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煩雑で時間のかかっていた市場調査データ分析を大幅に効率化。
コスト削減とより質の高い分析を同時に実現する BI システムを構築
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三菱自動車工業株式会社では、手間と時間のかかっていたホスト コンピューター上の市場データの分析を、Microsoft® SQL Server® 2008 を導入することによって、Microsoft® Excel® からホスト コンピューターのデータを迅速に分析することを可能にしただけでなく、より質の高い分析が行えるシステムを構築しました。また、新しいライセンス体系を導入し、導入コストと共にランニング コストの大幅な削減を実現。新システムの導入を契機に、同社での推奨 BI ツールとして活用を進めています。
<導入の背景と狙い>
手間と時間のかかる複雑で煩雑なホスト コンピューターからのデータ抽出。
データ標準化や高度な分析などが非効率的な従来システム


三菱自動車工業株式会社
経営企画本部
企画部
上級エキスパート
広野 嘉一 氏
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三菱自動車工業株式会社は、年間約 140 万台の自動車を生産し、世界 160 か国以上へ販売している世界的な自動車メーカーです。その販売実績は、綿密な市場調査と高い商品力、そして高品質の自動車生産と共に世界各国で多くのユーザーを獲得しています。
同社の商品戦略本部マーケティング戦略部は、世界各国の販売データや市場調査データ、そして自社内の受注データなどから情報分析を行い、中長期の商品戦略を立案する重要なセクションで、同部での市場分析や商品戦略をベースにして販売部門、生産部門との連携で新車開発を行っています。同社経営企画本部 企画部 上級エキスパート 広野 嘉一 氏が語ります。
「より効果的な販売と生産を行うために各部署と連携をとりながら、商品戦略を企画し、将来の戦略を立案することがマーケティング戦略部の基本的な仕事です。その内容は大きく分けて 2 つあります。1 つは市場の分析で、もう 1 つが中長期の商品戦略の立案です。基本となるデータにはさまざまなものがありますが、国内外の自動車関連統計情報、自社での受注情報など 8 種類ほどあり、項目数で約 2,000 項目、データ全体では数千万件にもなります。すべてのデータを一度に分析するということはないのですが、複数の情報を組み合わせたり、時系列に分析する場合なら約 100 万件近いデータを処理しなければなりません」。
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三菱自動車工業株式会社
商品戦略本部
マーケティング戦略部
郡田 篤 氏
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しかし、収集されたデータは、必ずしも同じ視点から作成されたものではありません。異なるシステムで収集された異なるコード体系を持ったデータです。同社商品戦略本部 マーケティング戦略部 郡田 篤 氏がこの点について語ります。
「私が従事しているのは長期商品戦略です。たとえば、2015 年までに、いつ、どの地域にどういう商品を出せば効果的に販売することができるかという戦略を立案しています。こうした戦略を立案するためには、いろいろな数字が必要なのですが、たとえば、重要な台数のデータだけ見ても、出自がバラバラなデータですので、国ごとに車種体系が異なっていたり、そもそも国の分類自体が異なっていたりするのです。将来的な販売台数計画などは、同じ視点で捉えたデータが必要であるため、この基礎データの統一、標準化に手間がかかっていました」。
さらに深刻だったのは、システム上の問題です。同社の分析システムは、ホスト コンピューターに蓄積されたデータを複雑なコマンドを使って抽出し、PC で利用できるようにデータ変換を行い、それをホスト コンピューターから自分の PC にファイル転送して、ようやく Microsoft Excel で利用できるデータになるというもので、操作や処理に非常に手間がかかるものだったのです。郡田 氏が続けます。
「集計や分析そのものよりも、ホスト コンピューターからデータを抽出して Excel で表示するまでに非常に手間がかかっていました。たとえば、1 つの表を作る場合、ホストで抽出するデータから最終的な表をイメージして、そのとおりに抽出できるようにあらかじめ考えてデータを指定して集計のリクエストをしなければなりません。間違ったデータを指定すると希望した表のデータにならなかったり、データそのものが取得できないということもあります。さらに、必要なデータを抽出するためには、呪文のような複雑なコマンドで操作しなければならず、Excel で読み込める形式にデータ変換し、そのデータをファイル転送するように指示しなければなりません。これを必要なデータごとに行うわけです。間違えれば最初からやり直しですので、試行錯誤しながら最適な分析を行うなどということはとてもできませんでしたし、このため、データを標準化するのにも非常に時間がかかっていたのです」。
