三菱化学株式会社/株式会社菱化システム

掲載日: 2004 年 6 月 21 日
四半期決算対応のグループ連結経理処理を迅速化。
Microsoft® Office Excel 2003 と XML Web サービスで、
250 社を超えるグループ企業の連結決算データを収集する新システムを構築

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ソリューション概要

プロファイル
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三菱化学株式会社は、国内トップを誇る総合化学メーカーです。400 社を超えるグループ企業で構成される三菱化学グループは、先端産業を含む多くの産業を支える基礎原料製品から、身近に使用される日用品まで、化学メーカーとして世界に類を見ない多面的で多様な事業を展開しています。化学業界のグローバル競争の激しさが増していく時代背景に即応して、収益力向上と持続的成長のために、各セグメントの位置付けと方向性を定め、事業の選択と集中を徹底しており、石化、機能化学商品、ヘルスケアの 3 分野を事業の柱としています。製造部門の生産効率化、事務部門の作業効率化など、積極的に IT を導入してきた同社は近年、顧客中心の対応に欠かせないナレッジの集約や積極的な情報開示など、顧客や株主のための質の高い経営を実現するためにも、IT の活用に積極的に投資しています。

シナリオ
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Microsoft Office Excel 2003 と、データ収集の XML Web サービス化による、連結決算処理の迅速化
XML Web サービスを活用し、BizTalk Server 2002 をベースとした EAI システムを構築

ソフトウェアとサービス
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Microsoft Office Excel 2003
Microsoft Windows Server™ 2003
Microsoft BizTalk Server 2002
Microsoft SQL Server™ 2000
Microsoft Visual Studio .NET
Microsoft Consulting Services

パートナー

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株式会社菱化システム

メリット

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Excel 2003 の XML や XML Web サービスへの対応機能を利用することで、データ収集システムを XML Web サービス化し、業務の効率を改善と共にデータの同期化、変更に柔軟に対応できる Excel のファイルフォーマット共通化に成功しました。

ユーザーコメント
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「四半期決算開示という制度変更にあわせて、タイミングよくシステムを進化させることができました」

三菱化学株式会社
情報システム部長
土居 章展 氏 談


「みんなが手馴れたツールやプラットフォームを利用してデータがシステムからシステムにつながるようにしたいと考えていました。『Windows と Excel と XML を使う』という方針のもと、我々のもっているリソースと最新の技術を組み合わせてこの仕組みを作りました」

エムシ−エフエー株式会社
経理グループ マネージャー
橋本 尚久 氏 談



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三菱化学株式会社
本社社屋
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2004 年度から上場企業全社に四半期ベースの損益情報開示が義務付けられました。これを受け、各企業の経理業務の現場では、四半期ごとの財務決算に対応できるような会計システムの整備が必要となってきています。しかし、四半期ベースでの業績開示への移行は、投資家に対してより精緻な IR 情報を提供し、経営の透明性が強化される反面、企業内での事務処理負担が増大する、という課題を解決する必要もあります。国内有数の総合化学メーカーである三菱化学株式会社では、連結会計の経理処理を迅速化するために、連結対象企業の決算データ収集システムに XML Web サービスを適用し、四半期財務情報の開示に積極的に対応しました。Microsoft Office Excel 2003 と XML Web サービス、Microsoft BizTalk® Server 2002 を組み合わせた XML 対応のこのデータ連携システムは、株式会社菱化システムがシステム構築を担当、仕様の確定から稼動までを短期間で実現しており、三菱化学株式会社のグローバル経営を支える IT 基盤として期待されています。


<導入背景と狙い>
四半期財務情報開示にあわせて連結決算データ収集システムの改善を模索


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三菱化学株式会社
情報システム部長
土居 章展 氏

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海外企業との本格的な価格競争、中国市場の急速な拡大など、製造業における資材調達や生産、販売活動は国内外の垣根を越えてグローバルな展開を要求されています。世界規模での市場競争を勝ち抜くためには、各企業は自社の重点事業へ投資を集中し、同時にコスト削減を推し進め、またその基盤となる財務体質を健全に保ちながら、自社の総合力と競争力を、グローバルな規模で向上させることが重要です。

