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営業、販売情報を集積したデータウェアハウスを .NET 環境でダウンサイジングし高速化
社内 IT 環境整備とあわせた実践的システムを構築
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食を彩る酒類を主軸に事業展開するメルシャン株式会社では、販売、営業情報を有効に活用にするために、2000 年から超並列機によるデータウェアハウスを実践するシステムを導入しています。しかし、かなりの規模をもったこのシステムは、マーケティングや営業を担当する社内の一般ユーザーが使いこなすには敷居が高く、利用度がなかなか高まりませんでした。そこで、パートナーの日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社との協業のもと、Microsoft® SharePoint Portal Server と Microsoft SQL Server 2000 を連携させた新システムを導入し、2003 年 7 月に稼働を開始させています。このシステムの構築では 「ユーザー主体」 の開発が実践され、運用開始後もユーザーの要望を取り入れやすくする仕組みや、ユーザーがデータをさらに参照したくなるような仕掛けが盛り込まれています。
<導入の背景>
営業、販売情報の蓄積と分析に、大規模なデータウェアハウスを構築


メルシャン株式会社
情報システム部
部長
和田 憲三郎 氏
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ものづくりとその販売、ビジネスの展開のためには、「情報」がなによりも重要な時代になっています。酒類の販売もその例外ではありません。ワインや加工用酒などの「食」を彩るための洋酒類を軸として、和酒や飼料、化学品などに業務展開するメルシャン株式会社 (以下、メルシャン) では、今回のシステムを構築する以前から、社内の営業、販売情報をデータウェアハウス化して運用していました。
このデータウェアハウスシステムを構築した背景には、ビジネスのよりきめ細かな展開を意図した情報を、メルシャンが必要としていたことが挙げられます。以前のビジネス環境であれば、メーカーであるメルシャンから卸業者に商品が渡るまでの情報で十分でしたが、ビジネスの多様化、購買動向の複雑化などの要因から、より緻密なデータが必要になると判断されたのです。そこで 2000 年に、収集する販売情報の領域を拡大させ、小売店での販売データまでを確認できるシステムとして、データウェアハウスが構築されました。これによって、どの商品がどの地域で売れているのか、あるいは百貨店で売れているのか、コンビニエンスストアで売れているのかといった詳細な販売情報を、本社や地域の営業所で把握できるようになりました。
しかし、このシステムは改善すべき課題も同時に抱えていました。データ活用の有用性は社内に認識されていたものの、年間で 1,000 件以上ものレポート出力依頼が各部署からシステム部門に送られており、ユーザーの要望に沿った柔軟なデータ生成を実現していたとは言いがたかったのです。
このデータウェアハウスのシステムは、超並列機を使ってメインフレームからデータを取り出して加工しており、作成したデータを参照するには、操作の難しい専用アプリケーションを使用する必要がありました。また、欲しい形式に生成するためには、データの整理、正規化などに時間やコストなどが膨大にかかってしまっていました。当初は経営層やマーケティング部署、ビジネスの戦略を立案する部署などでの利用が想定されていましたが、データの重要性に対する認識やデータ加工に対する要望の高まりほどには、このデータウェアハウスシステムは活用されませんでした。こうした反省を踏まえて、システムの更新が検討されました。
メルシャン株式会社 情報システム部長の和田 憲三郎氏は、新システム構築を振り返って次のように語ります。「あらゆるデータを集積したとはいっても、社内のユーザーに活用されなければ意味をなしません。チューニングなどのシステム運用の利便性は先においてでも、ユーザーの操作性を第一に向上させようと考えました。かといって旧態然としたものにはならないように、ユーザー自らが使用したいという気分になるような仕組みがほしいと思いました。かつてのシステムでは、データを必要とするユーザーが、自分の意思によってデータを引き出す必要がある、いわば『プル型』のシステムでした。そこで今回は、まずデータをシステムの側からユーザーに提示する『プッシュ型』の仕組みにしようと考えたのです」。
また、従来のシステムの課題はユーザーの利便性だけではありませんでした。既存の基幹システムとの連携も問題になりました。メインフレームと超並列機、Microsoft Windows NT Server Version 4.0 と Microsoft Windows 95 のクライアントそれぞれが連携して処理をする仕組みになっていましたが、ホストやサーバー間での親和性が低く、パフォーマンスが十分に得られていませんでした。「同じデータでも、経営層が必要とする切り出し方と、一般の営業担当が必要とするデータの切り出し方とでは、注目する点や、データに対するコメントが違います。様々な要件を満たすためにシステムを満たさなければなりませんが、以前のシステムでは、データについての新しい要件が発生するたびに、結局はシステムのカスタマイズが必要となっていたのです」(メルシャン株式会社 情報システム部 稲葉 広毅氏) 。
<導入の経緯>
システム基盤を統一化するため、.NET 環境を採用
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メルシャン株式会社
情報システム部
稲葉 広毅 氏
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そこでメルシャンでは、新しい営業、販売情報配信システム「Merits」を稼働開始させています。超並列機で収集、加工したデータを Microsoft SQL Server 2000 に移して、Microsoft Internet Information Services 5.0 に構築したアプリケーションと Microsoft SharePoint Portal Server 2001 、Microsoft Exchange 2000 Server を使ってユーザーに配信できるようになりました。システム構築は日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社が担当しており、システム構築にあたって、ユーザビリティを重視しただけでなく、将来発生するであろう要件も可能な限り想定した設計が施されているといいます。
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 社会システム本部 北海道開発センタ 東京第 2 システムグループ 技師の東倉祐治氏は、システム設定にあたってのポイントを次のように語ります。「旧システム構成の連携度合いが低かったことを改善させようと、システム全体の親和性向上を目指していました。そのためシステム全体の IT 基盤部分には、統一したフレームワークが必要と判断しました。そこで、マイクロソフトの .NET Framework 環境を採用しようと考えたのです。開発には Microsoft Visual Studio .NET 2002 を用い、クライアントからサーバーまでのシステムをマイクロソフトのテクノロジで統一することで、高い親和性を得ようと考えています」。
<導入したソリューション>
社内ユーザー向けのポータルサイトを同時に構築。社内の IT 環境を整備