また、データの出自の違いをカバーする標準化のための加工やマッチング、さらに、手間のかかるデータの抽出や転送などに加えて、利用できるストレージ量の制限からあまり大きなデータを扱えないという問題もありました。そのため、特定の車種だけであればよいのですが、複数の車種によるクロス集計や時系列のデータ分析などを行うためには、多大な時間と工数がかかっていたのです。
<システム導入の経緯>
Excel との親和性、使いやすさだけでなく
新ライセンス体系の採用によるコスト削減から SQL Server に決定
こうした課題に対して、同社では、以前から容易に多次元分析ができるシステムを検討していました。広野 氏が振り返ります。
「15 年くらい前から、こうした問題を解決し、より高度な分析が行える多次元データベースを導入すべく会社に働きかけていたのですが、導入効果への理解とコスト的な観点から、なかなか実現できませんでした。そんな中で、2 年前に経理システムで本格的に多次元データベースが導入されました。これによって多次元データベースの理解と導入環境が整ってきたのです。そして、タイミングよく、2007 年 12 月にマイクロソフトさんから提案されたのが、SQL Server 2005 による BI システムだったのです」。
もちろん、他社のデータベースも比較検討しましたが、SQL Server は、Excel との親和性の高さや分析用の BI ツール、開発に最適な統合プラットフォームなどがワンパッケージになっていて、使いやすさが抜きんでていました。
「他社のデータベースは、Excel が使えるとはいっても、結局、Excel に持ってくるためにデータを変換するという操作は必要です。しかし、SQL Server に取り込んだホスト コンピューターのデータを Excel から直接指定して、それを多次元キューブにしてそのまま読み込めるわけです。つまり、使い慣れた Excel をフロント エンドとしてホスト コンピューターから必要なデータを読み込み、分析や加工が可能なのです。そこで、2007 年の年末に提案があってから、2008 年 4 月からの予算で開発に取りかかれるように、どのようなシステムにするかの検討をすぐに開始しました」(広野 氏)。
サーバー機の選定では、扱うデータ量の多さから、実際にマイクロソフトの調布技術センターで機械的に生成した 1 億件のサンプル データを持ち込んで検証を行い必要なスペックを想定しました。新システムの開発の見積もりを依頼したベンダーの中には、データ数から想定して非常にパフォーマンスの高い、高価なサーバーを提案してきたところもありましたが、結果的に、リーズナブルなサーバーで十分なことが判明し、SQL Server の性能の高さがサーバー導入コストも抑えた形になりました。
もう 1 つ、同社が SQL Server を選択した理由には、新しいライセンス体系の採用により、ライセンスの導入コストも抑えられたことがあります。
同社では、今回の導入に際してマイクロソフトから、ボリューム ライセンスの新しい形態であるアプリケーション プラットフォーム アグリメント (Application Platform Agreement : APA) の提案を受けました。APA は、導入予定をベースに 3 年間の契約金額を決定し、契約した製品については契約期間内であれば追加の製品購入コストがかからないという SQL Server 2008 を中心としたライセンス契約で、この契約により、契約期間内は、契約した製品を無制限に利用することが可能になります。また、無償でバージョン アップできるソフトウェア アシュアランス (Software Assurance : SA) 付きなので、契約した製品にバージョン アップがあった場合でも、追加コストはかかりません。したがって、ライセンスのランニング コストを大幅に抑えることができ、常に最新のソフトウェアを利用することができるのです。
<システムの概要と構築>
ホスト コンピューターからのデータをキューブにして Excel で展開。
Hyper-V での仮想化と統合開発プラットフォームでの迅速な開発を実現
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三菱自動車工業株式会社
管理本部
コーポレートIT部
エキスパート
四方 賢治 氏