国内トップの総合化学メーカーである三菱化学株式会社 (以下、三菱化学) は、世界中に 400 社以上のグループ企業を有するグローバル企業です。三菱化学株式会社 情報システム部長 土居章展氏は、同社のビジネスを次のように説明します。「石炭業をその由来に持つ石油化学事業などを中心に、石化セグメントや機能化学セグメント、近年では医薬品などをはじめとするヘルスケアセグメントといった、セグメント経営を進化させたグループ経営の強化を図っています」。

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エムシーエフエー株式会社
営業・企画グループ
シニアマネージャー
武政 義 雄氏

三菱化学グループのような大規模企業グループにとって、各グループ企業の財務状況を迅速に収集し把握することは、グループ全体のコーポレートガバナンスやマネジメント力を強化し、グループ全体としての競争力強化につながります。既に連結決算によりグループ全体の財務状態を把握していた同社では、より経営の透明性と投資家に対する情報開示を高めるためにも、四半期ベースでの連結決算への対応を検討していました。

土居氏は、同社の会計システムについて「経理会計業務といっても、その現場には、管理会計、財務会計あるいはコーポレートファイナンスといった、様々な領域があります。現在のシステムではそれらの各分野に対する対応が全てできていますし、連結経営の時代にあわせてグループ全体のデータを集約する仕組みも整っています」といいます。しかし、連結決算対象となる企業だけでもおよそ 250 社あり、グループ各社の決算データの処理には多大な労力を必要とします。とりわけ連結決算においては、限られた時間内にグループ企業から正しいデータを収集し、迅速に処理を行わなくてはならないのです。

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エムシーエフエー株式会社
経理グループマネージャー
橋本 尚久 氏

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グループ企業の連結決算データ収集には、これまで電子メールが利用されていました。各グループ企業の経理担当者は、三菱化学が配布する Excel のテンプレートファイルにデータを入力し、ファイルを添付したメールを三菱化学の経理部門に送付します。同社の経理部門では、それらの添付ファイルを手動で集約し、個々のデータ確認やファイル処理を行ってから会計システムで処理をする流れです。

転機は 2002 年 6 月に東京証券取引所から発表された「四半期情報開示に関するアクションプログラム」にありました。これにより、上場企業は、収益や資産の財務情報を四半期ベースで開示することを義務付けられることとなりました。これまでは管理会計レベルでは月次の管理を行ってた同社ですが、従来の経理処理の仕組みのままで四半期ベースの決算処理までを行うことは、経理部門に大きな負担を強いることも予測されました。

三菱化学グループの経理業務を担当する、エムシーエフエー株式会社 経理グループ マネージャーの橋本尚久氏は、決算業務の現場を次のように説明します。「以前は決算から情報の開示まで 2 か月程度の期間を見込むことができましたが、現在では実質 1 か月しかありません。どれだけ集中して作業を進めても、処理にはデータが収集されてから実質 10 日間程度はかかります。その段階で情報に問題が見つかった場合などには、期限に間に合わない可能性もあるのです。正しい数字を一定の時期までに適切に収集するため、仕組み自体を整備しようと検討していました」。


<導入システムの紹介>
経理担当者が使い慣れた Excel ファイルを用いてデータ収集を Web サービス化


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株式会社菱化システム
常務取締役
アプリケーションマネジメント
本部長
桑島 高一郎 氏

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三菱化学のグループ企業である株式会社菱化システム (以下、菱化システム) は、現在の経理システムの課題について、エムシーエフエーと共に検討を進めてきました。「グループの全社が同じシステムを使っているのであれば、四半期対応のための機能追加も容易ですが、多くは独自の会計システムを持っています。制度が変わることで、グループ各社の経理部門に対するフォローも必要になります。また、既存の流れでは、集まったデータに不具合があった場合には、担当者に電話をして確認するという状況が続いていました。」と説明するのは、株式会社菱化システム アプリケーションマネジメント本部長 桑島高一郎氏です。