日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
社会システム本部
北海道開発センタ
東京第 2 システムグループ
技師
東倉 祐治 氏
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今回構築したシステムでは、データマートとしての役割が SQL Server 2000 に移管されています。これにより、旧来の超並列機にはデータ配信の役割はなくなり、データの蓄積とデータ加工だけを行うようになりました。
SQL Server 2000 は IIS と連携して、データを配信します。同時にユーザーから要求のあったデータを、ファイルサーバー上のユーザー専用領域に Microsoft Excel のファイルとして配信します。同時にメールでユーザーにデータを配信することもできます。
また、社員がパソコンの電源を入れると立ち上がるポータルサイトを、SharePoint Portal Server 2001 を使って構築し、この画面から様々な情報にアクセスできるようにしました。このポータルサイトには、単にメールや社内通知などのグループウェアとして機能だけでなく、誰がどのようなデータを参照しているか、どのようなデータアクセスが集まっているかも表示されるようになっており、ユーザーの評判も上々といいます。「たとえば、『大阪の営業担当者はこういうときに、こういう情報を見ている』とか、『ワインの事業部はこんな情報に注目しているのか』といったことが分かれば、関連した人は同じ情報を見たくなるものです。情報の利用を進めるには、データを利用したくなる仕組みが必要なのです」(稲葉氏) 。「こうした機能は、データに対するアクセスログを集計して表示させています。思っていたほど構築は困難ではありませんでした」(東倉氏)
また、以前のメルシャンの社内環境ではユーザーの認証に Windows NT のドメインが用いられていましたが、管理が徹底されておらず、約 30 ものサーバー群が社内ネットワーク上に乱立する状況になっていました。今回の新システム導入にあわせて、Active Directory 化を実施、社内のサーバー台数もドメインコントローラ 2 台を含む、計 10 台へと削減されました。クライアント PC の台数は全部で約 1,100 台、Windows 2000 Professional が一括採用されています。
この Active Directory 化に伴い、SQL Server 2000 や、SharePoint Portal Server 2001 などシステム上のユーザー認証については、Active Directory のユーザー管理機能をそのまま適用できるため、それぞれのシステムごとに構成する必要はなくなりました。ユーザーデータベースの管理が一元化されてシステム管理負荷が削減され、またユーザーにとっても、起動時にポータルにログオンするだけですべてのシステムをシームレスに利用できるようになるため、非常に利便性が高いシステムへと進化しています。
<導入結果と効果>
1 万件のレコード抽出にかかる時間が、約 40 分から1 〜 2 分へと劇的に改善
この新システムの設計は 2003 年1月に開始され、約半年後の 2003 年 7 月に稼働を開始しています。一気に新システムに移行した場合のリスクを考慮し、稼動開始から約半年は従来のシステムの稼働を続けて並列動作させていましたが、新システムは非常に安定しており、並列動作も結果的には必要なかったといいます。
以前の環境では、販売実績帳票を印刷する用紙は毎月約 15 万ページにおよび、およそダンボール 10 箱分ありました。汎用機の CPU 利用率の約半分はこの処理に費やされており、今回の新システムへの完全移行によって、すべて不要になります。また、データ出力のためのパフォーマンスについても、劇的な向上が見られています。「以前の環境では、たとえば 1 万件のレコードを抽出するのにおよそ 40 分程度かかっていましたが、現在では 1 〜 2 分です」(稲葉氏) 。
また、社員向けのポータルサイトを始めとする IT 環境整備についても、ユーザーから高評価を得られているといいます。ポータルサイトについては、社員の所属部署や役職によって現在 4 種類用意されていますが、「あらゆる情報がメールで届けられるため、特に社外に出ていることが多い社員にとってなくてはならないものになっているようです。また、今回のシステムを導入して以来、営業ツールがこれまで以上に数多く作られるようになりました。このことは、システムの利用頻度が上がったことの現われだと考えています」(和田氏) 。
そして、このシステムの今後については、次のように見通しが語られています。「元となっているデータは、耐障害性の高い超並列機に格納してあるので、さほど耐障害性については考慮してありません。それでも、システムの重要度がさらに増せば、2 重化するなどの信頼性向上の仕組みを考える必要が出てくるでしょう。また繁忙期にはデータアクセスが集中してパフォーマンスが不足しがちです。現在以上に利用が高まれば、ハードウェアの増強も必要になってくるでしょう。2004 年にはメインフレーム環境を廃止して、.NET 環境へ完全移行します。ユーザーにとって効率的で、利便性に富んだ提供方法を選択した結果です」(稲葉氏) 。
トップレベルのメーカーであるメルシャンの情報戦略を支えているのは、広範に及ぶ販売網を網羅した営業、販売情報とそれを効果的にユーザーに伝えていくシステムの存在でした。ユーザー側、システム側双方の観点からレベルアップがなされたこの IT 環境をもって、メルシャンはますますの飛躍を迎えようとしています。


システム構成図
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