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こうして決定された SQL Server 2008 による新システムは、調布技術センターでの検証を踏まえて 64 ビット サーバーに 32 GB のメモリを搭載し、Microsoft® Windows Server® 2008 の 64 ビット システム上で Microsoft® Hyper-V™ による仮想環境を構築することになりました。同社の管理本部 コーポレートIT部 エキスパート 四方 賢治 氏が語ります。
「1 台の 64 ビット サーバーに Hyper-V を使って、開発環境と本番環境を共存させています。Hyper-V を利用した仮想環境を構築することで、サーバーを 2 台立てる必要がなくなっただけでなく、サーバー管理が容易になっています。開発環境と言ってもバックアップ的なものですので、共存していても問題はありません。クライアントは現在 100 台程度ですが、事前に検証していたとおりでレスポンスにはまったく問題ありません。ホスト コンピューターからのデータは定期的に FTP で受信するようにしているほか、1 回あたりのデータ量としては、現行では 100 MB 程度、ストレージは 2 TB で総データ量は 2,500 万件くらいです。最終的には 1 億件程度になる予定です」。
新システムは、ホスト コンピューターのデータを取り入れた SQL Server に Excel から直接アクセスして必要なデータを指定し、多次元キューブとして Excel に転送されます。転送されたキューブはピボット テーブル上で展開され、自由に項目の変更や縦横を変えて簡単にデータを加工することができます (図)。


図 Windows Server 2008 を利用した新システムの概念図 [拡大図]

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システム開発について、四方 氏はさらに語ります。
「システムの開発は、すべて SQL Server 2008 の統合開発プラットフォーム上で行い、開発効率も非常に速く、速やかに稼働できました。こうした開発効率の良さもメリットの 1 つです」。
今回、新システムの開発は、より現場に密着した使いやすいものにするために、独特の方法で行っています。
「通常、システム開発の場合は、要求仕様を決めて仕様書を作ってというような工程を踏むわけですが、今回はトライ アンド エラーで対応しました。業務フロー分析に時間をかけるより、ある程度設計をして、プロトタイプができてきたらユーザーに評価してもらい、それを元に 3 回くらい改変しました。こうしたトライ アンド エラーでの開発ができたのは SQL Server だからでしょう。要求するとすぐに直ってくるので驚きました。ユーザー目線で徹底的に使い勝手を良くしましたので、システム自体が非常に使いやすいものになりました」(広野 氏)。
SQL Server 2008 を採用したことによって、導入から開発までをスムーズに行えたのと同時に、Excel をフロント エンドにした、使いやすいシステムを構築することができたのです。
<導入の効果>
必要なデータの迅速な抽出とピボット テーブルでの分析で使い勝手が大幅に向上。
生産性の向上だけでなく、より質の高いデータ分析を可能にした SQL Server
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三菱自動車工業株式会社
商品戦略本部
マーケティング戦略部
市ノ川 千夏 氏
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こうして 2009 年の年初から本格的に公開された新システムの導入効果は劇的なものでした。Excel 上で、必要なデータを直接読み込むことができ、加工、分析が簡単に行えるようになり、作業効率が格段に向上したからです。同社商品戦略本部 マーケティング戦略部 市ノ川 千夏 氏は次のように語ります。
「たとえば、従来であれば、国内の車種別の傾向値を分析する場合、ホスト コンピューターでデータを指定して抽出してから Excel で加工するまでに、かなり時間がかかっていました。それだけでなく、Excel でデータを読み込んで、加工する段階で縦横のデータが違っていたり、変更する場合は、始めからやり直すことになり、さらに時間がかかっていたのですが、新しいシステムでは、SQL Server から必要なデータを呼び出して、その場で分析できるようになりましたので、格段に使い勝手が良くなりました。また、一度作成した Excel シートは保存して再利用できますから、ルーチン作業ではデータ抽出のための作業も 1 クリックするだけで済み、非常に効率的になりました」。


三菱自動車工業株式会社
商品戦略本部
マーケティング戦略部
竹中 三香子 氏
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また、商品戦略本部 マーケティング戦略部 竹中 三香子 氏は次のように語ります。