これまでの三菱化学グループの連結決算処理では、Excel の入力データはマクロや関数を使ってクライアントサイドでチェックしていたため、エラーが残ったまま送信されたデータは、人手によって再チェックする必要があったのです。四半期ベースの決算情報開示を実行しながらも経理部門の負担を可能な限り少なくし、正確で迅速な情報開示を実現するため、「後処理がやりやすいような仕組みも含めてこれを XML 技術で解決したい、自動化できる部分はサーバー側でデータチェックを行い、エラーを返してしまうような仕組みを実現してデータ処理の精度とスピードを上げよう」(桑島氏) と、考えたのです。

新システムの検討にあたっては、ユーザーの利便性が最優先されたといいます。Web サーバーを構築してブラウザ上のフォームに入力するシステムなども検討候補になっていました。しかし、決算時期は文字通りの繁忙期であり、新システムを使うために、たとえばマニュアルを参照しながら業務を進めるのでは、作業効率は大幅に低下することが予想されます。そこで、「可能な限り既存の資産を活かしたまま、かつ利用者の負担を少なくしたい」という三菱化学の方針に対して、Excel 2003 の XML 機能の利用と、データの送受信に XML Web サービスを利用するシステムが検討されました。データ収集の Web サービス化により、ユーザーは従来通りに Excel を利用してデータを作成し、Excel 上からデータを送信したり、データ確認を行うことができることがわかったのです。

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株式会社菱化システム
アプリケーションマネジメント
本部ビジネスシステム1部チーム
リーダー
畑野 高士 氏

こうして 2003 年 8 月にスタートしたこの新連結決算データ収集システムのプロジェクトは、同年 11 月にシステムのプロトタイプを準備、翌年 2 月にサービスインという、短期間での構築目標が掲げられていました。開発を担当した菱化システムの畑野高士氏、山本卓郎氏らは、マイクロソフト コンサルティング サービスと共同で Excel での XML 利用、Web サービスの構築、データ連携の EAI 構築といったシステムの詳細設計に取り掛かりました。XML の利用や Web サービスの構築といった新しい技術に関しては、マイクロソフト コンサルティング サービスが提供するサンプルやツールを利用して、極力、データに依存する部分を少なくし、データ収集やシステム連携のための標準インフラとなるように菱化システムが構築を進めていきました。

このシステムでは、各企業の経理担当者は、これまでと同様に、Excel 2003 の決算データ作成テンプレートファイルで決算データを作成します。データの作成が終了すると、この Excel 上に配置された XML Web サービスを呼び出すボタンをクリックするだけで、決算データが送信されるのです。この XML Web サービスは、三菱化学がグループ企業に公開している決算データ収集用のもので、データを受け取ると、Microsoft BizTalk Server 2002 をベースとした EAI サーバーがデータをデータベースに格納し、各社の決算データを収集します。250 社の連結データ作成ピーク時にも、適切なシステム応答時間を保つために、非同期処理を可能にするなどの工夫がなされています。

これまで、三菱化学の経理担当者がファイルを視認して行っていた、進捗確認やデータチェックの作業も、データが自動的にデータベースへ格納されることで大半が自動化されています。また、Excel のテンプレート上に機能を盛り込みすぎず、サーバー上でのエラーチェック方式に変更したことで、将来的な修正変更も、サーバー側のプログラム変更だけですみます。

このデータ収集プロセスの管理するために、.NET Framework を利用した Web アプリケーションが用意されました。このアプリケーションでは、入力状況のステータス確認、入力データの閲覧や検索、バックエンドの会計システムへのデータの流し込み指示などが行えます。

「.NET 環境で XML Web サービスを活用したシステムを採用、と決定したのが 2003 年の 8 月です。11 月には実際に稼動するプロトタイプが必要でした。多くの経験をもっている開発環境ではなかったので不安も大きかったですが、マイクロソフト コンサルティング サービスによるトレーニングも実施し、開発もスケジュールどおりに完遂できました」と、畑野氏は、.NET の高い開発生産性を評価しています。

