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硬直化したレガシー システムを柔軟なオープン システムに完全リプレース。
業務プロセス継承と最新の IT 活用が低コストに実現。
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オフコンやメイン フレームなどいわゆるレガシー システムを Windows® などのオープン システムに切り替える動きが近頃盛んです。レガシー マイグレーションと呼ばれるこの流れは、日本の IT 活用の先駆者ともいえる鉄鋼業界でも盛んに行われています。安定性、信頼性に優れるレガシー システムですが、変更や追加が思うようにいかず、ビジネスの変化にシステムがついていけない事態を恐れ、より柔軟なオープン システムへの移行を進める企業が増えています。オフコンを利用して 15 年以上の歴史を持つ新北海鋼業株式会社でも、硬直化してしまったオフコンに頼るビジネスの今後に不安を感じていました。そこで同社が行ったのは、Windows ベースのオープン システムへの完全リプレースでした。この決断により、同社は将来のビジネス変化に容易に対応できる基盤を手に入れたのみならず、最新テクノロジーを存分に活用した合理化への道を開きました。PDA と無線 LAN を活用した新しい業務プロセスの実現をはじめとして、同社のシステムは未来に向けての変化をすでに始めています。しかも、移行コストは従来のオフコン運用コストの約 6 割で済みました。Windows ベースのシステムのコスト優位性と、業務の一部をパッケージ ソフトに置き換えて開発コストを最小にした成果です。
<導入の背景>
老朽化の進むオフコンを柔軟性の高いオープン システムへと転換
鉄製品をリサイクルして建築用の鉄筋を製造する新北海鋼業株式会社は、その分野において北海道でシェア 30% を占める中堅企業です。同社はいわゆる「鉄スクラップ」を各地から購入し、それを電気炉で溶解して建築用の資材として使われる異形棒鋼と呼ばれる鉄鋼製品に加工して販売することをビジネスにしています。同社はかねてから、注文を受けて出荷や納品書、請求書発行を行う業務プロセスと、資材の購入、入荷金額の管理など会計処理や債務処理を行う業務プロセスとを、オフコンを利用して行ってきました。しかし古くから IT を活用している他の多くの企業の例に漏れず、従来使っていたオフコンの運用、保守コストがかさむことに悩んでいました。かつて業務効率化の推進エンジンとして広く用いられてきたオフコンですが、使い込まれてきた過程でプログラムが複雑化し、追加や変更が思うようにいかなくなってきています。また、Web 技術を中心とした新テクノロジーがオープン系のシステムに比べて盛り込みにくくなっているのも事実です。
Windows ベースのシステムの柔軟性と低コスト性に着目
オフコンを始めとした従来からの集中処理方式のコンピュータは、保守や運用におけるトラブルなどのほとんどをコンピュータ ベンダー任せにすることができる良さがある半面、柔軟な変更や拡張を伴う運用に向いているとは言えません。一方、オープン システムの方は従来、ミッション クリティカルな基幹業務にあまり使われてきませんでしたが、現在は性能と信頼性を著しく向上させており、従来のシステム (レガシーシステム) をオープン システムにリプレース (マイグレーション) することが盛んに行われるようになってきました。もちろんその背景には、オープンシステムの価格の安さと追加、変更、拡張性の高さがあります。単にハードウェアのことだけではなく、ソフトウェアについても、市販パッケージがさまざまな業種ごとに豊富に用意されており、業務の多くの部分についてシステムを自社で開発する必要がなくなっています。
同社が注目したのも、オープン システムの柔軟性と、特に Windows ベースのシステムの低コスト性でした。同社の顧問を務める西脇建一氏は「ソフトの変更に時間もかかったし費用もかかって思うようにできない、という状況がありました。そのため利用についてはある程度割り切って、システムのあるがままに使っていこうというようになってしまっていました」。しかし、時代の動きに応じて競合他社も、コンピュータを用いた合理化を図っており、同社としてもより柔軟性を持たせられるシステムへの転換が急務になってきたのです。
<導入の経緯>
PDA と無線 LAN も活用した新業務方式も採用しながらのシステム移行
もともとオフコン利用していた同社では、さまざまな業務がシステムに取り込まれ、オフコン中心の業務プロセスができていました。新しい Windows システムに転換していくにあたって、できるだけ従来の業務プロセスの良さを残すことを前提に、従来から同社のシステム構築を担当していた北海道 NS ソリューションズ株式会社にシステム移行を依頼することにしました。
パッケージ ソフトの利用とアプリケーション開発の併用
「システムとしては財務管理、給与管理、購買管理、販売管理、在庫管理、出荷業務、リサイクル資材の受け入れといった領域について、新しい機能を付け加えながら一部にはパッケージ ソフトを利用し、パッケージ ソフトで対応できない部分は開発し、といった形でシステム全体の移行をしていきました」と北海道 NS ソリューションズ株式会社シニア エンジニアの中山満氏は振り返ります。同社では、新北海鋼業の意向を受け、株式会社オービック ビジネス コンサルタントの「奉行シリーズ」を給与や財務務関係に利用して、特殊な部分を含む販売管理や出荷管理と出荷業務に関してのアプリケーション開発を行ったのです。
オフコンの利用開始からすでに 15 年以上が経過していた新北海鋼業では、さまざまな業務プロセスでのコンピュータ利用の形が行き届いているために、新システムに移行するからといって基本的な業務プロセス自体には大きな変更を加えることはできません。移行にかけられるコストも限られるため、よりコストが下げられるパッケージ ソフトの導入が必要と考えられました。また、段階的なリプレースではかえってコストがかさむことが目に見えており、オフコン全体を一気にリプレースすることになりました。「システムのバージョンアップも 2 世代ぐらいまでは従来の機能の継承などのサポートが行き届きますが、3 世代目になるとそうはいかなくなってきます。それでここ数年はバージョンアップをしないで済ませてきましたが、ベンダー側のサポート打ち切りが迫るという事情もあり、ここで移行が必要だと判断したのです」 (西脇氏)。