「先日も、ある車種でどの色が売れているかというデータが会議で必要になったのですが、従来のシステムではこうした場合にすぐに回答できませんでした。現在のシステムであれば、会議中でも持ち込んだ PC ですぐにどの色が売れているかを調べて回答することができます。ホスト コンピューターからのデータ利用に関するマニュアルもあるのですが、これを覚えるのもたいへんでしたが、Excel のピボット テーブルで直感的に簡単にデータを操作できるので非常に効率的になりました。やはり、簡単に確認することができ、最終的なイメージでデータを加工できるというのは大きいです」。
さらに、懸案だったデータの標準化についてもデータを迅速に、自由に加工できるため問題にならなくなりました。それだけなく分析の質的な向上が実現したと郡田 氏、広野 氏は語ります。
「従来のシステムで問題になっていたデータの標準化についても、新システムなら Excel 上で簡単な操作でデータを加工して対応することができるようになりました。間違えたらすぐに修正できます。これによって大幅に時間が短縮できるだけでなく、今までデータの標準化で使っていた時間を、より高度な分析や試行錯誤で使うことができますので、結果的に分析やデータ処理の質が格段に向上しています」(郡田 氏)。
「リアルタイムですぐに仮説を検証でき、データをいろいろな角度から見て試行錯誤がすぐにできるというのは、効率が上がり作業時間が短縮され、全体の生産性が向上するというように思えますが、それ以上に分析の質が向上したことが大きなメリットです」(広野 氏)。
もちろん、必要な機能がすべて揃っている SQL Server 2008 のコスト パフォーマンスに加えて、APA による導入コストの削減も導入効果の大きなポイントになっています。四方 氏が続けます。
「他社のデータベースであれば、高度な BI を実現するためには複数の製品を購入しなければならなかったり、ライセンス コストが大きくなりがちだったのですが、SQL Server 2008 を APA で契約したことで、導入コストとランニング コストの両方でコスト ダウンできました」。
以前のシステムからは格段に使い勝手が向上し、さらに導入コストからランニング コストまで抑えることができたのも SQL Server 2008 だからこそだったのです。
<今後の展開>
新システムの全社的な公開と他部署での導入を検討。
社内の推奨 BI ツールとしてさらに活用される SQL Server
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三菱自動車工業株式会社
管理本部
コーポレートIT部
担当部長 (一般管理システム) 兼マネージャー
和泉 敦子 氏
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同社では、今回の SQL Server 2008 の導入を機に、APA のライセンス活用ということも含めて、さまざまな展開を検討しています。
「新システムを使っていろいろなことができそうだという感触が掴めてきましたので、まずは、社内へ広く公開していきたいですね。クライアント台数は多くなりますが、予想される利用率を考えると現状のシステムで問題はありません。また、マーケットに出てからの動きや在庫などの台数ベースでの情報分析も新システムで行っていきたいですね。情報を集めるのがたいへんですが、これはぜひ進めていきたいことの 1 つです」。
また、全社的な SQL Server の利用としては、今回の新システムの導入を踏まえて、すでにいくつかの部署での導入が始まっています。同社管理本部 コーポレートIT部 担当部長 (一般管理システム) 兼マネージャーの和泉 敦子 氏が語ります。
「現在、この新システムを立ち上げ社内展開中ですが、効果を実感しています。従来のシステムは部分最適化だったのですが、散らばったデータを集約して全社的な情報活用が可能になったという面では、非常に良いモデルだと思っています。そういった意味で他の部門でも SQL Server を使った例が出てきています。また、コスト的に見れば、APA の導入によってはずみがついたということもあります」。
最後に、広野 氏は SQL Server 2008 の導入について次のように語ってくれました。
「さまざまな BI ツールや多次元データベースを検証してみましたが、SQL Server は、その使いやすさやコスト パフォーマンスから、社内での標準的な BI ツールとも言える存在になってきていると思います。全社的に推奨できる BI ツールとして認知されてきていますね」。
広野 氏の言葉が、SQL Server 導入の成功を物語っています。SQL Server は同社にとって欠かせないツールになってきていると同時に、これからも大きな貢献をもたらしてくれることでしょう。
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