図
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システム構成図 [拡大図]


<導入結果>
Web サービスを利用して、連結決算処理の迅速化を実現


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株式会社菱化システム
システム開発本部
シニアプロジェクトマネージャー
山本 卓郎 氏

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こうして構築された新しいシステムにおいても、各担当者が操作する入力クライアントとしては従来通りの Excel が採用されています。このため担当者に対する特別な再教育の必要がなかったことから、「利用者の負担を少なくする」という目論見が成功している点を、橋本氏は次のように指摘します。「新しい Excel テンプレートのインタフェースは、見た目では以前のテンプレートとほとんど変化がありません。これまでメール添付で送受信していた Excel ファイル上に、XML Web サービス配信用のボタンが追加されただけです。このボタンによって、XML Web サービスへの認証とデータの送受信が実行されるようになっています」。

一方、人手を介していた決算データ収集業務は大きく様変わりしました。三菱化学の経理担当者が Excel ファイルを開いて、エラーを再チェックする、という作業は必要なくなり、各グループ企業から寄せられるデータ入力の進捗状況、発生しているエラーなどは Web ブラウザ上の管理画面で閲覧できます。状況に応じて必要な催促やサポートをすることが、迅速に行えるようになりました。「これまでデータの受け渡し管理をしていた担当者は、Web 画面の手順に従ってボタンを押すだけで収集状況が全て分かるようになりました。連結決算処理の経理作業負担は、相当軽減されたと思います」と橋本氏は言います。

このシステムの構築により、三菱化学グループは、四半期財務情報開示への対応を、担当者への負担を増やすことなく実現しました。これまでの決算時と比較しても、むしろ人手に頼る部分を自動化できた分、以前にも増して負荷は軽減されているといえるかもしれません。今回のシステム導入は、特に決算データ収集の精度とスピード、作業効率を大きく向上させたといえるでしょう。その最大の成功要因を桑島氏は、「以前のシステムの改善すべきポイントを適切に定義できていたこと、それを改善するための方策は何か、織り込まなければならない機能は何かということを明確にしたこと」と分析しています。


<今後の展望>
BizTalk Server をベースにコンポーネント化。
連結決算データの限らない、様々なデータ送受信に利用


今回のシステムの適用範囲は、決算データの収集だけにとどまらない、と桑島氏は指摘します。「このシステムをベースに、たとえば、売上データを収集する仕組みを構築したいという要望もあります。このシステムにより、大規模なコンピュータ同士の連携だけでなく、インターネットの回線が一つあればデータの送受信を幅広く行えるようになるのです。従来、IT インフラ設備を整えないと実現できなかった、データ連携の裾野が広がったと言えるのではないでしょうか」。

菱化システムでは、Excel と XML Web サービスを利用したこのシステムを、他のデータ連携の仕組みに応用したシステムとしても提供できると考えています。「連結決算データだけでなく、汎用的なデータ送受信を実現するため、XML Web サービスに対応したマイクロソフトの各製品を用いて、可能な限り標準化されている」(桑島氏) というこのシステムでは、数多くの部分が部品化されています。このため、たとえばこのシステムの決算情報を扱う部分を他のデータ用の仕様に置き換えて、XML Web サービス連携機能などをそのまま利用することができるのです。Microsft Office 製品と Web サービスを利用したシステムは、インターネット回線と基本的な PC 環境を整備するだけで利用可能となるため、これまでシステム化が難しかった企業などにおいても、情報の連携が実現できると期待されています。

Microsoft Office Excel 2003 の XML 機能と XML Web サービスを利用することで、業務システムを Web サービス化し、基幹システムとのデータ連携に Microsoft Office 製品を利用することができます。これは、企業間データ連携、アプリケーション統合などにおいても、その実現がより容易になることを意味します。使い慣れた Excel を利用しながら、新しい IT 技術を積極的に導入し、グループ経営に必要な情報システムインフラを整備する三菱化学グループは、投資家にも、従業員にも、お客様にも高い満足度を保ちつづける企業といえるでしょう。

本ケーススタディに記載された情報は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
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