しかしパッケージ ソフトの機能が必ずしも新北海鋼業の業務プロセスにすべて適応するとは限りません。コストを考えるとすべてを開発するわけにもいかず、「ある程度は業務プロセスをパッケージに合わせた形で改善する努力もしていただきました」(中山氏)。
北海道 NS ソリューションズの協力を得て、同社のオフコンは、Windows ベースのデータベース サーバー 1 台、アプリケーション サーバー 2 台に置き換わりました。さらに同社内には事務所内のパソコンを接続する LAN を敷設し、製品倉庫内には無線 LAN を導入、ハンディ ターミナルを利用した出荷管理などに利用できるようにしました。さらに、リサイクルする鉄資材を受け入れる「計量所」にも、出荷伝票入力のための端末と、計量器につながる端末を設置し、LAN で接続することにより、本社事務所内のみならず工場内の現場ともつながるシステムになりました。アプリケーションをサーバーだけが持ち、クライアントは環境が違っていてもサーバー側のアプリケーションが利用できる仕組みが採用されました。
「現場で端末が故障しても、すぐに代わりの端末を LAN につなげばすぐに使えます。できるだけ既存の機器を利用するという前提があり、それが実現できる仕組みにしました」(中山氏)。
2004 年の 1 〜 3 月にかけて新システムは稼働を始め、この間は従来のオフコンと並行して業務が進められましたが、十分な業務遂行とシステム運用が可能とされ、以降の本格運用がスタートすることになりました。
PDA を利用した入出庫管理の効率化と正確性の向上
新北海鋼業では、基本的な業務プロセスを残しながらも、従来のオフコンでは解決することができなかったさまざまな仕組みを新しいシステムに取り入れるようにしました。たとえばその 1 つが、出荷業務における PDA の活用です。オフコン時代でもハンディ ターミナルが利用されていましたが、Windows CE ベースの PDA に切り替え、無線 LAN を用いて運用することで、さらなる効率化を実現したのです。
生産プロセスは流れ作業で進みますが、その最終段階に位置する出荷業務においては、正しく出荷したのかが正確に把握できなければなりません。かつては、伝票を片手に担当者が 1 つ 1 つ確認していきましたが、現在ではすべての製品にバーコードの付いたラベルが貼られ、そのラベルの情報を PDA に入力すれば、即座に製品の本数などの情報が確認でき、出荷のチェック結果を送信することもできます。必要な情報は工場内の無線 LAN を利用して送られ、出荷情報も無線 LAN を介して事務所のサーバーに送られます。この仕組みにより、必要な在庫管理処理や会計処理などの一連の業務がスピード アップすると同時に、より正確に行えるようになりました。同様の仕組みは、資材の受け入れ現場や、製造の各工程での受け入れチェックなどにも活用されています。
<導入結果と今後>
常にビジネス変化に追従できる柔軟なシステムが実現


新北海鋼業株式会社
総務部 購買グループ
主任
酒井 隆吉 氏
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「システムに完成はない、と思うんです」と語るのは、このプロジェクトのリーダーを務めた同社総務部の酒井隆吉主任。「常に変化していかないと今の世の中の動きについていけません」。
従来のオフコンで最も問題視されていたのがこの側面です。酒井氏は、オフコンではちょっとした変更でも自由にできなかったことが大きな問題だったと考えています。そこで、変更が自由にできるシステムこそが、これからの競争力の鍵になると考えたのです。
もっとも従来の業務プロセスは使いにくい部分はあったにせよ、確立されたプロセスでもありました。今回のシステム移行で最も苦心した点はそこにあったようです。
「今回のプロジェクトで、業務の根本にある流れが勉強できました。コンピュータの前に人間を勉強しなくちゃならないと気付きました」と語るのは酒井主任。システム移行にともなう業務プロセスの変更を考えると、システムの考え方ではなく業務の流れの考え方を、業務を熟知する人間と相談して決めていく必要があります。その作業を繰り返すなかで、酒井氏は業務プロセスを全体として把握することの重要性に気付いたというのです。「パッケージを使うにしても、パッケージであるがゆえに修正はできないというのではなく、うちの業務に合った使い方とは何なのかという考え方をしました」(酒井氏)。
新システムの効果は、倉庫などでの現場の業務効率向上に貢献しましたが、基本的には従来からのシステムの機能を継承したものであり、簡単に効果が計量できるものではありません。しかし、同社ではシステムの移行により「肩の荷が下りた」ように感じているようです。
「今回の移行で業務が減ったなどというのは私にとってはたいして意味がないこと」と酒井氏は言い切ります。「それよりも収集したデータがいろいろな形で出力でき、いろんな角度からものを見て解析できるようになったことが重要です」(酒井氏)。それは今後の管理の仕方や事業の方向までも考える基礎になり、会社の発展の鍵となる発想に結び付くと考えているのです。
また西脇氏も、「社員が育てばやがては自分である程度ソフトが修正できるようにもなると思います。その意味では時代のニーズに対応しやすい。システムの変更に非常にフレキシブルに対応できるようになったと思います」と語ります。
コスト削減や業務効率改善といった直接的なメリットはさておき、同社では将来のビジネス変化に即時対応可能な体制づくりをシステム移行によって実現したのです。オフコンの運用管理コストはすべて削減され、専用端末はパソコンに置き換わることによりコスト低減に寄与しています。オフコンにかけた費用の総額の約 6 割のコストでこの移行は完成しました。運用を開始して間もないこのシステムですが、同社では将来への夢を託すに足るものとして評価されているようです。
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