ナビで学生たちが最初に設定する「目標」は、当然のことながら学科や希望職種によって異なります。このほか、学生たちの成長を支援するうえで定義するべきことは多岐にわたります。そのため、理工学ナビの要件定義には時間を要してしまうことも事実だと、吉久教授は話します。


有限会社 ページワン
代表取締役
木村 譲 氏
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有限会社 ページワン
名古屋支店長代理
櫻田 広明 氏
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有限会社 ページワン
取締役SI事業部部長
木村 せつ子 氏
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「私が教えているのは建築学科ですが、建築の計画を練るといった作業には、知識だけではなく、コミュニケーション能力も欠かせません。そういったさまざまな必要能力を私たちの方で選んで理工学ナビ内に "選択肢" として準備し、学生たちが選んでいくことになります。
今は、私と佐川先生とで受け持つ 2 学科を先行して構築しているところですが、今後、理工学部のすべての学科が含まれていく中で議論も進んでいくことで、こうした選択肢が整理されたり、運用の中で見直され、追加・改善されていくことでしょう。
教育に絶対はありませんから、最初からすべてを定義することもできず、Web システムとして公開してからも改訂・改善は必然的に生じてくることでしょう」。
こうした前提に立って、学生たちの経年変化をマネジメントしていくパッケージとして、「Microsoft Dynamics CRM 以外の競合製品も見当たらない」と話すのは、今回のシステム構築を担当している有限会社 ページワン 代表取締役 木村譲氏です。
「会計や試験などイベントごとに区分けして、個人を記号化してデータ管理していくシステムは、ほかにもあります。しかし、学生が成長していく様を管理するためには、各人の経年変化を見る必要があります。それには、イベントを軸とするよりも、個人を軸として情報を管理する方が適しているでしょう。
Microsoft Dynamics CRM は、単に CRM を謳うのではなく『XRM』というコンセプトに基づき、あらゆる情報を一元管理することが可能です。この X という部分は、一般企業においては C (Customer) RM、教育の場では、S (Student) RM、あるいは E (Education) RM とアプリケーション活用の幅を広げていくことができます。理工学ナビにこの製品が適していたのは、まさにこの点です。それに、マイクロソフトのプラットフォームということで、Microsoft BizTalk Server を含め既存システムとのデータ連携をスムーズにする製品も揃っています」。
この点について、佐川教授も「最初は、CRM と言われて、企業向けの印象もあったのですが、マイクロソフトさんからの説明を聞いて『なるほど』と思いましたね。既存のシステムとのデータの連携もやりやすい。それに CRM の製品を利用することで、PDCA のサイクルを回すためのルール作りが比較的スムーズにできたと感じています」と、評価しています。
さらに、「小さくはじめて、システムを育てていける」点も、重要なポイントだと木村氏は続けます。
「Microsoft Dynamics CRM を利用したメリットとして、"ライフサイクルのフェーズを区切って導入できる" ということが挙げられます。事実、ほかの大学の案件に卒業時のマネジメントに限定してリリースして、そこから順にさかのぼっていき、入学から卒業までの経年変化を把握できるように拡張している例もあります。今回は Web システム化していますから、Microsoft Dynamics CRM 本体のカスタマイズは避けて、たとえばシラバスをどのように表示して見せるかなどといったインターフェイスのカスタマイズは、Silverlight などの技術を使って Web 側で対応するようにしています。開発の柔軟性という点でも、これは非常に重要なポイントだと思っています」。
インターフェイスについては、本プロジェクトのワーキング グループにおいても、重要視されていると佐川教授は説明します。
「学生にきちんと活用してもらうためには、第一に使いやすいシステムである必要があります。効率学習を助けるためのシステムの操作を覚えるのに時間を費やすのは本末転倒です。
画面を見れば使い方が大体わかるということは、非常に重要ですね。そのため、基本的なインターフェイスとして、Microsoft Office Outlook を使用しています。
本校では、コンプライアンスの観点も含めて、ライセンスのコストと管理を容易にするために、マイクロソフトとの包括ライセンスを締結しています。学生個人が所有する PC にも Microsoft Office をインストールできるオプションを利用しているため、学生全員が間違いなく理工学ナビを利用できる環境は整っています。これもメリットの 1 つです」。
<今後の展望>
新規導入予定の e-ラーニングを含む、各種システムの有機的連携へ
名城大学 理工学部の「理工学ナビ」は、2009 年度には基礎データの収集と、パイロット版の作成までを行い、2010 年度には必修科目等の主要科目および JABEE プログラムを対象に運用を開始。翌 2011 年度には全科目および JABEE プログラム以外のプログラムに対象を広げ、本格的な運用を開始する予定となっています。
吉久教授は、このシステムが今後、効果を発揮していくためには「カリキュラムの体系化が進んでいる必要がある」として、次のように話します。
「今後は、理工学ナビに登録するカリキュラムデータの検討に併せて、必要な体系化を進め、システムが運用された後も継続的にチェックする体制を確立することが求められます。また、シラバスにもより詳細な情報が正しく記載され、厳密に実行されるように改善されるでしょう。今までも JABEE の認定に向けた教育に取り組んできましたが、この理工学ナビを通じて、さらに促進されていくと考えています」。
学生個人の向上心を助け、名城大学が掲げる人材養成の理念をサポートする理工学ナビが、本格運用を迎えるまで、まだ時間を要しますが、効果への期待は少なくありません。
安藤教授は最後に、理工学ナビへの期待として、次のように締めくくります。
「MS-15 に基づくさまざまな活動の一端として、理工学ナビが位置しているわけですが、このシステムを学生が縦横に活用するようになれば、学内に分散する各システムの有機的な連携も進んでいくのではないでしょうか。再学習支援のための重要な手段として、e-ラーニングのしくみも、現在検討・準備を行っている段階です。
学生にとっては、使っていて面白い、使っていると本当に役に立つ、というシステムがあれば学習効率も変わるでしょう。そのために、学内にあるデータやシステム、各種ツールをいかに結びつけてあげるか。それが、私たちの課題の 1 つだと思っています。
理工学ナビが、その端緒となってくれると嬉しいですね」。
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